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April 2020

April 26, 2020

ゴールデンウィークの営業につきまして


ゴールデンウィーク中、営業時間は下記のようになります。

 

4/29(水)休業

4/30(木)~5/2(土) 10:00~19:00 営業

5/3(日)~5/5(火)休業

5/6(水) 11:00~19:00 営業

 

記入のない日はすべて 10:00~19:00 の短縮営業です。

よろしくお願いいたします。

April 14, 2020

人が理解してくれることの奇跡 ~「流浪の月」凪良 ゆう

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〇「流浪の月」凪良 ゆう(東京創元社) 

2020年本屋大賞受賞作。

 

放埒だけど自由で、お洒落で、なにより居心地よい。「晩ごはん、アイスクリームにしちゃおうか」と言う両親のもとで幸福に育った少女、更紗。
しかし幸福な日々は両親の離婚をきっかけに、瓦解していく。
預けられた叔母の家はある理由でとても安らげるものではなかった。
叔母の家に帰りたくない更紗は夜まで公園で本を読み続ける。
公園には「ロリコン」と噂されている男性がいた。
そしてある雨の日、事件が起きる…。


めっちゃいい。素晴らしかった。

小説だ。いい小説だなあ…。

 

人の痛みと美しさを、極限に磨き上げた物語だと思った。

 


他人はわからない。
まして自分以外の、他人と他人の関係はなおわからない。

にもかかわらず、うっかりすると私たちは簡単に誰かと誰かの関係を「こういう付き合いなんだろう」と決めてかかったりする。

悪いことに「こういう関係らしい」と伝える人やメディアがあったりすると、実際がどうであるか調べもせず「そういう関係なんだろう」と決定づけたりしてしまう。

でも、わからないのだ。

私たちは他人をわからない。


わからないからわかろうとする。

ときどき、それを「その人の分け方」でなく、「自分の分け方」にしてしまう。
だから実際の姿との違いが出てくる。
それは本人が否定しない限り、「違った姿」の方でとらえられていく―。


更紗と文が動物園に行く場面。
喫茶「calico」の前で文が声をかける場面。
読んでいて何度も胸が張り裂けそうになった。
そして自分にはここまで理解をしたり、されたりした人が生涯いただろうか…と考えた。


Youtubeを開く。
「トゥルーロマンス」で検索するとエンディングで流れるハンス・ジマーの“You're So Cool”がヒットする。
「流浪の月」を読み終わってから何度もこの曲を聴いている
そのたびに布団の上でピザを食べたり、マンションのベランダで話したりする更紗と文の姿が目に浮かんでくるような気がする。

 

 


(H)

営業時間短縮のおしらせ(4/13~)

伊野尾書店は4/13(月)より当面の間、営業時間が変わります。

【営業時間】
10:00~19:00 毎週日曜定休日
 
今後、状況次第でまた変更になる可能性があります。

よろしくお願いいたします。

April 07, 2020

身辺雑記(4/6)

身辺雑記(4/6)


・先週末も東京は「外出を自粛」するよう通達が出ていたが、土曜日はお客さんが多かった。通常の土曜日の3~4割増しくらい。


なんで多いかといえば、繁華街の商業施設が閉まってるからだ。ディズニーランドが閉まってるからだ。

なにより「家にいなくてはならない」から、本を買いに来る。


いろんな産業が「やってない」からこそ恩恵を受けている。


次はどこかでこちらが社会に恩恵を返さないといけないんだろう。



・スマートフォンには朝日新聞の速報アプリが入ってて、「重大ニュース」だけ通知するようになっている。


夕方その朝日新聞アイコンが出てて、見たら「安倍首相、明日にも緊急事態宣言」と出ていた。

「生活インフラに必要な産業だけできる範囲で継続していただき、あとの事業は営業を自粛していただく」とのこと。


まただ。

また「自粛」。

休んでください。でも補償はしません。


強制力はない、でも細いロープが上から降ってきて絡め取られるような窮屈さで、じわじわと追い込んでくる。


書店が「生活インフラ」なのか「そうでない場所」なのか、今日はあきらかにされなかった。

明日以降明らかになるんだろう。


けど補償がされない以上、どっちにしたってわれわれの選択肢は一つしかない。


取次は「緊急事態宣言が出ても物流は止めない」という。


わたしたちは、わたしたちの方法で生きていかなければならない。


1人の怒った人の反感も、99人のもの言わず買ってく人の行動も踏まえつつ、

生きるか死ぬか、やめるかやめないかは、わたしたちが自分自身で決めなければいけない。



・堀潤は「わたしは分断を許さない」と言った。


しかし許すも許さないもなく、分断はそこかしこにある。


仕事を休める人。休めない人。


今の仕事が消滅しても生きていける人。生きていけない人。


病気になった人。健康な人。


本当は出かけたいけど、我慢して家にいる人。

まあ大丈夫だろう、と出かける人。


もちろんその中間でフワフワしてる人もたくさんいるので完全な「分断」ではないのだけど、すぐ近くに「自分とはまったく別個の人」がいる。


そしてうっかりするとその人を敵視してしまう。


俺は我慢してるのに。俺は休めないのに。俺は苦しいのに。


その敵視を抜けないと、地獄みたいになってしまう。


他者を他者として切り分けて生きていく。

それだけが私たちに足りていない。



・明日は今年の本屋大賞が発表される。


今年はいつものように授賞式は行わず、動画配信での発表。


明日の夜は安倍首相の発表が予定されている。

本屋大賞のニュースはどうしたって小さくなる。


でもそれでもいいのかもしれない。


報道があってもなくても、チヤホヤされてもされなくても、本屋は多くの人に読まれるために本を置く。


日常に、社会に、人間関係に疲れた人のがふと「これはどういう本だろう」と手に取るために。


たった一冊、気持ちが変わるために。

たった一冊、読んでる間いろんなことを忘れられるために。


開けられる店は、ただそれだけを考えればいいと思う。

(H)

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