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June 25, 2016

正解も不正解もない選択の果て  ~紫原明子著「家族無計画」

○「家族無計画」紫原明子(朝日出版社)

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「誰か一人が選ばれるようなシチュエーションがあれば必ず自分が選ばれたい」

この本の著者である紫原明子さんは子供の頃にそう考え、そのためにはクラス委員長のような優等生的な生き方こそが「選ばれる」と考えていた。
しかしマンガや小説、ドラマなどで選ばれるのはそうではない。
おとなしかったり、不登校だったり、勉強ができなかったり、そういった優等生でない子にこそ、ある日突然サプライズが訪れる。
そして学級委員長的なタイプは暗くて面白味もなく、寂しい存在として描かれる。

たかがフィクション、されどフィクション。
10代の紫原さんは損ばかりの優等生な役割に生きずらさを感じていた。けどどうやって改めていいのかわからない。

そんなとき、高校生だった紫原さんはネットで知り合った一人の男性と出会う。
4歳年上の、しかしあきらかにそれよりも年上に見えた坊主頭のその男性と交際するようになり、そして18歳で結婚する。
19歳に出産。
しかしそこから、怒涛の日々が始まる。
怒涛の人生、と言い換えてもいいかもしれない。

妊娠中に旦那さんが「いつでも近くにいられるように」と務めていた会社をやめ、自分の会社を独立起業する。
いざとなったら私もパートすれば食べてくことぐらいできるだろう…と思っていた会社は、設立からあれよあれよと急成長。
気が付けば給料が一ケタ増えて、生活は大幅に変わっていく。
そして生活の変化は、人間関係にも変化をもたらす。

家に帰らなくなった旦那。
家の届くカードの請求書は、月に2000万円を超した。その大半はキャバクラで使ったお金だった…。

自分、人生、恋人、家族、子供、恋愛、仕事。

生き方には「正しい生き方」も「正しくない生き方」もなくて、自分で選んだ生き方しかない。
紫原さんはジェットコースターのような激しいアップダウンの、普通の人には体験できない半生を体験してきたことで見えてきた「生きざまの真理」を持っている。
この本にはそれが散りばめられている。

「けれどもこの、何がどうなるかわからないという当たり前のことを、私たちはあまり当たり前ととらえていない節がある。
それもそのはず、そんな順序立てて説明できないことは、学校で教わらないからだ。
偉大な功績の影には血のにじむような努力がある。
良い行いは褒められ、悪い行いは罰せられる。
入口から入ったものは出口から出てくるに決まってる、それ以外ありえないんですよ、と言わんばかりに、世の中の様々な現象を、短絡的な構図に変換して理解することを、私たちは幼いころから教え込まれる。
そのために決して少なくない人が、自分の身に降りかかるあらゆることを、自分の蒔いた種だと思いこむ。
そればかりか「あの人あんなだから旦那に愛想尽かされるのよ」「あの人あんなだから結婚できないんだよ」といったように、他人の事情までも同様の理論で理解しようとする。
それが結果として息苦しさを伴う、過剰に自己責任を問う社会を生んでいる」
(あとがきより)

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