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March 2010

March 19, 2010

傷ついたなんて思わない ありがとうなんて絶対言わない

3月は別れの季節といいますが、今年は伊野尾書店の中の人たちがまるで変わらないのであまり実感がわきません。
私が店長になってから10年間、毎年3月になると巣立っていくアルバイトを見ていたのでこんな春は初めてでなんとなく不思議な気がします。
そんな私がこれを聞くと卒業式のことを思い出す、という局は尾崎豊の「卒業」でも荒井由美の「卒業写真」でもなく、大黒摩季の「チョット」です。
いや、歌詞は全然卒業に関係ないんですが、ちょうど高校の卒業式の頃に通っていた自動車教習所でよく流れていたもので。
そして肝心の卒業式についてはほとんど記憶が残ってません。
いかにこの日を感慨深く迎えたのかよくわかります。

  
☆ひそかな名作

○「終業式」姫野カオルコ(角川文庫)

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同じ高校生活を過ごした4人の男女の、卒業からその後20年にわたる交流の記録。
物語は手紙やFAXによるやり取りのみで構成されていますが、行間に浮かぶ青春の輝きと影が胸をうちます。
そして、卒業して、過ぎ去って、はじめてわかる自分たちのいたかけがえのない場所。
読み終わると、同じ時間同じ日々を過ごした友達に手紙を書きたくなる一冊です。

  

☆時代

○「Numberが見たスポーツと世相 1980-2010」(文藝春秋)

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スポーツとそれを切り取るメディアの30年を通してみることで、この国がどのように変わって来たのかがすごくよくわかります。
30年のエポックメイキングな出来事はすべて読む価値がある記事ばかりですが、中でも金子達仁の書いた加茂周元サッカー日本代表監督とのエピソードはあまりに深すぎて読み終えてため息が出ました。
表紙は2002年、日韓ワールドカップで日本が決勝トーナメント出場を決めた夜の歌舞伎町。
まだコマ劇があります。
東京都の浄化作戦で若干油っ気が抜け、コマ劇周辺が閑散としてしまった現在からすると今後歌舞伎町にこれだけ人が集まることはあるのだろうか、と考えてしまいます。

 

☆和菓子者必読

○「あんこの本」(京阪神エルマガジン社)

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商売柄毎日たくさんの本を見てますが、これは本当にすばらしい本です。
いやそんなに和菓子な人間ではないんですが、これは本当にすばらしいです。
見ているだけで幸せな気分になれます。
シベリア食べたい。

 

☆観光地商売はじめました

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「中井駅」キーホルダー、525円です。
西武線以外にいろんな鉄道路線の駅であるようですがどこで売っているかがわかりません。
ちなみに最初「大江戸線で作りたい」と製作元に言ったら「大江戸線はまだ許可がとれていない」という返事があって西武新宿線になりました。
東京都交通局の方、これも許してくれるのならこれもなんとか許可ください。

(H)

March 11, 2010

大橋トリオが歌う「贈る言葉」を3年B組の生徒たちはどこで聴いているのか

映画化と絡めて大ベストセラーになったミステリー大作「天使と悪魔」「ダ・ヴィンチ・コード」に続くダン・ブラウンのラングドンシリーズ第三弾「ロスト・シンボル」が発売になりました。
今回はフリーメイソンが関係してくる壮大なお話だそうです。
えー、読んでないのでよくわかりません。すみません。
そもそもその前の「天使と悪魔」「ダ・ヴィンチ・コード」も読んでません。
映画も見てません。
トム・ハンクスを映画館で見たのは「フォレスト・ガンプ」までさかのぼらないと記憶にありません。
そのときは映画そのものより同じバイト先にいたアキコちゃんを誘ってOKもらったはいいけど映画館に行ったら公開二日目の日曜日の昼ということもあってか一番前の一番左端の席しか空いていなく、二人でまるで春一番が猪木のモノマネをするようにアゴを右斜め上に突き出して見たら当然首と肩が痛くなって映画が終わったあと非常に気まずい空気になったことしか記憶にありません。
そしてその数年後に同じトム・ハンクス主演の「グリーン・マイル」を見に行かないかアキコちゃんに電話したところ「ごめん最近ちょっと忙しくて」とやんわり断られ、そうか、「フォレスト・ガンプ」で言いたかった“一期一会”とはこういうことか、と悟りを得た記憶があるような無いような。
そんなわけで「ロスト・シンボル」はきっと傑作であると思います。
読んでみてください。

 

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☆おなかがすきます

○「おいしくて心にしみる文庫たち」フェア

 

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物語に登場する食べ物がおいしそうだったり、食べることが話の中心になる本を集めました。
何カ月か前に某読書の友的雑誌に似たようなテーマがありましたがそこから半分くらい流用させてもらってます。すみません。

一冊選ぶならこんなのはどうでしょう。 

○「それからはスープのことばかり考えて暮らした」吉田篤弘(中公文庫)

 

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ある町に越してきた映画好きの青年オーリィ君と、彼にかかわる人たちとの日々の暮らしを描く短編集。
おいしそうな料理と街の人々との交流が、とてもあたたかい気持ちになれる作品です。
時間がある日の午後にカフェでゆっくり読んだりするとリラックスした時間を過ごせると思います。

 
 

☆コミックエッセイ数あれど

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外国人生徒に日本語を教える日本語学校の先生の笑いと苦労を描いたコミックエッセイ「日本人の知らない日本語」が相変わらずとてもよく売れています。
コミックエッセイというジャンルはすっかり定着し、最近だと「ママはテンパリスト」など定期的にヒット作を生み出す育児関係を筆頭に、パートナーに不倫された人の手記(「カマかけたらクロでした」)、ゲイのサラリーマンの手記(「じりラブ」)、セックスレスに悩む夫婦の手記(「ごぶさた日記」)、マイホームを買うまでの体験記(「家活 イエカツ!!」)、とまあ実にいろんなテーマの本があるわけですが、ちょっとこれはすごいなという本が入ってきました。

○「うおっ!?脳梗塞になってしまった!!」藤井昌浩・米山公啓(講談社コミックス)

 

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タイトルですべてを表している通り、脳梗塞になってしまった40代男性の闘病コミックエッセイ。
もしかすると闘病系コミックエッセイは他にもあるのかもしれませんが、この著者がすごいのは日常的に具合が悪くなっていくところから医者をたらい回しにされ、ようやく入院・手術するまでを全部事細かにマンガとして残してあることで。
普通具合が悪くなって意識を保っているのも辛い状況になったらそれどころじゃないと思うんですけど、この著者の方は記憶できるだけ記憶して書き留めておいたそうです。
なかなか「意識が朦朧としているときの周りの見え方」なんか絵に描けないと思うんですが…。
そしてこれだけの病気を笑いに転化してしまうこのお父さんの強さはすごいと思います。

 

☆店長が買ってよかったとつくづく思った本

○男飯(徳間書店ムック)

 

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見たまんまのガッツリ系ガイドですが、見やすくて探しやすくて何より載ってる料理や店の趣味が自分の好みと非常に合ったので紹介。
要するにホルモンとハンバーグとお好み焼きがいっぱい載ってると満足なのです。

(H)

March 02, 2010

君が人生のとき

キム・ヨナの演技が終わり浅田真央がリンクの脇でイヤホンをはずした瞬間から両手を高く掲げて演技が終わらせるまでの約5分間、日本列島は完全に止まっていたんじゃないかと思います。
ああ、世の中が動くってこういうことだな、と実感したのは日韓ワールドカップの日本戦以来でした。
ネットはどこもかしこも『真央・ヨナ』の書き込みで埋め尽くされ、テレビは軒並み「感動をありがとう」、今日発売の週刊誌の表紙は真央ちゃん一色です。
今週末くらいからバンクーバーオリンピックをまとめた雑誌が徐々に出ると思いますが、おそらくそれらのほとんどの表紙も赤い衣装をまとった真央ちゃんの笑顔か涙になるのでしょう。

別に悪いことじゃないと思います。
ただ、真央ちゃんで埋め尽くされた雑誌を並べながら、あることを考えていました。
「ああ、ついに朝青龍の引退記念雑誌はどこからも出なかったなあ」
と。
ロクでもない横綱、あんなに強くてもいつもヒーローになれずヒールだった横綱、いつもいつも「朝青龍ばっか勝ってつまらない」と言われ続けた横綱、そして世の中に、大人に嫌われ続けた横綱。
あれだけのトラブルメーカーだったんだから、真央ちゃんみたいに扱われないのはわかります。
でもこれだけ出版社があって、これだけ雑誌を出してる会社があるのに1社も出さないんだ、ってところに言いようのない寂しさを感じました。

業界議論みたいな場ではよく「出版の多様性」という言葉がときおり出てきます。
人文系の書籍やノンフィクションなど、ある部分ではそれが保たれているジャンルもあります。
けれど社会を映し出す総合雑誌、週刊誌のエリアになるとまったく機能していないんだな、と。
まるで一度ある意見が通るとまるで異論を寄せ付けず暴走するネット世論のように、異物の登場を受け入れない環境が出来てしまっている気がします。
かくして仕事とは、ビジネスとは「他と違う価値観を持つ」のがこれほど難しいのかと考えざるをえないです。

  

☆言葉


○「ニーチェの言葉」フリードリヒ・ニーチェ著、白取 春彦編訳 (ディスカバー)

 

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という本が売れております。
テレビで紹介したのがきっかけだったようですが、せっかくなのでこんなのを隣に並べてます。
  
○「女を磨くココ・シャネルの言葉」たかのてるみ(マガジンハウス)

 

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○「人生の言い訳」高田純次(廣済堂出版)

 

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あらためて見ると、ニーチェとココ・シャネルと高田純次が同列で並ぶんだから本ってすごいもんです。

 

☆走る

先週の日曜は東京マラソンが開催されましたが、このところランニングを特集した雑誌や書籍が増えています。
一時期自転車がブームのときがありましたが、最近はこっちに流れてきているような。
そんなわけで遅くなりましたが「ランニング棚」を作りました。

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面白いなと思ったのがこれ。

○「ドクター小山のランニング・クリニック」小山郁(枻出版社)

 

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ランニングの初心者向けの入門書はいろいろあるのですが、ランニングをして痛くなったあとの身体のケアについて書かれた本というのはあまりありません。
走ったあとにヒザが痛い、足首が痛いなどの具体的な症状ごとに原因と対策が詳しく載ってます。

 

☆店長がいま気になってる本

○「狂人失格」中村うさぎ(太田出版)

 

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中村うさぎの身を削る系ドキュメントはどれもこれも心に訴えるものがあるわけですが、それらを通り越した末にたどりついたゆえのエッセイのような、ドキュメントのような、よくジャンルはわかりませんがとにかく異様な迫力が伝わってくる本。
パラパラとしか見てないんで正確なところをまだつかめてませんが、なにか島尾敏雄の「死の棘」と同じ匂いがするような。

(H)

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