« 1992年、18歳、ヤクルトスワローズ | Main | 「ザ・キングファーザー」田崎健太 »

February 14, 2020

細谷功「具体と抽象」

先日注文書を見てるときに面白そうだな、と思って取った細谷功の「具体と抽象」が非常に面白かった。 

 

人間の思考には


・具体的(=個別的、わかりやすい)なものの考え

・抽象的(=まとめた同じもの、わかりにくい)なものの考え


の2種類がある。


たとえば「魚」というのは抽象的思考からの区分けで、「アジ」「サバ」「マグロ」といった個々の名称は具体的思考。

さらにそこから「豊洲市場で仕入れた大間のマグロ」みたいにさらに具体化されたりする。

「魚」という『ふわっと全体をまとめた』表現があることで私たちはコミュニケーションができるわけで、「魚」という概念がなければ「アジとかサバとか鮭とか海や川で泳いでる生き物」みたいな説明を毎回しないといけなくなる。

たとえ話が上手い人はこの「具体」と「抽象」の間を行ったり来たりする“翻訳”ができる、ということらしい。


ペットを飼う人は飼っている動物に「ごはんよ」と声をかける。

この「ごはんよ」という表現は人間の抽象的思考そのもので、抽象的思考は人間特有のものなので仮に動物が人間の言葉を解してもおそらく意味が通じないだろう、と著者の細谷氏は言う。


ペットとして飼われてる動物にとって食物とは「食欲を満たすために食べる、戸棚やラックに置いてある、袋の中に入ってる茶色くて硬いもの」のことであって、

「人間が同じようなときに普段よく食べるのは米類であって、それを『ご飯』と呼び、転じて食物全体を総称して『ご飯』と呼ぶ」

という認識を持つことは非常に難しい、と言う。



私たちの周りには「わかりやすい」表現があふれている。

その方が伝わりやすいからだ。

他方、わかりにくい「抽象」の概念を取り入れることで他の事柄との共通性を得たり、普遍的な法則を見出したりする。


そしてここが大事なことだが、「抽象的思考」を持つ人が「具体的思考」に降りることはできるが、「具体的思考」に生きる人が「抽象的思考」を得ることは難しい。


社長の指示が「昨日はA」だったのに「今日になったらB」に変わった場合、社長の中では“会社利益になるための一番よい方法”という一貫した抽象的思考が働いているが現場で具体的思考しかないと「社長は昨日Aと言ってたのに今日はBと言った、思考がブレている」という受け止められ方になってしまう。


仕事だけでなく人間関係、ものの見方などいろんな部分に応用できる話が載っています。

脳の筋トレになる本です。


〇「具体と抽象  世界が変わって見える知性のしくみ」細谷功(dZERO)

Dsc_6924

« 1992年、18歳、ヤクルトスワローズ | Main | 「ザ・キングファーザー」田崎健太 »