« August 2011 | Main | October 2011 »

September 2011

September 26, 2011

愛を語るより口づけをかわそう

台風が来てすさまじい勢いでいろんなものを壊したり止めたり濡らしたり流したりしていきましたが過ぎ去ってみたらいきなり秋が来ました。
秋になるとなんか寂しいですね。
あの世界的人気バンドのWANDSが「寂しさは秋の色」と歌ったぐらいなのできっとこれは世界共通の感覚なのだと思いますが、私にとって今もっとも寂しい出来事は「SPIGA」という近所のパスタ屋さんが閉店してしまったことです。
中井は飲み屋はちょいちょい出来てるんだけどなあ…むー。

そんな季節になったんで、そんな感じのフェアを始めました。

○はじめての恋愛小説フェア

Photo_4



「はじめての」ってわざわざつけたのは、日頃あまりこういうジャンルを読まなそうな方に手にとってもらいたいと思って、あまりベタベタしてないものを選んでみました。
ちなみにこのフェアの選書には某書店員さんのご助言をもらったりしました。
姫ありがとう。
なおこの写真は先週のもので、今またちょっと変えたりしています。

一点選ぶならこれを推したいと思います。

○「錦繍」宮本輝(新潮文庫)

Photo_3


これは今さら…というぐらい今さらな本ですが、やっぱりこれはいいですよ。
「恋愛小説」というよりは「人生小説」といった括り方がいいかもしれません。
単行本の初版が1982年3月というので、ざっと今から30年前の話です。
時代背景や、価値観がやっぱり今と少し違う。
違うけれど、人が人を思い、どんな環境や行動が人を変え、そして何を失っていくか、そういったテーマは普遍的だと思います。

唐突に始まる手紙。
語られる「女の想い」。
それに返信する「男の想い」。
二人が離婚した元夫婦というのはわかっても、なぜ離婚したのか、そして今なぜこんな手紙が書かれているのか、わからないことはすべて手紙を読んでいくうちに判明していく。
そして「錦繍」という言葉の本来の意味と、なぜその言葉がタイトルになっているのか、そしてなぜ私が秋の季節にこの本を勧めるのか、読んでもらえればすべて一本の線で通じると思います。
本当に名作です。

自分で本を探すと思うのですが、こういうので「普段読まない人に~」みたいなテーマであたるとどうしても定番というか、すでに知名度のある名作になってしまうなーと思いました。
やっぱりたくさんの人がいいと思うから「名作」や「定番」になるわけで。
そういう名作みたいなのってなんとなく「今さら」とか「他の人も読んでるから」みたいな理由で避けがちになっちゃいますが、やっぱり読んでみるとハズレはないなあと思います。
まあだから「夏の100冊」みたいなのがあるわけですが。

 

もう一つ推せるならこれ。

○「百瀬、こっちを向いて。」中田永一(祥伝社文庫)

Photo_2


「人間レベル2」の僕は、教室の中でまるで薄暗い電球のような存在だった。野良猫のような目つきの美少女・百瀬陽が、僕の彼女になるまでは―。しかしその裏には、僕にとって残酷すぎる仕掛けがあった。

これもいいんですよ。
この小説が素晴らしいのは、「かなわない恋愛を体験すること」と「それすら知らずに生きていくこと」ではどちらが幸せなのか?という問いが出てくることで。
これはすごく難しいです。
答えも人によって別れると思います。
その中でこの問いを発した主人公(モテない男子高校生)と、それに対して主人公の友人(同じくモテない男子高校生)が答えるくだりは本当に心に余韻を残します。

これは「がんになったら告知してほしいか?」といった話にも通じる命題だと思います。
どちらが正しいとかじゃなくて、その人次第。

ちなみに私だったら、基本的には知らずに生きていたいです(笑)。
けど、知ってしまったらそれはそれで貴重だったな、っていう風に思いたいです。

「相手がワルツを踊れば私もワルツを踊り、相手がジルバを踊れば私もジルバを踊る」byニック・ボックウィンクル(元AWA世界ヘビー級チャンピオン)

 

☆今週の気になる雑誌

雑誌というよりムックですが。

○「まんがと図解でわかるスティーブン・R・コヴィーの7つの習慣」スティーブン・R・コヴィー/監修(別冊宝島)

Photo

すげーよなあ…なんでもマンガにできるんだなあ。
いや実際ちょこちょこ売れてるんですけど。
「もしドラ」があれだけの大ヒットになった以上「7つの習慣」も予想はされてましたけど、やっぱり萌える女子高生がどうにかっていう話なんだなと…。
わかりやすいですけどね。

 

☆これから出る本の中でちょっと気になる本

○「計画と無計画のあいだ 『自由が丘のほがらかな出版社』の話」三島邦弘 (河出書房新社)

「まっすぐ」な活動を愚直につづける、原点回帰の出版社・ミシマ社。単身起業した後、愉快な「無法者たち」が集まってくる過程から、現在に至る5年間のエピソードと発見をつづる。

幻冬舎の社長の本が太田出版から出たり、角川春樹さんの本が自分の会社でなくイースト・プレスから出たりしたのもそうですが、こういうのってみんなヨソの会社が出してくれるものなんでしょうか。

10月17日発売。

○「『本屋』は死なない」石橋毅史 (新潮社)

出版流通の現況に抗うように「意思ある本屋」であり続けようとする書店員・書店主たち。彼らの姿を追い、“本を手渡す職業”の未来を探る異色のルポ。

著者は「出版業界の週刊プロレス」とごく一部で呼ばれていた某業界紙の元編集長ですね。って自分も載せてもらったことあるんで白々しいけど。

10月31日発売。

(H)

September 17, 2011

9月が永遠にセプテンバー

今年は震災があったせいもあってすっかり話題にならないプロ野球ですが先日斉藤くんと田中くんがあの甲子園決勝以来の投げ合いをするとチケットは完売、急遽テレビ生中継が決まるなど盛り上がり、やっぱり高校野球のライバル対決をプロにまで持ち越すと盛り上がりますね水島先生。
そんな中、去年「リーグ3位だけど日本一」というまるで意味のわからない禅問答のような成績を残した我らが千葉ロッテマリーンズは今年すっかり元気がなく、現在パリーグ最下位に沈んでおります。
昔は夏場までボロボロに負け続け、なぜか秋口になると急に勝ち出す(ウィキペディアにも該当項目がある)、まさしく「9月が永遠に続けば」といった球団だったわけですがロッテは今月3勝11敗とこのまま永遠に続いたら新潟アルビレックスベースボールクラブとか信濃グランセローズといった独立リーグのチームとの入れ替え戦も検討しないといけなくなるぐらいの状況なわけで、マジメに西村監督が胃痛で倒れないかだけが心配です。

それにしても先日の「四番ライト清田」はしんどいなあと思いました。
芥川賞三回連続該当作なしぐらいのしんどさです。
日本ハムはいいよな。
中田や糸井が順調に育ってるし。

といったところで「東京スカイツリー組み立てキット」とか「顔文字のキャラクターブック(付録:顔文字トートバック)」とか「名作アニメの最終回だけを集めたDVD BOOK」とか相変わらず自由すぎる宝島社からこんなのが出ました。

○「北海道日本ハムファイターズの寮ごはん」
 

Photo

怪物的な大ヒットになってしまった「タニタの社員食堂」の流れなんだと思いますが、「タニタ」が「社員さんを皆健康にするように」なコンセプトなのに対しこちらは「アスリートのための食事」な感じ。
といっても思ったよりガッツリした感じはなく、むしろ「こんなんでいいの?」みたいなのも多いです。
「海鮮丼とオクラスープ」とか。
ちなみに糸井が好きな食事は「ハンバーグとみそ汁」、中田翔は「からあげとキャベツ」という普通すぎるぐらい普通の回答が載ってます。
もうロッテの若手寮も同じメニュー作って清田とか角中とか南に食わせてやってくれよ。
そしたら少しは打つかもしんないし。

まあタニタのおかげで最近は「~食堂のごはん」大ブームですね。

・「ヨーガンレールの社員食堂」(PHP研究所)
・「女子栄養大学の学生食堂」(PHP研究所)

変わったところでは
・「東京・足立区の給食室」(泰文堂)
とか。

主婦の友社からは今度こんなのも出るそうです。

・「再春館製薬所 ニッポンいちの社員食堂」
・「早稲田大学競走部のおいしい寮めし」

あとはどこのご飯だろうなあ。
「おいしい病院食」?

 

★「ギターをアンプに突っ込んだら、ボリュームを目一杯上げる。後はなるようになれだ」byデイヴ・ムステイン

どっかで「モテない男のためのコミック」みたいな特集を見たときにこれが紹介されてて読んでみたらドハマりしました。

○「日々ロック」(1~2巻)榎屋克優(集英社ヤングジャンプコミック)

 

Photo_2  

2_2

むかし、大槻ケンヂはこう言った。

「モテたければバンドやれ」

そうかもしれない。
事実そうなんだと思う。
けどこの物語の主人公・日々沼拓朗は月に何回か路上やライブハウスで歌っているのに、まるでモテている様子がない。
というか、通ってる高校ではイジメにすら合っている。
そんな鬱屈を彼は歌にする。
ロックにして歌う。
「おまえは俺で 俺はおまえだ」といった、意味のわかるようなわからないような歌詞で歌う。
音楽マンガの名作「BECK」は「マンガの絵で伝わる音楽」を表現したけど、このマンガはこのマンガでロックが死ぬほど伝わってくる。
堪えられない想いを堪え、心から叫ぶ言葉がある人間だけが歌を歌えるのかもしれない。
2巻のエンディングで人気バンドとの勝負というムチャすぎる闘いに挑んだ時に拓朗が歌った「スーパースター」を聴いて(聴こえるんだよこのマンガは!)、なぜかBAKUの「ピーターパン」を思い出しました。

 

★今さらですが

○「下町ロケット」池井戸潤(小学館)

Photo_3

読みました。
周りで絶賛の声が多かったので。

訴訟に資金繰り、立場の弱い下請けと上から目線で横柄なクライアント…と池井戸作品らしいビジネスの息苦しい展開が混じりながら、人と人が気持ちを合わせて大きな目標に進む。
その間、必ずしも組織は意思統一されてなくて、ある人が賛成すればある人は反対する、けどお互いそれぞれ会社を思う気持ちはあり…という濃淡が一歩間違えればものすごくおおざっぱなストーリーになりそうなところをビシッと締めてて、これは本当に面白い小説だと思いました。
一日で読んでしまったし。

原作読んだらWOWOWのドラマ見たくなりました。
http://www.wowow.co.jp/dramaw/rocket/relation/

でも佃社長が三上博史ってカッコ良すぎだろう。

 

★今月の文庫推し

9月が永遠に続いたりテレビカメラにピースしたりする小説が思い付かなかったのでこの辺にしました。

Photo_4


 

★今週の雑誌

「MONOQLO」11月号(早いよ)の「amazon非公式ガイド」がとても面白いでの何かあるとポチっとお買いものをしてしまう皆様にはぜひ。
「アマゾンランキング仕組み検証」とか「ランキング上位ってどれだけ売れてるの?」とか「amazon以外のオンライン購入サイトとの使い分け」とかあんまり他誌で見ない特集がいっぱい出てます。

Monoqlo11

 

★来月は

恋の本を並べようと思います。秋からもそばにいてby南野陽子

(H)

September 08, 2011

「実質のない空虚な言葉を吐く人は友ではない」(経集254)

いろいろ思うところあって、人生の指南書みたいなものを読みたくなりました。
が、意外に何読んでいいかわからないもんで。
日頃『本屋でござい、本のことなら何でも聞いてくださいでござい』みたいな顔をしているのに、こんなシンプルなテーマの本がパッと出て来ない自分の浅薄な知識にちょっとガッカリしました。

で、「なんか売れてるらしいからなあ」という単純な理由でこれを読んでみました。

●『超訳 ブッダの言葉』小池 龍之介(ディスカヴァー)

Photo

「考えない練習」などベストセラーをポンポン出してる小池龍之介の現代的な意訳が見事で、これは読みやすい。
同じ言葉でもいくつもルビを使い分けているのが特長で、たとえば「渇愛」という言葉のルビに使われるのは「ものほしさ」であったり「さみしさ」であったり「たりなさ」であったり。

警句としてとてもわかりやすい話が続くんですが、読んでいてブッダの考え方というのは総合格闘技的、あるいはボクシング的だなあ、と思いました。
何回か書いてますが、総合格闘技またはボクシングというのは「相手の技をいかにもらわないで自分の技をいかに相手に極めるか」というのが基本です。
ブッダは常に「欲望から離れろ」「悪いことは口にするな」と説きます。
欲望から離れれば、悩み苦しむことからも離れられる、と。

でも私などは欲望にとらわれて右往左往するから人生は面白いのでは、と考えてしまいます。
巡り巡って悪いことが振りかかってきてもそれを受け入れるのが人生では、というような。
「技はよけるものでなく、受けるもの」というプロレス的な考えが好きです。
試合中にムダな動きがあればあるほど面白いのがプロレス。
ムダな動きは必要ないと考えるのが格闘技。
でもムダが多過ぎればプロレスでもゲンナリする。

そんな「長年の持病でヒザが悪いのに得意技はヒザを使ったシャイニング・ウィザード」という武藤敬司のような矛盾した生き様を肯定してくれる指南書を読みたいな、と思ってしまいました。
もしなんかあったら教えてください。

もしかしたら詩の世界には案外そういう答えがあるんじゃないか、と思って谷川俊太郎の「夜のミッキー・マウス」(新潮文庫)という詩集をパラパラ見ていたら想定外にパンクな詩がちょこちょこあるんでビックリしてしまいました。
これ とかね。
なんじゃいなこれ。

なんかいろいろ意味深そうな詩もいろいろあるにはあるんですが、一冊通して読むと「谷川俊太郎っておっぱいが好きなんだなー」というアホな感想しか出てきません。
結局それかよ。
それなんでしょうけど。
なんか考えるの馬鹿らしいなあ。
ってそれが「考えない練習」…ってあれ? 

Photo_2


  

★「一巻完結名作コミックフェア」中間報告

展開して約3週間経ちましたがなぜかこれが一番売れています。

○「世界最後の日々」山本直樹(イーストプレス)

Photo_3

山本直樹の作品集。
表紙見てわかると思いますがエッチ度お高めです。
昔出てた「フラグメンツ」というシリーズに収録されていた作品が多いので氏のファンの方であれば読んだことある話が多いかもしれませんが、山本直樹を読んでいないという方にはちょうどいい本だと思います。
なんていうか芸術的というか、感受性多い時期に読むべきマンガだなーという気がします。

フェアの中ではあんまり売れてませんがちょっと好きなマンガ。

○「森山中教習所」真造圭伍(小学館ビッグコミックス)

Photo_4

周囲の人々や出来事に関心の薄い大学生・清高くんが田舎の自動車教習所(非公認)で免許を取る何ヶ月間を描いた青春マンガ。
ほのぼのとした情景の中に一瞬宿る暗さが80年代の日本映画ぽいというか。
これ映画化するなら監督は山下敦弘がいいな。
清高くんは誰でもいいけど、清高くんの唯一の友達にして重要なキーパーソンの轟木くんはARATAにやってほしい。
ってなんか松本大洋に引きずられてるなあ。

★コミックといえば

「宇宙兄弟」の原画を借りられたので店内に貼ってます。6点。

Photo_7

面白そうだなと思いつつ読んでない…。

 

★気になる本

○「キャベツ炒めに捧ぐ」井上荒野(角川春樹事務所)

Photo_5

以下あらすじ。

東京の私鉄沿線の、小さな町のささやかな商店街の中に「ここ家」がある。
こだわりのご飯に、ロールキャベツ、肉じゃが、コロッケ、ひじき煮、がんも、あさりのフライ、茄子の揚げ煮、鰺のフライ・・・・・・、「ここ家」のお総菜は、どれもおいしい。
オーナーの江子は61歳。
友だちとダンナが恋仲になってしまい、離婚。
麻津子は、60歳。
ずっと想いつづけている幼ななじみの年下の彼がいる。
一番新入りの郁子は、子どもにもダンナにも死に別れた60歳過ぎ。
3人は、それぞれ、悲しい過去や切ない想いを抱きながらも、季節ごとの野菜や魚などを使い、おいしいお総菜を沢山つくり、お酒を呑み、しゃべって、笑って、楽しく暮らしています。

読んでないけどこれから読む。
なんかいい匂いがするよ!

 

★気になる本2

○「八角文化会館 創刊号」(八角出版部)

 

Photo_6

日本地図共販という地図・ガイドを専門に扱っている取次店に行ったときに見つけて持ってきた謎の雑誌。
特集が「終末観光 革命的なニッポンの旅へ」。
「週末観光」じゃないっすよ。
「終末観光」。

どんな観光かというと、

■妊娠ヘビのお腹を裂いて、生きた子ヘビを踊り食いさせるレストラン
■かつて遊園地は屋上にあった…消えゆく屋上遊園地をチェック!!
■福島県田村市に発生した、「カッパ村」の謎に迫る!
■日本全国にあったという「軍国酒場」その扉の向こうに現れたのは…
■旧式タイプのかっこいいボウリング場を探せ!

なんじゃこりゃ…という内容ばかり。
詳しくはこちらをご参照。
http://www.hakkaku.cc/cultureunion/

すぐに連想された方も多いと思いますが、この「八角文化会館」はあの中川翔子タンも読んでいるという「ワンダーJAPAN」に似ています。

と思ったら後ろの方に「ワンダーJAPAN関口編集長に聞く雑誌のつくり方」というインタビュー記事が。
「これからおたくのライバル誌を作るんですけど、どうやって作ったらいいですか」と聞きに行く方もおかしいけどそれにちゃんと答える方もおかしい。
で、散々「企画がなかなか理解してもらえない」だのなんだの語っておいて最後に「で、何の雑誌なんですかこれは?」と聞くワンダーJAPAN関口編集長が最高です。

 

★これはいい本

 

Photo_8

○「最強!からあげ本」(ダイアプレス)

大分県中津市が「からあげの聖地」だということをこの雑誌で初めて知りました。

こんなレポートがありました。
http://portal.nifty.com/special04/09/06/

行きてー。

 

★「AERA」の中吊り広告っぽく愚痴ってみる

野田首相の本が入ってこないノダ。

Photo_9

« August 2011 | Main | October 2011 »