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January 2017

January 10, 2017

成人式と年間ベストセラー

成人の日も終わってしまいましたが、2017年あけましておめでとうございます。
東京の成人の日って毎年天気悪い印象があるのですが気のせいでしょうか。

自分が成人式に出席したのは今から22年前のことで、19歳のときに若気の至りで作った藤色のスーツを着ていったのですが、特に周囲からはリアクションはなかった気がします。
「こっちが考えるほど周囲の人間は自分に関心など持たないのだな」ということを新成人として学びました。

その年の成人式にはゲストとして爆風スランプのみなさんがいらしてくださり、区長の挨拶や新成人の誓いのあとに「Runner」と「大きな玉ねぎの下で」を歌っていました。

ちなみに前の年のゲストはGAOだったそうです。
知っていますか?GAO。
中性的な方で、「サヨナラ」って歌を歌ってたんですけど。まあGAOのことはいいや。

式が終わると会場の外で出身中学別に友達の輪ができていて、しかし中学から私立に行ってしまった自分はこれといって加わる輪がなく、なんとなく顔見知りが多い小学校の同級生が多数いた近くの中学の輪の外側にいたのですが当然輪には入れず、そのままその場を立ち去って一人電車で帰りました。

駅で電車を待っていたらそこに同じ小学校の同級生で、とはいえそこまで仲が良かったわけでもない、まあ顔見知りくらいの武藤君という人がやってきて、声をかけるとなんとなくそのままの流れで二人並んで電車に乗りました。

武藤君は明るくて友達も多かったような印象があるのでこんな早い時間に帰るのは意外だなと思い、「みんなまだいたけどもう帰るの?」と聞くと、武藤君は「いや、まだいたかったけど、俺いま板前の仕事やってて。このあとも店に行かないといけないんだ」と言っていて、ああ、大人だ…!とショックを受けました。

それが自分にとっての成人式の思い出です。

二十歳って、バラバラですよね。いろんな二十歳がいて。
そのバラバラが一緒くたにされているのが、あの集まりだったと思います。

新成人のみなさん、おめでとうございます。
バラバラに生きてってください。

今年も伊野尾書店をよろしくお願いいたします。

 

 

うちの店は業務的に年末がいつまでもバタバタしていて、年始はわりと余裕があったりするので2016年の当店の年間ベストセラーを算出してみました。
販売実数も出してしまいましょう。
こんな感じです。

 

【総合】 2016/1/1~2016/12/31

1 天才 石原 慎太郎 幻冬舎      55冊
2 プロレスという生き方 三田 佐代子  中央公論新社  54冊        
3 ネットのバカ 中川淳一郎  新潮社   45冊
4 九十歳。何がめでたい 佐藤 愛子  小学館   42冊
5 羊と鋼の森        宮下 奈都  文藝春秋   40冊
5 嫌われる勇気 岸見一郎  ダイヤモンド社  40冊         
7 コンビニ人間 村田 沙耶香  文藝春秋  39冊
8 つくおき 週末まとめて作り置きレシピ nozomi  光文社 38冊
9 どんなに体がかたい人でもベターッと開脚できるようになるすごい方法 Eiko  サンマ-ク出版    37冊     
9 ハリー・ポッターと呪いの子 第一部、第二部 特別リハーサル版 J.K.ローリング  静山社  37冊     

三田さんと中川さんの本以外はわりと普通だと思います。
三田さんの本はイベント、中川さんの本は一括購入がありましたがこの2冊はそれ以外でも店頭でも根強く売れました。

 

データを見てて「これ、こんなに売れたんだ」って本はこれですかね。

○「正しい日本語の使い方」 吉田裕子 エイ出版社  22冊

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コミュニケーション実践本は常に一定売れるのですが、この本はムック扱いで596円(税込)と安いのでお求めやすかったのかもしれません。

あとは何回か紹介している

○「断片的なものの社会学」 岸政彦(朝日出版社)   18冊

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これは2015年5月発行の本なんで、2016年だけでこれだけ売れたのはすごいことだと思います。

 

そして文庫はこんな感じです。

 

【文庫】

1 小説 君の名は。 新海 誠 KADOKAWA  82冊
2 命売ります 三島 由起夫 筑摩書房  49冊
3 ぼくは明日、昨日のきみとデ-トする 七月隆文 宝島社  48冊
4 竹屋ノ渡 居眠り磐音江戸双紙(50)  佐伯 泰英 双葉社  44冊
5 旅立ノ朝 居眠り磐音江戸双紙(51) 佐伯 泰英 双葉社  41冊
6 何者  朝井リョウ   新潮社     37冊
6 お前なんかもう死んでいる 有吉弘行 双葉社 37冊
8 村上海賊の娘 (1)   和田 竜  新潮社 36冊
9 夢幻花  東野 圭吾  PHP研究所   35冊
10 手紙  東野 圭吾  文藝春秋  35冊

 
                 
「命売ります」はもちろん新刊じゃなくて初版1968年発行の、三島由紀夫が昔書いたエンタメ小説で、それを出版元の筑摩書房が「隠れた怪作小説発見」みたいな感じのプロモーションをずっとしていて、それが功を制して一年通じてのロングセラーになりました。
確かに「三島由紀夫、こんな小説書いてたんだ」という作品です。

http://www.chikumashobo.co.jp/special/inochi_urimasu/

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東野圭吾「手紙」は何年か前のベストセラーですが、春先に展開した「本を読んで泣きたい」というフェアで好評だったので継続して出してたところこれもロングセラーになりました。
累計で100冊を超えた有吉さんの「お前なんかもう死んでいる」もそうですが、文庫はロングセラーが強いです。

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☆年末年始に読んだ本

○「聖域 関東連合の金脈とVIPコネクション」柴田大輔(宝島社)

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「いびつな絆」「破戒の連鎖」に続く関東連合三部作。
今作から筆名を止めて本名にしたところに著者の覚悟のような気持ちが見えます。

ロバート・ホワイティングの『東京アンダーワールド』現代版というか、1990年代後半から2000年代にかけて東京の知らないところでこんなことが起きていたんだな…!とため息の出るような話です。
アウトローの世界で生きてきた著者が表のビジネスに転出しようとしてもがきながら徐々にその事業を大きくしていく様は圧巻でした。

そして暴力の支配する世界は揉め事が飯の種のような世界であり、率先して揉め事を起こそうとする人物が多くいて、そんなのに始終まとわりつかれる生活に著者がいい加減嫌気がさしてゆくのもそりゃそうだろうな、と思いました。
(もちろんその昔は著者自身が暴力を仕向ける方の立場にいたこともあったのではないかと推測しますが)

そんなトラブル続きの中でうまく切り抜けたり、屈辱的な結末を迎えたりしていく場面は迫力がありました。

著者の経歴的に「読む気になれない」という声もあると思いますが、「知らない世界を教えてくれる」ノンフィクションという本の特性を考えると、稀有な内容ではないかと思います。

 

○「1984年のUWF」柳澤健(文藝春秋) ※1月27日発売

http://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163905945

1月末に発売される柳澤健さんの「1984年のUWF」、単行本原稿を一足先に読ませてもらいました。
(「Number」で連載されていたので読んでいた方も多いと思います)

面白かった。そしてこれは論議を呼びそうだ、と思いました。

UWFを富士山に例えると、今まで前田日明が「富士山は静岡から見るものや」と言ってたのを柳澤さんは「いや、富士山は山梨から見るとこうですよ」と描いた、そんな感覚があります。
どちらも富士山を見てるんだけど、見る場所が違うので見える風景が微妙に違う。

おそらく「柳澤は何を書いてるんだ」という声が出てくるような気がします。
今まで捉えられていたUWFの見方とはちょっと違う。
けどそれもまた一つの「UWFの真実」なのではないかという気がします。

個人的には、よくオランダまで行ってクリス・ドールマンやジェラルド・ゴルドーの話聞いてきたな、と。

そして私自身はそんなにUWFに愛着がなかったのですが、最後に出てくる堀江ガンツさんが「自分にとってのUWFとは」に続く言葉はものすごく沁みました。

「プロレス」に興味がある、すべての人に読んでほしいです。
読めば、いつの時代にも既存の価値観とは別の価値観を作ろうとする若者たちの姿があることが伝わってくるのではないかと思います。

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☆「大人の科学」アウトレットセール

学研「大人の科学」アウトレットセールを始めました。

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箱に傷みがあるけど中身は新品同様のものを安く売ってます。
手を触れずに演奏できる電子楽器として有名になったテルミン(定価2500円→特価1200円)、ワイヤレス給電の実験ができる「電磁実験スピーカー」(2800円→1400円)など4種類。

2月下旬までの期間限定商品です。
お早目にどうぞ。

 

☆1月下旬にある企画を始めます。
 その名も「どうしても読んでもらいたい本」。
 詳細はまた追って発表します。
 「どうしても読んでもらいたい本」があります。

 

(H)

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