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February 28, 2017

「罪の声」塩田武士

2月はいろんなことがありまして、ちょっとバタバタだったのですが読んだ本など書いていきます。

 

○「罪の声」塩田武士(講談社)

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グリコ・森永事件を題材に、「あったかもしれない」物語を書いたミステリー。

これは面白かったです。
よくできている。
よくここまで書けた。
おなかいっぱいな読後感がありました。

ストーリーは架空です。登場人物も架空。
でも題材になってるのは昭和最大の未解決事件。

あのグリコ・森永事件で脅迫音声に使われた子供の声。
あれが、もし幼き日の自分の声だとわかったら――。

講談社の本気具合は、わざわざYouTubeにこの「罪の声」の中に出てくる脅迫テープを再現したことからもわかります。

昭和49年生まれの自分にとって、グリコ・森永事件は小学生の時の事件でした。
「どくいりきけん たべたら死ぬで」
衝撃的なフレーズは当時子供の間で流行語になりました。
あの事件はなぜ、どういった人物によって引き起こされたのだろう。
いろいろな検証本が出ましたが(一橋文哉の本は面白かった)、結果的にはわかりませんでした。

今回取り上げる「罪の声」はフィクションです。
創作です。
しかし、どこかでこんなことが起きていたら。
もしかしたら事件に関わった者たちはその後このような人生を歩んだのではないか――。
この長い小説を使って示されるその説得力は圧倒的です。
実際の事件と、虚構の物語の壁が薄いんです。

そしてその中で示される、

「子供を犯罪に関わらせるな」

「事件は犯人が見つかったところが終着点ではなく、被害者にその後の未来が見えてこないと終わりではない」

という著者の強いメッセージが、読後胸に残ります。

同時に「犯罪事件は、人の一生をこんなにも翻弄してしまうのか…」という深い重さが、おなかにずっと異物感として残ってしまう。

ミステリーを通じて、人間とは何なのか、あらためて考える作品です。

 

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