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December 2014

December 28, 2014

伊野尾アワード2014

今年も残すところあと数日となりました。
クリスマスも終わってしまいまして。もう年末も年末、ド年末ですよ。官公庁休み入ってますよ。

すっかり恒例となった(なってないと思う)伊野尾書店店長が今年いろいろ面白かったものを勝手に表彰する「伊野尾アワード2014」を今年も12月半ばに発表するつもりだったんですけど、ちょうどその頃家族がインフルエンザになってバタバタで、それが終わったら自分がインフルエンザになってしまいまして(人生2回目)、いろいろと落ち着き無く過ごしているうちにこんな時期になってしまいました。

一つ前の柳澤健さんトークショーはそんな時期に準備して告知してました。バタバタでした。
あ、トークショー自体は引き続きご予約受付中ですのでよろしくお願いいたします。

じゃあまあ、もう「○○が選んだベスト」も出尽くして、相当今さら感がありありですけど、せっかくだからいきましょうか。

今年、伊野尾が選んだ「もっともすばらしい本」はこの本です。

○ぼく『ぼくのおやつ ~おうちにあるもので作れるパンとお菓子56レシピ~』(ワニブックス)

Photo

http://www.wani.co.jp/event.php?id=4216

はい。
なんでこれが1位かっていうとですね。

この本を読んで私はあることに気がついてしまったのです。

「100冊の本の内容を知っているよりお菓子を一つでも作れた方が人に喜ばれる」という真理を。

この『ぼくのおやつ』って本は春頃に出た本なんですが、棚に並べる時に「ん?料理の本?コミックエッセイ?」とどっちに置く本なのかよくわからなかったので、中をパラパラ見たんですね。
見たら中はイラストでお菓子の作り方がマンガみたいに描いてあって。
そうするとスコーンとかガトーショコラとか、買うことはあっても“作るもの”とは1ミリも考えてなかったようなものが実はそこまで難しくなく作れるように書いてありまして。
「え、こんなんで作れるの?」
と思ったら、まあやってみたくなるわけです。
それで買って家でやってみたら…これが本当に素人でも作れるんですよ!しかもわかりやすい!

もちろん焦げたりとかフライパンにくっついたりとかそういう今後の努力要素はありますが、決められた分量に沿って作れば味はまあちゃんとしてる。
え?スコーンってこんな薄力粉とバターと砂糖と塩だけで作れたりするの?よくカフェで250円くらいで売ってるけど、自分で作ればこれ一つ10円か20円くらいしかしないんじゃ…というような飲食店の原価計算なんかにも思いを馳せたり、いろいろ自分にとってエポック・メイキングな本でした。

今年は秋に「料理レシピ本大賞」という、料理本版の本屋大賞みたいなのが創設されたので、ひそかにこの本入らないかなーと思ってたらお菓子部門で準大賞というのを受賞してました。惜しかったなあ。

秋には続編にあたる『もっと! ぼくのおやつ ~フライパンとレンジで作れるカンタンすぎる45レシピ~』 という本も出ました。
そんなこの本を「2014年伊野尾が選ぶ最高の本」として表彰したいと思います。

いや、常々思ってるんですが、よくこういう年末に発表するベストあるじゃないですか。なんとかベスト、何ベスみたいな。
まあだいたい小説ですよね。
小説の中でもミステリに限定した伝統的なアワードがいろいろありますね。
それ以外でも小説が中心で、あとノンフィクションみたいなものを選ぶのが多い気がするんですが、実用書とか児童書って選ばれないじゃないですか。

けど「これはいい本だった」と思えば別に実用書でも何でも入っててもいいと思うんですよ。
階級の無い無差別級チャンピオンで。
というわけで今年はこれにしました。

ちなみにさっき「伊野尾アワードって過去何の本にあげてたっけ?」と思って過去の受賞本を調べてたら、2年前の「伊野尾アワード」の実用書部門で今年「料理レシピ本大賞」を取った「常備菜」を取り上げてました。意外にやるなあ俺。
http://inoo.cocolog-nifty.com/news/2012/12/2012-87bd.html

☆文芸書部門

毎年この小説部門に関して思うのは「誰が読んでも面白い」という観点でなく「ピンポイントで自分の弱いところを突いてきた作品」を選ぶようになってしまうんですが、その観点で選ぶとこの本になります。

○「よるのふくらみ」窪美澄(新潮社)

Photo_2

窪美澄さんの本はいつも心の痛い部分、「他人とのやり取りの中で自分に生まれる、なかなか口に出して言えないような心の揺らぎ」を小説世界で再現することが本当に上手いんですけど、中でもこの小説はワサビのような作品で、読んでると「わー・・・」という感情がツーンとした痛みに変わっていく、そんな作品でした。

あんまりストーリーを説明したくないんですよね・・・というのもあんまりどういう話か知ってしまうと味が冷めるというか。
冷めても美味しいんですけど、暖かいほうが絶対に美味しいものってあるじゃないですか。
なんであまり言えないんですけど、「真夏の薄荷糖」の中のあのハッカパイプのくだりは本当に泣きました。
心に針を刺す小説です。
そして私はこういう小説が大好きです。

 

☆ビジネス書部門

○「これからの時代のリーダー論」山川博史(サンクチュアリ出版)

Photo_3

「リーダー」っていうと堅苦しいんですけど、ようは「~長」になっちゃった人の本ですね。店長とか部長とかフロア長とか何たらチーフとかキャプテンとかそういうのですね。

まあ自分がそういうのになっちゃってるんで、なんとなくそういう本に目がいってしまうのですけど、「なぜ部下はあなたに心を開かないのか?」とか「あなたが育った方法であなたの部下は育ちません」とか書いてあると、まあ気になってしまうわけで。

で、この中には組織の人間関係を温和に保つのに非常に役に立つことがいっぱい書いてあるんです。
たとえば「部下と込み入った話をするときはスタバに行け」理論というのが出てきます。
これは込み入った話…といっても、だいたいは仕事の愚痴か、人間関係の文句か、場合によってはスタッフ間の恋愛相談だったりすることもあるわけですが、そんなことが結構放置しておくと発酵して職場の空気を悪くしていく…ということがここを読んでおられる皆様の職場にもあったりするでしょう。
そんな部下との相談ごとはこの著者によれば「スタバ一択」。
理由として、

・ちょっといい飲み物や甘いものが食べられて
・会議室なんかより雰囲気がよく
・ちょっとした料理店にすると相手が来るのに気詰まりしたりするがスタバなら安心感がある

ということらしいです。おお…。

さらにこれの上級編として「組織間で敵対視している組み合わせがあったら当事者の二人を同時にスタバに呼んで二人に語らせる」というのもあり、これは難易度が高いと思うのですが、このような場合個別に話を聞くと「お互いがお互いを非難して、リー

ダーが『あっちはこう言っている』『こっちはこう言っている』という伝書鳩になりがち」ということになりやすいので、直接対峙させ

てコミュニケーションを取った方がよい、スタバなら攻撃的な気持ちになっても周りの視線があるのである程度の自制が効くはず

、という話も出てきます。おお…。
(それでダメならもうメンバーの入れ替えを検討するしかない、という風につながるのですが)

「仕事の悩みの9割は人間関係」とよく言われますが、これからはこういう社内・社外コミュニケーション論みたいな本が増えていくのかもしれません。
この本は1404円(税込)ですが、読み終わった後の気持ちとしては参加費8000円ぐらいのセミナーを受講したくらいの気になってました。
本当にいい本だと思います。

 

☆コミック部門

○「かくかくしかじか」東村アキコ(集英社、1~4巻まで発売中)

Photo_4

「ママはテンパリスト」「海月姫」などで知られる東村アキコの自叙伝マンガなのですが…これは本当に名作です!

これ↓を見ると私などが今さら言うまでもなく各界の著名人の方々が激賞しているわけですが、本当にこれはその評価に違わない作品だと思います。

東村アキコ『かくかくしかじか』の感想のまとめ
http://matome.naver.jp/odai/2139315422952011701

読む人の感情の揺さぶり方、笑わせたと思ったら泣かせる、の抑揚の付け方が本当に上手いんですが、それに増して上手いのがコマ割りの構成で。
今単行本で4巻まで出てるんですが、2巻~4巻はちゃんとその巻で一番泣けるコマが最後の最後に来るよう用意されてるんですよ…!
なのですごく読後感がよい作品です。

  
☆2014年本屋の顔だったで賞

矢作直樹  2014年発行書籍=10冊

東大医学部救急病院集中治療部長という肩書きを持った現役の大学病院の先生が
「まあ医療の世界にいると科学だけでは説明つかないこともあるよね」という話を書いた 「人は死なない」(2011年発行)がスマッシュヒットした矢作先生の新作「おかげさまで生きる」(6月刊)が大ヒット。

そうするとあれよあれよといううちに

「『いのち』が喜ぶ生き方」(青春出版社)
「悩まない」(ダイヤモンド社)
「ありのままで生きる」(保江邦夫氏との共著、マキノ出版)
「日本人のお役目」 (ワニブックス)

といった具合に著作を連発、すっかり人生論界の(そんな業界あるのかわかりませんが)ニュースターとなりました。
ポジショニングとしては「人生を語れる偉いお医者さん」ということで鎌田實の後継あたりなのかもしれませんが、矢作先生の場合、すぐ「霊が」「魂が」「摂理が」といったスピリットなことを言い出す傾向にあるためアンチやバッシングも出てきております。
これからそういうネガティブキャンペーンが働いた時、どんな反対運動が起きても「患者はもうガンと闘うなよ本当に」的な持論を延々と通し続ける近藤誠先生のような強靭な精神力が保てるのか、注目したいです。

そしてそんな「今年の顔」的活躍を続けてきた矢作先生に『待った』をかける男が現れました。
それが枡野俊明先生です。
ちなみに「ますの としあき」ではなく「ますの しゅんみょう」です。

僧侶でありながら庭を作る人として芸術活動にもいそしんでこられた枡野先生は
『禅、シンプル生活のすすめ』 三笠書房
『怒らない禅の思想』河出書房新社

といった禅の教えを通して日常のよしなしごとを乗り切る系の人生論がロングセラーとなり、そして昨年『心配事の9割は起こらない』(三笠書房)という「…結局1割は起きるんじゃないか」と世のペシミストをうっすら追い込むような本がベストセラーになると

そこからは出るわ出るわの新刊量産体制。

「不安の9割は消せる」(世界文化社)
「悪縁バッサリ!」(小学館)
「競争からちょっと離れると、人生はうまくいく」(三笠書房)
「幸せは、なるものではなく、感じるもの」(経済界)
「心に美しい庭をつくりなさい。」(講談社)

といった具合に次々と新刊を出しまくり、気がつくと

2014年発行書籍=14冊(共著含む)

とこんなにも新刊が並び、それは壮観でありました。

来年の人生論界はどんな方がブレイクするのでしょうか。目が離せません。

☆2014年のもっとも印象に残ったプロ野球チーム

・北海道日本ハムファイターズ

「NumberWeb」で今「2014年の野球界でもっとも印象に残った出来事は?」というアンケートをやってるんですけど、一番回答多いのが「大谷翔平(の活躍)」という答えなんですね。
http://number.bunshun.jp/articles/-/822402/feedbacks?per_page=10

で、私個人が一番印象に残ったのはパ・リーグのクライマックスシリーズにおける日本ハムの戦いぶりでした。

台風での試合中止を入れれば10日間連続でポストシーズン特有の緊張感ある試合を続けて、決して恵まれてるとはいえない戦力で日本一になったソフトバンクをあと一歩のところまで追い詰めたファイターズ。
中でも4点負けているところから終盤一気に追いつき、延長戦にもちこむと最後はこの1年間で救援を一度しか失敗していないソフトバンクのリリーフエース・サファテから中島卓也が決勝打を放った10月19日の試合などは神がかっていました。
稲葉さんが引退を表明してから、終盤代打で稲葉が登場すると相手チームのファンまでが「稲葉ジャンプ」をやっていたり、秋ぐらいからのファイターズは球場の磁場をいろいろ狂わせていた気がいたします。

オフに入った途端、キャプテンの大引と長年チームの中心選手として活躍した小谷野がさっさと出て行ってしまい、その代わりメジャーに行ってた田中賢介が戻ってくるなど2015年がどうなるのか波乱含みではありますが、注目してみたいと思います。

☆2014年プロレス最優秀試合

飯伏幸太&ケニー・オメガvs竹下幸之介&遠藤哲哉(DDT9/28後楽園大会)

ゴールデンラバーズという若くてカッコよくて素晴らしい試合をする二人が実はもう次の世代へとバトンを託す順番が来ていた、ということを提示した歴史の転換的な試合だったと思います。
「プロレス界で今年もっとも成長したで賞」みたいなのがあったら遠藤にあげたいです。

☆セールスランキング2014

一年間のセールスランキングです。

(一般)
1 妖怪ウォッチ2 元祖本家 オフィシャル攻略ガイド  小学館
2 女のいない男たち     村上春樹        文藝春秋 
3 嫌われる勇気                     ダイヤモンド社
4 妖怪ウォッチ オフィシャル攻略ガイド   小学館
5 長友佑都 体幹トレーニング20 DVD付 ベストセラーズ
6 銀翼のイカロス              ダイヤモンド社
7 村上海賊の娘 (上)  和田竜           新潮社 
8 まんがでわかる7つの習慣         宝島社 
9 叱られる力 聞く力2   阿川佐和子     文藝春秋
10『孤独のグルメ』巡礼ガイド        扶桑社 

(文庫)
1 永遠の0      百田尚樹           講談社 
2 Nのために    湊かなえ           双葉社  
3 マスカレード・イブ   東野圭吾        集英社  
4 ビブリア古書堂の事件手帖5   三上延   メディアワークス文庫
5 海賊とよばれた男(上)    百田尚樹      講談社 
6 海賊とよばれた男(下)    百田尚樹      講談社
7 マスカレード・ホテル   東野圭吾        集英社 
8 世界から猫が消えたなら   川村元気        小学館
9 白ゆき姫殺人事件     湊かなえ        集英社
10マザーズ      金原ひとみ           新潮社  

こうして見ると…妖怪ウォッチと百田先生が目立ちますね…。
雑誌「コロコロコミック」増刊扱いなんでここに入ってませんが、単品で一番売れたのは7月に出た「妖怪ウォッチともだちファンブック3」だと思います。まああれは売れた。世の中にこんなに子供がいたのか、と思いました。

来年はどうなりますかね。ねえジバニャン。
https://twitter.com/driyasfabrik/status/548418156818354176/photo/1

それではよいお年を。

(H)

December 26, 2014

年末年始の営業について

年末年始については下記の営業時間となります。

 

12/29(月) 10:00~22:00(通常営業)

12/30(火) 11:00~20:00

12/31(水) 11:00~18:00

1/1(木)~1/4(日) 休業

1/5(月) 10:00~22:00(通常営業)

 

 

どうぞよろしくお願いいたします。

                     伊野尾書店

December 20, 2014

柳澤健さんのトークショーを行います

「1964年のジャイアント馬場」「1976年のアントニオ猪木」などの著作があるノンフィクション作家の柳澤健さんのトークショーを行うことになりました。

日時:1月22日(木) 19:30~21:00
場所:新宿中井駅前ホール

東京都新宿区上落合2-22-11 加瀬ビル155 10階(旧パインフィールドビル)
都営大江戸線「中井」駅A1出口より徒歩1分
http://www.kaigi-room.com/build/c001975.php

参加費:1500円

当日のテーマは「プロレス村の外から見たプロレス」 を予定しています。
なぜ一介のライターである氏があれほどまでに核心に踏み込めた内容を書けたのか?
あの作品の発表によってどのような反響があったのか?
その他の話題として「出版メディアとプロレス」の関わり、また『1964年のジャイアント馬場』の取材にあたって印象に残ったこと、次回作の構想、「木村政彦」に対する思い、などを予定しています。

お申し込みはこちらからお願いします。
https://ssl.kokucheese.com/event/entry/247004/

このイベントに関してのお問い合わせは下記までご連絡ください。

伊野尾書店 伊野尾宏之
inooshoten@gmail.com

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