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January 2011

January 30, 2011

カキフライがあったら食べたかった

スマートフォンを買いました。
auのIS03。
auは選択肢が少ないのでラクです。
選択肢が少ないと余計なことを考えずにすむので幸せです。
だから私はメニューが1種類ぐらいしかない店が大好きです。
餃子しかない、とかタンメンしかない、というような店。
「1種類しかメニューがない店」というガイドブックがあったら絶対買うと思います。

さて、ちょいと前はiPhoneにiPad、今はAndroidのアプリ本が有象無象に出ています。
なんで有象無象に出ているかといえば結構売れるからです。
いろいろ出てますが、うちで一番売れてるのはこれ。

○アンドロイド-スマートフォン入門&ザ★ベストアプリ(学研)

 

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基本的にスマートフォンは掌の中で使えるパソコンで、掌の中でなんでも調べられるはずなのに、その掌を整備するにはやっぱり紙の本がまだまだ求められるというところが面白いなあと思います。
なんか昔もこんなこと書いた気がするな。

 

☆今週もっとも入荷が多かった新刊

○「村上春樹雑文集」(新潮社)

 

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ある学生が就職試験で「自分のことを原稿用紙四枚で説明しなさい」という試験を出され、原稿用紙四枚ではとても自分のことを説明なんかできやしない、こういうとき村上さんだったらどうしますか、何を書きますか?と村上春樹に質問していました。
それに対し村上春樹はこう答えます。

「それだったらカキフライについて書いたらどうでしょう。
あなたがカキフライと自身の距離感や相関関係を書けば、それはひいてはあなたのことを説明していることになります。
それが僕の言う“カキフライ理論”です」と。

これを読んだときに「村上春樹はなんてプロレスができる男だろう」と感動しました。
感動の仕方が間違ってるかもしれませんが。

昔、全日本プロレスに阿修羅・原という選手がいました。
ラガーマン出身の体格の良いパワフルな選手でしたがイマイチ華がなく、テレビで見ているといつもスタン・ハンセンにやられていました。
その光景を子どもだった私は「ハンセンつえーなー」と見ていました。
でも違うのです。
どんなに強かったとしても、ハンセンが一人でそこにいるだけでは絶対にその強さは見ている我々にはわからない。
ハンセンが強く見えるのは、体格がよくて一見強そうに見える阿修羅・原を簡単にやっつけてしまうからです。
この場合、やられる相手が中肉中背な永源遥や鶴見五郎ではいまいちハンセンの強さが見ている側には伝わらない。
つまり「ハンセンが強く見える」のを引き出しているのはハンセン自身ではなく、対戦する原なのです。

というようなことをおそらく村上春樹は無意識に理解しているのだと思います。
違うかもしれませんが。

そんなわけで村上春樹がプロレスを見に行ったらどんな感想を抱くんでしょうか。
「村上春樹の全日本プロレス観戦記」が載った雑誌があったら1万円くらい出してもいいから読んでみたいですね。
「卵と壁」理論は十分プロレスの思想に合致している気がするんだけど。

 

☆『よい仕事は、偶然と失敗でできている』(第四章から)

○「逆行」尾原史和(ミシマ社)

 

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デザイン業界とかデザイナーという職種は遠く感じる人が多いと思います。
私もそう思っていた一人です。
この本は営業の一環で知ることになった一冊で、最初あまり興味を持てませんでしたが半ば強制的にゲラを読まされてイヤイヤ読んでいたら意外にも入っていけてしまいました。
というのも内容はデザイン論とかそういうのより、この尾原史和さんという方の半生が滔々と語られていて、最初から何か大きな目標があったわけでなく、むしろ流れみたいな形でデザイナーになっていった話とか、にもかかわらず25歳で社長になるという目標だけは明確だったりとか、会社を立ち上げてすぐに貯金が30万円しかないのに家賃12万の部屋に引っ越したりといった、そういう細かいエピソードの一つ一つがたぶんどの業界で何の仕事をしている人でも、必ずインスパイアされるものがあると思います。

この本の導入になりそうなインタビューがミシマ社のホームページにあったのでリンク張っておきます。
いい話です。
http://www.mishimaga.com/hon-watashi/021.html


 

☆外国でいっぱしの体験をしてきた気になれる本

 

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というフェアやってます。

ってこれは我らが高野秀行さんが昔出した「極楽タイ暮らし」という本と、「インドなんて二度と行くか!」のさくら剛と、「行かずに死ねるか!」の石田ゆうすけを揃えて並べたい!という欲求だけで始めたんですけど。
ホントこの3人は最高です。
なんだろう、こういう本書いてる人にもっとスポット浴びてほしいなあ。

 

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January 22, 2011

業界の 横綱審議委員会 座して語らず LOVE注入 #senryu

なんかえらいおじさんがあつまって「本がいっぱい出過ぎてて売れ残りがいっぱい出ちゃうんだけどどうしたらいいんだろうねえ」的なことを話し合う場になぜか私のようなハナタレが呼ばれて末席に座ってきました。
なんか牛丼とフライドポテトとケーキを食べながら「やせたいんだけどどうしたらいいだろう」って言ってる人に本当は多少太ってたところで別に困らない人が「んー、少しは運動するよう言ってみたらどう?」みたいな返事をする、そんな感じの話し合いでした。
世の中にはいろんな会合があるものです。大変ですね。

そんなわけで相変わらず「タニタの社員食堂」とか「カーヴィーダンス」がよく売れてるわけですが、ちょっといいかも、って思ったのがこれ。

○『だし醤油さえあれば、誰でもできる! 老舗醤油屋さんの本格ごはん』 (ワニブックス)
 
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http://www.wani.co.jp/article.php?article=129291327198

その名の通り四国・坂出にある老舗の醤油メーカー、「鎌田醤油」さんの紹介するだし醤油レシピ。
だし醤油、これから来ると思うんですよね。
「食べるラー油」の次は絶対「だし醤油」ですって。

 
  

★店主が選ぶ「オールタイム小説ベスト5」のうち二つが今月ともに文庫化

と言われても「知らねえよ!」って言われそうですが、実際「伊野尾さんはどんな本が好きなの?」と聞かれた場合、「最近だと」という前フリをつけてからだいたいこのどちらかを挙げます。

○「八日目の蝉」角田光代(中公文庫)

 

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○「新世界より(上・中・下)」貴志 祐介(講談社文庫)

 

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「八日目の蝉」は今年のゴールデンウィークに映画公開だそうです。

http://www.youkame.com/

原作の母目線ではなく娘目線ということで若干違ったテイストになりそうですが、オフィシャルホームページで最初に出てくるのが原作の導入部のテキストということで、製作者側の原作を大事にしようという気持ちがよくわかります。
私はもう、このフラッシュムービーだけで泣きそうですね。
もうホントこの物語は心の柔らかいところをグニャっと押してきます。ダメです。

 

「新世界より」は何だろう…日本版ハリー・ポッターというか。
あんな明るくないし。
暗いし息苦しい。
けど暗いところから明るいところに出たときはひときわ光がまぶしく見える、というか、そんな作品です。どんな作品だ。

とにかく、読みだしたら没頭すると思います。

 

そいや昔このブログでも取り上げました。
http://inoo.cocolog-nifty.com/news/2008/06/post_dd27.html

そうだったそうだった。
プロレスすらも忘れて没頭したんだった。

参考にこちらも。→(単行本刊行時の紹介)http://shop.kodansha.jp/bc/books/topics/newworld/

 

そういえばここ何年か、私が「これはよかった!」って小説はたいてい本屋大賞で6位なんですよね。
http://www.hontai.or.jp/history/index.html

なんでしょう。
6位の男か俺は。
今年投票したアレも微妙に6位っぽい気がするなあ。

  

☆80年代プロ野球の裏側を全部暴露したあの危ない本も今月文庫化

○「球界の野良犬」愛甲猛(宝島社文庫)

 

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元甲子園の優勝投手にして時のアイドル、その後入団したロッテで主軸を打つレギュラーとして、のちに移籍した中日でも代打の切り札として活躍した愛甲さんの本。
「球界出禁上等!!」とヤケに月刊チャンピオン的な威勢のいいオビがついておりますがそれもそのはず、もうこの本が「こんなこと書いていいのか?」のオンパレードみたいな内容で。

・甲子園のアイドルとして大フィーバーを巻き起こした一方で地元の暴走族やファンの女の子と派手に遊び
・プロに入れば当時仲がよかった相手チームの選手(※まあライオンズの清原ですが)と試合中遊びにいく約束をし(ダブルプレーをとってる最中に「六本木11時!」と叫んで伝えていたとか)
・最終打撃成績を3割とするため消化試合では相手チームの選手といかに「記録上はヒット」にするかを相談してたり
・ドーピングをどうやっていたかを詳しく説明してたり

とまあ「おいおいおいこんなこと書いていいのか」と突っ込みたくなる記述が満載の本で。
まあ間違ってもベースボールマガジン社では出せない本ですね。危なすぎる。

そんな愛甲さんは『535試合連続フルイニング出場』(ようするに足かけ5年くらいすべての試合で途中交代・途中出場なく皆勤で試合に出続ける記録)という、いまだに破られていないリーグ記録を持っているのですが、これはもうちょっと評価されてもいい気がします。
『川崎の鉄人』とかそんな感じでね。
ちなみに『川崎の喧嘩番長』は松崎駿馬。

 

☆こういう世界もついにここまできたか

○「おまえなんぞに娘はやれん」丸山英人(電撃文庫)

 

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「憧れの萌先輩は前世では僕の娘だった」という設定が無茶苦茶なライトノベルス。
なんというか…「メイド」とか「妹」とか「ツンデレ」とかそういうのの次に来たのが「娘」とは…。じゃあ次は「孫娘」なのか、という。

でもちょっと読んだら「こういうのいいかもしれない」と思ってしまった。
なんかかわいい子がいっぱいいてふんにゃふんにゃする学園ストーリー。
甘いね。
甘酸っぱいよ。
そりゃハマるよライトノベルス。
嗚呼哀しき『気まぐれオレンジロード』世代。

 

☆本屋ですが

レミオロメンの新曲レディオヘッドのライブDVD売ってます。不思議な時代だ。

 

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January 16, 2011

現在のタイガーマスクは四代目です

あまり知られていませんが、新日本プロレスに所属するタイガーマスク選手は1995年のデビュー以来、各地の養護施設などを訪問しプロレスの観戦チケットなどを差し上げているそうです。
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20110112k0000e040054000c.html

うん、そんだけです。
あまりにも報道されてなかったんで可哀想だった。

改めて、メディアは人々が「知りたい」というニュースを集中砲火的に報道して、その集中砲火でヒト・モノ・カネが世の中を動いていく一方、その集中砲火は正しいのかとか的外れなのかとか立ち止まって考えることを許さずに雪崩式に埋めていくわけで、いろいろ考えてしまいます。

だからこんなニュースが流れる。

漫画タイガーマスク注文殺到
http://www.asahi.com/national/update/0113/TKY201101130646.html

講談社漫画文庫「タイガーマスク」(梶原一騎原作、辻なおき作画)全7巻と、続編の「タイガーマスク二世」(同原作、宮田淳一作画)全2巻の各巻に、約1500部ずつ注文がきている。

主語がない悪文ですが、前後の文脈から主語は「全国の書店」というのがわかります。ちなみにウチも注文出しています(来週の入荷になると思います)。

比較で出しますが、ちょっと前に話題になった「KAGEROU」は発売直後は10万部とかそれぐらいの単位で毎週、場合によっては数日おきに増刷を繰り返していました。
http://www.shinbunka.co.jp/news2010/12/101228-04.htm

もうおわかりだと思いますが、我々の皮膚感覚では「約1500部の注文」は「殺到」という言葉とは到底結びつかないわけです。
正直、全国の書店の最大公約数的意見としては「ま、一応注文出しとくか」くらいのニュアンスだと思います。
別に1500部の注文数を揶揄したいわけではないです。
そうじゃなくて、関係者から見れば明らかに違和感がある「殺到」という表現を使ってまで針小棒大な報道をするそのセンスに、なんともいえない気持ち悪さがあるわけです。
嘘とは言わないけど、明らかに「ニュースにしたいがための無理」です。

もちろん私は事業者ですのでただ気持ち悪がってばかりもいられず、そんな無理を通して醸造された空気に同化して商売をやっていかなければならないのですが…なんとも言えないタイガーマスクブームです。

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☆わたしたちは何を獲得し、何を失ったのか

○「A3」森達也(集英社インターナショナル)

 

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http://www.shueisha-int.co.jp/a3_mori/

現在に至る「メディアの報道と一般市民の関心の補完関係」の礎になり、かつ、もっともその関係が発揮されたのが1995年の地下鉄サリン事件を契機としたオウム真理教報道だったと思います。
森達也はメディア側にいながらこの点に着眼し、そしてほとんど唯一といっていいような独自の報道姿勢をとってきました。
それが「A」であり「A2」

その森達也のオウム真理教を追ったシリーズ第三弾。

私はポレポレ東中野に「A」も「A2」も見に行きましたが、その私でさえこの本が出てしばらく手に取りませんでした。

もういいだろ、と。
また森達也が前と同じような話をするんだろう、と。

けど年明けになって時間ができたので読んでみましたところ、そう考えた自分を激しく責めたくなりました。

いろいろ驚く話が出てきます。
報道されていない話が出てきます。
いくつかの状況と証言をつなぎあわせた末に作った信憑性の高い仮説はかなりあなたを驚かせるものだと思います。

でもただそういう、オウム事件に関する「衝撃の事実」を知ってほしいわけではありません。

麻原彰晃はサリン事件の何年も前からほとんど目が見えていませんでした。
そして、目が見えない彼はテレビや新聞を見ることはなく、情報はすべて弟子たちからの報告によって知らされていました。
弟子たちは麻原に絶対的な帰依をしています。
報告に言った時には自分の話に関心を持ってほしい。
そして人が関心を持つのは「大丈夫」という話よりも「ヤバいかもしれない」という話。
警察がオウムをマークする以上に、オウムは内部で不安を恐怖を増幅させていく。
そして不安を膨張させているこの教団をこれ以上刺激すれば暴発するかもしれないとわかっていた警察。
わかっていたにも関わらず起きてしまった暴発。
防げなかった暴発。
なぜなら、かつてこのような暴発を防いだ経験は誰にもなかったのだから。

この本を読む前と読んだあとでは、世の中が違って見えます。絶対。

世界は変わらない。

変わるのは一人ひとりの視点、視座です。
円錐が真横から見るのと、上から見るのではまったく違った形を見せるように。

森達也は「街頭でタダで配ってもいいから多くの人に読んでもらいたい」と知人に言っていたそうです。
今、その気持ちがよくわかります。
本当にいろんな人に読んでもらいたいです。

   

☆口直しに

ちょっと話が重くなりすぎたので中和。

○「Number」

 

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http://www.bunshun.co.jp/mag/number/

アスリートの食事特集。
巻頭で取り上げてるのがイチローとカズなんですが、「食事」に対する二人のスタンスがまるで正反対で面白いです。
マイペースで食べたいものを食べるイチロー。
キッチンの油の残量まで気になるくらいストイックな食事を続けるカズ。
でも共通しているのは「自分が納得できないものを食べなければいけない状況では十分なパフォーマンスを発揮できない」ということで。
二人以外にも多くのアスリートが紹介している「勝負メシ」が実に興味深いです。
やれ奥さんのおにぎりだったり、チェーン店のカレーだったり、コンビニのパンだったり…みんな違うんだな、と。

 

☆予告

次のフェアは「外国に行っていっぱしの体験をしてきた気になれる本」フェアです。
1月22日ごろから展開予定。

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January 09, 2011

オリンピックもワールドカップもWBCも何もない年ですが

あけましておめでとうございます。
新年を迎えて9日もたってから言うのも非常に不細工でありますが、中井は時の流れが止まった町ですので多少のディレイはお目こぼしくだされば恐縮です。

そういえば「時をかける少女」の撮影ロケは中井でやったそうですね。
上映してから何年も経っていまさら知るというのも間抜けな話ですが、それというのもある日アジア系の外国の方が店に入ってきて「タイムスリーパーガールムービー、ウェア?」とかそんな聞かれ方をしたのが調べるきっかけでした。
地元の人間が知らないことを外国の方が知っているのもどうなのかと思いますが。

今年の個人的な目標は「ブラブラする」ことを目標にやっていきたいなと。
正月、久しぶりに時間ができて新宿を目的もなくブラブラしたのですが、ブラ歩きして入る本屋は楽しいな、と。
紀伊国屋書店、ジュンク堂書店、ブックファースト、あとヴィレッジヴァンガード、そんなところをブラブラ見ました。
今さら何言うんだ、って突っ込まれそうですが、本屋って時間に余裕がある状態で見て回ると楽しいんだな、って。
「あ、こんな本知らない」「お、なんだこれ」といった感じで。

どこの本屋も一緒だと思いますが、12月はとにかく忙しくてバッタバタしているうちに年の瀬を迎えます。
そうするとあふれかえる業務に追われて本を「並べる」だけになってしまい、「お客さんの目線」がついなくなっちゃうんですよ。
それがよろしくない。
「忙しい」とは「心」を「亡くす」とはうまいこと言ったもんだと思います。

だから今年のテーマは「なるべく無駄な時間を作ってブラブラする」ですね。
ってか今年一年に限らないですね。
そもそもみんな正月に「今年の目標」立てますけど、別に一年限定にしなくたっていいんだろうし。

 

☆年末年始に読んでおもしろかった本

を2冊。


○「サラの鍵」タチアナ・ド・ロネ/著 高見浩/訳 (新潮社)

 

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1942年、フランス。ナチスドイツの占領下のパリで起こったユダヤ人迫害事件。
警察に連行されそうになった少女サラはとっさの機転で5歳の弟を納戸に閉じ込めて鍵をかける。
「見つかれば連れていかれてしまう。だからここに入ってて。必ず戻ってきて出してあげるから」

第二次大戦中のパリ。苛烈な時代を生きることになるユダヤ人少女のサラ。
21世紀のパリ。充実した仕事と愛すべき家族を持ち、人々の憧れのようなライフスタイルを確立したアメリカ人記者ジュリア。
物語中盤に二つの物語が交わるまでのテーマは「戦争と人々の負の歴史」。
しかし二つの物語が交わった後半は一転して「人生の目的とは?」。
後半のジュリアの行動は読む人によって賛否両論はっきり分かれると思います。
どちらにせよ、読後に深い余韻を残す物語です。

 

もうひとつ。


○「君がオヤジになる前に」堀江貴文/ 著 (徳間書店)

 

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この一~二年のあいだ、ホリエモンはとにか本を出しまくりました。
ライブドア事件の舞台裏、後日談を語った本。
日本経済、現代社会について語った本。
人生論を語った本。
小説も書いたし、恋愛論も書いたし、ゴルフの本まで出しました。

そんな中、この本は若者向けへの啓発書です。
全体は5つの章に分かれており、たとえば第一章「25歳の君へ」では「私大卒のメーカー宣伝部の入社3年目・年収600万円・恋人あり・週末起業を検討中」というやたらディテールが細かく設定された架空の「25歳」に対し堀江さんがいろんな提言をします。
こうして同じような感じで「28歳の君へ」「32歳の君へ」「35歳の君へ」と続きます。

ホリエモンのアドバイスは「会議中に食べるものをコンビニで買ってくるヤツはダメ」とか「着る服を奥さんに買ってもらうのはいいがパンツだけは自分で選べ」とか「生命保険は入るな」とか実にいろんなジャンルで具体的な提言をします。
中でも一番おもしろいと思ったのが「歯を磨け」。
虫歯は神経を抜いて詰め物をしてしまえばもう困ることはないが、歯周病など歯肉の病気になってしまうと人生の中で相当大きな比重を占める「食べる楽しみ」が奪われてしまう。
さらに、歯を磨かないと口臭の原因になる。
口臭が匂えば女の子にはモテないし、ビジネスの場でもマイナスポイントを与える。
だから「とにかく歯の手入れはちゃんとしろ」と。

そしてこの本がおもしろいのは最終章が「38歳の君へ」ではなく、「38歳の僕へ」になってることです。
長年ビジネスの世界で突っ走ってきたホリエモンは「自分のプラスにならない交友関係は不要」として学生時代からの友達や同僚、古い友達などを次々に切り捨てていきます。
しかしGLAYのライブに行きバックステージでメンバーの結束を見るに「こういう人生もあったのかな」と考えます。
オビに「迷える君に贈る」と書いてありながら、最後の最後で言ってる本人が迷ってしまう。
それが人生なのかもしれないし、それが人間なのかもしれません。


 

☆そんなわけで

何が待ってるかわかりませんが楽しみましょう2011年。
今年もよろしくお願いいたします。

(H)

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