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February 2011

February 22, 2011

俺色にそまれ

先週末、中井では「染めの小道」という染物のイベントをやっていました。

 

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伊野尾書店の前にもこんなのれんが出てたり。

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落合・中井地区は染物の町なんですね。
私も小学校のときに社会科見学で近くの染物工房さんにお邪魔させていただき工房の奥さんに「あら本屋さんの息子さん」と言われ恥ずかしかったことを昨日のように覚えております。
早く中井に「染物ラーメン」「染物カレー」「染物コロッケ」が生まれて石ちゃんが「通りの達人」で中井に取材に来ることを心から願っております。

 

★話題の手記を2つ

○「逮捕されるまで 空白の2年7カ月の記録」市橋達也(幻冬舎)

 

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冒頭の書き出しが素晴らしいです。
大阪のフェリー乗り場で警察官に逮捕されるまさにその瞬間の話が素晴らしく緊迫感のある描写で、あれで一気に引き込まれます。

これから裁判を控えていることもあるのか、リンゼイさん事件のことに関する言及はほとんどなく、ひたすら事件が発覚して以降の逃亡の描写です。
一貫して自分の今置かれている状況でどのような行動をすれば生きていけるか、捕まらずにいられるかという点で選択すべき行動が見えており、頭の良い人だと思いました。
無人島でヤドカリを食べたり寝るところを作ったりしてサバイブする能力もあり、自分の健康状態から取るべき行動も見えており、どうしてもお金が必要であればどこへ行って何をすればいいか、そのためには何を我慢していつ動けばいいか、そういった一連の行動力と判断力は単純に人としてすごいと思います。

説明のあまりない、淡々とした描写が続きますがそれもまた読む人になんともいえない緊迫感を与えています。
それだけになぜこんな頭の回る人があんな事件を起こしてしまったんだろう、と考えざるをえません。

 


○「何かのために sengoku38の告白」一色正春(朝日新聞出版)

 

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昨年11月に尖閣中国漁船事故の映像をYou tubeに流した元海上自衛官の本。
You tubeに流す前にまず民放テレビ局に放送してもらえないか考えてたり、それが難しいとわかるや海外のテレビ局
(「C社」「A社」というイニシャル表記ですがおそらくCNNとアルジャジーラではないかと)
に放送してもらおうと考えたり、もしYou tubeにアップロードして即削除されたら「次の方法を考えていた」り(具体的な方法については「真似されるとイヤなので書かない」そうです)、いろいろ考えていたみたいです。

この本と前後してウィキリークス関連の本がいろいろ出ましたが、合わせて読んでみたいところです。

○「WikiLeaksウィキリークス アサンジの戦争」(講談社)

○「日本人が知らないウィキリークス」(洋泉社新書y)

○「機密告発サイト ウィキリークスの真実!」(宝島社)

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★「思春期暴発」というコピーが素晴らしい

○「惡の華」押見修造(1~3巻発売中、以下続巻)マガジンコミックス

 

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青年誌でアクの強い作品をよく描いてる押見修造が少年マガジンで連載している作品。
ちなみに書名は旧字体なので、「悪の華」で検索すると出てきません。
思春期特有の痛さと過剰さとエキセントリックな激情がよく描かれてます。
20年前だったら大槻ケンヂが放っておかなかったろうなあ。
なんかイメージ近いなあ、と思ったらやっぱり作者の押見氏も読んでいたそうです。「月光の囁き」喜国雅彦。

   

★なんか続いてますが

また西武線の本が。でもこれはすごい。

○「西武鉄道完全データDVD BOOK」(メディアックス)

 

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何がすごいって、120分も収録されてるDVDには「史上初」(表紙より)という池袋~西武秩父間の運転席映像が80分も入ってるんですよ。
って80分って、これまるまるノーカットじゃないかな。すげ。
本の方も車両データはもちろん全駅データ(乗降客数とか開業年月日とか)や、変わったところでは西武鉄道グッズなんてのが載っております。西武鉄道キューピーストラップなんてこんなの駅売店で売ってたんだ。知らんかった。
ともあれ値段も若干張りますが、昨今の西武線特集の中では最強の一冊ではないかと思います。

  

★3月下旬、上野動物園にパンダがやってくる!YAH!YAH!YAH!

ってニュースが盛んですが、写真集出るそうですよ。

○「仙女と比力(仮)」二見書房 1,400円(本体)

こちらも3月下旬発売。

著者のところが「中国パンダ保護センター・日本パンダ保護協会 編」となっております。
いろんな組織があるものです。

そういやあの二頭のレンタル費用はン億円だよ、やってらんねえよ、みたいな話を現都知事が数年前イヤそうに会見で言ってましたがその問題はもういいんでしょうか。

ちなみにパンダは今現在でも和歌山のアドベンチャーワールドと神戸の王子動物園でも見られるそうです。あまりニュースになりませんが。

(H)

February 13, 2011

世界はもっと豊かだし、人はもっと優しい

副島隆彦の本を読んでいたら、昨年9月の尖閣諸島沖の中国漁船と海上保安庁の巡視艇衝突事件は米国が対米重視戦略の前原外務大臣を使って「起こさせた」事件であるという話が載ってました。

副島氏の説をかいつまんで説明すると、

  • 逼迫した財政状況と国力低下に悩む米国が、経済的にも軍事的にも急成長している中国を抑え込むため中国包囲網を敷こうとしている
  • その先兵にさせられているのが日本と韓国
  • ノーベル平和賞を中国の民主活動家に与えたのも中国の国際社会孤立化を狙ってのもの
  • 日中関係が緊密になるより、対立に近い緊迫した状況になった方が日本が米国にお金を出す口実となり、米国ならびに米国重視派の政治家は都合がよくなる
  • 漁船が巡視船にぶつかってきた映像は、海保の巡視船が2隻で漁船を挟みどうにもならなくなってぶつかったところを撮っているが、そもそも小さな漁船が武装した外国の巡視船に自ら体当たりするということはありえない話であり、また巡視船側が本気で拿捕したいなら漁船が網を下ろして漁業をしているところですればすむ話で、あの事件と映像は意図的に起こされたものである
  • そもそも尖閣諸島沖は日本・中国・台湾が領土権を主張しているエリアであり、明確な漁業権を決めていない。
  • ので、日中双方が共同で漁場をしているのが現状。
  • その地域内で突然他国の船舶を拿捕するというのは明確な対立構造を意図的に作っていると考えられる

事実はわかりません。
議論するほどの情熱もありません。
ただ、面白いなと思いました。
面白いと思ったのは、今まで接してきたニュースの中では出て来なかった見方だからです。
検索してみるとネット上で同じような主張をされている方が他にもいましたが、私が見ているブログやソーシャルサイトでそのページを紹介している人はいませんでした。
今回副島氏の本を読まなければ一生そういう見方は考え付かなかったと思います。

物事には必ず多角的な側面があります。
円錐は真下から見れば円であり、横から見れば三角形で、真上から見れば円の中に点がある図形です。
ある一人の男性のことを「優しい人」と言う人もいれば「優柔不断な人」と評価する人もいて、「仕事ができる人」と言う人もいれば「マイペースな人」と言う人もいる。
それが世界だと思います。

こうやってブログを書いておきながら言うのもなんですが、残念ながらネットは多角的な視座を得るよりもどちらかといえば同一の視座だけを集めていく特性の強いメディアだと思います。
それはそれで悪くないと思いますが、人であれ物事であれ、自分の計り知れない他者を測るには多角的な見方があった方が絶対に有効な方法だと私は考えます。
その点、本というのは比較的そういった出会いを得られやすいメディアではないかと。

先日読んだ副島氏の本で尖閣事件や世界情勢の見解以上に印象に残ったのはこの文章でした。

「人間は誰しも自分を基準とした好き嫌いと善悪観と正義判断をする生き物である。
自分を悪人あるいは卑劣漢であることを前提としてものを考える人間などいたためしがない。
人間はみな自分が正しい、善人であると思いこんで生きている。」

こないだ尾原史和さんの「逆行」を読んだときも思いましたが、普段だったら絶対手にしないエリアの本ほど、何かの後押しで読んでみると意外な発見があるものです。
だから、私はこれからもなるべく後押ししたいと思います。
普通にしてたらあまりみなさんが興味もたなそうな本を。

○「中国バブル経済はアメリカに勝つ」副島隆彦(ビジネス社)

 

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★と言ってるそばから

マンガ読みの間ではすでに興味をもたれまくられている本を今さら。

○「花のズボラ飯」久住昌之/原作 水沢悦子/漫画(秋田書店)

 

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某ネット書店にあった書店員の方のコメントがこのマンガを説明するのに素晴らしすぎるのでお借りします。

「なんという…おなかの空く漫画なのでしょう!」

ホントその通りです。
おなかすきます。
しかもこれ全然たいしたもん作ってないんです。
冷蔵庫の余りもののキムチとたまごかけご飯で作るキムチチャーハンとか、サッポロ一番塩ラーメン野菜炒め乗せとか、余ったコンビニおにぎりで作ったお茶漬けとか。
でもそれがすごい美味しそう。
原作者はかのド名作「孤独のグルメ」の久住昌之氏ですが、これは完全に『おうち版孤独のグルメ』ですね。
しっかしこの主人公の花ちゃん、「孤独のグルメ」の井之頭五郎に並ぶ名言を連発してます。
「ファイヤー!花子選手、今食欲にファイヤーしてしまいました!」とか「肉まん…肉まんかあ…肉まんという手があったかぁぁああ!!」とか。
この異常な落ち着きの無さが可愛い…のかなあ。よおわからん。

 

★おうちでグルメ

といったら、こんな本が出ました。

○「わが家で作るプロの味」(レタスクラブムック)

 

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洋食の「たいめいけん」、「つばめグリル」、とんかつの「まい泉」、イタリアンレストラン「ラベットラ・オチアイ」、そして我らが牛丼の「吉野家」と、まるでどこのフードコートかというような居並ぶ名店の味を家庭で再現してしまおう、という大変野心家な料理本。
本の上の方に「有名店の看板料理が簡単に!」というコピーがありますが…「まい泉のとんかつのサクサク感はこの生パン粉にあります」という説明がある一方でレシピにはただ「生パン粉…適量」としか書いておらず、『まい泉で使ってる生パン粉ってスーパーで買えるのと一緒なのかな?』的疑問も若干わいてきたりしますが、まあその辺は適当に。
でも吉野家の牛丼って明らかに材料費だけで一人前380円超えてそうだな…とか思ったり。
あれってホント安いんだなあと実感します。

  

★もう一丁

おなかがすきそうな本を。

○「玉子 ふわふわ」早川茉莉/編(ちくま文庫)

 

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37人の作家による玉子についてのアンソロジー。
やれ玉子料理に関する蘊蓄だったり、「玉子と私」的な思い出話だったり、玉子かけご飯がどうしたこうしたとか、ずーっと玉子の話ばっかり。
そういえば料理が趣味という知人女子が「玉子は裏切らない」という名言を前に吐いていたのを思い出しました。
隣に並べているのは当然これです。

○「たまごの本 松田美智子のハッピー料理塾」(主婦と生活社)

 

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なんだかおなかがすいてきましたので今日はこの辺で。何食べよう。

(H)

February 05, 2011

時代は僕らに雨を降らしてる

今回の大相撲騒動を見るに思うのは、どうしてメディアはここまで右向け左に弱いかな、ってことで。
相撲に八百長があるなんて今に始まった話じゃないじゃないですか。


「月曜日の朝、親方が朝稽古そっちのけで週刊ポストを読んでいました。
本場所の支度部屋にも、週刊ポストが何冊か落ちていたのを記憶しています。
みんな気にして読んでいたんです。
しかし、『こんなことよく知っているな』と感心することがあっても、最終的には『自分のことが書かれなくてよかった』ということになるのです。
こうした体験を昨日入門した新弟子から、定年間際の親方まで等しく持っているところが、相撲協会の一番大きな問題なんです。
八百長報道のたびに相撲協会は、静観というより無視に近い形でやり過ごしてきました」
(週刊ポスト編集部・編『週刊ポストは「八百長」をこう報じてきた』(小学館文庫・2000年発行)より)


そもそも今回の発端は、その前にあった野球賭博関連の捜査の中でつかんだ内部情報を警察がメディア側にリークしたからじゃないですか。
それだもんで「警察のお墨付きだ!」ってんでテレビ新聞などが一斉にワーッとやった。
その前に独自取材で記事を書いた週刊誌はどうしたかというと、ちょっと前に週刊現代が「名誉棄損」で訴えられて敗訴が確定してるわけで。
http://www.asahi.com/special/08020/TKY201011120424.html

綿密な取材を通して波紋を投げかけるために出した媒体はたとえそれが事実だったとしても敗訴するのに、自分らは何もしないで公権力のスピーカーみたいなことをやってる媒体が後ろ盾ができた瞬間に、さも正義の御旗みたいにワーワー騒いでいるのが気に食いません。
とりあえず佐藤優に聞きたいですね。
これも国策捜査の一環なのか、って。
もしどっかで佐藤優が今回の大相撲騒動についてコメントしていたら教えてください。

 

ちなみに新日本プロレスのメインレフリー兼外国人レスラーの世話役をやっていたミスター高橋氏が「流血の魔術、最強の演技」という本を出してプロレスの試合の作り方を表に出したのが2001年。
そう考えるとプロレスは相撲の10年先を行ってるのかな、って。

「もうこれで大相撲は崩壊だ」みたいな文言をあちこちで目にします。
確かに昭和の時代からほとんどフォーマットがほとんど変わってなかった「国技・大相撲」はこれで一回リセットされると思いますけど、別に消えはしないでしょ。
新しく作りなおされるだけで。
昔っから見ていた層が好きな、昔ながらの「大相撲」はもうなくなっちゃうだろうけど、新しいものには新しいファンがつくものです。
ミスター高橋の暴露やらなにやらで一度グチャグチャになったプロレスがいろいろあってまた新しい形の文化になったように、大相撲もこれから新しいフォーマットが生まれるんでしょう。
どんな相撲になるんですかね。
やっぱり興業開始、幕入り、結びの一番といくに従って派手な演出がされたり、取組前に両力士のこれまでの歴史的なものを紹介する煽りVTRが流されたりするんですかね。

相撲はこれから面白くなるよ。まず間違いなく。楽しみです。


○「おすもうさん」高橋秀実(草思社)

 

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★美味いめしにはかなわない

○「おとなの週末2月号」

 

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が新宿&新大久保特集ってのもあってえらい売れております。
もうひとつの特集の鍋もうまそうだなあ。
「おとなの週末」は毎回実においしそうな写真を使います。

そいやこんなのも地味によく売れてたり。

○「そうざい料理帖(一)」池波正太郎(平凡社ライブラリー)
○「そうざい料理帖(二)」池波正太郎(平凡社ライブラリー)

 

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★「封印」シリーズの著者が挑む新たな闇

○「パチンコがアニメだらけになった理由(わけ)」安藤 健二(洋泉社)

 

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最後にパチンコをやったのが12~13年前なので昨今の話はまるでわからないのですが、それでもCMを見てれば(そもそも昔はパチンコのCMなんかなかったけど)最近やたらいろんなアニメやらキャラクターを使ったパチンコ台があるんだなーというのは知ってました。

じゃあなんでこんなにアニメ使ったパチンコ台が増えたのか?という根本的な疑問に、「封印作品の闇」シリーズの安藤健二が例によって取材を受けられたらその様子を、断られたら断られたでその様子を粘着質に描くことで読む者になんともいえない息苦しさを植えつける、毎度ながらの作風を今作でも存分に発揮しております。

今回は主にアニメ業界とパチンコ業界のつながりをレポートしてますが、何年か前には「北斗の拳」がパチンコだかパチスロになってコミック文庫が売れる、なんてこともありました。
そういう意味ではコンテンツ業界全体の話なのかもしれません。

 

★名作(かなり偏った)、二巻でました

○「馬鹿者のすべて(2)」村岡ユウ(ヤングジャンプコミックス)

 

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相変わらず、男度数の高い素晴らしいエピソードが満載です。
心にずっと引っかかっている人間に何か言ってやろうと考える主人公、宇治田。
それが気がつけばテレビの生中継の中。
言えないよ普通何も。
何も言えず引き返すのが普通。
けど宇治田は言う。
誰かではない、自分が自分を認めたいという思いだけを言葉にする。
カッコいいんだか悪いんだかわからない、ロマンだけはあふれてる言葉。
だいたいここで終わるのが普通のマンガ。
でも宇治田は取らされる。
大人の責任を。
実感する。
社会の冷たさを。
同時に、人の温かみも。

濃過ぎる絵と、着地点の読めないストーリー。
人生のリングには上がったものの、勝つでもなく、ダウンするでもなく、タオルを投げられるわけでもなくダラダラとラウンドを消化し続けている、そんなあなたに送ります。

(H)

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