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August 2012

August 25, 2012

「10年前の私はわからない、でも今の私はここにいる。だったらここから前に進むしかないね」(男色ディーノ)

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先週18日土曜日、この夏最大のプロレスイベント・DDT日本武道館大会「武道館ピーターパン」に行ってきました。
スタートから5時間を超える大変長いイベントでしたがそれに見合う奇跡のような時間で、終わってからも二、三日私は腑抜けになっていました。
そもそもスタートでサンプラザ中野が出てきて「大きなたまねぎの下で」を歌われたら、そら泣くよ。泣きますって。

どんな人であっても極めて楽しかった体験をすると「またああいう時間を得たい」と思い、ひいてはそれがゆるやかな生きる目的になったりするものだと思うのですが、年に一度のDDTのビッグマッチ(大きな公演)は私の中でそれに十分見合うものになっています。
人によってはそういう喜びをディズニーランドで得たり、AKBで得たり、地元の祭りで得たりサッカーで得たりとその種類はいろいろだと思いますが私はああいうものに触れられている人生が幸せだと思います。

 

だいぶ与太が過ぎました。

★たまには受賞作を

○「冥土めぐり」鹿島田真希(河出書房新社)

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芥川賞って毎年「これが今年の芥川賞か。じゃあ読んでみるか」でなんとなく読みだすとつまんなくはないけどこれと言ってオチのないまま「あ、これで終わりなの?」という感じで終わることが多いのですけど、今年受賞の「冥土めぐり」はいろいろ引っかかりが多くある作品でした。

自分で働こうともせず親のカードで高級レストランに行ってはそこの料理をあれこれ批評することが何より自分のステータスを上げることだと信じている弟に、かつて宿泊した高級ホテルで過ごしたときの8ミリビデオを延々家族に見せ続けて「これが本当の私!」と現実から目をそむけ一方で娘に依存しまくる母親。
その母親と弟の呪縛のような関係から逃れられない娘。

こういう話が一応世の中でもっともメジャーとされる文学賞をとったということは、時代性があるという判断を選考委員の方がしたのかな、とも思いました。
逃げ出さないのか、逃げ出せないのか。
そこに添え物のように存在する障害者のダンナの存在が幸せのようにも見えるし、そうでもないようにも見える。
いろんな多角的なとらえ方ができる、良い小説だと思いました。

 

★食事に対する壮大な臨床実験

○「ばかごはん」べつやくれい(アスペクト)

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「餃子に食紅(的な色素)をつけてウミウシを作ろう」とか「肉と肉でパンをはさめば逆ハンバーガー」「パフェグラスに入れれば豆腐や肉でもパフェになるのか」といった、食べ物に対する既存の価値観をひっくり返す企画を考えて実際に試したレポートをまとめた本。
写真の使い方が絶妙だと思ったらデイリーポータルというネット連載記事が元だったんですね。
「食べ物で遊ぶな」と私らの世代はよく言われましたが、まあ遊んだものをすべて自分で食べて結果を報告しているのでいいんでしょう。
しかし肉と肉で野菜を挟む逆バーガー的なものはいつだったかケンタッキーが出してなかったっけ。

具体的にどんな感じ?っていうとこんな感じ。む…(@海原雄山)。
http://portal.nifty.com/2007/11/10/a/

「ばかスイーツ」ってのもあるんですね。

 

★地味によく売れてる本

○「東京12チャンネル運動部の情熱」布施鋼治(集英社)

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昭和の時代、サッカーW杯、箱根駅伝、女子プロレスなどを日本で初めて放送、ローラーゲームやキックボクシングのブームを先取りし伝説を作ったテレビ東京運動部の回想録。
著者は格闘技ライターの布施さんですね。
実は私のプロレス狂いになったきっかけは猪木の新日本でも馬場の全日本でもなく、昭和60年前後にテレビ東京で放送していた「世界のプロレス」とキン肉マンです。

 
★8月セールスランキング(8/1~8/25)

(一般)
1  神様のカルテ(3)(夏川草介)  小学館
2  虚像の道化師 ガリレオ7(東野圭吾)    文藝春秋
3  生きる悪知恵 正しくないけど役に立つ60(西原理恵子)  文藝春秋
4  Mr.都市伝説 関暁夫の都市伝説(4)  竹書房
5  サブカル・スーパースター鬱伝    徳間書店
6   戦後史の正体 1945-2012  創元社
7   KAMINOGE(9)     東邦出版
8  白ゆき姫殺人事件 (湊かなえ) 集英社
9  ソロモンの偽証1 事件 (宮部みゆき) 新潮社 
10 「本当のこと」を伝えない日本の新聞 (M.ファクラー) 双葉社

(文庫)
1  政宗遺訓 酔いどれ小籐次留書 (佐伯泰英) 幻冬舎
2  南へ舵を 新・古着屋総兵衛4 (佐伯泰英) 新潮社
3  往復書簡  (湊かなえ) 幻冬舎 
4 プラチナデータ (東野圭吾)  幻冬舎
5 獣の奏者3 探求編  (上橋菜穂子) 講談社
6 あるキング  (伊坂幸太郎) 徳間書店
6 彼女は存在しない (浦賀和宏) 幻冬舎
8 フリーター、家を買う。(有川浩)  幻冬舎
9 ソードアート・オンライン1  電撃文庫
10 獣の奏者4 完結編 (上橋菜穂子) 講談社 

こうして見るとシリーズものって強いんですなあ。

あとやっぱりサブカル系多いすね…。

(H)

August 16, 2012

8月のフェア

初めてブログを書かせて頂きます。S子です。

簡単に自己紹介でも…

もうすぐ伊野尾書店歴3年になります。

小学生からニコラやピチレを買い漁り、

中学にはST、ポップティーン高校はPINKYRay

とマンガや書籍は避けて通ってきた為

現在は一応、女性誌担当をしています。

 

そんな本に疎い私ですが、今回8月のフェアを担当しました。

「部屋にかざりたくなるかわいい本」フェアです。

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文庫を売っていて思うのですが

なかなか素敵な表紙だなって思うものが少ないように感じて…(失礼)

あまり本を読まない方にも手に取りやすいかなと。

なので内容はジャンル問わず置いています。

意外にもおしゃれ男子に好評みたいで、スタッフのKさんとも話していたのですが気になる女子に「これ可愛い!貸して!」なんて言われちゃう?という一石二鳥が待っているかも。しれない。

(S子)

August 12, 2012

もっと愛し合いましょ でも自分で精一杯

ロンドンオリンピックがやれ金メダルだ銀メダルだ「金と同じと書いて銅メダル」だと大変活況ですがひっそりと夏の甲子園も始まりました。
今年は高校生で160キロを投げるという岩手県の花巻東高校の大谷君という怪物のようなピッチャーがいたのにその大谷君を打って勝ち上がってきた盛岡大付属高校がよもやの一回戦負け、と例年通りの混沌とした様相を呈していますが、今年はどんなドラマが待っているのでしょう。

そんな中発売になった「Number」高校野球特集の表紙はまさかまさかの桑田清原。

Number0830

いったいいつまでこの二人で引っ張るのでしょう。
実は「Number」に限らず、高校野球特集の雑誌やムックはたいがい「箕島vs星稜」とか「PL学園vs池田」といった昭和全開の30年くらい前の試合がいまだにメインで、最近の試合はあの2006年の「早実vs駒大苫小牧」くらいであんまりフューチャーされません。高齢化が気になります。

そんな中、この「Number」に掲載された「チームメイトが見たダルビッシュ有」という記事がすばらしくコクのある内容で。
当時、宮城の東北高校でエースにしてキャプテンだったダルビッシュのことを当時のチームメイトがいろいろ回想するのですが、まーいい話が出てこない(笑)。
やれ自分たちが必死に汗かいて練習するのに出てこない、終わるころに出てくる、挙句「みんながついてこないからキャプテンやめたい」と発言してまた反感買う、というような話。

やはりみんながみんな「熱闘甲子園」で描かれるような美しい青春物語ばかりもってるわけじゃなく、中にはこういう苦い話も当然出てくるわけで、そこを含めてやっぱり素晴らしいなと思いました。

http://number.bunshun.jp/articles/-/247329

私の世代だとどうしても「松井五敬遠」と「松坂大輔」が強烈なんですけど、新潮文庫の「甲子園が割れた日」が今年夏の100冊に入っていて、ちょっとうれしくなりました。
これは名作なんで、高校野球に最近興味もったような方で未読だったら是非におすすめしたい本です。

○「甲子園が割れた日」中村計(新潮文庫)

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★はじまりました

というわけで 「部屋にかざりたくなるかわいい本」フェア展開中です。

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「同じ著者が結構かぶっちゃっうんですよね」と選書したS子がつぶやいておりました
意外に若い男性のお客さんが買ってくれてます。

 

★深い井戸に石を投げ込んだような物語

○「ふくわらい」西加奈子(朝日新聞社)

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西さんの小説はいつもストレートなテーマに少しだけクセのある味がついています。
野球で言うとまっすぐのボールに見えるけど手元で微妙に変化する感じ。
まあ野球で言う必要はまるでありませんが。

幼い頃に冒険作家の父に世界中を連れまわされて、ある衝撃的な体験をして育った女性編集者。
アントニオ猪木に憧れつつ決してアントニオ猪木にはなれない、うつ病のプロレスラー。
若干躁病気味の見た目はイタリア人にしか見えない盲目の日本人男性。

わたしたちはなぜ生きているのか。
なぜ他人と触れ合っているのか。
言葉はどうしたら言葉になるのか。
「自分を出す」とはどういうことなのか。

かつて、「僕には明るい未来が見えません」と訴えた鈴木健想(現KENSO)に、アントニオ猪木は「見つけろっ!てめえで!」と言った。
誰でも自分で明るい未来を見つけるしかない。
でも簡単には見つからない。

そんなとき、もしかしたら少しだけヒントになるような、そんな小説です。
誰もが誰も「超面白い!」という小説ではない。
けど人によっては人生でとても大事な一冊になると思う。
そんな本です。

そしてプロレスに興味がない人はわからないと思いますが、わかる人にはこのうつ病のレスラー・守口廃尊の設定はたまらないです。
そりゃみんな猪木になりたいよ。
でも猪木みたいになれる人はほんの一握りで、たいがいの人は星野勘太郎とかヒロ斎藤とか飯塚高史にしかなれないんだよ。
けど星野もヒロも飯塚もそれぞれ求められてる役割があるんだ。
彼らがいないと回っていかない部分が出てくる。
それをちゃんとやっていけば、彼らなりに輝く場が必ず出てくる。
だから人生はすばらしいし、面白い。
そういうことですよね西さん?

 

★いつだって偉大な開発の裏にはマッドサイエンティストが

○「世にも奇妙な人体実験の歴史」トレヴァー・ノートン・著、赤根洋子・訳(文藝春秋)

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今は科学が発達して、研究が進んで大変便利な時代なわけですが、当然その研究の陰にはいろんなことがあるわけで。
この本はそんな研究者たちの苦労がイヤというほど書かれているわけですが、たとえば

・淋病のメカニズムがわからなくて患者の膿を自分のあそこに塗ってみる
・何が食べられるか調べるために動物園の死骸を片っ端から食べてみる
・カテーテルを自分で自分の心臓に通す医者
・自分の呼吸を麻酔で停止させて人工呼吸を開発

いやすごいじゃないですか。
こういう人たちがいたから今の医学や科学の発展があるわけで。
にも関わらずこの本ではどういうわけかマッドサイエンティスト扱いです。
ひどいなあ。
ダイナマイトの材料を舐めてみた医者がいなかったら心臓病の薬はできなかったみたいなのに。

★というわけで

こういう「人間の限界に挑んだレポート」的なミニフェアを思案中。こうご期待。

 

 

というわけでよいお盆休みをお過ごしください。

来週はいよいよこの夏のビッグイベント・DDT日本武道館大会です。
http://www.ddtpro.com/release/ddt/article/1344631065/

(H)

August 06, 2012

夏季営業案内について

8/12(日)はお休みいたします。

8/13(月)~8/15(水)は11:00~20:00で営業します。

(8/13~15は新刊書籍・雑誌の発売はありません)

よろしくお願いいたします。

伊野尾書店

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