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December 2009

December 29, 2009

暮れのあまり元気じゃないご挨拶

年の瀬です。
今年も無事一年を終えられそうです。

今年は店の運営面で苦労が絶えない一年でした。
と書くとなんかすごい大変だったような気がしますが、まったく苦労のない年というのもそうそうないわけで、そういう意味ではいつも通りの年だったのかもしれません。

先日、「おはスタ」という子供向けテレビ番組の取材を受けました。
「2分でわかる憧れの職業の一日」というコーナーで、これまでに電車の運転手さんや美容師さんなどを取り上げてきたそうですが、その一環で「本屋さんの一日を撮って放送したい」ということだったので協力しました。

取材中、ディレクターさんに何の気なしに
「しかしこんな場末の、傾きかけた小さな町の本屋が子供たちの憧れの職業なんですか?働いてるこっちからするとあんまりそうは思えないんですけど」
と話すと、ディレクターさんはこんなことを言いました。

「いや、本屋さんは憧れじゃないですか。
本屋に限らず、お店屋さんは子供たちにとって憧れの職業です。
そりゃ確かに買い物するには新宿とかの大きな本屋さんの方がいいかもしれない。
けど、そういう本が好きな子供たちがなりたいのは『大きな本屋さんで働く店員さん』じゃないと思うんです。
自分でやる『本屋さん』なんです。」

言うまでもなく、今は「自分で本屋さんを始める」のが相当難しい時代です。
作家がインタビューなどで「子供のころは、大きくなったら本屋さんをやるのが夢だった」という話をしているのもよく聞きます。
「本屋さんになりたかった」の中には「なろうと思ったけど、とても食っていけそうにないからやめた」「なりたかったけど、いろんな事情でなれなかった」という部分も含まれているのだと思います。

残念ながら、街の本屋にはあまり明るい未来が待っているとは思えません。
「本屋にならなくて」、あるいは「本屋になれなくて」結果的に正解だったということも多いにあるでしょう。

でもだからこそ、みんなやめていくからこそ、みんなやらないからこそ、続けていれば存在価値が出てくるんじゃないか、そんな気持ちが私にはあります。
それもただ続けるだけではなく、いつまでも街の中で必要とされる店でいたい。
子供たちの憧れでありたい。
そのためには頭と身体を使えるだけ使って、お客さんに提示したい。
本はいいですよ、と。

10年先のことはわからない。
でも今はまだ「本屋は憧れ」と考えてくれる子供たちがいる。
いつかは憧れじゃなくなるとしても。
出版社のみなさん、みんなが読みたくなるような本をいろいろ作ってください。
本屋は自分で商品が作れません。
いろいろ作ってもらえたら、なんとか届くようにやってみます。
昔と立ち位置は変わるかもしれない。
でも必要とする人はいるはずだから。

今年も一年間ありがとうございました。

本を作ってくれた出版社の人。

本を書いてくれた作家さん。

店に置きたい本を手配してくれる取次会社の人。

本を運んでくれた運送業者さん。

うちの店で働いてくれているスタッフ全員。といっても7人しかいないけど。

やむを得ない理由で辞めていった元スタッフたち。

そして何より、うちで本を買ってくれたすべてのお客様。

感謝をこめて。
どうもありがとう。


伊野尾書店は12/31~1/3までお休みいたします。
新年は4日から営業いたします。
2010年もよろしくお願いいたします。


店長 伊野尾宏之

December 15, 2009

元町夏央さんオリジナルチラシ

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当店でも以前紹介した「中央線ドロップス」(双葉社コミック)、新刊「熱病加速装置」(小学館ビッグコミック)が絶賛発売中の漫画家・元町夏央さんがわざわざ中井まで来て描いてくれた、世界中で伊野尾書店でしか手に入らないオリジナルペーパー配ってます。
基本的には青年コミックを買ったお客様に1枚無条件で差し上げてますが、レジカウンターでひとこと言っていただければ何の商品をお買い上げになった方でもお配りします。(すいません、なんか買ってください)

ペーパーはなくなり次第配布終了となりますので、お早目にお求めください。

 

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 元町夏央さんブログ「夏の町」
 http://natsunomachi.cocolog-nifty.com/

December 14, 2009

振り返るな振り返ると終り この世はそんなもの

気がつけば2週間も更新を放置していたわけですが、これは決して店長がツイッターに興じて遊んでいるからではあり…ますね。
てかあれは遊ぶものでしょう。
ツイッターは自分にとって有益な一部の情報をいち早く得られる反面、その対価として大多数のノイズのようなつぶやきを眺めることになるわけで、興味がある人をフォローして作ったTLを見ている分には大変楽しい時間を過ごせますが、その間は他に何もしないでただ画面を見ているだけになるので、効率だけでいったらコストの悪い情報取得装置だと思います。

というわけでそんなツイッターで一躍有名になったITジャーナリストの津田大介さんの本を筆頭に、新書売り場にはツイッター本が花盛りです。
異論はあると思いますが、私は「効率的に知識を得る」面においてはネットの海から検索をかけるより、いまだに情報が編集された書籍の方が上だと思います。

○「Twitter社会論 ~新たなリアルタイム・ウェブの潮流」津田大介(洋泉社新書y)

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○「ツイッター140文字が世界を変える」小暮正人 いしたにまさき(マイコミ新書)

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○「Twitter革命」神田敏晶(ソフトバンク新書)

 

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というわけで、業界紙に掲載された「出版社や書店などで開設しているTwitter一覧」に名だたる業界企業群に混じってなぜか伊野尾書店のアカウントも入ってたりしましたが、あれは何かの間違いだと思います。
だって基本プロレスのことしかつぶやいてないし。
あとは店長がどこでラーメン食ってるか、とか。
まあたまには本のこともつぶやきますけど。
そんな極めていいかげんな書店アカウントでよければ、ぜひフォローしてください。

  

☆ベスト・オブ・ザ・ベスト

12月も半ばになって「このミステリーがすごい!」が発売になって、いろいろ総括する企画が目白押しです。
あんまり多いので「ベスト1!」とか「1位!」と謳っている本だけで棚を作りました。

 

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いっぱいありますね、1位。

あまり需要はないと思いますが、「私が今年読んでよかった本ベスト5」を作ると、

1、「中央線ドロップス」元町 夏央(双葉社アクションコミックス)

2、「ざまぁみろ!」立嶋 篤史(幻冬舎アウトロー文庫)

3、「放っておいても明日は来る― 就職しないで生きる9つの方法」高野 秀行(本の雑誌社)

4、「ヘヴン」川上 未映子(講談社)

5、「封印漫画大全」坂 茂樹 (三才ブックス)

ですね。
次点が「ウェブはバカと暇人のもの」中川淳一郎(光文社新書)といったところで。
なんだかもうちょっと見栄えのいい本を読めよという気もしますが。

個人史としては、今年一番の出来事は三沢がいなくなったことに尽きます。
実は今年は家族的にいろいろとあったりしたんですが、それを入れてなお三沢、です。
おおげさに言えば、2009年6月までと2009年7月以降では若干人生の景色が変わりました。
そういうことが、生きていると何回かあるんだと思います。

ということで2009年マイ映画大賞はミッキー・ローク主演の「レスラー」…ではなく「空気人形」。
いや、「レスラー」はBRUTUSの泣ける映画特集でも出てきたくらいだからいいかな、と。
そして2009年最優秀名言大賞には

「地獄だね。生ぬるい地獄だよ、日本は。」
   (映画「ハゲタカ」の玉山鉄二扮する中国人投資家のセリフ)

を選びたいと思います。

ってこんな“俺アワード”を発表して誰が面白いのだろう。
まあいいやここまで書いちゃったし。

 

☆ちょっとはまともな本を

○「世界一の写真集」(ピエブックス)

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「世界最大の川」「世界最古の公園」「世界最高層のビル」…といった具合に、「世界一の○○」を集めた写真集。
ピエブックスは本当にいいセンスの本を作りますね。
贈り物にもいいと思います。
世界で最も高い橋・フランスのミヨー橋にいつか行ってみたい。

http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20070223_millau/

(H)

December 01, 2009

ブラック書店で働いているんだが、もう俺はダメかもしれない

常々ボクシングはそのわかりやすいルールと裏腹に技術的な良し悪しがわかりにくい競技だと思っていますが(TVで見ててもパンチが当たったのか当たってないのか、効いているのか効いてないのかがよくわからない)、それを差し引いても内藤vs亀田戦は熱かったですね。
オープンスコアシステムという途中で明確にどちらが有利不利かわかってしまうシステムによって、亀田選手は最終ラウンドで有効なパンチさえもらわないよう防御に徹してれば勝ちは確実だったのに、そこを敢えてリスクを覚悟で打ち合いにいったところに生きざまを見た気がしました。

この試合の詳報が載る「ボクシングマガジン」「ボクシング・ビート」は15日発売予定です。

☆あ、今回のタイトルに意味は

ないこともなく、むしろアリアリにありますがまあそうなっちゃったらそうなっちゃったですよ。
ちょっと何言ってるかわかりませんね。
とりあえずこんな本を入り口そばの平台に積んでますのでよろしかったらどうぞ。

○就職先はブラック企業 20人のサラリーマン残酷物語

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☆生き方を世に問え

○「放っておいても明日は来る 就職しないで生きる9つの方法」高野秀行/著(本の雑誌社)

 

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円高は進んで今日は87円だそうです。
記憶にある限り、ドルがこんなに安くなったのは初めてではないでしょうか。
2~3年前に副島隆彦が「1ドルは60円になる」と言ってた時は「何を言ってるんだろうこの人は」と思ったものですが、どうやら「何を言っているんだ」は私の方だったようです。
海外旅行に行く分にはいい時代みたいですが、海外にモノを作って売る企業はいま大変なことになっているんじゃないかと思います。

蓮舫議員が「EXILEってこんなに沢山いりませんよね?」って仕分けをする漫画がどっかにあったそうですが、とかくどこもかしこも不況・緊縮・減少・カットというサゲサゲな時代です。
就職難は本当に深刻で、一流大学の四年生でもついに決まらず就活に疲れてしまう子や、あまりにも内定がとれずしょうがないので大学院に進学する子が私の知る範囲でも何人かいます。
「がんばれ」と言ってもどうしようもない。
「がんばるな」と言っても本人には何の慰めにもならない。
「それでいい、そのままでいい」とも言えない。

「じゃあどうすればいいんだ!?」という時代にこの本に出てくる人たちの話は本当に癒されます。

マレーシアの商社に就職するつもりだったのが直前でその会社が倒産して、けど周りの人の手前引くに引けなくなってそのまま海を渡って「どうしようか」とやってるうちに現地で仕事をみつけて次第におかしなビジネスを始めてく人。
彼氏が欲しいからダイエットしよう!とキックボクシングのエクササイズを始めたのがきっかけでなぜかタイでムエタイ選手になってしまった女性。
勤めていた仕事をやめて日々の生活のためにいろいろやっていくうちになぜか東南アジアのラオスでカフェを開くことになった人。

とにかく「何これ?こんな人生あるの?」という人の話ばかり出てきます。

まあどれもマネしろとも言えないしマネもできないような話ばかりですが、読んでるとそういう単純な「こうしろ/ああしろ」ではなく、「人生なんとかなるんだな」という気にさせられる話ばかりです。
もともとは大学の講義だったそうですが、この講義を聴いた大学生が「癒される」と言ったというのもよくわかります。
読んだあとに「こうしなくては!」とか「やっぱこうなんだな」というのではなく、「まあなんでもいいんだな」、そう思える本って素晴らしいと思います。

  

☆ひさびさに文芸書を

○「ロスト・トレイン」中村弦/著(新潮社)

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日本のどこかに、誰も知らない廃線跡がある。
その廃線跡を端から端まで歩くと、奇跡が起こる。
そんな話をほのめかして、鉄道オタクの平間さんは姿を消した。
平間さんを探す旅が、「誰も知らない廃線跡」を探す旅が始まる…。

知人が激賞していたので読んでみましたが、鉄道うんぬん関係なく面白いです。
ミステリー、恋愛、ファンタジーがいろいろ噛み合った“大人の青春小説”です。
今年の年末に読む本にイチ押しします。

 

☆だってコレステロールはうまいし

昨年くらいから料理関係はヘルシー志向を受けた野菜本が地味なヒットとなって久しいですが、そういう風潮に開き直ったように逆らった本がひっそりと出ました。

○「あぶら部 こってり料理で男子のハートと胃袋をわしづかみ!!」市瀬悦子/著(泰文堂)

 

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野菜、わかります。
摂らないといけないです。
カロリー、気になります。
太りたくないです。

でもなんだかんだいって、やっぱりアブラがうまいんですよ。
“ガーリック&バターしょうゆステーキon the ライス”とか。
“タルタルソースのミックスフライカツ丼”とか。
ほら、もう字だけでお腹がすくでしょう。
いいじゃないですか、たまにはこういうの。

ちなみに表紙の、
「肉汁したたる ダブルベーコンチーズバーガー」
のカロリーは約1802kcalだそうです。
まあいいじゃないですかたまには。

(H)

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