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November 2011

November 26, 2011

MVPは森福だと思うんだけど

気がつけば3週間くらい更新に間があいてしまったのはひとえに店長が日本シリーズに夢中になっていたこととそれが終わった瞬間体調をこじらせててんやわんやしたのが原因です。
いや今年の日本シリーズは面白かったですね。
ソフトバンクは、って書くとケータイの話してんだか孫社長の会社の話してんだかわかんなくなるので「ホークス」にしますけど、ホークスは2004年、2005年、2010年と10年で3回パ・リーグ1位になってるにもかかわらず全部日本シリーズには出てない、それはそれは気の毒な球団だったわけですけどそういう黒歴史をすべて塗りつぶすぐらいの強いチームになってしまいました。
むしろ打率・得点ではあの横浜ベイスターズよりも下回るほどの成績しか残していない極端な守備偏重チームで、あんなモンスターチームをあと一歩まで追い詰めたドラゴンズがすごいなーと思いました。
そりゃ落合監督の本も売れるはずです。

○「采配」(ダイヤモンド社)
 

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一方、そのあいだにジャイアンツの清武代表がわざわざ会見の場を用意してナベツネ批判をして、そっちはそっちで盛り上がってしまったわけですが、まあ内部闘争がどうだとかコンプライアンスがどうだという話は一回置いといて、清武代表が何冊か自分で本を出しているという話はあまり知られていません。

○「巨人軍は非情か」(新潮社)
 

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今見るとこのタイトルはなんともはやな気分になりますが、実はこの本は今品切れで入ってこないのでもう一冊の方を。


○「こんな言葉で叱られたい」(文春新書)

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これは原監督、コーチ陣、ベテラン選手たちが「いかにして選手を叱っているか」を明かした本。
野球の世界はピッチャーにせよバッターにせよ成功よりも失敗の方がはるかに多いわけで、そういうときにどういうアドバイスを送っているかが具体的に書かれています。

たとえば今回の騒動で一番の被害者っぽい、岡崎コーチが二軍監督だった時代のときの話。
ある試合で若いピッチャーがストライクが入らず乱打され、ジャイアンツが1対25という大敗を喫した。
試合後、監督の岡崎は意気消沈する選手をベンチに座らせると、短くこう言った。

「今日の負けにどう対処するか。方法は二つある。
 もう野球をやめてしまうか。
 練習して力をつけるか。それしかない」

今思うにこの言葉は「負け」を「屈辱」に、「野球」を「読売」に、「練習して力をつける」を「表に出して闘う」に替えると全部清武さんに向けた言葉みたいになってしまうわけですが。

まあそれはそれとして、その清武代表自身が「叱られた」エピソードも。

ある年の夏場、成績が下降したジャイアンツ。
思わず清武さんが球場で「去年も6月までは首位だったんだけどなあ」とつぶやくと、それを聞いた原監督からこう言われてしまいます。

「ため息をつくと、下の者は不安になります。
 がっかりもします。
 そしてそれは無意識であっても、そこにいる人間を軽く見ているということです。
 目上の人や大事な人の前ではため息なんかつかないでしょう」

もう原監督に拍手を送ってしまいたくなりますね。
あの人の場合はグータッチか。
ま、でもこれはすべての管理職の人に贈りたい言葉ですね。自戒も込めて。

というわけでこの本からは野球の現場で日々起きている深イイ話と、清武代表のあふれんばかりのジャイアンツ愛が大変伝わってくる良書です。
ぜひコンプライアンスのために読んでください。

 

★最近読んだ本

○「JUNK 毒にもなれない裏通りの小悪党」三羽省吾(双葉社)
 

Junk

「指」と「飯」という中編2作が収められた小説集。
「飯」の方の話をします。

借金を背負った主人公は借金のカタに「東京から外れたとある地方都市の刑務所前に、つぶれかけた粗末な飯屋があるからその店を手伝え。そして働きながら刑務所の出口を見張って、ある男が出所したら教えろ」という不思議な命を受けます。
嫌々ながら食堂に行くと、そこには頑健なじいさんが一人で店をやっていて…、という展開。

なんか昔のSABU監督と堤真一でこういう映画撮ってそうだな、という話。
え?という展開がいろいろ続いて面白いです。
なんかうっかり余計なネタバレを書きそうな気がするのでここまででやめときます。
ちなみにもう一遍の「指」の方は阪本順治監督・萩原聖人主演ぽい話です。
どんな話か各自読んでください。

 

★本屋は死なないそうですが

死にたい人もいるようです。

○「死にたい老人」木谷恭介(幻冬舎新書)

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名前聞いておや、と思った方もいるかもしれませんが、著者はミステリー小説家です。
83歳になる木谷さんは身体の自由がきかなくなり、男の機能も衰え、あらゆる欲望が失せ、その上これから身体がどんどん衰えてそれが周囲にどんな影響を与えるか考えると絶望的な気持ちになり、「もう充分に生きた。あとは静かに死にたい―」と考えるようになります。

ここまではよく聞く話。
木谷さんがすごいのは、それを本当に実行に移し細かく記録を取っていったことで。
まずどういう死に方をすれば周りの人や、処分する人の迷惑にならないか考えた末に「断食安楽死」を決意します。
しかしいきなり自宅で餓死すると家族や関係者が保護責任者遺棄の罪にあたるらしいと気付き、木谷さんは「死ぬために」わざわざアパートを借りようとします。
が、83歳の老人がアパートを借りるというのは結構大変なようで。
しかもいざ断食を始めてちょっとした頃、3.11の震災が起きて自分の死よりも震災と原発事故の行く末が気になったりするようになります。
とにもかくにもあらゆる意味で貴重すぎる記録ルポ。
うちの実用書担当が絶賛した一冊です。

 

★売れてる本

○「新宿本 「新宿は困る…」に一発回答!」(京阪神エルマガジン社)

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最近、新宿特集の雑誌やムックが出てなかったせいもあって、よお売れます。
しかし「王ろじ」と「アカシア」って必ず載ってるなあ。

November 07, 2011

大人の条件と恋愛とポテトサラダ

看板を新しくしました。

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最初インターネットで検索して出てきた業者さんに見積もりしてもらったらちょっとした中古車が買えるぐらいの見積もり金額が出て、「そんなすんの!?」「いやうちの看板はデザインが命ですから」みたいな話になって、ショボーンとしてたら近所の看板屋さんが「デザイン自分でやってくれるんならこの金額でいいですよ」みたいな感じでいきなり原付買うぐらいの金額になりました。
実際、最初の業者さんにお願いしたらカッコいいデザインで作ってくれたんでしょうが、ウチとしてみればこんなもんで十分です。

店やっててお金払う側になると思うのは、「世の中って値段があってないような商売がたくさんあるんだなあ」ってことで。
前述の看板屋さんもそうですが、システム会社、葬儀業者、各種工事屋、結婚式場、キャバクラ…。
いやみんな「原価」的なものはあるんでしょうが、見積もりしてもらうと明らかにそういうのとは別に金額が出てくるような気がしてなりません。いや、あくまで印象論ですが。
たとえば葬儀業者とかで
「車の手配代が一日いくらで、ガソリンがこれで、スタッフ人件費がこれで、道具代が償却費がこんなんだから合計一日いくらで」とか絶対出てこないように。
まあ本も同じか。
「この本がなぜ税込1,575円か」なんて説明、出版社からされたこと一回もないもんなあ。
紙代がいくらで著者の印税がいくらで…とかそういうところからきっと決まるんでしょうけど。

そういえば3年くらい前、NET21の某社長が「ここはいい店だから」といって連れて行ってくれたバーが「東京カレンダー」に出てきそうな大変おしゃれなお店で、ママもキレイで、店では某社長が入れておいてくれたボトルを1時間半くらいただ飲んでただけで何も食べるものを頼まなかったのに、帰りに請求された金額が軽く特別リングサイド2枚分くらいの金額で大変肝を冷やしたことがありました。
大人と子供の境目というのは「定価のない請求に慣れるか否か」なのかもしれません。

★10月のランキング

嘘じゃないよ。

セールスランキング 2011年10月

〈一般〉
1、「本屋」は死なない  新潮社
2、前へ! 東日本大震災と戦った無名戦士たち  新潮社
3、新宿本  京阪神エルマガジン
4、人生がときめく片づけの魔法  サンマーク出版
5、スティーブ・ジョブズ(1)   講談社
6、謎解きはディナーのあとで  小学館
7、暴力団  新潮新書
8、常備菜  主婦と生活社
9、はげましてはげまされて 93歳正造じいちゃん56年間のまんが絵日記  廣済堂出版
10、書くことが思いつかない人のための文章教室  幻冬舎新書

〈文庫〉
1、ガリレオの苦悩  東野圭吾 文藝春秋
2、モダンタイムス(上) 伊坂光太郎   講談社
3、橋の上 居眠り磐音江戸双紙帰着準備号  佐伯泰英 双葉社   
4、夜明けの街で  東野圭吾 角川文庫
5、モダンタイムス(下) 伊坂光太郎   講談社
6、百年の呪い 新・古着屋総兵衛2 佐伯泰英  新潮社
7、愛憎 吉原裏同心15  佐伯泰英  光文社
8、おまえさん(上) 宮部みゆき   講談社
9、殺人鬼フジコの衝動  真梨幸子 徳間書店
10、猫鳴り  沼田まほかる 双葉社 


単行本の上位は外商活動の結果であって、決して恣意的な場合もありますがあくまで外商です。

つーかこの文庫ランキングが恒常的に「東野佐伯伊坂みゆきまほかる」ミックスになってる現象はいつまで続くのかしら。

 

★今月の恋愛小説

たまたま続けて読んだんで紹介します。

○「すべて真夜中の恋人たち」川上未映子(講談社)

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主人公の冬子は34歳。
校正の仕事をずっとしており、前の職場で周囲とうまく人間関係を作ることができず、フリーで仕事を請け負うようになります。
フリーで仕事を受けるので接触する人は限られ、友人と呼べるような人間は彼女に仕事を発注する出版社の女性編集者・聖ぐらい。
校正を仕事にしているのでテレビを見てても間違った字幕が出るとイラっとし、それを自分で直せないのでまたストレスがたまる。
本を読んでも仕事の延長のように文章を見てしまうので内容が頭に入らない。
こうして趣味もなく、交友関係も希薄な彼女は酒浸りになっていき、しかし何か新しいことをしたいと向かったカルチャーセンターで58歳の男性、三束(ミツツカ)さんと知り合う…。

川上未映子の小説はいつも読みやすいし内容はわかるけど特に印象に残らない登場人物のエピソードみたいなのがずっと続いてそれが小説の中に仕掛けられたいくつかのポイントに差し掛かった時にグワッと意味を持って降りかかってくる、そんな構成が多い気がします。
この小説でいえば冬子と学生時代の友人が原宿のファミレスで10数年ぶりに話す場面と、クライマックスの聖が冬子の部屋に来た場面がそこにあたり。
言葉がワーッと降りかかる中に何か世界の一端というか、ああ、そうか、と思わせるものがきっとあると思います。

物語の閉じ方がまた見事で、すごくキレイに終わります。
そして読み終わると何か余韻が残る、そんな小説です。

 

で、もう一冊。

○「ニキの屈辱」山崎ナオコーラ(河出書房新社)

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人気女性写真家の「ニキ」とそのアシスタントになった「オレ」の物語。
物語は「ニキ」の一歳年上である「オレ」の視線で、二人の関係が少しずつ変容していく様が緩急をつけられながら甘く描かれます。

この話のポイントは「対等な立場にならない関係であるがゆえに描かれる甘さ」ではないかと思います。
「オレ」である助手の加賀美はニキのアシスタントゆえ、始めはニキの下僕のような扱いを強いられるわけですが、それが少しずつ変わっていきます。
この話自体が登場人物の「ニキ」そのもので、表面は尖がっているようでその実中身は甘い、そんな読後感があります。
けど、舌に残る、ざわざわした甘さというか。
読みやすいので1時間半くらいでサッと読めると思います。

 

★もう完結しちゃったのか

前にここで激賞した

○「日本をゆっくり走ってみたよ」2巻(双葉社アクションコミック)

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が出ました。
これで完結。
まあロードムービーなんで、そんな長くは続かないかなーって思ってましたが早かったですね。
今回も沖縄から北陸、北海道と回る中で「行った人間だけがわかるリアルな話」がいろいろ出てきます。
倒れたバイクを起こすのを手伝ってくれた人と夜中の3時まで話してたというのはマジなんでしょうか。
って書くとなんか美しいですが、本文読むとあんまりうらやましくありません。

で。
この2巻がすごいのは。

巻末に作者とEさん(旅のきっかけになった片想いの女性)の対談が載ってることで。
この対談が…すごい(笑)。
だって、全国で売ってるマンガ雑誌に作品を通じて「あなたが好きです」って書いたマンガ家と、マンガを通して言われた一般女性がそれをどう思ったのか、そういうのがあけすけに語られるんですよ?

2巻の結末と、その対談で語られる二人の発言を併せて読むと、いったいこのマンガはどこまで「作品」でどこから「Eさんへの個人的手紙」なのかわからなくなり、島尾敏雄の「死の棘」レベルでの作品と実人生との混同っぷりに頭がクラクラしてきます。
「私小説」という言葉がありますが、おそるべき「私マンガ」だと思いました。
こういうマンガは今後そうそう出て来ないと思います。

 

★クリスマスカード

はじめました。ドン。

 

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「クリスマスキャロルが流れる頃には」って歌がずいぶん前にありましたが「クリスマスキャロル」がなんなのかいまだにわかりません。
クリスマス絵本は今週末から来週ごろにかけて増えて行く予定です。

 

★今週の雑誌

○「dancyu」12月号

Dancyu12

http://www.president.co.jp/dan/backnumber/2011/20111200/

ポテトサラダ特集ですよ!
これはおいしそう。

ちなみに伊野尾書店から徒歩10秒くらいの惣菜屋「一汁三菜」さんのポテトサラダもとてもおいしいです。
日替わり惣菜屋さんなので無い時もありますが。
あとは飯田橋の焼鳥屋「駒安」のポテトサラダがとても好きです。

(H)

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