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July 2011

July 29, 2011

二度あることは三度ある

プロレス界の夏の風物詩・DDT両国国技館大会「両国ピーターパン」に今年も行ってきました。

Ryogoku1


プロレスというと興味のない方は「アレでしょ、プロレスってアレだからアレしてるんでしょ」とか「ハダカでヤバンなアレでしょ」とか「血流してアレなんでしょ」とかそんな感じでアレコレ言われてしまうのですが、そういう方にこそ一回この両国ピーターパンを見てもらいたいなーと思います。
そういうのを超えた、絶対になんかしら感じるものがあると思うので。
たぶんディズニーが好きな人はそうやってディズニーランドに、劇団四季が好きな人はそうやって「ライオンキング」を見せに連れてくんだろうと思いますが。
すべてに言えるのは「人間は美しい」という表現の多彩さ。
プロレスがある国に生まれてよかった。
DDTを見られてよかった。
これ読んで気になった方、来年は一緒に行きましょう。
もっとも来年は両国じゃなくて、日本武道館だけど。

Ryogoku2


 

★毎年恒例

ということで今年もやってます。怖い本。

 

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「怖い人」の始めの方をパラっと読んだんですが…なんかこう、キーワードがありますな。いろいろ。うん。怖いっていうより気色悪い、のも多々。

そういえばこれも怖いっていうより気色悪い。

○「ハカイジュウ」(1~4巻まで発売中、以下続巻、秋田書店チャンピオンコミック)

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『進撃の巨人』の次はこれじゃない?みたいな感じで薦められたんですが、確かに系統は近い。
普通の高校生活を送る男子高校生の元に、あるとき突然現れる謎の生命体。
周囲の人が無残にグチャグチャ死んでいくのに、ヘンなところだけ日常的だったり。
街を壊滅させる謎の生物から必死に逃げる主人公が何か情報出てないか、と思ってケータイでテレビ見ようとするとやってるのはおちゃらけバラエティ番組だったり。
この辺の「非日常に潜む日常性の滑稽さ」というのは花沢健吾の「アイアムアヒーロー」でもよく描かれますね。

それからこんなのもあったので置いてます。

○「憎鬼」デイヴィッド・ムーディ/著 風間賢二/訳(武田ランダムハウスジャパン)

 

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しがない公務員のダニーは通勤途上、ビジネスマン風の男が老女に襲いかかり容赦なく殴打する場面に遭遇した。その後街では平凡な市民が突然凶暴化し、見ず知らずの他人を、友人を、家族を襲う事件が頻発する。メディアは彼らを“憎鬼”と名付けた。死者は増え続け、ダニーは家族と自宅に閉じ籠るしかなかった。やがて軍隊による“憎鬼”狩りが始まり、ゴーストタウン化した街にも希望が見えたかに思えたが、ある朝ダニーの身近に予想しなかった事態が!―。

なんか多いですね。
ゾンビブームなんでしょうか。

 

★マイケル・サンデルよりギエロン星獣

○「ウルトラマンと正義の話をしよう」神谷和宏(朝日新聞出版)
 

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ウルトラマンは必ず怪獣を倒します。
怪獣は必ず地球人を苦しめる悪として描かれます。

けど怪獣にだって怪獣の理由があるから地球にやってきたんじゃない?
ウルトラマンが怪獣を殺害するのは本当に正義なのか?

とウルトラマンシリーズ通じて多種多様な作品から細かいエピソードを拾いだして「正義」について考察する本。
これは深いです。
たとえば「ウルトラセブン」シリーズで地球を襲うギエロン星獣は地球防衛軍が宇宙で惑星攻撃兵器「R1号」の発射実験を行ったことが原因で故郷の星を失ったために地球を襲います。
そしてギエロン星獣が吐くのは「R1号」に搭載されていた放射能…。

今の状況を考えると複雑な気分になること極まりない設定ですが、そもそもウルトラシリーズがここまで深い話を作っていたということを知りませんでした。
脚本家の一人いわく、
「ウルトラセブンの正義感はフラフラしている」
という話も興味深い。
おもしろい本だと思います。

 

★なんか売れてる本

地味な本ですがずっと売れています。

○「生物学的文明論」本川達雄(新潮新書)

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常日頃わたしたちの周りで展開される科学的な見地でなく、生物学の見地から現代社会を見た本。
生物の形には意味がある、とか「人にやさしい」という見解の不自然さとか、目からウロコな話がいろいろ出てきます。


○「形態の生命誌 なぜ生物にカタチがあるのか」長沼毅(新潮選書)

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こちらも生物の本ですが地味に売れてます。
ヒマワリの花はなぜ美しい螺旋を描いているのか?
シマウマや熱帯魚はどうして「アニマル柄」なのか?
数学者もびっくりした蜂の巣の六角形構造とは?
とかそんな話。

 

★私信

明日から2日ほど大阪に行ってきます。
伊野尾書店は元気に営業してます。

(H)

July 20, 2011

なでしこジャパン世界一おめでとうございます

といいながら決勝戦ですらちゃんと見てないんであまり語れないんですが、速報雑誌は明日あたりからワラワラと書店店頭に並び始めます。
今日出た週刊サッカー誌なんかも巻頭カラーが載ってましたね。
月曜の早朝の試合が水曜売り、つまり火曜日の午後には輸送体制に入っている雑誌に載っているというのはいったいどういう印刷スケジュールになってるんでしょうか。すごいなあ。

ところで今回試合以上に気になったこととして、どこかのワイドショーのレポーターが決勝戦後に澤選手のお母さんに「料理はできるのか?結婚の予定は?」という質問をしていて、「それってセクハラでは?」という論議がされているのをネット上で目にしました。

セクハラかどうかは一旦置いておきて、これって根が深いなーと思いました。
というのはそれを聞いたワイドショーのレポーター(あるいは質問を指示したディレクター)の後ろには「女子はスポーツの世界で頂点を極めても結局は結婚しないと幸せになれないんじゃない?」と口には出さないけど潜在的に考えてる人が多いからそういうことを聞くのであって。
誰もそんなこと思ってないのにレポーターだけが聞いたらもっと「はい?」っていう感覚になるんだろうし。

たとえば「成功した女性社長」みたいなインタビューがあったとき、いろいろ成功に至るまでの話や苦労を聞きつつ、必ず「で、結婚はしてますか?家事はどうしてるんですか?子どもは育ててるんですか?」みたいな質問がついてきます。
そこで「結婚はしていない」ということになると、「仕事は成功しててもそれじゃ寂しくない?」というような空気が蔓延しています。
逆の言い方をすれば、そこで「あ、そうですか」で終わりにならない。

たぶんそれは「結婚→子育て以外の年の取り方をしても楽しそうな人生」という女性のライフプランがはっきりメディアから世間にプレゼンされない限り、なくならないんだろうなと。
ワイドショーのレポーターの質問は不躾ではあるけど、そのことを提示している気がなりません。

こういう問題をもうちょっと突っ込んでみたい方にはちょうど良さそうな本が今棚にありますので、よかったらご一読をおすすめします。

○「結婚帝国」上野千鶴子・信田さよ子 著(河出文庫)
 

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「結婚がすべてなの?」というテーマの対談集。

 

○「セクハラの誕生 日本上陸から現在まで」原山擁平(東京書籍)

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こちらは私も読みました。
男女雇用機会均等法が公民権運動のオマケのように生まれたという話は知りませんでした。
「女性が男性と同じように働く」までは長かったんだな、と知らされる話がたくさん出てきます。

★上半期売上ランキング

2011年も折り返し地点を過ぎたので上半期の売上げベストを出してみました。


(総合)
1、謎解きはディナーのあとで         小学館
2、老いの才覚                ベストセラ-ズ
3、心を整える。 勝利をたぐり寄せるための  幻冬舎 
4、くじけないで               飛鳥新社   
5、もし高校野球の女子マネージャーがドラッカ ダイヤモンド社
6、誰も教えてくれないお金の話        サンクチュアリ
7、日本はなぜ世界でいちばん人気があるのか  PHP研究所 
8、マネジメント エッセンシャル版 基本と原 ダイヤモンド社
9、原発のウソ                扶桑社
10、日本人が知らない幸福          新潮社

(文庫)
1、八日目の蝉                中央公論新社
2、ダイイング・アイ             光文社 
3、みなさん、さようなら           幻冬舎    
4、わたしを離さないで            早川書房   
5、あの頃の誰か               光文社
6、プリンセス・トヨトミ           文藝春秋   
7、紀伊ノ変 居眠り磐音江戸双紙  36   双葉社    
8、新世界より 上              講談社   
9、姥捨ノ郷 居眠り磐音江戸双紙  35   双葉社  
10、阪急電車               幻冬舎


でもね、本当は「謎解きはディナーのあとで」や「八日目の蝉」よりも、もっと売れた商品があるんですよ。

それはこれ。

○「復刊アサヒグラフ 東北関東大震災」(朝日新聞社) 

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雑誌増刊扱いなんで普通にやるとセールスランキングにカウントされないんですが、調べたら圧倒的でした。
たぶん、上半期全国の書店で一番売れた商品ではないでしょうか。
ちなみに昭文社の「文庫地図 東京 6版」も総合13位に入ってました。
これに限らず地図は震災直後よく売れました。
地図は安定して売れるけど、それでも半年スパンでこんな上位にあるのは珍しいです。

震災から4か月たって、余計震災が見えにくくなった気がします。
当事者と傍観者があるとしたら、東京が当事者になったのは最初だけであとはずっと傍観者であり、なにか大きな線引きがされてしまったような感覚があります。
原発に関してはいろいろあるけど、結局福島の人々に「すみません」という気持ちでいっぱいです。
だってあれ東京で使ってた電気だよ。
東電がどうとか国の原発政策がとか利権がとかいろいろ言うけど、結局そんなので作った電気で私たちは都市生活を過ごしていたわけで。
もうホントすみませんという気持ちでいっぱいです。

たしか「創」に載ってた記事だったと記憶していますが、森達也がどこかの大学で講義をすることになって「震災後のメディア」というテーマで授業をしたところ、ある女子学生が
「震災があって東北の人々は生活や人生がメチャメチャになってしまったのに、テレビはもう韓流スターがどうとかどこかのスイーツが美味しいとかそんなのに戻ってしまっている。おかしいと思いませんか?」
と泣きながら発言したというの対し、森達也が…なんて言ったんだっけ。
なんかすごくいいことを言った気がしたんですが、今月の「創」は完売してしまった上に「創」で読んだかどうかもうろ覚えなのでわかんなくなってしまいました。すみません。

確か「その罪悪感はメディアに向けてというより何もできない君自身への罪悪感だよね」みたいなこと言ったと思ったんですが、誰か知ってたら教えてください。

実際、震災以降「報道はどうだったか」を検証しているのは「創」ぐらいだと思うんで、チェックしてみてください。

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★直木賞

池井戸潤さんおめでとうございます。
受賞作の「下町ロケット」は未読ですが、「かばん屋の相続」(文春文庫)も名作なので是非。

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★余談

○「お風呂でやせる本」(だいわ文庫)

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という文庫が今よく売れてるんですけど、いかんせん作りそのものは普通の紙の本なので、本当にお風呂で読める材質だったらもっと売れたんだろうなーと。
でもそうすると値段がハネ上がってしまうんだろうなーと。
難しいです。

(H)

July 13, 2011

最近もっとも心ゆさぶられたコミック

ちょっとテンションが上がる本を見つけてしまったので一冊の本だけでエントリあげてみます。

○「日本をゆっくり走ってみたよ ~あの娘のために日本一周~(1巻)」吉本浩二(双葉社アクションコミックス) 

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主人公は売れない漫画家です。
36歳独身男性。
最近、長く続いた連載を終えたばかりの彼は思います。

「Eさんに会いたい」

Eさんというのは主人公があるお花見の会で出会った7歳年下の女性書店員です。
花見の帰りに二人で電車で帰り、その後も他の人間を交えた会食で何回か会い、時には彼女の勤める書店に資料を買いに行って会話をする、そんな交流でした。
しかし、ある時Eさんは実家の栃木県宇都宮市に帰ってしまいます。
「今度二人で遊びましょう」
のひと言が言えなかった自分を悔やみ、彼は決意をします。

「Eさんに会いに行こう」

けれど突然会いにいったら不自然だ。
そんなとき、彼の唯一の趣味であるバイクが目に入ります。

「バイクのツーリングの途中で寄った、と言えば不自然ではないのではないか」

「なんならそのままバイクで日本一周をなしとげたら、Eさんにふさわしい強い男になれるのではないか」

いろいろ突っ込みたいところはありますが後回しにして先に進みます。

そして彼はEさんと宇都宮で会う約束をとりつけることに成功し(この時点で「おお!」と思いましたが)、バイクにたくさんの荷物を載せて東京を出発します。
Eさんと彼が宇都宮でどのような時間を過ごしたかは本を読んでもらうとして、別れ際、彼はEさんに唐突に宣言します。

「今から僕は日本一周の旅に出ます。全部回ってきたら、もう一度Eさんに会いにきます」

日本一周して、強い男になって帰ってきたらEさんに告白する。
そうして彼の日本一周バイク旅が始まるわけなのですが…。

もうこのイントロデュースからしてたまらないです。
だからなんでバイクで日本一周するとEさんへの告白が上手くいくって思うのよ!全然関係ないじゃん!
そう思った方。
ホントその通り。
そんなことやってないでもっと彼女との距離を縮める方向で頑張れよ。
まさしくその通り。

その通りなんだけど、一方でこの「俺が○○を達成すれば彼女とはきっとうまくいく」という思考回路はすんごくよくわかるんですよ。
自分がまんまそうだったから。
男って時々こういう「自身で設定した体験や成果によって不安や自信の無さを埋める」ことをやろうとするんですよ。バカですね。

そしてそのバカな彼は日本一周バイクツーリングの旅に出ていくわけですが、そこで待ってるのは「BE-PAL」とか「ジパングツーリング」のグラビアに出てくるような素敵な旅先の出会いではなく、「8割のイヤなことと2割の嬉しいこと」という徹底的なリアル。

雨が降る山の中でバイクが動かなくなった時、通りがかりに助けてくれる人はいない。
困り果てて旅先から東京のバイクショップに電話し「レギュラー入れてたところにハイオク入れちゃったんじゃない」と言われ、通り過ぎてきたガソリンスタンドまでバイクを押して戻っていっても「ガソリンのせいじゃない。帰ってくれ!」と冷たく言われる。
ロードサービスに電話し、雨の中2時間待ち、かけつけた地元のバイク屋さんはエンジンを動かしてくれたけれど、感激する主人公に「かけつければロードサービスから手当てが出るから」とそっけない。
フェリーに乗ればヘンな人と同室になり、朝まで眠れない。
寝不足でバイク乗るもんだから転倒し、足を捻挫する。
「足痛い…ねむい…ケガすると旅行なんてまったく楽しくなくなるんだな…」
そりゃそうだろう。

でも、実際男の一人旅ってこんな感じじゃないでしょうか。
頭の中は旅先で知り合った可愛い女の子と仲良くなったり、同じような年代の仲間と話すようになって短期的に行動を共にしたり、そういう人たちと一緒に現地の美味しいものを食べたり…とかなんとか妄想しがちなもんですが、実際はどこ行っても一人、咳をしても一人、メシを食べても一人、というのが普通なわけで。

旅先の夜はヒマでヒマでやることがなく、仕方なしに田舎の商店で買った「週刊大衆」を読むことが最高の娯楽だった、という話なんかすごいよくわかるし。
そうなのよ。
東京で日常生活してるとあの手の雑誌は「お下劣だなー」ぐらいにしか思わないんだけど、ああいう環境になるとものすごい輝いて見えるんですね。

そんな男子の薄暗い純情と発酵した体臭が匂い立つロードムービー的ストーリーですが、私個人としては大変オススメです。
久しぶりに「作品だけで1時間語れる」マンガを読みました。

しかし…これEさんは宇都宮に帰ったあとも書店員なのかな。
まさか自分の働いている店でこの本見つけて「あ、吉本さんの本出てるー♪」って中開いてここまで自分のことが書いてあったら…いや、まあ、その前にどっかでわかるかな。
誰かEさんの物語も書いてくれ。

(H)

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