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August 2008

August 25, 2008

Go To DMC!


今週はやたらと「デトロイト・メタル・シティ」が表紙の雑誌が目立ちました。

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あの主演を受けた松山ケンイチはすごいなあ。

しかしそれ以上にKISSのジーン・シモンズが出ているってのがすごい。
そもそもあのタイトルにしてもKISSの「デトロイト・ロック・シティ」のパロディですよね?
矢沢永吉のモノマネの横に本人が出てくるようなものかもしれないけど…。
長く生きているといろんなことがあります。

なんだかメタル音楽をやる人も愛好する人も色眼鏡で見られそうな風潮ですが、とりあえずこんな本を入れました。

○「魔獣の鋼鉄黙示録 ~ヘビーメタル全史」(早川書房)

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ヘビーメタルという音楽がどう生まれ、どう変わって、今に至るのかを書き連ねた歴史書。
メタルの変遷を書くにはどうやら600ページもの分量が必要だったようで、とても分厚い本です。

この本によればメタルの歴史はブラック・サバス(30代以上のプロレスファンだった人には「ロード・ウォリアーズのテーマ曲を歌っていた人」といえば通じるのでは)から始まったそうで、そのブラック・サバスのメンバーは次々と入れ替わり、2002年時点での「公式メンバー」は計29人にも及ぶなど、好きな人以外にはまったくどうでもいいメタル音楽に関する事柄が時系列順に極めて深く記述されています。

そしてオジー・オズボーン・バンドのベースだったドン・コスタという方は「おろし金をギターにとりつけておき、拳をこすりつけて血だらけにする」パフォーマンスが得意だったとか、そういう貴重な情報も満載です。
しかし、なんでそういうことをしようと思ったんでしょうか。
メタルの世界は奥が深いです。

これで、すっかり脇に追いやられた感のある正統派音楽コミック「BECK」の映画化はあるんでしょうか。
歌をどうするんだ!って問題はありますが、アニメでやったんだからできなくもない気がするんですけど。

あ、各所で評判の高い「rockin’on BEST DISC 500 1963-2007」(ロッキング・オン)はもうすぐ入ります。お買い求めになりましたでしょうか。

 Best_disc_500_000

鼠先輩の本は話題になってて、立ち読みはよくされてますが売れてません。買ってください。

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漫画といえば「茄子」「セクシーボイスアンドロボ」の黒田硫黄の最新刊が出ました。

○「あたらしい朝」(講談社コミック)

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1930年代のドイツを舞台にした、若者が戦火に巻き込まれていく話ですが相変わらずカッコいい漫画です。
こちらで試し読みができるようです。
http://comic.bitway.ne.jp/kc/comic_tameshiyomi.html?isbn=9784063145236

(H)

August 18, 2008

夏祭り

私の地元では毎年夏の終わりに小さな祭りがある。
町外れの小さな神社に軒を連ねる露天はせいぜい7~8店。
とても小さな祭りだが、地元民にとっては季節を感じることのできる数少ない恒例行事である。

そして小学生だった私にとっても、祭りは心躍る行事の一つだった。
なにしろ祭りは日が沈んでから子供たちだけで出かけることができ、しかも親公認という、数少ない貴重なイベントなのだから。

夕闇の中、日ごろ足を運ぶことのない町外れの神社を目指して歩く。
神社に近づくにつれ聞こえてくるお囃子。
遠くから境内に並ぶ提灯や夜店の裸電球の光が見えてくると、心浮き立つ。
今年は何が出ているだろう。
そして、誰が来ているだろう。

夜の時間、親のいないところで顔を合わせる同級生は、みな学校で顔を合わせている時と違って、少しだけ大人に見えた。
そしてそんな少しだけ大人に見える同級生たちに混ざることで、自分も少しだけ大人になった気がした。
ちょっとした夜遊び気分に高揚した私たちはよく笑った。よく騒いだ。
大人からは平和そうに見えても内実楽しいこともイヤなこともある毎日の中で、1年に1日だけでもそんな時間があることがとても嬉しかった。

やがて私たちは小学校を卒業した。
同級生の多くは地元の公立中学に進む中、私は大学の付属校である私立中学に進学した。
だからといって住んでるところが変わるわけではない。
私は連絡をとって、小学校時代から仲のよかった友人何人かと定期的に遊んでいた。
彼らに「中学はどう?」と聞くと「他の小学校から上がってきた人間も多いから伊野尾の知らない奴も増えたけど、でもあんまり変わってないな」と近況を話してくれた。
話に出てくる登場人物の多くが見知った名前だったことに私は安堵し、かつての同級生たちが中学の制服を着て教室にいるところを想像した。

そして夏が来た。

中学生になると部活動があり、部活の夏合宿があり、クラスの移動教室があった。宿題も小学校時代に比べると格段に増えた。
そうこうしているうちに夏はあっというまに過ぎていき、気がつくと祭りの季節がやってきた。

私は一人、町外れの神社へ向かった。
聞こえてくるお囃子、遠くに見える露天の裸電球、何も変わらない。
境内に入ると、案の定お堂の脇あたりに見知った顔が何人かいた。
近づいて声をかけた私に彼らは「おー」と以前と変わらぬ声をかけてくれた。
「元気にしてた?」「どうよ私立は?」と肩を叩いてくる連中がいる上の方から、「なに、誰?」と聞いてくる声がした。
見るとに神社の階段に腰掛けていた私の知らない顔が二人、こっちに向かって歩いてくる。
友人の一人がそのうちに一人に向かって「あー、これが伊野尾。同じ小学校の」と紹介した。
続けて私は「よろしく」と声をかけたが彼の方からそれに対する返答はなく、私ではなく先の友人にむかって「あー、こいつね。こいつが伊野尾。へー」と話しかけ、値踏みするような目で私を見た。もう一人はニヤニヤしながらこっちを見ている。

なめられている、と憤りを感じた。
同時に自分が彼らの間でどういう風に語られているのか、不安になった。

そのとき、「ここにいてはいけない」という感覚が体をめぐった。
判断とか思考というより、その場の感覚。そんなものが私の身体を突き刺した。

私は途端に居心地が悪くなり、引き止める何人かの声を制して神社を後にした。
そして名前すら名乗らなかった彼の笑い声が背後で聞こえた。
以来、私は夏祭りに足を運ばなくなった。

私はあの時、何か「世界が終わった」ような感覚すらあった。
けれど今思えば、未熟な中学生が知らない人間とちゃんとコミュニケーションできなかった、ただそれだけのことでしかない。
なぜあんなことが「世界の終わり」のように感じられたのだろう。
今となってはさっぱりわからない。

QBBの「中学生日記」(扶桑社文庫)を読むと、あの頃の意味不明な自分と同じような中学生が、それこそ「世界の終わり」と日々戦っている。
こういうのってあるよね、と思いながらも、自分の事に関してだけは靄がかかったようによくわからない。
それが思春期というものなのだろうか。
かつて意味不明な絶望感を抱いた中学生だった私は、そんな中学生の気持ちすら理解しえないオッサンになっている。

何年か前から、私は夏祭りにまた行くようになった。
もう境内のどこにも私の友人はいない。
私を笑ったあの時の少年もいない。
いるのは、あの頃の私たちと同じように境内の隅にたむろしている少年たち。
彼らも感じたりするのだろうか。
意味不明な絶望感を。
自分勝手な「世界の終わり」を。

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(H)

August 12, 2008

お休みのおしらせ

8/15(金)は休業します。

よろしくお願いします。

本当にアドリブで読んだのでしょうか

赤塚不二夫氏がお亡くなりになって、一応半地元みたいなものなので(下落合にいらっしゃったそうで)著作とか関連本を手配したりしたのですが、まさか弔辞を読んだタモリの方が話題になるとは思いませんでした。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080807-00000908-san-soci

この言葉の選び方のセンスは凄いですね。ちょっと胸が熱くなりました。

タモリの本がないか探してみたのですが、ほとんど品切れや絶版でした。
唯一取れるのがタモリが坂道をガイドする「タモリのTokyo坂道美学入門」(講談社)ぐらい。

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ただ、この本の「まえがき」でもタモリは自らの幼少時の体験と坂道の持つ哲学性を巧みな文才で綴っています。
いくつもの番組を抱えているのだから相当忙しいのでしょうけれど、そのうち何か書いてもらいたいですね。

さて、北京オリンピックが開幕しました。
書店には観戦ガイドブックが次々と入ってきましたが、オリンピック本と同時に中国関連書籍もどんどん入ってきていて、棚がこんな感じになってます。

そんな中気になった本がこれ。

○「五輪ボイコット」松瀬学(新潮社)

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1980年のモスクワオリンピック不参加は、“事件”だったのか“予想できたこと”だったのか、当時まだ幼かった私はその熱を覚えていません。
ただし、純粋に競技に打ち込み、4年に1度の祭典を目指していた競技者からするとその機会を奪われた絶望感というのはいかほどのものだったのか、28年経ったからこそ話せる真実とともにオリンピックとは何か、スポーツとは政治の一部なのか、いくつもの問題をこの本は追っています。

オリンピックは本来アマチュアスポーツ、言い換えればそれだけで生計を立てられない競技者にとっての最高の舞台だと認識していたのですが、近年はほとんどプロあるいはセミプロのような人たちの祭典になったなあ、という印象があります。
良いも悪いもなく、土台が変わってきたのだから選手も変わらざるをえない、という感じだと思います。
政治闘争の場でもあり、国威発揚の道具でもあり、ショービジネスのコンテンツでもあり、何より競技者たちが求める最高の舞台。
オリンピックの歴史は人類の歴史、文明の歴史そのものだと思いを馳せずにいられません。

(H)

August 06, 2008

7月のセールスランキング+店長が気になった本

例の復帰記者会見を見てから毎日風呂に入るときは長渕剛の『とんぼ』を口ずさんでいる店長がお送りする7月のセールスランキングです。
なんだかんだ言いつつ言われつつ、自分にとってのミスタープロ野球は清原だったのだと最近やっと気付きました。

《7月セールスランキング》
【一 般】

1       ハリー・ポッターと死の秘宝 上下        J.K.ローリング       静山社
2       ハローバイバイ・関暁夫の都市伝説 2      関 暁夫    竹書房
3       AB型自分の説明書               Jamais Jamais   文芸社
4       銀魂 3年Z組銀八先生3 生徒相談       空知 英秋   集英社ノベルス
5       B型自分の説明書        Jamais Jamais   文芸社
6       A型自分の説明書        Jamais Jamais   文芸社
7       手みやげを買いに 東京篇            京阪神エルマガジン社
8       偽善エコロジー          武田 邦彦   幻冬舎新書
9       ICO-霧の城-         宮部みゆき   講談社ノベルス
10      悩む力            姜 尚中    集英社新書

【文 庫】 

1       紅花ノ邨 居眠り磐音江戸双紙          佐伯 泰英   双葉文庫
2       クライマーズ・ハイ       横山 秀夫   文春文庫
3       西の魔女が死んだ        梨木 香歩   新潮文庫
4       百鬼夜行抄  10       今 市子    朝日コミック文庫
5       スカイ・クロラ       森 博嗣    中公文庫
6       氷の華          天野 節子   幻冬舎文庫
7       闇の子供たち          梁 石日    幻冬舎文庫
8       さまよう刃           東野 圭吾   角川文庫
9       夢のあとさき おいしいコーヒーのいれ方 10  村山 由佳   集英社文庫
10      汚れつちまつた悲しみに・・・          中原 中也   集英社文庫

【コミック】
      
1       BLEACH-ブリーチ-  34  久保 帯人   集英社
2       銀魂  24              空知 英秋   集英社
3       聖☆おにいさん   2         中村 光    講談社
4       君に届け   7            椎名 軽穂   集英社
5       ハヤテのごとく!  16      畑 健二郎   小学館
6       BLACK LAGOON   8  広江 礼威   小学館
7       さよなら絶望先生  14    久米田 康治  講談社
8       花より男子  37         神尾 葉子   集英社
9       PLUTO   6         浦沢 直樹   小学館
10      ピューと吹く!ジャガー  15   うすた 京介  集英社

「関暁夫の都市伝説2」「聖☆おにいさん(2)」がこんなに売れるとは思いませんでした。

最近ちゃんと新刊を紹介していないので、気になった本を少しずつ取り上げてみます。

○「告白」湊かなえ(双葉社)

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退職する女性教師が、終業式で語ったある「告白」。
悪意と善意、自然と不自然、生と死。
ひとつの無意識な言葉が、ひとつの何気ない行動が、誰かの人生をここまで変えていくのかと思うとゾッとします。

○「ゼロ年代の想像力」宇野常寛(早川書房)

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「よのなか」を見渡してあーだこーだ言う、その結果「言われてみればそうかもしれないね」と思わせる物書きの中では今一番新しく、面白い書き手だと思います。
ただし、この方本職が別にあって、物書きはその合間にやってるというところが現代の言論事情を端的に象徴している気がします。

○「佐賀北の夏」中村計(ヴィレッジブックス)

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今年も甲子園が始まって熱戦が繰り広げられていますが、昨年の甲子園でミラクル中のミラクル、マンガの世界でしかありえないような展開で奇跡の大逆転優勝を果たした佐賀北高校のノンフィクションです。
著者は「甲子園が割れた日」であの松井秀樹五連続敬遠の裏側を書いた中村計。

○「独裁君」業田良家(小学館コミック)

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元ネタもモデルも一発でわかる、しょーもない4コマギャグ漫画だな…と思ってると後半とんでもない目にあいます。
それこそ完封負け寸前から逆転満塁ホームランが出た佐賀北高校のように。
業田良家は恐ろしい作家です。

○「イノセントブローカー」加藤山羊(小学館コミック)

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人を信じたいがゆえに、小学校教師から闇のブローカーに転身した男の物語。
「表には出せないからこそ、取引相手を信じるしかない」という彼にとって人間とは、信頼とは。
人間の悲しさや皮肉が全編に込められた、“21世紀の『笑ウせえるすまん』”的短編作品集。

(H)

August 03, 2008

一寸先はハプニング

今週は業界の中でかなり大きなニュースがありましたが、同日に起きた「伊野尾書店でレジが故障」の方が個人的には大事件でした。いや本当レジが止まるとツライすね。

まあ内でも外でもいろいろありますが、ちょうどこんなのを始めました。

Genki

独断と偏見で選んだ、「元気が出る本」フェアです。
一部を紹介すると、こんなところが入ってます。

○「ブッタとシッタカブッタ」1~3巻(メディアファクトリー)

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○「今日という日は贈りもの」ナンシー・ウッド(角川文庫)

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○「ものがたりゆんぼくん」(上・下)西原理恵子(竹書房文庫)

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あくまで独断ですので、「読んだけどちっとも元気になれない!どうしてくれる!」というのは勘弁ください。
けど、上記の3冊は本当にいい本だと思ってます。
「ブッタとシッタカブッタ」は、読めば読むほど人生の真理を気づかせてくれる4コママンガです。
インディアンの教えを美しい散文にのせて描いた「今日という日は贈りもの」は、しんどい気分の時であればあるほど染み渡る言葉に溢れています。
「ものがたりゆんぼくん」は個人的には西原理恵子の最高傑作だと思っています。
「人生」というより、毎日過ごしているこの「時間」そのものがとてもいとおしくなる、そんな物語です。

「元気があればなんでもできる」といったどこかの偉い人がいましたが、本当にその通りだよなあと思います。
落ち込んだときや、気持ちがしんどい時はネットで何か検索するより、本屋に行った方が何か新しいものと出会える可能性は高いのではないでしょうか。
私はそう思ってくれる人が増えればいいなと思っているし、そう思ってもらえるよう努力する義務が業界にはまだ求められてると思います。
元気だそうぜ。

(H)

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