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June 2011

June 29, 2011

栄光のアーチ描け とばせスタンドへ

 

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たとえば8月の終わり頃、残暑厳しい時期の千葉マリンスタジアム。
いまは「QVCマリンフィールド」なんていう期間限定な企業名になっちゃっているけど、スタンドのどこにいても潮の匂いが漂ってくるマリンスタジアム。
なまぬるい浜風に身体を撫でられてつつ、場内に聴こえてくるのは「よばん、らいと、さぶろー!」という独特の抑揚のない場内アナウンス。
続けて場内に流される、ゆずの「栄光の架橋」。

「だかーらもうー まよわずにーすすめばいいー」

球場の大半を埋めるロッテファンが声を合わせる。

「えいこうのー かけはしへとぉ~」

場内の音楽がカットアウトされてもライトスタンドに残る「とぉおおおおおー」の余韻。

伸ばした声が途切れ一瞬の静寂のあと、沸きたつような「さぁ!ぶろぉおおおおー」の大コール。

カクテル光線に照らされてバッターボックスに入ったサブローはそれを気にしているのかいないのか、深くヘルメットをかぶってバットを構える。

あの瞬間が、たまらなく好きでした。

プロスポーツだから、選手の異動は当たり前だし、表に出ない事情もきっとある。
これからどうなるかわからないし、サブローにもジャイアンツにも、交換トレードの相手となった工藤選手にもさらなる発展が待っているかもしれない。

それでもこれだけはわかっている。
みんなで「栄光の架橋」を歌ったあの瞬間、つい昨日まではスタジアムに行けば当たり前にそこにあると思っていた瞬間は、もう二度と用意されない。

「好きなスポーツチームがあるというのは生活に張り合いが出て、幸せですよね」と特段好きなスポーツチームを持たない友人に言われたことがあります。
けど本当はひいきのチームが勝つか負けるかというのは小さなことで、本当は「当たり前に続くと思っていたものが唐突に打ち切られる」ことを見に行っているんじゃないかと。
特に野球は冬場を除いてほぼ一年近くやっているので、毎日同じ人たちが同じような試合をやっているように思ってしまうけど、本当は「今日試合に出てた人が明日も試合に出るかわからない」ものです。
そしてそれを見ている自分たちも、同じようでいて少しずつ変化している。
別にひいきのチームがなくても、思い当たる節はあるはずです。

自分と同い年の有名選手が、気がつけばベテラン扱いされていた。
自分よりはるかに若いと思っていた選手が、気がつけばチームの中心選手になっていた。
自分より年下なのに引退していく選手が出てきた。

プロスポーツを長く見ることは、変わらないようで変わりゆく人生をそのまま見るような気がします。
だから長く見れば見るほど、ドラマは生まれる。
スポーツ観戦の最大の醍醐味はそこにあるんじゃないかと私は思っています。

 

サブロー、長い間ありがとう。
入団当時、球団がイチローにあやかって「サブロー」という登録名をつけた時、正直気の毒だと思った。
けど、そんなネタみたいな名前を、あなたは努力と結果でブランドに変えてみせた。
そのことを俺たちは生涯忘れない。

ロッテ:サブロー巨人へ
http://mainichi.jp/enta/sports/baseball/news/20110630k0000m050024000c.html

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★夏っぽいもの

だいぶ個人的な語りが過ぎました。本屋に戻りましょう。

っていきなり本じゃありませんが。

 

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夏うちわ。
うちわに文章書いて、封筒に入れて送れます。おしゃれです。399円。

  

★SFとはスコシフシギの略

○「藤子不二雄Aのブラックユーモア 無邪気な賭博師」(小学館ビッグコミックススペシャル)

 

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内容はその名が示す通り、若干後味の悪いブラックユーモアなオムニバスです。
モテないことに気を病む内気な男性、ストーカー、社会に適合できないマザコン社会人、外国で見栄を張って手痛い思いをする日本人観光客、閑職に追いやられてなお会社にしがみつこうとするサラリーマン、ギャンブル中毒、隣人トラブル…。
しかし解説で真保裕一が書いているように、藤子不二雄Aが本当に恐ろしいのはストーリーもさることながらこういった「現代病」的な題材を40年前に描いていたことです。
昭和40年代半ば、こういった問題は社会の隅々ですでに起きてはいたんでしょうが、名前もついていない、認知もされていない、「個々人の問題」として片づけられていたのが大半だったのではないかと思います。
そしてそれらをサポートするシステムも社会全体に整っていなかったから、関係者に架せられた重圧は今の比ではなかったのではないでしょうか。

ちょうど今月号の「映画秘宝」も「1970年代映画特集」だったんですが、70年代というのは「現代の始まり」という時代だったように見えます。
逆に言うと40年前に藤子不二雄Aが着目した社会の病理的なものの多くが今はなんらかの形で解析されてしまい、表現者からするといささか題材を出しにくい時代なのかもしれません。

 

○「きっついお仕事」(鉄人社)

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ゴミ収集業者・養豚場飼育員・害虫駆除・ホモ雑誌のグラビアモデル・ラブホテル清掃員・日雇い土木作業員・バキュームカー作業員…といった具合に、およそ想定できる「きっつい仕事」の体験ルポ。
ほとんどが実際どういう風になってる仕事かわからない職種ばかりなので、普通に面白いです。
しかもどうやって撮ってるのか、写真が結構あるので様子もわかるし。
養豚場って命がけだな、とか、ピンサロ従業員の「店の子とプライベートで付き合うと罰金50万円」って!とかいろいろ知ることができます。

後半出てくる「パン工場」のひたすらベルトコンベアーから商品をカゴに移す作業(単調ゆえに時間が過ぎるのが遅い)というのもこれはこれでキツそうだなーと。

 

★HeyHeyおおきに毎度あり

「木村拓也写真集・予約受付中」という張り紙を掲示していたところ、
「これだと亡くなった野球選手になっちゃいますよ」
とお客さんに指摘されるまで3日間スタッフ誰一人気がつかなかったのは内緒です。
http://oops-music.com/info/view_news.html?nid=67591

そんなわけで予約受付中。

(H)

June 23, 2011

教えてよ人はなぜ探し続けるの

先日、荻窪で行われた「ブックンロール」というイベントに参加してきました。
出版業界関係者がバンド演奏したりトークショーしたり、なんかそういう大人の文化祭的なイベントで、壇上に上がる方々は皆カッコいいんだか悪いんだかわからないけど「俺はモテたい!」というリビドーだけは大変伝わってくるイベントでした。
なんかトークショーも真面目な話しているようで結局某店長がバイトの応募に来た女の子を面接だかナンパだかわからない理由で採用前に店の近くのカレー屋に連れて行っている(それもおそらく日常的に)というのが判明したぐらいで。

でもこういう「俺はモテたい!」というエネルギーは重要で、自分もだんだんぼんやりした年頃になってきたのもあって「モテたい!」よりも「今さらがんばってもなあ」みたいなシャキッとしない考えに陥りがちです。
なんで、「ああこんなんじゃダメだ、やっぱり俺も頑張ろう」という気になりました。
このところいろいろ停滞気味だったんですが、エネルギーもらった気がします。
棚作りのモチベーションってモテたいというモチベーションと似てるしね。
こんなんじゃダメだ!って思ったり、他からはどう見えるんだろう?と考えてみたり。
そういうエネルギーを今週はいろんなところでもらいました。
飯伏幸太はIWGPジュニア取っちゃうしね。
え、飯伏幸太って誰って?
そんな人にはこの名言を贈るよ。
「飯伏幸太を知らないなんて、人生の楽しみを半分失ってる。」
http://togetter.com/li/149136

 

★「キャリア」ってもともとは登山用語

○「『キャリアアップ』のバカヤロー 自己啓発と転職の“罠”にはまらないために」常見陽平(講談社+α新書)

 

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ビジネス書というのはこの出版不況と呼ばれるご時世でもあまり売れ行きが下がっていないジャンルです。
「もしドラ」の大ヒットで今またドラッカーの本が売れたりしていますが、売れる本の種類は違えどいつの時代でも組織内のマネジメントや自己啓発の本は需要があります。
企業が右肩上がりをめざすように人もまた右肩上がりな人生をめざしたがるものなので、「5年後は今よりもいい給料を」「上の役職を」「やりたい仕事を」というのを目標にするものです。
いつからかそういった仕事における上昇志向を「キャリアアップ志向」と呼ぶようになりました。

が、ちょっと待てよ。
そもそも「キャリア」って、「歩んできた道のり」だろ?
振り返って初めて見えるものだろ?
アップするもんでもダウンするもんでもないだろ?

というのが本書のメインテーマ。
「なんていいテーマだ」と思わずにはいられませんでした。
最近ではいろいろ「頑張るな」とか「くじけないで」とか「くじけな」とかなんとかいろいろご助言してくれる方がたくさんいらっしゃいますが、こういう仕事している人がポッと足元を見つめるような本があまりなかったものですから。

でもあんま売れてません。
なんででしょう。

その原因はわかりませんが、この本で常見さんが言うことは大変真っ当で、面白味はあまりありません。
経験を大事にしろ、とか、自己啓発は仕事にフィードバックできればいいがそれ自体が目的になっていないか、とか、無駄な飲み会には出るな、とか。
結局仕事もダイエットも抜け道的な「まったく新しい画期的な方法が!」みたいなのは嘘で、当たり前のことを地道にやっていくしかないんだなあと思い知らされます。

ってそもそもこの本の中に「結局売れるビジネス書に書いてあるのはドラッカーか『7つの習慣』といったすでに評価の確立した本で言ってることの焼き直しが多い」って話が出てくるんですけどね。
結局地道だよ地道。

 

★オビの「想像を絶する危険な季節」というコピーが秀逸

○「1993年の女子プロレス」柳沢健(双葉社)

 

1993


ご承知の通り私は20ン年に渡ってのプロレス狂いなわけですが、実は女子プロレスについてはあまり見てなかったので詳しくありません。
そりゃ一般人よりは選手の名前とか知ってるけれど、ほとんど見てなかったので細かい話はわかりません。

そんな私がこの本を読んで思ったのは「女と女が争う世界は怖い」ということで。

後輩をいじめないと自分が先輩にいじめられるという絶望の連鎖。
理不尽な暴力を受けたことを次の日には忘れないと続けられない生活。
自分の地位を脅かそうとする伸び盛りの若手をわざと骨折させて追い落とす先輩選手。
他団体で活躍した若手選手が帰ってくると待っているのは賞賛の拍手でなく「おまえのプロレスは嘘のプロレスだ」という絶対否定。
「骨折なんていずれ治るんだから怪我に入らない、骨折しながら試合するのは当たり前」という狂った環境。

そしてこの本が怖いのは、人によって事実がまったく違う認識になってたり、もう20年経ったのに「○○の話はしないで」という軋んだ人間関係がまだ残っていることで。

同じような環境の宝塚とか内部はどうなってんだろう、と余計な詮索をしてしまいました。
女子プロも今はだいぶスポーツライクというか、明るく健全な形になっているようですが。

 

★時代の…流れ?

○「官能小説家・烏賊川遥のかなしみ」蒼崎直(徳間書店リュウコミックス)

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主人公は官能小説を書き続けてウン十年のベテラン作家、烏賊川遙先生。
その先生の作品の挿絵をずっと描かれていた師とも仰ぐ絵師さんが亡くなられてしまいます。
そこで代わりに紹介されたのが挿画家の孫にあたる萌え系イラストレーターMOMOZI君。
目的は同じ“エロ”のはずなのに、なぜここまでアプローチが違う!?というジェネレーション(以外にもいろいろな)ギャップが楽しいコメディ漫画。

作者が女性というのもあり、官能小説家という薄暗いものになりがちな世界を「天才柳沢教授」のようなクスッとした笑いと温かさで包み込む漫画です。
たとえばMOMOZI君の依頼で烏賊川先生がギャルゲーのノベライズに挑戦する話は、
「先生、5人の妹とのラブラブH、ラストはハッピーエンドでお願いします」
「5人の妹と関係持っておいてハッピーエンドって…そんなのあるか!」
「やだなあ先生、ギャルゲーではこれぐらい普通ですよ」
といったチグハグな会話が実に笑えます。
まあなんつーか…日本ってすげえなあ。

 

★おまけ

今週、震災後初めて「るるぶ福島」が1冊売れていました。

いや、わかんないですけどね。目的とか用途は。

でも思いました。

どうもありがとう、って。

(H)

June 09, 2011

「余計なものはバッサリ捨てろ」と言うけれど

昨年「断捨離」という整理術がちょっとしたブームになりました。
流行語大賞にもエントリーされてましたね。
その断捨離関連の新刊が、この一ヶ月くらいのあいだでなぜかまとめてぽぽぽぽーんと出てきました。
はいこんな感じ。


○「俯瞰力 新・生き方術 断捨離 続」(マガジンハウス)

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そもそものきっかけになったベストセラー「断捨離」の続編。


○「見てわかる、断捨離 公式ビジュアルムック 」(マガジンハウス)

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文章でなく写真で説明した雑誌的な作り。
ちなみに「公式」ってついてるけど、他の本もたいがいどこかに著者のやましたひでこさんが絡んでたり。

 

○「心と体を浄化する断捨離ダイエット 体を汚すモノを断つ!たまった毒素を捨てる!太る習慣から離れる!」(世界文化社)

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断捨離はダイエットにも応用できるそうです。

 

○「仕事に効く『断捨離』」 (角川SSC新書)

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仕事にも応用できるようです。



○「不思議なくらい心がスーッとする断捨離」 (三笠書房王様文庫)

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断捨離関連で唯一の文庫。

 


○「ひと目でわかる断捨離入門 幸せになる新・片づけ術」(マキノ出版)

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『壮快』『安心』『ゆほびか』といった雑誌を出してる会社らしく、「断捨離したら人生変わった!」的な体験談がチラホラ。

 

この他にも去年出した関連本がいくつかあるので店頭はそれこそ断捨離したいぐらいあふれかえっております。
断捨離とは

「断=入ってくる要らないモノを断つ
 捨=ガラクタを捨てる
 離=モノへの執着から離れる」

だそうですが…あれなんかこれ俺たちの仕事のことを言ってるんじゃ…。
特に「断」のところ。
気のせいかな。気のせいだよねきっと。うん。

ちなみにマキノ出版を創設した牧野武朗氏は『週刊少年マガジン』の初代編集長だったそうです。
へー。

あと『ゆほびか』はゆったり豊かなさまをあらわす古語で、『源氏物語』にも登場する言葉なんだとか。
参照:http://www.makino-g.jp/ad/yuhobika/rate.html

じゃあ「いとゆほびか」とか言ったりするんでしょうか。
高校で古文を教えてくれた小林先生!
見てますか!
見てたら正解を教えてください!

 

★パリの女性ってそんなすぐキレるんですか

○「パリ愛してるぜ~」じゃんぽ~る西(飛鳥新社)

 

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フランスで生活する(今はもう帰国されたようですが)日本人マンガ家によるコミックエッセイ。
「ダーリンは外国人」の現地版というか。
だいたいこういう「外国でのライフスタイル」みたいな話は女性の視点で描かれることが多いので、男性目線はそれだけで目新しかったりします。
フランスとかパリというとやたらオシャレだったりハイソサエティーなイメージが先行しがちですが、これを読むとやっぱりオシャレでハイソサエティーです。いやめんどくさそうなことも多いけど。隣人トラブルとか慣習の違いとか。
ビズ(別れ際に頬を摺り寄せる慣習)の話が面白かったです。

飛鳥新社さんからじゃんぽ~るさんの超気合入ったサイン本いただきました。メルシー!

 

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★男たちのバンカー

○「かばん屋の相続」池井戸潤(文春文庫)

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下っ端の銀行マンが遭遇する街の小さなドラマ×六篇。
読んでてあったまる話もあればツーンとくる話もあり。
一度は融資を断った町工場のために動く銀行マンが接する意外なドラマ「セールストーク」と、素行のあまりよろしくない銀行マンが手形を紛失したことで一騒動する「手形の行方」が特に面白かったです。

 

★PVでやってたタバスコ一気飲みが忘れられません

○「ロード・ウォリアーズ 破滅と絶頂」(東邦出版)

 

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だいたい40代~30代後半くらいのプロレスファンにはこの表紙だけでたまらないですね。
ロード・ウォリアーズで思い出すのは、あれは1989年だったでしょうか、日本武道館で天龍と組んだ試合で、ウォリアーズ入場してくる際に興奮したファンが彼らの入場曲であるブラック・サバスの「アイアンマン」のリズムに合わせて武道館のドアをガンガン壁にぶつけだして警備員がリアルにそいつの首根っこをつかまえて会場外につまみだしたことですね。
バブルな時代でした。

ちなみに当時彼らのマネージャーをやっていたポール・エラリングは近年イヌぞりレーサーになっているとのことです。人生いろいろですね。


★おまけ

節電だサマータイムだウルトラクールビズだとにぎやかなので、一度濡らして首にまくとずっと涼しいという「涼感バンド」という商品を仕入れました。

 

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意外に長持ちします。
700円。
炎天下にいろいろ歩いたり、一か所にいないといけない人向け。

(H)

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