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April 2007

April 27, 2007

連休に混みそうなあの施設の本


以前ここで紹介した「母の日フェア」の途中経過ですが、「田中宥久子の造顔マッサージ―10年前の顔になる 」(講談社)が圧倒的に売れています。
なんだ、やっぱりみんなお母さんにはキレイなままでいてもらいたいんだなあ、と思ってたら単純に著者がTVに出ただか、本が紹介されただかで、別にウチのフェア云々とはあまり関係がなかったようです。
まあだいたいそんなもんです。

TVといえば昨日だか今日入ってきたムック本「都市伝説」の表紙にあった一文。
「みのもんたは5人いる!」という、これまたすごい都市伝説が書いてありました。
アシスタントの佳代ちゃんが鼻押すとコピーロボットに戻ってしまうんでしょうか。
まあどうでもいいですけど。
ちなみにハローバイバイの方は発売後約半年経過した今もまだ売れております。
すごいな関暁夫。

さて、ゴールデンウィークに突入しようとしていますが、皆様のご予定はいかがでしょう。
私自身は以前働いていた元アルバイトの結婚式に出席するのと、千葉マリンスタジアムまで野球を見にいくこと以外何も決まっていません。
それはさておき、連休中さぞ混みそうだなと容易に想像つくのが六本木周辺。
東京ミッドタウンなんて凄まじい複合施設がまた一つできましたが、中井は六本木と大江戸線で一本なせいもあってミッドタウン特集の「Hanako」もそこそこ売れました。
(まだ置いてありますので行く前には駅の隣の本屋でぜひ)

そしてもうひとつそこそこ売れてるのがこれ。

 ○「リッツ・カールトンが大切にする サービスを超える瞬間」(かんき出版)
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東京ミッドタウンにできたザ・リッツ・カールトン東京は一泊最低料金6万8千円、スイートは210万円だそうです。
そんなリッツ・カールトンの考える「人との接し方」とは何か。

「サービスを超える瞬間というのは、お客様が言葉にされないニーズまでも十二分に満たされた時のことである」

とはどういうことか、一冊まるまる使って書かれているわけですが、私なんかはそんなことより宿泊客の好みに合わせて冷蔵庫にあるヴォルビックをビッテルに変えたりとか、レストランでウエイトレスの子にちょっと美術館に行くという話をしただけで翌日コンシェルジュがパンフレットを持ってきたりといった、具体的なエピソードの数々にため息が出てしまうわけであります。

そんなリッツ・カールトンの教えを本屋にどう生かすかはこれから考えるとして、ひとまずリッツカールトン17条の一つ「かかってきた電話はなるべく転送しない」ということぐらいからまず始めてみようかと思います。

(H)

April 20, 2007

地味マンガ×2


六大学で初勝利をあげた早大の斉藤君に続いて、楽天イーグルスの田中君も先日プロ初勝利をあげました。
おめでたいことです。
しかし、いったい彼らはいつまでクン付けで呼ばれるのでしょうか。
そして、斉藤君関連の本はいつまで出続けるのでしょうか。
売ってる側がこういうことを書くのもどうかと思いますが、そろそろ売り場がいっぱいいっぱいです。

さて、久しぶりにマンガをとりあげてみます。


○「鈴木先生」武富健治(双葉社 現在2巻まで発行)
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中学2年の担任・鈴木先生がクラスで起きる小さな、本当に小さな出来事に振り回されながら解決していくストーリー。
とかく学校マンガがイジメだ援助交際だ受験だといった大きな出来事で書かれやすい中、鈴木先生が相手にするのは
給食中に汚い言葉をつぶやく生徒への対応とか、生徒による先生の人気投票の結果を異常に気にしてしまう同僚教師とのつきあいだったり、女子生徒への妄想をかきたてながら現実には実に普通に接してみたり、そういった教師という仕事の中の小さな毎日が描かれています。
しかし読んでると「なんでそんなことがそこまで大きな問題に?」ということばっかりなのですが、案外我々が中学生くらいのときもそんなんだったのかもしれません。
とかく学校マンガというより、「教師」というビジネスに翻弄される20代男子マンガ、な味があります。


○「金魚のうろこ 田辺聖子原作シリーズ」鴨居まさね(集英社)
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田辺聖子の原作を元にした短編集です。
30を過ぎると「出会いました、惚れました、けどつきあえません、でもやっぱりあなたが好き、けれど二人は…」的ストーリーもだんだんつらくなってくるのですが、これはその話の深いコクにしてやられて3回も読み直してしまいました。
中でも田舎出身で、背が高くてコンプレックスの塊だった奥さんが旦那にドレッサーを買ってもらえなかったのがきっかけで性格が変わっていく「あんたが大将」がいいです。
読み終わってからなんとなくホッとする、深い味わいをお楽しみください。


(H)

April 13, 2007

「新宿文化絵図」

 このたび新宿区地域文化部が製作した『新宿文化絵図』を当店で取り扱うことになりました。

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 新宿区内の町に関する歴史や文化について書かれた書籍はこれまでにもありましたが、この本の内容充実ぶりは他を圧倒しています。

 落合地区を始めとする区内各地区の歴史・文化の解説、町名の変遷・名所の案内、新宿にまつわる著名人のエッセイ、さらには江戸-明治-現在とそれぞれの町の移り変わりがひと目でわかる「重ね地図」がつき、豪華箱入りで1,260円(税込み)。
製作が新宿区ということもあり、この手の地域解説書としては破格に安い定価設定です。


 ここからは極めてローカルトーク。


 かつて私が小学生の時分にザリガニ釣りにいった下落合のおとめ山公園は長らく『乙女山』が正しい表記なのだろうと想像してましたが、正確には「御禁止山」が正しいそうです。
あそこは徳川将軍家の狩猟地だったので、庶民が山に登るのを禁じたのが由来だとか。

 「重ね地図」を見ると、著名人の葬儀がたびたび行われる落合火葬場は明治時代にはすでにあり、さらに戻ると江戸時代には荼毘所となっています。
 相当歴史があったんですね。
 明治の頃はいまの落合駅、つるかめストアのあたりに浅間神社があります。
 早稲田通りは当時からあったようですが、山手通りは影も形もありません。

 ちなみに伊野尾書店がいまある場所は、明治時代は水田になっています。
というより当時の上落合はほぼ全域が水田で、一部樹木畑がある、という具合なので特別なことではありません。
 江戸時代まで戻ると落合ほぼ全域が空き地か畑で、ほんのわずかお屋敷が点在している程度です。

 
 本当にこの内容で1,260円は安いと思います。
 製作が出版社主体ではないので、売れてしまったとしても後からまた作るとは限りません。
 ぜひ在庫のあるうちにどうぞ。

 (H)

April 10, 2007

オカン、おふくろ、お母さん。

「東京タワー」映画版の主演がオダギリジョーと聞いて、最初のうちは『時効警察』の霧山刑事が「オカン?」とか言ってる図を想像していたのですが、CMを見たらさすがに全然雰囲気が違いました。
オダギリジョーは出る作品ごとに違った雰囲気があって、やっぱりたいしたものだなあと。
劇場いって見てみたいような、そうでもないような。

ということで「東京タワー」公開と来月の母の日にあわせて、「母の日に贈る本フェア」を開催中です。

 「母親というものは」葉祥明
 Photo_1

 http://www.yohshomei.com/shop/2006ori/137.html


 「おかあさんとあたし。」k.m.p
 Photo_2

 http://www.daiwashobo.co.jp/2000/11/kmptati.html


 「愛すべき娘たち」よしながふみ
 Aisubekimusumetati

 http://www.s-book.com/plsql/com2_detail?isbn=4592132955


  しかけ絵本「恋はある日突然に」
  Photo_3

 http://www.ehonnavi.net/ehon00.asp?no=8835


 「サムライカアサン」板羽 皆
 Photo_4


などなど。


今回集めたのはほんの一部で、母の日にプレゼントするのにうってつけな本はまだまだたくさんあります。

母の日まではまだ時間があります。

今年はカーネーションといっしょに、本を贈ってみませんか。

(H)

April 04, 2007

やっさんの思い出

やっさんに最初に怒鳴られたのはある年の春のことだった。

「なんだオメエはよぉ!ナメてんのか!あー!」

怒声の原因を、今となっては忘れてしまった。
けれど怒声の主は、強烈にインプットされた。
リーゼントのような髪にブラックスーツ、先のとがった白いシューズ、手首に光る金色のネックレスと重そうな銀の腕時計、2台の携帯電話をブラブラもった右腕にいつも携えられてたセカンドバッグ。そしてサングラス。
年齢は私より少し上か、同じくらいだと思っていたが、ひょっとすると一回りくらい上だったのかもしれない。年齢不詳な人だった。いや、年齢だけでなく、いろんなところが不詳の人だった。

やっさんにはいろんなことをよく怒られたが、筋の通らないクレームはなかった。
こちらがキチンと謝れば、それ以上のことに発展することはなかった。
やっさんの挨拶は決まって「実話時代きてる?」「実話時代ドキュメントきてる?」「実話時代BULLきてる?」であって、普段は週2回くらい店に顔を出しては雑誌か文庫を買う普通のお客さんだった。
けれど買ってる雑誌が買ってる雑誌である。
そして格好が格好である。
私は触らず近寄らずな接客を心がけていたが、彼の方は意に介さずレジの私によく自分の話をした。

「昨日警官殴っちゃったよ、下北沢で。ムッカつくんだあいつ」
「こないだまたパトカー乗っちゃったよ。今年で3回目」

やっさんの口癖は「ヤクザも本読まないとダメだよな」。
そういって内田康夫の文庫をよく買った。
新刊が出たら全部買うからとっといて、と言われた。
立ち読みが嫌いな人で、並んでいる本を見て「これ買うわ」と3秒くらいでレジに持ってくる一方、マンガを立ち読みしている高校生に「おめえ邪魔だよ!マンガくらい買え!」といきなり説教を始めたときもあった。
やっさんは困ったお客である前に、一人の人間として魅力的な人だった。
だからそんなやっさんが一度携帯にかかってきた電話にいつもと違う声で「あ・・・はい、お世話になってます、その件に関しましては…」と出た時には、なんだか見てはいけないものを見てしまった気がして辛かった。

ある日、やっさんがブラックスーツでなくポロシャツとスラックスの格好で店に来た。
「俺、リストラにあっちゃったよ。ゲーセンの店長だってよ。ガキの仕事じゃあるめえし。なあ?」
もちろん、リストラにあう前にどんな仕事だったのかなんて聞けない。
その頃からやっさんの話し振りに柔和なものがだいぶ混ざるようになった。
サングラスもかけない時の方が多くなっていた。

やがてやっさんの見た目は完全に普通の人になった。
柔和になったやっさんは、町の人や商店街の人とよくしゃべった。
以前のように自分の話を一方的にするのでなく、天気の話やニュースになった事件の話をしていた。
病院に定期的に通っているのか、セカンドバッグを携える右手から携帯がなくなった代わりにいつも薬が入ったビニール袋がぶら下げられるようになった。
そのことはちょっとだけ私の胸をチクンと刺したが、しょせんちょっとだけに過ぎなかった。

やっさんは、それからすぐにこの街を去った。
何をしていた人なのか、ここ数ヶ月の変貌には何があったのか、なぜこの街から出て行かなければならなかったのか、何一つ教えてくれないまま。
春に現れたやっさんはそうして春にいなくなった。

以来、やっさんはもう7年くらい店には来ていない。
我々店側の人間はいつだって受け身だ。
来てくれるのをただ待つだけ。
こちらから追いかけることはできない。
まして、どこへ行ったか、など。
今何をしているのか、など。

やっさんがいつだったか文庫棚を見ている時、一冊の本をレジにいる私のところへ持ってきたことがある。
「この人の本いいよ。すごくいいこと書いてある。お兄さんも読んどいた方がいいよ」

やっさんが「この人いいよ」と教えてくれた人の本を、私はいまだに読んでいない。
けれど「この人」は人気作家なので、わりと頻繁に新刊が出る。
彼の新刊を並べるたび、私はやっさんに「まだ読んでないの?」って怒られてる気がして申し訳なくなる。

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(H)

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