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October 19, 2010

野宿イベント終了しました

こんな感じでした。はい。

 

(トークショー)

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(野宿)

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まあ、「楽しかったか/楽しくなかったか」の判断は来ていただいた方々の評価に、「成功だったか/失敗だったか」の判断は歴史の判断に委ねたいと思います。
今回販売はかとうさんの「野宿入門」以外にもかとうさんが発行するミニコミ誌「野宿野郎」のバックナンバーや高野秀行さんの著書を3種類と割といろんな種類の本を売ったんですが全部あわせて67冊売れました。
トークショーの進行をつとめながらちょろちょろ人数を数えてたんですが、始まったころは30~40人くらいだったのが一番多かった21時40分くらいの時間で60~70人いたんで、まあよかったのではないでしょうか。

今回こういうイベントをやってわかったことは「作家のサイン会というのは効率がいいな」ということです。
トークショー終了後にかとうさんと高野さんがサインを始めたところ、その段になってから両氏の本を買う方が結構多くて、「サインもらえるんだったら買う」という層は意外に多いのだな、と。
だったら最初からサイン会すれば効率よくね?じゃ次はサイン会だ!…って、そっか、だから大書店はみんな作家のサイン会やるんだな、とようやくその段になってわかりました。
あれは書店側からして労働効率がいい販売イベントだったのです。
大変よくわかりました。
無駄の多い生涯を送って来ました。

今回はじめて野宿というものを、それもわざわざ自分の店のすぐ脇でしてみてわかったことは「コンクリの敷地の上で寝ると背中が痛い」ということであります。
インターネットで適当に買ったコールマンの2000円の寝袋は予想以上に暖かったけど、やっぱり布団が恋しいと思いました。
あと安眠できない。
すぐ脇をバイクが通ればエンジン音とライトの眩しさで当然目が覚めますし、人がただ歩くだけでも目が覚めてしまうんですね。
ちょっと遠くからする「コツ、コツ」という靴の音がだんだん大きくなってくると一瞬自分が踏まれるんじゃないか、上からストンピングを落とされるんじゃないか、そんな不安に囚われてしまいます。
今回イベントだったんで周りに野宿してる方々が一杯いましたが、仮にこれが自分一人だったら「このまま襲われるんじゃないか」という恐怖心はかなりあったと思います。
よく中学生とかがホームレスを襲った話がニュースになったりしてますが、とんでもない話だと思いました。
たぶん、襲った中学生は「そんなこともあったな」で記憶が消えていくんでしょうが、襲われたホームレスはこれから寝てる時に誰かが近くを通るとそのたびに襲われた時のトラウマがフラッシュバックしてしまい、平穏な心境はそうそう戻ってこないと思います。

しかし、イベントに参加してくださった十何人かの人たちと一緒に自分が毎日務めている店の脇で横になって夜空を見ていると、そこかしこにある街灯のおかげで空はなんとなく薄ぼんやりしていて、当然星なんか何星かわからないけどちょっと見えるぐらいでほとんど見えず、なにより星空そのものが自分のところのビルと隣のマンションが建ってるあいだの細い隙間にしか見えず、「せっまい夜空だなあ」と思いました。
私が今まで見た中で一番きれいだと思った夜空は真冬に北海道の洞爺湖のそばで見た夜空で、あまりそういう趣味は自分では無いと思ってたんですが、あれだけはちょっと泣きそうになりました。
その宝石の海のような空に比べるとドブ川のようなくすんだ狭い夜空の下で普段自分は働いており、飲んだ時はこの下を歩いて帰っていて、この空の下でずっと年をとっていくのだなあと感傷的になりました。
これもすぐに寝られなかったら考えたことでしょうけど。

まあ途中酒盛りが盛り上がりすぎて巡回のお巡りさんに怒られたり、高野さんの著書の用意が少なすぎて最後ほとんど完売状態になってしまったり、オープニングで流すはずだった音楽をすっかり忘れてしまったりといろいろありましたが、全部含めて、非常にいい体験をしました。
私はプロレスが好きなので全部プロレスの文脈で考えてしまうんですが、プロレスはまず「受け」がないと成立しない競技なんですね。
トップロープから華麗に宙を舞う技も、頭上に相手を持ち上げて落とすような大技も、全部卓越した受け身の技術と相手への信頼がないと成立しないものです。
もちろん、ああいう身体を張った世界ですから、どんなに練習で鍛えていても選手は怪我をしてしまうことがあります。
でも、レスラーの人たちからそういう時によく聞くセリフは
「(試合で怪我をしたのは)自分が受け切れなかったせい(=自分の受け身が未熟だったから)」
というものが多く、「試合中の怪我はさせた方ではなく、した方の責任」という価値観をよく耳にします。
「プロレスは信頼関係がないと成立しない」というのはそういう意味もあるんだと思います。

なんで、私も「この人とは信頼関係が成り立つ」と判断した相手であれば、とりあえず受け身をとってみようと思ってます。
そこでなんかあったら、たとえ事前の予定と違っていても、そこまで含めて受け切れなかったこちらの責任なのです。
事前と違うことをその場でうまく回せなかった未熟さを今後の糧にしたいと思います。
私はただの本屋の店主ですが、前に本屋プロレスの記者会見やった時にDDTのリングに上がったことがあるんですね。
なんで私にもきっと「Uの遺伝子」ならぬ「Dの遺伝子」が流れておるわけです。
それを今後も書店人生で生かしていければと思います。
ってまたマニアなプロレスファンにしかわからないような説明をしてしまいましたが。

いろいろありましたが参加した方々が楽しかったらそれでよかったと思うし、こっちはこっちでいろいろと経験になりましたし、まあやってよかったかなとは思います。
そんな感じで今後もよろしくお願いします。

 

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伊野尾書店店長 伊野尾宏之

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