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September 2012

September 18, 2012

和泉市議会に大阪臨海アッパー

先週はセニョール・ペルフェクトことスペル・デルフィンが大阪和泉市議会議員選挙に当選し、“レスリング・マスター”ディック東郷が地球の裏側ボリビアで引退するという90年代にみちのくプロレスを見ていた人間からするとなんとも時の流れを感じさせる一週間だったのですがたぶん世の中的には上戸彩とエグザイルのヒロさんとの結婚の方が大きなニュースだったんだろうと思います。

しかしデルフィンは2年前に唯一の本を出していますがその中で

「選挙?よく言われるけど興味ない。まあ、めんそ~れ親父(※沖縄プロレス所属のレスラー)が出たら考えるわ」

と答えており、やはり2年間の持つ時の流れに思いを馳せる次第であります。
まあ、そもそもデルフィンが手掛けてきた沖縄プロレス自体が今年の8月で実質的に活動休止になり、それもあって選挙に出たのだろうし、2年前に出たこの本の深みをしみじみと噛みしめるわけであります。

○「めんそ~れ!観光プロレス、はじめました。 新しく生み出す経営力」(アスカ文化出版)

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そしてデルフィンと東郷とリングから遠ざかる一方で二人とは切っても切り離せぬ関係のザ・グレート・サスケはあの“ああ言えば”上祐と戦うという(リングの中ではなくトークバトルですが)、時代はいろいろ動いているなあと思わざるをえない2012年であります。
http://www.joyus.jp/hikarinowa/news/03/10881011.html

そろそろ90年代を総括する時期なんだろうなあ。
「踊る大捜査線」も終わるしね。
B'zと吉田美和は相変わらず元気だけど。

http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/120910/waf12091000360002-n1.htm

 

★人間はどこまで人間なのか

文春の「世にも奇妙な人体実験の歴史」という人間のおかしさを存分に描いたノンフィクションに触発されて「人間の限界って何だろう・限界ギリギリフェア」を始めました。

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このフェアは実用書担当のKが企画しています。
5月の「トラウマフェア」もKプロデュースです。
先の「かわいい文庫フェア」はとてもよく売れた企画だったのですが、あれは女性誌担当のS子がやりました。
面白いフェアはだいたい店長以外の優秀なスタッフによるものです。

そのうちKがなんか書いてくれると思います。

 

★この夏に読んだ中で一番印象に残った本

○「ペコロスの母に会いに行く」岡野雄一(西日本新聞社)

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62歳の漫画家が描く、89歳の認知症の母との可笑しくも切ない日々。
基本マンガ作品ですが文章も少し入っています。

酒癖の悪かった夫に悩まされながら、二人の子供を育てた母。
その夫が亡くなってから始まった母の認知症。
誰でも若い頃があって、いろいろな出来事を経験して、そして少しずつ老いていく。
「歳月は誰の上にも平等に吹き過ぎる」
と著者は言いますが、これほど過ぎゆく時間の経過をせつなく描いた作品はそうそうないと思います。
何回注意しても息子のクルマが帰ってくるのを駐車場で何時間も待っている話が胸を打ちました。
長崎弁がまた沁みます。
来年には映画化が決定しているそうです。
http://www.cinematoday.jp/page/N0045374

 

★領土問題の本

尖閣をめぐるいざこざが結構大変なことになってきて、当初この手の本もそこまで出てなかったのですが先週ぐらいから急に動き始めました。

で、これが一番売れているのでざっと読んでみましたが、とてもわかりやすかったです。

○「日本の国境問題 尖閣・竹島・北方領土」孫崎享(ちくま新書)

Photo

領土問題を解決するにあたって、

1)歴史に学び=過去人類はどのように解決してきたのか
2)お互いの主張を理解する
3)その上で紛争の解決に利益を見出す決着点を探る

けど、もっとも厄介なのが合理的利害以上に「国民感情」という話に根の深さを見ました。

「つきつめれば、戦争はほぼすべて領土問題に端を発する」という一文に、現状をかんがみてゾッとしました。
この本にも出てきますが、まず手を出さないでほしい。
あるいは手を出すような状況に追い込まないでほしい。
たぶん今、日中両国の外交事務官が必死に調整を図っているのだと思いますが、なんとか無事に収まることを願っております。

 

★久しぶりに

横山秀夫の新作が出るようです。

○「64」横山秀夫(文藝春秋)

10月下旬発売予定。

(H)

September 10, 2012

元司法浪人無職童貞職歴無しのブログが凄まじい

ツイッターを見てるといろんな瑣末な情報がチラホラ出回ってくるわけですが、その一環で
「元司法浪人無職童貞職歴無しのブログが凄まじい」
http://michaelsan.livedoor.biz/archives/51740052.html
というのがあって、ちょっと読んでみたらこれが本当に凄まじくて、思わずブログの端から端まで1時間半くらいかけて全部読んでしまいました。

昭和42年生まれ元司法浪人無職童貞職歴無しの赤裸々ブログ
http://ameblo.jp/anokoronimodoritai/

簡単に説明すると

「大学を4浪、その後司法試験の勉強を20年した末に受からず諦めることにした男性の日記」

なわけですが、43歳の段階で今まで仕事らしい仕事をした経験もない、仕事していないので収入もない、ずっと勉強だけで過ごしてきたので女性との交際経験もまったくない、友達もいない、居酒屋に行ったこともない、という暗澹たる有様で。

とにかくすごいというか、引っかかるポイントがいっぱいあるわけですが、中でもこの「エグザイル大学生との話」が一番深みのある話だと思うんで、この辺だけでも読んでみてほしいです。結構長いですが。
http://ameblo.jp/anokoronimodoritai/entry-11216353685.html

で、なんでこれを紹介したかというと、パッと読んだときに私はまず「これは文学だ」って思ってしまったんですね。

文章が非常に上手い。
テーマに時代性がある。
自分とは何か、人間とは何かという問いになっている。
何より読む者に投げつける波紋が只事じゃない。

途中、本人が言及する場面がありますが、現代の「山月記」だと思いました。
自尊心は人を食べる。
「虎になる前に虎になってしまった」は名言すぎます。

そして、趣味というか、現実逃避できるものって重要なんだなと。

ブログを読む限りではこの方の趣味は官能小説を読んだりネットを見るぐらいで、それも容易に目の前に置かれた現実とリンクしてしまうので「とりあえずそれをやってる間は現実を忘れられる」ものがあまりに少ないので、すぐ自分と自分の境遇を呪うことに向かっているように思いました。
どうしようもない境遇でも、ほんの少しそういう世界から脱出できるものがあると違うと思うんですよ。

この方は何かっていうと「男子校に行ったのが失敗だった」って書くんですけど、その思考回路自体はわかるんですよ。
自分も男子校に行ってた6年間、よく小学校の時の同級生の女子のことを考えましたし。
「あの頃は女子と話したなあ」とか。
気持ち悪いでしょう。
でもそうなってくんですよ。
思い出がまったく更新されないから。

同世代の異性と触れ合う機会がないから、通りすがりに見かける制服姿の女子高生をチラチラ見てたりしたし、青春マンガで描かれるような異性との交流がないことに落ち込んだりもしたけど、そういう「ああ…」と落ちる感情を束の間忘れさせてくれたのが自分の場合はプロレスと野球でした。
ああいうのがあってホントよかったなあ、と思うわけです。
それがないとキツイです。

でも趣味が無い、と言いつつもたぶん本屋には行ってるんですよ。
官能小説を買ったりSM雑誌を買ったりしているんだから。
私の尊敬する同業者の言葉で「本屋は第二の家である」ってのがあるんですけど、この方にとって本屋(とかコンビニ)って本当に「第二の家」になっていたんじゃないかって気がします。
わかんないけど。

なんか無暗に熱く語り過ぎました。
まあ、これを機にどこかの出版社から出版化の話とかが行けばいいなあ、と薄ぼんやり願ってます。
文章は上手いんだし。
実際、西村賢太の世界と紙一重じゃないかと思うんですよね。そうそう何作も書けないだろうけど。
こういうの発表できるネットって場があってよかったなあと思います。5月で更新止まってるのが気になりますが…。

そんなわけで「こじらせ男子マンガ」の名作(だと勝手に思っている)花沢健吾の「ルサンチマン」が来月新装版で出るそうです。

http://www.shogakukan.co.jp/comics/detail/_isbn_9784091848185

このリンク見て知りましたけど、あのマンガって「2015年」って設定だったんですね。
あと3年後ですよ。
なんだか「ドラえもん」以上に現実が近づいてる気がするよ。
「ラブプラスの彼女と旅行」ってネタがテレビで放送されてたらしいけど(さすがに仕込み感がひどい)、だんだん「そういう世界」の足音は近付いてきている気がするわけで。

しかし、司法試験問題集って出してる版元は法学書院とか限られてるわけで、そのあたりの関係者に聞いていくとこういう話っていろいろ出てくるんだろうな…。

次回はちゃんと本の紹介をします。

(H)

September 03, 2012

ニンニクマシマシアブラカラメコイシカルベキカミノマニマニ

世の中にはいったいなんだこりゃ、というかよくこんなものをマンガにしようと思ったな、という作品があったりするわけですが、最近見つけたのがこれ。

○「ぶかつ麺! ジロリアンはじめました」吉田健二画・ボブ吉村原作(集英社)

Photo

ラーメン二郎が好きな人たちをジロリアンというのは一般教養として知っていましたが、まさかそんな人たちだけのためのこんなマンガがあるとは…。

話としてはひたすら登場人物があちこちの二郎的ながっつりラーメンを食べてウンチクを語る、ただそれだけです。それ以上でもそれ以下でもない。
けどなぜかがっつりラーメンを一人で食べにくる、やたらスタイルがよくて可愛い女の子を話の中で出そうとします。
ちょっと無理ないか。
というか表紙はなんで裸の女の子にラーメンなんだ。欲望なのか。まあいいや。

当然、読んでると無性にラーメン二郎が食べたくなります。
恐ろしい本です。
私も二郎的ラーメンは大好きですが。
出てきた瞬間「わぁ」ってなるけど、必ず後半「食べなきゃよかった」と後悔するぐらい大好きです。
30代半ばを過ぎてからは本当に後悔になってきているので足が遠のいてますが。

ちなみに二郎のラーメンは一杯1600キロカロリーぐらいあるそうです。高齢者の一日分。あははは…。
http://www.j-cast.com/2012/06/30137376.html?p=all

 

★今月の小説

先日、ある人に読んですごくよかった本の話をしていて、こういう話で、こういう人が出てきて、それでその人があーでこーで、と話してたら「説明し過ぎ!!これから読むのにそこまで言わないでいい!」と怒られまして、ではどのように言ったらよいのでしょうか、と聞いたところ、「そういうときは『これすっごくいいよ』でいいの」と教わりましたので、それに倣って紹介したいと思います。

これすっごくいいよ。

○「奇貨」松浦理英子(新潮社)

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って本当はこれだけで読んでほしいんですけど、何もないのも何だろうから、ちょっとだけ。

同姓の友人を作るのが極めて苦手な45歳男性作家と、彼と同居するレズビアンの女性との友情とも愛情ともつかない不思議な話です。
世の中には「友達以上恋人未満」と呼ばれるような関係があるけど、それが真上じゃなく斜め上に進んでしまったような、ちょっと変わった話というか。でも全然遠い世界ではない。

「あなたと私はこういう関係ね」ってなんとなく定義していたものが、時間の経過とともに崩れて行く場合があるわけですよ。人間だから。

あんまり書くと「もうそれ以上言うな!」って怒られそうなので、あとは読んでください。
まーたこのタイトルが読み終わると深いなーって。
松浦理英子はすごいですよやっぱり。

 

★もうひとつ「ああー」となった話を

○「モテないのではないモテたくないのだ!!」カラスヤサトシ(双葉社コミック)

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内向的な男子のしょーもない生態を書かせたら抜群のカラスヤサトシ先生による「恋に恋焦がれ恋に泣く中学生日記」話。
一応フィクションということになってますが、基本的にはカラスヤ先生の実体験が基になっているらしいので、もう勝手にカラスヤ先生のコミックエッセイというように勝手に誤読します。

で、この本で思いだしたのは「誰彼かまわず声がかけられるようなよほど社交的な性格でもない限り、男子中学生は声をかけられた女子学生に惚れる」という法則で。たとえそれが教室内での事務的な連絡や確認事項であっても。
いや、これは間違いないですね。
私は男子校行ってたんでまったくわかりませんけれど。

昔、「恋がしたい恋がしたい恋がしたい」というドラマがありましたけど、心境的にはまったく同じなんですね。
なんで、「その人が好き」ではなく「誰かを好きになりたい」世界。
けど人間を知るには、関係を処理するには、あまりに幼すぎる時代。
その狭間で過剰な自意識が揉みくちゃになり、暴発していく様子が微笑ましくも悲しく描かれていきます。

ま、いろいろ書いてきましたが端的に言うならこういう中学時代を送りたかったです。
送ったら送ったでまた歪んだ性格になっていたのかもしれませんが。
やっぱり思春期の6年間に30歳そこそこの音楽の先生と売店のおばちゃんしか女子を見ないで育ったってのはいろんなところに影響出るよね。

 

★9月のフェア

「極限」な本を集めております。
どんな本が並ぶのかはお楽しみに。
9/10スタートの予定。

(H)

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