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August 2014

August 30, 2014

「中井文庫フェア」開催のおしらせ

9/1から、中井で働く方々、学校の先生、作家、漫画家、プロレスラー、ビジュアル系バンド、将棋棋士、バーテン、書店スタッフなどいろんな方々によっておすすめの文庫を選んだフェア「中井文庫」を伊野尾書店にて開催いたします。

    〈参加者一覧〉  ※順不同


    ・進藤さん(美容師/デュース)
    ・小島さん(鍼灸師/中井鍼灸院)
    ・MiMiさん(ボーカル/THE VELVET)
    ・多田孝志さん(目白大学教授)
    ・山田順之さん(バーテンダー/新宿三丁目「SMOKE」)
    ・田房永子さん(漫画家)
    ・窪美澄さん(作家)
    ・高野秀行さん(ノンフィクション作家)
    ・高木三四郎さん(プロレスラー/DDT)
    ・ササキさん(WEBディレクター/伊野尾書店のブックカバーをデザイン)
    ・西麻沙子さん(書籍編集者/新潮社)
    ・梶原治樹さん(出版社営業/扶桑社)
    ・古橋由美さん(栗田出版販売)
    ・豊川孝弘七段(将棋棋士)
    ・石橋毅史さん(フリーライター)
    ・小林はじめさん(高校生)
    ・伊野尾理枝(舞台女優/演劇実験室◎万有引力)
    +伊野尾書店スタッフ、店長 計6名
    一覧 ※順不同

さまざまな職業の方々がそれぞれどんな一冊を選んでいるか、ぜひ伊野尾書店までお確かめにいらしてください。

9/1~10/31まで開催の予定です。

#中井文庫

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August 14, 2014

残暑お見舞申し上げます

よくお店にいらっしゃるお客様で70代くらいの上品な女性のお客さまがいます。
いつもキレイな服をお召しになってて見た目も若々しい方で、レジで買い物するときも丁寧なお声がけをいただきます。
その方が定期的にお買いになられるのが、いわゆる「嫌韓本」です。
もちろん嫌韓本だけでなくいろんな本をお買いになられるのですが、頻度としては高いです。

ちょっと前からいわゆる「嫌韓本」「嫌中本」と呼ばれる、韓国や中国の外交や国民性を批判する内容の本がたびたびベストセラーになり、棚に置かれる種類も増えました。
それについて問題ではないか、と呼びかけられるのも目にします。
河出書房新社が「今、この国を考える−−『嫌』でもなく『呆』でもなく」というフェアを組んだこともありました。
http://mainichi.jp/journalism/listening/news/20140602org00m040004000c.html

そういう中で私のような本屋が考えるのは、「やりすぎないようにするからほどほど見逃してくれないかな」ということで。
たとえばフランス書院や二見書房で出してる官能小説の中には、レイプだったり痴漢だったり未成年へのひどい行いが作中の描写として書かれるものが多数あります。
もちろんフィクションですが、女性の中には存在を見るだけで嫌悪感が沸く、という方もいるんではないかと思います。
一方でそれを読むことでのみ楽しむという男性も多くいるわけで。
それを実社会で行動に移せば犯罪ですが、テキストを読むだけであったら娯楽ではないかと思います。
官能小説に限らず、暴力や殺人などが出てくる本もみんなそうですが。

ヘイトスピーチに象徴される、ごく一部の日本人が外国人に対して向けて悪意をぶつけるのは本当にイヤな話だし、恥ずかしく思うのですけど、「嫌韓本をすべて撤去する」みたいなのもまた違うような気がするんです。
現代史や国際問題に興味を持てばかならず近隣アジア諸国との外交関係についての本を読みたくなるだろうし、そこで「韓国を批判している本はすべて嫌韓本」として撤去するのも違和感があります。
そもそも「嫌韓本を買った人=嫌韓に同調している人」ではなく、単純に「どういうことが書いてあるんだろう」という気持ちで買う人が大勢いるだけで、そこに賛成したり同調するかは人によって違うわけで。

センセーショナルな殺人事件が起きるとどうしても犯人のバックボーンを追った取材が出て、その中で「こんな本を読んでいた」「こんなゲームを好んでいた」という報道が出るとどうしてもそういったアイテムが責められるわけで、もちろん影響がないわけないんですけど、それを排除するのも違うんじゃないかなあ、という気持ちがいつもあります。

そればっかりもイヤだけど、全排除もイヤ。
やりすぎないようにするから、ほどほど見逃してくれないかな。
嫌韓本も官能小説も殺人小説も、すべてそんな気持ちで置いています。

見逃す、で思い出しましたが、伊野尾書店は5年ほど前までアダルト雑誌のコーナーがありました。
今はもうアレですが、私が本屋になった頃、1999年とかそのあたりはまだまだエロの世界における雑誌のステータスが高かったので、「君…高校生だよね?」みたいな男の子がそういう雑誌をレジに持ってくるわけで。
そのときの私の判断基準は「私服姿だったら売る、制服姿だったら売らない」でした。
もちろん厳密には18歳未満に売ってはいけないのですが、現実問題、男子高校生なんかは死ぬほど見たいわけですよ。
それをあんまり突っぱねるのも…と思って、そんな基準にしてました。
ちなみに中学生以下は問答無用で取り上げてました。

大きな問題にしてしまうと、どうしても白か黒かの二項対立になってしまうのですが、ほどほどにどちらでもないグレーゾーンを残しておきたいな、といつも感じています。
私がプロレスを好きなのも、プロレスにはそういった部分が大きいからなのかもしれません。

 

☆セールスランキング(7/12~8/12)

最近まったく出してないことに気づきました。

〈単行本〉
1 銀翼のイカロス     池井戸潤         ダイヤモンド社
2 おかげさまで生きる    矢作 直樹         幻冬舎
3 叱られる力 聞く力2    阿川佐和子    文春新書
4 置かれた場所で咲きなさい  渡辺和子       幻冬舎  
5 『孤独のグルメ』巡礼ガイド        扶桑社 
6 すえずえ          畠中恵       新潮社 
7 かもめのジョナサン 完成版        新潮社  
8 アナと雪の女王 (ディズニーアニメ小説版)       偕成社 
9 知育ちがいさがし100 妖怪ウォッチ    小学館 
10ランチパスポート 新宿版         ウィルメディア  

〈文庫〉
1 マスカレード・ホテル   東野圭吾        集英社    
2 海賊とよばれた男(下)     百田尚樹      講談社   
2 弓張ノ月 居眠り磐音江戸双紙46  佐伯泰英   双葉社   
4 海賊とよばれた男(上)     百田尚樹      講談社
5 ソードアート・オンライン15     電撃文庫
6 神隠し 新・酔いどれ小藤次1   佐伯泰英   文藝春秋   
7 こころ      夏目漱石            新潮社   
8 ポニーテール    重松清           新潮社  
9 思い出のマーニー     ジョーン・G. ロビンソン       新潮社    
10天の梯 みをつくし料理帖   高田郁      角川春樹事務所

この「ランチパスポート」って何?って思った方もいるかもしれません。
って思ったらちゃんと説明してくれてるサイトがありましたのでそのまま貼ります。

1,000円以上のランチが500円で食べられるランチパスポートって何だ?
http://urx.nu/aYY0

期間が決まってる、ということでそこまでたくさんは仕入れなかったのですがおかげさまでよく売れております。

あとは相変わらず「妖怪ウォッチ」と「アナと雪の女王」に助けられております。

夏は毎年そうですが、今年は特に夏目漱石の「こころ」が売れてますね。
朝日新聞で今また連載している、というのが大きいのかもしれません。
700万部はすごいなあ。
http://www.asahi.com/articles/ASG70659SG70UCLV00W.html

☆名言がありすぎる

○「大人エレベーター」(扶桑社)

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あの、妻夫木聡がエレベーターのいろんな階で降りるとそこにその年齢の有名人がいてビール飲みながら「大人とは何か」を聞く、あのCMの続きが本になりました。
登場するのは、

中村勘三郎&Char(54階=54歳)
リリー・フランキー(46階)
仲代達矢(77階)
スガシカオ(44階)
白鵬(25階)
佐野元春(55階)
高田純次&岸部一徳(64階)
斉藤和義(45階)
竹中直人(56階)
古田新太(46階)
奥田民生(47階)
中村俊輔(35階)

おお…っていうこの人選!
いや、これが本当にすばらしくて、正直テレビCMの本ってことで軽く扱われそうなんですがあまりにも名言が多発してまして、本当にいろんな人に読んでもらいたい本です。
ではさしあたって、リリー・フランキーさんのところのダイジェストだけ一部抜粋。

リリー「『大人』ってのは、子供の想像の産物じゃないかな。自分が年取ったらこうなるだろうなってのが子供がイメージする大人の姿だったわけでしょ。でも俺、自分が子どもの頃に思い描いていた『大人』に大人になってから会ったことないから。(略)だって、もっとちゃんとしてるはずだったもん、俺が想像してた『大人』は」

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妻夫木「なかにはマゾっていうんですか、女の人に振り回されたがるような人もいるんでしょうけど、僕、絶対振り回されたくないんですよね」
リリー「振り回されたくないよね。マゾのMはメモリーのMだからね。思い出を人に作ってもらってる人でしょ。で、サドのSはサービスのS。Sの人がサービスしてあげて、Mの人に思い出作ってあげてる」

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リリー「俺らの生活ってわりとあいまいなことに囲まれてるんだよね。恋愛とかさ。結論がなかなか見えないからこそ、そういうものに夢中になってるわけだけど。その分、スポーツ観戦とか、結果が出るものに熱中するというのはあると思うよ」

 

☆だいたい自分が言いたいことを言ってくれてる本

○「教養としてのプロレス」プチ鹿島(双葉新書)

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“文系お笑い芸人”の異名を取るプチ鹿島さんの本。
プロレスを題材に、世の中で生きてく上でこういうプロレス的な視点を持つといろいろとラクですよ、みたいなことを書いてます。
個人的に私は飲み会にいくとついこういうことを語ってしまうのですが、それが本になるとは驚きました。
「アニマル浜口に見るコンビ芸人からピン芸人への転身的生き方」が非常によかったです。
「木嶋佳苗はまだ見ぬ強豪プロレスラーだった」とか。

新書売り場とプロレス本コーナー両方に置いてますが、だいたいプロレス本コーナーから売れてます。

  
☆店長のオールタイムマスト本

○「映画篇」金城一紀(新潮文庫)

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以前集英社文庫から出てたのですが、このたび新潮文庫から新しく出ました。
『太陽がいっぱい』『ローマの休日』といった名作映画をモチーフにして、主人公がいろんな人と出会って恋をし、傷つき、心通わせる青春小説です。
人生にはいくつか「生きていてよかった」と思う瞬間があって、そういう瞬間を味わうために人生は続くんだ、という話が『宮本から君へ』と『寅さん』に出てくるのですが、この本は「そういう瞬間」を読んで味わえる、稀有な小説だと思います。
まだ読んでなければぜひに読んで欲しい一作です。

(H)

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