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October 2007

October 31, 2007

変わる時代と変わらぬ想い

というわけでもう見るからに真面目なアルバイトSくんにこれから時々書いてもらうことにしました。
しかしすぐ直前に店長が「環境問題を煽るな」と書いてるそばからまったく無頓着に環境危機論を持ち出すところが、まるで読んでないのを証明してていいですね。
そんな真面目なSくんを今後ともよろしくお願いします。

「オマエまたそういう話か」と突っ込まれるのを承知の上で出してみます。

○「昭和金物屋物語」御茶漬海苔(笠倉出版社)

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「僕の父さんは金物屋だった、一代限りの」
変貌していく昭和時代、下町の商店街に生きたある頑固なオヤジ伝。

ホラーマンガ界の巨匠が描く、昭和の頑固親父と商店エレジー。
御茶漬海苔のマンガは昔から「気持ち悪いマンガだなあ」としか思わなかったので、まさか氏が金物屋の息子で、こういう話を書けるとは思いもしませんでした。
このギャップの外し方はリリー・フランキーの『東京タワー』と近い気がします。

私は本屋の息子として生まれ今日に至りますが、会社員の息子と商店の息子の決定的な違いは、商店の息子というのは小さい頃でも大きくなっても家業のことが必ず頭のどこかにある、ということです。
もちろん長男か次男かとか、いろいろ条件によって多少は左右されるでしょうが、少なくとも会社員の子に生まれた人が思うのは「会社で働く父」のことであって、「父と父の会社」両方ではないと思います。
話の中で金物屋を継がずマンガを描くことに罪悪感を感じる著者の心理が描かれますが、私自身20代の一時期就職もせずプラプラしてたことがありましたので、この気持ちは痛いほどわかります。

「Always 3丁目の夕日」以来、昭和ノスタルジーというのが結構なマーケットになっていて、この作品もそういう流れに入れられてしまうのかもしれませんが、そういうのを抜きにして「ある商店およびその家族の人生譚」として読まれてほしいです。

なにも昭和だからどうこう、商店だからどうこうというのではなく、50年生きてきた人の話というのはどんな人でも重くて深くて味わいぶかいのだと思います。
それはこれから先「俺たちが子供の頃はみんな塾ってのに行っていて、帰りにコンビニで肉まん買って食べたもんだ」という年寄りの話を聞かされる50年後の子供もいっしょだと思います。

(H)

October 27, 2007

はじめまして初めてのブログです

はじめまして。
先月から伊野尾書店で働いているSです。
よろしくおねがいします。

今日は台風のため一日中ひどい悪天候です。秋も深まるこんな時期に台風が来るのは珍しく、どうやらこれも温暖化の影響のようです。
夏の異常気象に、季節外れの台風、次はなにが起こるのでしょうか。ただの暖かい冬なら大歓迎なのですが。

店内は強風が吹き込んで雨雫が店の中まで飛んでくるという有様で、当然のごとくお客さんもあまり見られません。道路を歩いている人もいません。当店の最寄駅は都営大江戸線中井駅なのですが、また大江戸線が止まってしまったのでしょうか?

がらんとした店内を見て、店長からブログを書いてみなさいと指令が下されたので、いま書いている次第です。

棚の整理などをしていると、普段関心のないジャンルで「おっ、これは」という本を発見します。昨日発見したのは中村桃子『〈性〉と日本語』(NHKブックス)です。

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少女はなぜ自分を「ボク」と呼ぶのか。変化し続ける現代のことばを追いながら、日本語の乱れを越えた創造的な日本語のあり方を問う。

普段よく使っている言葉の裏に隠された、性の規範が浮き彫りにされています。そういえばそうだ、という気づきが何度も味わえるのは学術本ならではです。といっても硬い内容ではなく、題材もマンガや雑誌、迷惑メールなど、身近なものを取り扱っているのでわかりやすいです。

これを読んで初めに思ったことは「日本語ってなんて面倒なんだろう!」ということです。

その代わり、この本を読んで、日頃わけもわからず悩んでいた言葉遣いの些細な問題(自称するときに「俺」を使おうか「僕」を使おうか迷ったりするなど)の構造がちょっとだけ明らかになりました。

「わたし」の方にも「ぼく」の方にも「おいどん」の方にもオススメです。

(S)

October 22, 2007

環境問題をあおってごめんなさい

先週は仕事をほっぽり出してクライマックスシリーズに熱中しているうちにすっかり更新が滞ってしまいました。どうもすみません。

しかし今年これで中日が日本シリーズを制覇した場合、「2007年もっとも強かったプロ野球チーム」はどこになるのでしょう。
中日ドラゴンズのホームページを見ると「めざせ日本一」と書いてありますが、仮に中日が日本ハムに勝つとセ・リーグの2位が日本一で、じゃあ1位は・・・日本一以上?ああめんどくさい。

あ、12月ごろに扶桑社から古田の本が出るそうです。
インタビュアーが金子達仁。
サッカーの方はいいのでしょうか。
いずれ「野村ノート」を発行した小学館が「古田ノート」を出版してくれることを願います。

さて、ながく品切れになっていた「環境問題はなぜウソがまかり通るのか2」(洋泉社)がやっと入ってきました。

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環境問題の本がいつぐらいから増えだしたのかはっきりわかりませんが、
(レイチェル・カーソンの「沈黙の春」の影響は大きいのではないかと思いますが)
個人的にこんな本が売れるんだな、と意識するようになったのは「環境危機をあおってはいけない―地球環境のホントの実態」(ロンボルグ/山形浩生訳)でした。

TVや新聞といったマスメディアが環境問題の危機感を訴えるようになったのに対し、書店で売れる本は環境問題そのものを訴える本よりそれらの姿勢を疑問視する本の方が売れていたような気がします。

とりあえず、「環境問題はなぜウソがまかり通るのか」(1の方)を読んで一番衝撃を受けたのは、「北極海の氷が解けても海面は上がらない」というくだりでした。

なんでだろう、と次のページをめくったら

「そもそもコップの中の氷が解けても水は増えない。“アルキメデスの原理”って理科でやったろう?」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%82%AD%E3%83%A1%E3%83%87%E3%82%B9%E3%81%AE%E5%8E%9F%E7%90%86

と。

たしかに昔そんなのをやりましたが、この本を読むまでそんな理論のことはすっかり忘れていました。そしてそんな理科の原理に見事に矛盾する言説をすっかり頭から信じ込んでいた自分が恥ずかしくなりました。

なんとなく、環境問題というのは絶対善みたいになってて、あちこちで語られる話の一つ一つに疑問を挟むことはよろしくないことだ、みたいな風潮があります。
この本はそんな風潮に流される我々の肩に手をかけて「ちょっと待て」と揺さぶる一冊です。

店には同じ著者の「リサイクル幻想」なんて新書もあります。
併せてどうぞ。

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(H)

October 13, 2007

ランキング

気がつけばすっかりHPのセールスランキングを更新してませんでした。
店頭には張り出してたんですけど。
いい機会なので今月からこちらに載せることにします。
どうもうまく表が出せないのでテキストで書きます。見にくくてごめんなさい。

〈9月セールスランキング〉
(一般)

1 いつまでもデブと思うなよ   岡田 斗司夫 新潮新書
2 紀香バディ!       藤原 紀香 講談社
3 頭がいい人の敬語の使い方  本郷 陽二 監修 日本文芸社
4 楽園 (下)           宮部 みゆき 文藝春秋
5 新世紀エヴァンゲリオンシールブック   角川グループ
6 王様は裸だと言った子供はその後どうなったか 森 達也 集英社新書
7 おひとりさまの老後          上野 千鶴子 法研   
8 日本のオーラ 天国からの視点  江原 啓之 新潮社
9 完訳プリンセス・マサコ B.ヒルズ 第三書館
10 官邸崩壊 安倍政権迷走の一年  上杉 隆 新潮社

(文庫)

1 平20年度 六星占術(七種合計)    細木 数子  ベストセラーズ
2 犯人に告ぐ (上)           雫井 脩介 双葉社
3 臨 場                 横山 秀夫 光文社
4 反自殺クラブ 池袋ウエストゲートパーク5 石田 衣良 文藝春秋
5 犯人に告ぐ (下)            雫井 脩介 双葉社
6 水滸伝  12 炳乎の章          北方 謙三 集英社
7 雨 恋                 松尾 由美 新潮社
8 桜色のハーフコート             赤川 次郎 光文社
9 サウスバウンド (上)         奥田 英朗  角川グループ
10 知っておきたい日本の名字と家紋     武光 誠 角川グループ

(コミック)

1 NANA-ナナ-  18  矢沢 あい 集英社
2 ONE PIECE  47  尾田 栄一郎 集英社
3 桜蘭高校ホスト部  11   葉鳥 ビスコ 白泉社
4 よつばと!   7     あずま きよひこ角川メディアワークス
5 ライフ  16     すえのぶ けいこ 講談社
6 LIAR GAME   5  甲斐谷 忍 集英社
7 21世紀少年 下       浦沢 直樹 小学館
8 テニスの王子様  39 許斐 剛 集英社
9 アイシールド21  26 村田 雄介 集英社
10 クロスゲーム   9  あだち 充 小学館

「エヴァンゲリオンシールブック」はコミックに数えるべきだったんでしょうか。まあいいや。

ファンの多い森達也の新刊は発売になった8月より9月の方が売れました。
誰もが知ってる童話(といいながら「仮面ライダー」まで入ってますが)を森達也流に新解釈して再構成した物語を通して現代社会を斬るという変わった本です。

とりあえず、桃太郎はTVレポーターで、手伝いのサルやキジに機材を持たせて「ごらんください!このように鬼たちはここ鬼が島で…」と特に何をするわけでもない鬼たちをやたら敵視するリポートをしていた、という話に笑わせていただきました。

確かに、改めて考えると鬼が島の鬼たちは気の毒です。

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(H)

October 08, 2007

まさか

休載する前に出た23巻の売れ数以上の冊数(当社比110%)で入ったのに、発売4日めでなくなりました。
おそるべし。

○「HUNTER×HUNTER 24」(ジャンプコミック)

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October 05, 2007

恋愛と社会

巨人ファンの皆様、リーグ優勝おめでとうございます。
あまり細かく考えることを放棄したような野球評論家筋からは毎年毎年優勝候補に挙げられながら堀内とか悪太郎とか敗軍の将兵を語らずとか、そういった一部の人材難、じゃなかった監督難にあえぎながらも苦労した甲斐があってよかったですね。
でも私は上原が抑えというのは間違ってると思います。

そしてついでのようで申し訳ありませんが、日本ハムファンの皆様V2おめでとうございます。
正直、ダルビッシュ以外絶対的な選手がいない中なんとなく勝ちを積み重ねた今期の戦いを見るに、90年代前半の広島、90年代中期のオリックス、ヤクルトのような黄金時代の到来を見ました。
中には「何、本当の黄金時代は中田翔が加わるこれからさ」とか考えてる鼻息の荒い方もいらっしゃると思いますが、何、黄金時代など過ぎ去ってから気がつくようなものです。青春みたいなもので。
加島祥造の本でも読みつつ、今を堪能してください。

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 しかし、今年から始まった「リーグ優勝のチームと日本シリーズ出場チームは別」という制度はわかりにくい上スッキリしません。
かつてのようにリーグ覇者同士のシリーズ方式か、去年までのプレーオフ方式に早く戻してもらいたいものです。


さて、10月のフェアのテーマは「独身と社会」。
「もてない私」はいくらなんでも衝撃的すぎるタイトルかと反省し、若干ゆるくしました。
独身、おひとりさま、結婚&離婚、少子化社会、といった恋愛から社会論まで大黒摩季の歌のようなテーマを単行本・新書・文庫・コミックまで横断的に並べてあります。
逆にテーマが絞りきれてない感もありますが。
ぜひご来店してのぞいてください。
10月いっぱい展開する予定です。

071004_1710


いくつか並んでる本をご紹介します。


○「ルサンチマン」1~4(小学館ビッグコミック)

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「ボーイズ・オン・ザ・ラン」が人気の花沢健吾のデビュー作です。
もてない30男が電脳世界の少女に恋をするという、いかにもな話でありながら「で、あんたは現実の状況とどう折り合いをつけるの?」という夢もへったくれもない問いかけがこの本のテーマです。
デブでハゲの醜男な主人公・たくろーに一心に好意を寄せる美少女・月子こそが一見「こんな女の人いねえだろう、でもいたらいいな」的偶像ぽいですが、たぶん本当の偶像はそんなどうしようもない主人公をなんとか現実世界に引き戻そうとする負け犬女・長尾さんなんだと思います。
ちなみに本作が出たのは2004年ですが、その後セカンドライフが登場して、現実世界は一歩この作品に近づきました。


○「結婚の条件」小倉千加子(朝日文庫)

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「残念なことに、この国の対応施策はことごとくツボをはずしている。税金の無駄遣いだとはっきり言っていいと思う。結婚は奥の深い、微妙でデリケートな現象だ。そこには、人間の欲望とコンプレックスが渦巻いている」


数々のデータと文献から恋愛、結婚、家庭、社会をひとつの枠組みに収め説得力あふれる分析を重ねたエッセイ。というかもはや社会論。
とにかく、TVが、新聞が、女性誌が、男性誌が避けて通る真実を藤川球児の直球なみにズバッと突いています。
今のところこれに勝る結婚論・社会論を読んだことがありません。


○「男はつらいらしい」奥田祥子(新潮新書)

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「ウィークリー読売」の女性記者が「結婚できない男たち」「身体の不調を訴える男たち」「相談できずに悩む男たち」「父親としての立ち位置に悩む男たち」の4つのテーマを取材する本。
中でも第1章の「結婚できない男たち」が一番面白く、著者が独身男たちに痛いところを聞きまくって不愉快にさせたり、キレさせたり、「あんたなんか男を選り取り見取りで選べるんだろうけど」とイヤミを言われて自分が不愉快になったりと、テーマに対しての結論探しよりも取材過程そのものがネタ化する森達也的アプローチで構成されています。

たしかに裏表紙にある著者の写真を見るに著者の方はそこそこ美人なので、そういう人に
「あなたが結婚できないのはなぜだと思いますか?」
とか聞かれたら、なんか納得のいかないような、不愉快な気分にもなるだろうなあ。
男性記者だったらまた違った答えを引き出せたような気もしますが、まあそんなのどうだっていいのか。


(H)

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