« May 2014 | Main | July 2014 »

June 2014

June 09, 2014

気がつけばロッテリアで何か食べている

「死ぬ前に最後に食べるご飯は何がいい?」という質問が定期的に話題になる。

テレビ番組で有名人にそれを聞くのがシリーズになって放送されていたこともあった。

今だったら「白いご飯かなあ」とか答える気がするが、タイムマシンに乗って小学校5年生の自分に会いにいって同じことを聞いたら、ボンクラ坊主だった俺は迷わずこう答えるだろう。

 

「ロッテリアのエビバーガー!」

 

それぐらい、当時の俺はロッテリアを愛していた。

いや、正確に言えば愛すも何も、母親の料理と学校の給食以外の食事はロッテリアぐらいしか知らなかった。

 

1990年代からマクドナルドが低価格化路線を進めたため(最近また高級化の兆しがあるが)、ハンバーガーチェーンといえばすっかり「お金を使いたくない人が行く店」というようになってしまったが、1980年代のロッテリアやマクドナルドは「休みの日にたまに両親が連れてってくれる高級外食の店」という認識だった。

というより、子どもにとって外食自体のハードルが今よりずっと上で、「デパートの上の階にあるレストランで食事」なんていったら結構なイベントであり、それ以外に外食というと、車で遠出したときにサービスエリアの食堂で食べるとか、それぐらいしかなかった。

 

中井に住んでいた自分の場合、休みの日に親が連れて行ってくれる繁華街といえば高田馬場か新宿であり、その二つの街にはどういうわけか駅前にロッテリアがあった。

マクドナルドもあったはずだが、あまり連れて行ってもらった記憶がない。

どこかで買い物をしたとか、何かしたあとに父親が「じゃあロッテリア行くか」と口にするのが何より幸せな瞬間だった。

自動ドアが開くと光り輝く店内、奥のレジカウンター上にはハンバーガーやフライドポテトの写真が輝いている。

カウンターに行けば、向こうからお姉さんがメニューを差し出してくれる。

注文するのはだいたいエビバーガー。フライドポテト。それにコーラ。

チーズバーガーやリブサンドといったメニューに流れるときもあったが、そのへんを頼んで食べてるとあとでだいたい「…やっぱエビバーガーにしておけばよかった」と思うことが多かった。

焦げ茶色のトレイに乗った3つの食べ物を席まで運び、ハンバーガーの薄紙をはがし、最初のひとくちを口にほおばる瞬間こそが、「至福」と呼べる時間だった。

 

その後、小学六年生になると高田馬場にあった中学受験の進学塾に通うようになり、日曜日に学力テストが終わったあとに同じ塾の同級生たちとマクドナルドに行ったりするようになった。

だんだん父親とロッテリアに行くことはなくなり、子供だけでそういう店に行くようになると、不思議とそれまであった高揚感が薄れていってしまった。

たぶん、その頃から外食が「特別なもの」でなくなっていったんだろう。

 

 

ロッテリアはロッテグループが1972年に開業した。

当時はロッテのアイスを食べてもらうためのアイスクリーム屋として企画されたものだったそうだ。

80年代にはマクドナルドに次ぐハンバーガーチェーン第二位といった印象を残していたが、90年代に入ってすっかりマクドナルドに水をあけられ、一時期はずいぶん減ってしまったが何年か前に『絶品チーズバーガー』を売り出したあたりからまたポツポツ存在感を放っており、何気なく寄ったショッピングセンターや、ちょっとした繁華街にあったりする。

 

あまり知られていないがロッテグループ系列ということで千葉ロッテマリーンズのホーム球場であるQVCマリンフィールド内にも出店している。

ちなみにロッテのファンクラブに入会するとロッテリアの試食券がついてくる。

今年からはなぜかクリスピー・クリーム・ドーナツの試食券ももらえるようになったが、関連性はわからない。

 

 

日曜日に繁華街に行くと、マクドナルドはどこでも混んでいる。

一方、ロッテリアは混んでることもあるがどこかしら座る席が空いてて、どことなく「他がいっぱいだから」という感じで入っているお客さんが多いように見える。

ロッテリアは今も昔も「どうしてもロッテリアに行きたい」という人より「疲れたからどこかで休みたいけどロッテリアでいいか」という人が一番多いように思える。

 

かつて小学生だった自分も今は父親になり、子供を連れ回す身になった。

休みの日、散歩だったり買い物だったりで息子の手を引きながら用事をすませてるうちに「お腹がすいたな」「ちょっと何か飲みたいな」となると、意外に選択肢に悩んでしまう。

居酒屋もスタバもおしゃれカフェも、子どもと一緒だと何だかんだ高くついてしまう。

安くすませられるところはないか。空いててすぐ座れるところはないか。

そんな時、街中で赤い「L」のハンバーガーショップの看板を見ると「ここだ!」というより、「…ま、ここでいっか」という低いテンションでスルスルと入ってしまう。

そうして親子二代、自分の父親を入れれば親子三代でエビバーガーを食べている。

食べながらなんか昔より美味くなったなあと思う。

子供はもしゃもしゃと食べている。

こないだまで自分がこっちの側だった気がするんだけど、とちょっと不思議な気持ちになる。

5歳の子どもに「なあ、死ぬ前に最後に食べるご飯は何がいい?」と聞いたところ、「うーん、アイス」と答えられた。

こいつ死ぬって意味わかるのかな。

で、ロッテリアにアイスってあったっけ…とカウンターの上のメニューを見る。

Photo_2

 
※この文章は村瀬秀信「気がつけばチェーン店ばかりでメシを食べている」(交通新聞社)に出てくるような話を自分に置き換えて書きました。

「気がつけばチェーン店ばかりでメシを食べている」は日高屋とくるまやラーメンの話が特に好きです。くるまやラーメン行きたい。

http://shop.kotsu.co.jp/shopdetail/000000001363/005/X/page1/order/

Photo

« May 2014 | Main | July 2014 »