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May 2016

May 19, 2016

「アカガミ」と「消滅世界」

たまたま「未来の恋愛・出産」をテーマにした小説を続けて読みました。

○「アカガミ」窪美澄 (河出書房新社)

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舞台は2030年の日本。
2000年以降に生まれた若年世代は性と他人に興味を抱かなくなり、自殺が横行し、街に若者がいない超少子化社会になっている。
政府はそこで若者のお見合い・結婚・出産をトータルパッケージした支援プログラム「アカガミ」を用意する。
アカガミに応募した男女は「教習所」で恋愛・セックス(プログラム上では“まぐわい”という単語で呼ばれる)・妊娠を学び、そのサポートをアカガミ関連施設の職員が行う。
出産が個人のものから国家が補助するものになった社会。

生きる意欲にも、他人との関わりにも気持ちが向かない25歳の女性、ミツキ。
そのミツキがあることをきっかけにアカガミに関心を持ち、応募する。
そのことはミツキにとってもミツキの周囲にとっても大きな変化を及ぼす。
そしてミツキは同じようにアカガミに応募した男性・サツキと出会うのだが…。

「アカガミ」はこれまで「家族と生と性」をテーマに小説を書くことが多かった窪美澄さんが近未来の「家族と生と性」をテーマにした、SF的な作品です。
この小説では若者の感じる生きづらさ(現代もあると思います)が一層強まり、生きることや他人と関わることに対して消極的であり、そこを懸念した国が国家プロジェクトで恋愛・結婚・出産を促すような世界が書かれます。

終わりがわりと衝撃的なのですが(どうなんですかあの終わり方は!)、そこに至るまでの過程では「人は他人とどう関わるか」が主軸で、きっと未来になって環境が変化してもコミュニケーションというのはずっとつきまとう問題なんだろうなと感じさせます。

まったく恋愛に興味ない人生を送ってきた主人公が初めてまぐわうまでのところがえろかったです。えろ恥ずかしいというか。 中学生のようにどきどきしました。

もう一作はこちら。

○「消滅世界」村田沙耶香 (河出書房新社)

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未来の日本。
出産は人工授精で行われるのが通常の世界。
セックスを介して妊娠することは蛮行とされ蔑まれている。
子供は第二次成長期の頃に「避妊手術」をされ、自然妊娠しなくなるシステムがとられている。
結婚制度は大きく変わり、夫婦は「協力して生活を共に送り、子供がいれば共に育てる関係」ではあるが恋愛は家の外でそれぞれするものになっている。
当然、同性婚も未婚の母も普通。
夫婦間でセックスしようとすることは「近親相姦」とされ、警察に訴えれば犯罪として扱われる。
二次元の人間(アニメの登場人物)と「交際」することはいまだ蔑む人もいるもののわりと当たり前になっている。
そして国が進めている実験都市(千葉県に置かれている)では男性も人口子宮をつけることで妊娠出産できるようになり、生まれた子供は「子供ちゃん」として共同体全体の子とされ、共同体の大人たちが全員「おかあさん(男性も出産するので)」となり、皆で育てている。

そんな世界で「愛し合うことは素晴らしいことなのよ。あなたもいつか好きな人ができたら愛し合うの。そして二人が愛し合えば子供ができるわ」と、その時代の中ではことさら古い考えを持った母から繰り返し刷り込まれて育てられた主人公・雨音。
雨音は恋をする。思春期、少女期、そして大人になっても。
ただ、その形は現代の我々が考えてる「恋愛」とは少し形が違う。
そして雨音は結婚して家庭を持つが…。

「消滅世界」ではセックスと家族がとことん切り離されたものになった世界が描かれます。
なにしろ夫婦間でしようとすると警察沙汰になる。
夫婦はともに「それぞれ外で恋愛」するものであり、当然不倫問題など存在しません。
子供は欲しくなったら人工授精で授かるもので、物語に出てくる実験都市では男性でも妊娠できます。

村田沙耶香さんはこれまでも「10人子供を産んだら1人合法的に殺すことができる世界」(殺人出産)とか、「自分の部屋のカーテンに『ニナオ』と名前をつけ、風で膨らまして抱きついて、お母さんにして欲しいことを想像する」(「タダイマトビラ」)とか、ヌイグルミを本物の恋人にしてしまったり(「授乳」)といった突飛な設定の小説をいろいろ書いていて、それまでどうしても「物語が設定に負けている」部分があったのですが、この「消滅世界」で初めて「物語が設定を超えた」ように感じました。

読んでるうちに頭のなかにある既成概念が少しずつ壊れていく感覚があって、クライマックスでピークになり、読んでて声が出ました。
村田沙耶香はなんでこんなもの書けるのでしょうか。

「正常も変化してるの。昔の正常を引きずることは、発狂なのよ」
という言葉が非常に印象的です。
時代時代で価値観は変わっていくもので、何がおかしくて何が普通かはあくまで「途中」の「誰か評価」に過ぎない。

頭のなかでがっちり根差した「当たり前」が崩れる快感を、ぜひ味わってほしいです。

 

といった小説2作を読んだ矢先に、こんな本が出ました。

○「日本人はもうセックスしなくなるのかもしれない」湯山玲子・二村ヒトシ共著(幻冬舎)

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「快楽上等!」「男をこじらせる前に」の湯山玲子さん、「すべてはモテるためである」「なぜあなたは『愛してくれない人』を好きになるのか」の二村ヒトシさんの対談集。

ちょろっと読みましたが…濃いです。

二村「僕は、どちらかというと、みんながセックスも含めた「恋愛」に絶望しかけているか、恋愛に伴う「面倒くささ」にお腹がいっぱいになってるんだと思います」

おお…。

当たり前の話ですが、今のような環境って人類史上過去になかったわけで、やっぱり何かの過渡期なんだろうな…と思います。
いや、世の中は常に過渡期なわけですが。

(H)

May 16, 2016

三田佐代子さんトークイベント「三田佐代子のここだけの話」終了しました

5/14(土)、店頭にて三田佐代子さん初の著書「プロレスという生き方」(中公新書ラクレ)発売記念トークイベント「三田佐代子のここだけの話」を開催しました。

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おかげさまで超満員札止め、40名の方々にご参加いただきました。
ありがとうございました。

こちらの4ページあたりから当日のイベントの様子がまとめられています。
断片的にですが、当日の様子がよく伝わってきます。

三田佐代子著『プロレスという生き方』感想まとめ
http://togetter.com/li/973572?page=4

こちらで考えていたよりも受付がスムースに進んだ結果、意外にあっさり準備が終わってしまって、ダークマッチ的に前説とかやってしまいましたが皆さまの温かい反応に支えられました。
ありがとうございました。

サイン会では一人一人と丁寧な言葉を交わし、記念写真まで応じる三田さんを横目で見ててすごいなーと思いました。

意外に片付けが手間取りましたが、こちらもプロレスのイベントをできたのは楽しかったです。
またこういう機会があればやりたいですね。

『プロレスという生き方』は2016年現在のプロレスがどういう人たちによって成り立っていて、どういう風に見られて、どういう役割を世の中に刻んでいるかをわかりやすくまとめた、まさに「新書」という感じの内容だと思います。

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私自身は大日本プロレスの登坂社長の「プロレスという生き方」に非常に感銘を受けました。人生はどこでどうなるかわからない。けど好きで選んで道を進むしかない。そんなことを思いました。

ぜひ読んでみてください。

May 08, 2016

5/14三田佐代子さんトークイベントの予約を受け付けいたします

【5/14三田佐代子さんトークイベントについて】

「当日行って入れるでしょうか」というお問合せが多いため、予約を受け付けます。

対応が後手に回り申し訳ありません。

○イベントご参加の予約を承ります。

・お名前
・メールアドレス
・電話番号

inooshoten@gmail.com (件名は「三田さんイベント予約」でお願いします)
または
電話 03-3361-6262

までお知らせください。

○予約いただいた方は確実に入れるよう手配をします。
 予約いただかなくても入れると思いますが、予約が多くなってきて当日入れないかもしれない、みたいになりそうな場合は事前に告知します。

○定員は40人を想定していますが、50人まではなんとか聞けるくらいの状態にしたいと思っています。
それ以上になった場合は心苦しいですがお断りするかもしれません。

○大変申し訳ありませんが、混んできた場合は立ち見になったり、わりとぎゅうぎゅう詰めになってしまう可能性があります。
 なるべく普通に聞けるよう努力しますが、多くの人が見られるようご協力いただけると幸いです。

当日は楽しいイベントにしたいと思ってます。

どうぞよろしくお願いいたします。

担当:伊野尾宏之

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