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December 2013

December 30, 2013

年末年始の営業について

年末年始の営業は下記のとおりとなります。

12/31(火) 11:00~18:00
1/1(水)~1/3(金) 休業
1/4(土) 11:00~20:00

新刊は1/4(土)から入ってきます。

よろしくお願いします。

伊野尾書店

December 16, 2013

伊野尾アワード2013

今年も残すところあと半月ばかりとなりました。
いろいろ締めるシーズンですね。
というわけで、恒例の、いやそもそも恒例行事として認識されてるのかまったくわかりませんが、『第三回 伊野尾書店店長が選ぶ伊野尾アワード』を発表する季節がやってまいりました。

「2013年伊野尾が選ぶ最高の本」はこの本にしたいと思います。

 

○「I【アイ】」いがらしみきお(全3巻) 小学館ビッグコミック

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「なんだよ!マンガかよ!」
「あれ?確か去年も…」
「あれ、確か前は『羊の木』を推して…」
「そもそも今年出たのって3巻だけ…」

まあまあまあ。突っ込みたい点はいろいろありましょう。あるでしょうそりゃ。

でもこれなんですよ。
今年はこれしかないです。

私の中で本を評価する基準は、

「それまで自分の中にあった価値観が揺らぐ」
「読み終わったあと次の日になってもまだその本のことを考えてるくらいのショックを与える」

であって、そこは小説でもノンフィクションでもマンガでもビジネス書でも変わらないんですね。

その観点で考えた場合、今年を代表する作品はこれなんです。
完結巻の3巻を読んだあと、私は抜け殻のようになりました。
まさしく魂を抜かれたような状態になりました。
そして、「いがらしみきおはなんでこんなものが書けるのだろう」とそればかり考えました。

人間はなぜ生まれ、なぜ生きて、なぜ死ぬのか。
文明が発達した現代はいろんなことが解明され昔の人々が抱えたであろう不安や恐怖はずいぶんなくなったはずだけど、昔の人々が考えもしなかった別の不安を抱えてたりするし、そもそも「なぜ生まれ、なぜ死ぬのか」という疑問については解消できていない。

いがらしみきおはそこに手を突っ込みました。そしておそろしい回答を出してきた。
この本を読むと、あなたの中にあった「世界はそういうもの」という自分の価値観がグラッと揺れるはずです。

「I【アイ】」、読んでみてください。
読めば必ず「…すげえ」というため息が出る作品です。

(参照)IKKI特設ページ -いがらしみきお 【I】
http://www.ikki-para.com/i/

 

 

☆文芸書部門

○「しろいろの街の、その骨の体温の」村田沙耶香(朝日新聞出版)

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この本は昨年9月刊行なので本当は去年のレビューに載せるべきなんでしょうが、読んだのが今年だったので今年の表彰にさせてください。

上に書いた「読み終わったあとも心に残る」という意味では「I【アイ】」と双璧でした。
女子中学生たちの教室内階層という、「目に見えないものを見えるように書く」という意味でも「I【アイ】」と共通項はあるかもしれません。
というか私がそういう「世界の末端を覗き見る」みたいなものが好きなのかもしれません。

男は「自分」「相手」「誰か」という個人の序列を気にする生き物で、女の人は「グループ」「共同体」という集団の空気をまず気にする生き物なのかな、とこれを読んで思いました。

(参考レビュー)店長が最近読んで衝撃だった本を不定期に紹介するシリーズその1
http://inoo.cocolog-nifty.com/news/2013/08/post-e27d.html

 

 

  
☆ノンフィクション部門

○「アグルーカの行方 129人全員死亡、フランクリン隊が見た北極」角幡唯介(集英社)

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この本も刊行は去年の9月なのですがやっぱり今年読んだ本なのでここで紹介させてください。

通信機器の発達と、Googleアースなどのインターネット地理情報が発達したことで、「探検」の持つ意味合いがかつてと変わりつつあります。
しかし、地球上には人類未踏の地がいまだ存在し、謎の残ったままの場所や歴史も数多く存在します。

角幡唯介さんは19世紀にイギリスのジョン・フランクリン率いる北極探検隊が遭難し129人の隊員を全員死亡させるとともにフランクリン自身は何人かの隊員と北極からカナダ北部の不毛地帯へと行方を消したという足跡をそのままたどる冒険に出ます。
氷点下50度の過酷な世界、19世紀の探検家の残した謎、そして現代における「探検」の意味。

この本もまた「人間は何を求めて生きるのか」ということを解き明かした一冊でした。

(参照)
http://inoo.cocolog-nifty.com/news/2013/10/post-833b.html

 

 

  
☆2013年のマン・オブ・ザ・健康書  藤田紘一郎

もともと「笑うカイチュウ」という寄生虫エッセイが売れて、「空飛ぶ寄生虫」「寄生虫博士のおさらい生物学」 といった寄生虫本の第一人者だった藤田先生。
それが昨年冬ぐらいから「50歳からは炭水化物をやめなさい」(大和書房)という健康本が売れ、さらに続けて出した「脳はバカ、腸はかしこい」(三五館) もスマッシュヒットとなるとここからは腸を語るスペシャリスト、“腸人”となり一気に新刊を出しまくります。

「考える腸ダマされる脳」(日本文芸社)
「乳酸菌生活は医者いらず」(三五館)
「一生太らない体をつくる腸健康法」(大和書房)

あたりまではまだ健康書業界のセンターロードを突っ走っていたものの、「絶好腸!!」(清流出版)とか、果ては「できる男はウンコがデカい」(宝島社)あたりにまでなると大仁田厚的な“周りに何を言われようが言ったもんが勝ちでしょうが商法”にも思えてくるわけですが、そんなこんなで2012年12月から今月までの1年間のあいだに出した本は16冊(共著含む)というハイペースぶりで、それはそれは見事なものでした。

最新刊は「人の命は腸が9割」(ワニブックス)。
人の生命力は9割が腸で作られているそうです。
すごいですね。
人には人の乳酸菌。

そんな藤田先生は研究の一環として、自らの腸内で15年間6代にわたり条虫(サナダムシ)と共生していたことがあるそうです。
マジハンパないですね。
コレラ菌を自分で飲んだ医学者の話が「世にも奇妙な人体実験の歴史」(文藝春秋)に載っていましたが、日本のサイエンティストもまったくヒケをとらないことがここに証明されました。

個人的には昨年MVPの南雲先生に高須クリニックの高須院長が敵対的著書をぶつけたように、ひたすら腸内細菌を増やすことが健康のすべてだ、なんだったらちょっとぐらい落ちてる食べ物を拾って食べたっていい、と大胆な主張を続ける藤田先生にも戦う相手が現れて欲しいところです。
「その神経じゃ調子わるくもなりますよ」(青春出版社)という妙にカウンセラー的なタイトルが印象的な小林弘幸先生かもともと癌は切るなとか抗がん治療はやめようといった癌対策論の第一人者だったのが「医者に殺されない47の心得」(アスコム)で一気に大ベストセラーになってからは抗がん治療どころか医者全体を敵に回しかねない発言でふたたび脚光を浴びている近藤誠先生といった大物の参戦を期待したいところです。
来年も健康書業界の動向から目が離せません。

 

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☆2013年の隠れた良書部門

○立ち食いそば図鑑[東京編] (マイウェイ出版)

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書店には毎日たくさんの新刊が入ってくるわけですが、ときどき「何これ?」と素になってしまう本が入ってきたりするわけです。
これもそんな一冊でした。
「立ち食いそば図鑑」。
え?立ち食いそばってそもそもそんなガイドブック作るほど店いろいろあったっけ?
「富士そば」と「小諸そば」「梅もと」「ゆで太郎」、あとJRの駅によく入ってるけど…とか思ってたら。

とんでもなかった。
いや、私が知らないだけで、非チェーン店の独立系立ち食いそばの名店が東京にはたくさんあったわけですよ。
そしてその豊穣な世界。
びっくりしました。
ラーメンに負けず劣らず、いやもしかするとラーメン以上に深い世界。
「えーでも『富士そば』とそんな変わんないでしょ?」とか疑心暗鬼に思ってる方は手始めに水道橋の「とんがらし」という立ち食いそば屋に行ってみてください。
びっくりすると思います。
僕はビックリしました。
そしてビックリしたら詫びはいらないのでこの本を買ってください。

それにしてもウィキペディアの「立ち食いそば」の項目は面白いな。
同じ「立ち食いそば」でも全国各地でこんなにいろんな違いがあるとは。

http://ja.wikipedia.org/wiki/立ち食いそば・うどん店?

 

 

☆2013年の小さな衝撃部門

「絵本 『うどんのうーやん』 がシュールすぎてヤバイwww」
http://blog.livedoor.jp/nagomunews/archives/34824500.html

下世話なものが大好きなのでよく2ちゃんねるまとめサイトを見てるのですが、秋頃にこの「絵本 『うどんのうーやん』 がシュールすぎてヤバイwww」というスレッドが立っているのを見て、「へー絵本が取り上げられるとは珍しい」とどこか他人事のように思っていました。

が、当のスレッドを開いてみると、「え…これって…」となりました。
というのは絵本の多くのページがそのまま転載されていたからで。
えーいいのかこれ…と思うと同時に、一読者として読むと「うーやん」の奇抜な設定かつコミカルなストーリーに普通に笑ってしまい、ちょっと買いたくなってしまったぐらいです。

気になってアマゾンのセールスランキングを見たら、なんと「うどんのうーやん」は6位だか7位に入っていました。
うわこんなに反響あるんだ、と驚きました。

その数日後には発行元のブロンズ新社から「ネットで大ブレイク!」というようなキャッチとともに注文書が送られてきたので注文して置いてみると、大きな数ではありませんが確かに少し売れました。
もちろん買ったお客さんがネットで見て知っていたのか、たまたま店頭で見ておもしろいと思って買ったかはわかりませんが、とにかく売れたのです。

で、こうなると今後絵本に限らず、「内容を写真つきで面白おかしく2ちゃんねるやツイッターに流す」というプロモーションが製作者側からも出てくるのかな、と。
今までは「ネットで話題のストーリーを本にする(「電車男」とか「風俗行ったら人生変わった」とか)」というムーブメントがあったのですが、今後「出ている本のストーリーをネットで紹介する」というような。

もちろん全部が上手くいくとは思えませんが、引用と転載の基準が少し変わっていくかもなーと思う出来事でした。

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【年間ベストセラー】2012.12.15~2013.12.14

(一般)
1 「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」村上春樹 (文藝春秋)
2 「人間にとって成熟とは何か」曽野綾子 (幻冬舎)
3 「海賊とよばれた男(上)」百田尚樹 (講談社)
4 「聞く力 心をひらく35のヒント」 阿川佐和子  (文藝春秋)
5 「昭和の東京   1 新宿区」  (デコ)
6 「海賊とよばれた男(下)」百田尚樹 (講談社)
7 「ロスジェネの逆襲」 池井戸潤 (ダイヤモンド社)
8 「医者に殺されない47の心得 医療と薬を遠ざけて、元気に、長生きする方法」近藤誠 (アスコム)
9 「エッセで人気のおいしくて太らないおかず」  (扶桑社)
10「日本人が知らない幸福」武永賢 (新潮社)  

(文庫)
1 「永遠の0」百田尚樹  (講談社)
2 「オレたち花のバブル組」池井戸潤  (文藝春秋)
3 「オレたちバブル入行組」池井戸潤  (文藝春秋)
4 「ダイナー」平山夢明  (ポプラ社)
5 「モンスター」百田尚樹 (幻冬舎)
6 「ビブリア古書堂の事件手帖(4)」三上延   (メディアワークス文庫) 
7 「夜行観覧車」湊かなえ  (双葉社)
8 「木槿の賦 居眠り磐音江戸双紙(42)」佐伯泰英 (双葉社)
9 「ようこそ、わが家へ」池井戸潤  (小学館)
10「丕緒の鳥 十二国記」小野不由美 (新潮社)

「お前なんかもう死んでいる プロ一発屋に学ぶ『生き残りの法則50』 有吉弘行 (双葉文庫)は17位でした。

 

☆2013年最優秀試合  棚橋弘至vsオカダ・カズチカ(4月7日、両国国技館)

https://www.youtube.com/watch?v=F9Ib0vCuoKM

いろいろ迷いましたがこの試合にしました。
あえて次点を作るなら2月28日新木場ファーストリングにおける「ケニー・オメガvs中澤マイケル」戦を。

 

☆雑感

今年はちょぼちょぼとテレビに出させてもらった年でした。ありがたいことです。来年もなんかしらありがたい年だといいな。

あ、来年1月5日発売予定の雑誌「ソトコト」が本屋特集で、伊野尾書店も取り上げてもらえるそうです。
ありがたいことです。

来年はもうちょっといろいろ努力したいと思います。自分なりに。

(H)

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