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October 2008

October 29, 2008

おしらせ

「でるべんの会」という出版業界人向けの勉強会に呼ばれることになりました。

http://deruben.exblog.jp/

「個人経営店の生き残り策」というテーマで、以前こちらでもとりあげた「新宿駅最後の小さなお店ベルク」(ブルースインターアクションズ)の著者でもありベルクの店主でもある井野朋也さんと私が対談します。
本来ならこんな駅の隣という立地だけでなんとか商売を続けている私のような人間よりもっと「個人経営店の生き残り策」を持っている書店主の方がたくさんいると思うんですが、イベントの裏テーマが“新宿”らしいので、僭越ながら新宿(区上落合)生まれ・新宿(区上落合)育ちの私も出してもらうことにしました。

日にちは11/20(木)、場所は新宿文化センター、夜18時半受付開始です。
詳しい内容・お申し込みはリンク先をご確認ください。

(H)

October 28, 2008

シーズン中からストーブリーグの話題ばっかってのも…

WBC日本代表監督にタツノリ監督の就任がほぼ決定したそうで。
ずいぶんスッタモンダしてましたがまずは決まってよかったですね。
しかし王監督といい岡田監督といい、どうも人事のニュースばかりが話題で、現場のクライマックスシリーズや日本シリーズの話題がまるで出てないのが気になります。

昔は(あっ、思わずオッサンの口癖を使ってしまった)10月になると野球ファンは脳内日本シリーズを勝手に始めてやれどっちの何勝何敗とか、誰と誰が短期決戦のキーになるとか誰も聞いてないのに話し出すのが秋の風物詩だったんですけど。
というわけで今年のシリーズでは西武ドームでラミレスが緩慢な守備をしている間に片岡が一塁からホームに還ってくるとか、優勝寸前でファーストの江藤が泣き出すとかそんなシーンが見られることを期待します。なぜか西武日本一で話を進めてますが。

そんなわけでこんな小説が11月に出ます。

○「神様のいない日本シリーズ」田中慎弥 (文藝春秋) 〔発売…11月中旬〕

「切れた鎖」(新潮社)で三島賞、川端賞をダブル受賞した田中慎弥の新作。
父について語る「私」の独白が中心の純文学作品ですが、時代背景として西武と広島が戦った1986年の日本シリーズのことが細かく書かれてます。
野球を知らなくても楽しめますが、第一線で引退を表明していた山本浩二が9回に同点ホームランを打ったとか、最終戦でホームランを打った秋山がバック宙してホームインしたとかそんなことを覚えている人であればなお楽しめます。

せっかくなのでこれから出る注目の新刊などを。

○「イノセント・ゲリラの祝祭」海堂尊(宝島社) 〔発売…11月上旬〕

「チーム・バチスタ」シリーズ最新作。

○「毎日かあさん5」西原理恵子(毎日新聞社)   〔発売…11月中旬〕

同じ版元の「勝間和代の日本を変えよう」には西原先生と勝間先生の対談が載ってます。ちょっとだけマンガも。

○「温水洋一・吉田照美の『気弱な男のささやかな反抗術』」(徳間書店) 〔発売…11月下旬〕

全然内容わかりませんが気になります。

○「旅する力 深夜特急ノート」沢木耕太郎(新潮社) 〔発売…11月下旬〕

旅に関するエッセイの集大成だそうです。

○「ミシュランガイド2009」  〔発売…11月21日〕

今年も出るそうです。

メールもらえれば発売日にお取り置きします。

(H)

October 20, 2008

まちの本屋のお客さんに聞いた「俺の一冊・私の一冊」

毎年秋に行っている恒例の「NET21文庫フェア」を今年も行います。

(過去のフェアの様子)
http://inoo.cocolog-nifty.com/news/2006/10/post_c678.html
http://inoo.cocolog-nifty.com/news/2007/11/post_c678.html

3回目の今年はちょっと趣向を変えてこれまでの

「NET21グループという全国(って威張って言うほどたくさんはありませんが)の本屋の担当者がおすすめする本」

から、

「NET21グループの本屋に来ている全国のお客さんがおすすめする本」

という企画になってます。

最近は本屋の中だけでなくあちこちで「有名書店員がすすめる~」「カリスマ書店員の~」「おすすめ~」という謳い文句を目にするようになりました。
一人の店員としては「書店員という職業がずいぶんありがたい扱いを受けるようになったなあ」とも思いますが、反面「書店員バブルだなあ」という思いも禁じえません。

なぜなら「書店員」といっても結局は「書店で仕事をしている人」なだけであって、多少は業務のために担当ジャンルの本を読んだりすることはあっても、基本的には書店員も自分の趣味で読みたい本を読んでるからです。
なので書店員A氏がすすめる本はなんらかの政治的事情でもない限り、A氏の趣味で決められます。
ほかにもっと面白い本があっても、それを読んでないA氏からその本の名前が出てくることはありません。

そうやって考えると「何もおすすめするのは書店員に限らなくてはいいのでは?」、それが今回のフェアのきっかけです。
これだけ多くの本が次々に出てくる昨今の書店店頭においては、店員よりも本を買いにくるお客さんの方が詳しかったりします。
じゃあ、お客さんに聞いてみよう、ということで今回のフェアができました。

NET21加盟の43書店で用紙を配ったところ、いただいたアンケートは100人を超えました。
応募していただいた皆様、本当にありがとうございます。
中にはお一人で10作品も推薦していただいた方なんかもいらっしゃいました。

本来なら全部発表して並べたいのですが、せっかく熱いコメントまでいただいてるのに残念ながら昨今の出版事情で品切れになっている本も多数あり、またリアル書店の売り場の広さには限りがありますゆえ、40人40作品ということに絞らせていただきました。
それが現在店頭に並んでいる40作品です。

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今回この40作品を並べるにあたって、推薦いただいたお客さんの年代別に分けて並べています。

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当たり前のように並んでいますが、推薦してくれたお客さん同士はお互いまったく顔も名前も知らない、住んでる土地もバラバラな人たちです。
共通項は「NET21というあまり大きくないグループの本屋で本を買ってるお客さん」、そして「本が好き、俺のすすめる、私のすすめるこの本は面白いからみんな読んでほしい!」という思いです。

大槻ケンヂの「ロッキン・ホース・バレリーナ」を読んで、聴く専門だと思っていた音楽を自分で始められた21歳男性の方がいます。
彼氏と別れたときも、仕事で失敗したときも川原泉の「空の食欲魔人」を読んで食欲を取り戻した26歳女性の方がいます。
二人目のお子さんが生まれて子育てに苦労しているときに河合隼雄の「こころの処方箋」を読んでいろんな気づきを得た40代の女性の方がいます。
息子さんが通産省に入省したのを機に城山三郎の「官僚たちの夏」を読み始めた67歳男性の方がいます。

人生の節々で読んで印象に残った本、あなたも読んでみませんか?

(H)

October 11, 2008

Baseball is my Life

アルバイトのSに書かせたりボヤボヤしているうちに10月も10日を過ぎてしまいましたが、全国の阪神ファンの方々が心労で倒れていないか心配な今日この頃です。
神宮球場の開幕三連戦でまさかの全敗を喫したジャイアンツの原監督が所も同じ神宮で胴上げされるのを見ながら、「野球ってこんなこともあるのだなあ」と思わずにいられませんでした。
クライマックスシリーズでの「窮虎、巨人を噛む」は起きるのでしょうか。
阪神ファンの方々には申し訳ありませんが、ますますクライマックスシリーズが楽しみになってきました。

それにしてもひろさちやはこうなることまで予測してこんな本を書いたんでしょうか。
人生は無常です。

○「人生哲学 阪神タイガース的」ひろさちや(ソニー・マガジンズ)

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季節は秋真っ盛りですが、書店には早くも来年の手帳、カレンダーが並んでいます。
基本的に売り切れ御免な商品ですので、お早目にお求めください。

手帳、カレンダー以外にこんな商品も扱い始めました。

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ペン型の折りたたみ傘です。
セカンドバッグにも悠々入るコンパクトさです。
具体的な大きさは店頭にてご覧ください。

最近気になった新刊がこちら。

○「検索バカ」藤原智美(朝日新書)

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考える前に「検索」、自分の意見より「空気を読む」。この10年、情報社会の進展で便利にはなったが、「自分で考える力」が急速に失われている。本書は、一個人として、世の中を生き抜く思索力とは何かを考察する。

こないだ所用で馬喰横山という日頃行き慣れない場所に行く時、「たまには路線検索を使わずアナログに自分で乗り換えを調べてみるか」と久々に地下鉄の路線図を見ました。
すると、路線検索では0.2秒ぐらいでわかる中井~馬喰横山間の乗り換えを調べるのに3分くらいかかりました。
その行き方も後から調べたら決して最短ルートではありませんでした。

けれどそのとき「なんだか久々にアタマ使ったな」という気がしたのです。
考えると最近は店頭で辞書を売っている身分でありながら、漢字がわからないと携帯を出して調べています。
書籍を売っている身分でありながら、気になった人間や事件を調べるのにウィキペディアを開きます。
すごくラクです。
しかも速い。
けれど、全然頭を使ってないません。
知識や情報だけは泡のように膨らんで入ってくるのに、脳味噌はまるで使用しないのでどんどん馬鹿になっていく気がしてしょうがないのです。

この本はそういう私の不安をバッチリ打ち抜きました。
若干「昔はこういうのがみんなあったが、今はない」の繰り返しで終わってしまうところが気になりますが、全体的には「あーそうだよねー」という論考になっています。
思考するものより情緒的なものが優先される風潮に“検索”が関わってるとは思いもしませんでした。

とりあえず、動くうちに頭は使おうと思いました。
ブルース・リーはかつて「考えるな、感じろ」という名言をスクリーンに残しましたが、これからは「感じるな。考えろ」を自らのテーマにしていきたいと思います。

といいながら清原の引退試合には単純に感動したんですが。
あの試合はスポーツではなく、もはやひとつの「作品」でしたね。
王監督、杉内、イチロー、ローズ、金本、長渕剛、そしてスタンディングオベーションを送ったお客さん。
登場人物全員が名優でした。
さようなら、光り輝いた二十世紀最後のスーパースター。

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(H)

October 06, 2008

店長が仕事を抱えたり遊びに行ったり浮かれたり落ち込んだりいろいろ忙しいのでバイトのSが書きます。

売り手市場の売れ残り、未だに就活生兼アルバイターのSです。
ここのブログは三度目です。
最近読んだ本についてつらつらと書きます。

まずは、「千葉県民のお送りするなんとなく買ってしまった東京のローカル本コレクション 1」。

○『日本の特別地域〈5〉副都心編 東京都新宿区』昼間たかし、佐藤圭亮(マイクロマガジン社)

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第1章 新宿区って人が住んでいるの?
第2章 世界最強新宿駅の実際
第3章 オールド新宿・四谷ブロックは不思議がいっぱい
第4章 他人に優しく区民に厳しい新宿区のインフラ事情
第5章 新宿のいびつさは改善するのか

ローカル本だけあって細かいです。
といっても雑誌「東京人」的な由緒正しきものではなく(データはかなりしっかりしていますが)、世間ばなし的な具合で妙に詳しかったりします。
知り合いに話すようなトーンで、どこそこの電車の乗り継ぎの便の悪いとか、あそこの建物の壁が汚いと文句を言っているので、なんとなくこっちも「そうだそうだ」と同調してしまう近しさがあります。
これがローカル本の魅力です。なりきり地元民になれます。
もちろん落合の項ももうけられていますので、ぜひご覧ください。

巻末を開いてみると、意外に大量の参考文献が出てくるので驚きです。
けっこうしっかり調査してたんだと失礼な感想を抱きました。すみません。

  

ここ最近いちばん刺激を受けた本があります。

○『リアルのゆくえ―おたく/オタクはどう生きるか』大塚英志+東浩紀(講談社現代新書)

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「知識人」は希望を語れるか。
「世代間闘争」の末に見えた地平は? いまの日本は近代か、それともポストモダンか? サブカルチャーの諸問題から国家論まで、「わかりあう」つもりのない二人が語り尽くす。

10代~20代の人におすすめです。
喧々諤々の良くも悪くも人間くさい対談集で、大塚さんのやたらと熱い責任意識が印象に残ります。

いろいろと小難しい用語が出てきますが、つまりは現代特有のリアルを持つ若者が他者とどう関わるかについて論じられています。
ここらへんは思想とか信条ではなく、その時代で自然と形成されてしまった感覚が問題なので、知識がなくても十分読めました。

個人的な話であれですが、ニートでもなく、ワーキングプアでもなく、90年代を失った自覚もない僕にとって、これは初めて「世代」というものへ帰属意識を感じる経験でした(でもたぶん政治運動には目覚めないと思います)。
ちょいちょいと友人に薦めたりしていますが、どうも「おたく/オタク」あたりがネックになっているようです。
いい本なので、タイトルで敬遠してしまった人はぜひ、手にとってみてください。

  
まじめな雰囲気になってしまったので次は「読んでも読まなくても人生に支障はないけど読んでたらぜったい楽しい一冊」(どこかにあったなこんなコピー)。

○『姫百合たちの放課後』森奈津子(ハヤカワ文庫)

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「ああ、静香お姉様!気高く清らかな白百合!わたくしがあなたを守ってさしあげます!」―サディストの魔手が迫る美しき先輩・静香の純潔を守るため、一計を案じた女子高生・純子の奮闘を描く表題作など、可笑しくも甘酸っぱい全9篇を収録する“百合コメディ”作品集。

断言します。
鼻血(エロ)と鼻水(笑い)を同時に噴出す読書体験は本書でしか味わえません!
一粒で二度おいしい。それが森奈津子クオリティーです。

小説の文章の上手さを、重みとか深みという比喩で言い表しますが、こと「速さ」にかけては森さんの右に出る人はいないと思います。
そのさまは大爆笑の嵐が過ぎさるがごとし。
こりかたまった価値観や日々の鬱憤を吹き飛ばし、頭の中を澄みわたる台風一過にしてくれます。
その森さんが最も得意とする百合コメディですから、推して知るべし、表題作からフルスロットルで飛ばしまくりです。
危険です。必ず家で読んでください。

(S)

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