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February 2006

February 27, 2006

株・株・株

ここのところちょっとした手違いというか、何かの冗談なのか新聞や業界紙に自分の名前やコメントが載ったことが何回か続きました。
活字になった自分のコメントを読んでると自分の馬鹿さ加減が浮かび上がってきて恥ずかしい限りですが、スイカに塩を振ると甘く感じられるように、立派な意見の中に少しぐらい馬鹿な意見が混じってると周りの意見が余計引き立つかもしれないなと思い、そう考えたらだいぶ気が楽になりました。
とりあえず私の今の関心事は出版業界の未来よりも、どうして紅虎餃子房のホームページはあちこちに飛んでいて都内の店舗一覧が出てこないんだろうという懸念にあります。
もし詳細を知る方がいらっしゃったらご一報ください。


さて、ライブドアショックもどこへやら、相変わらず株の本はよく売れています。
マネー雑誌の特集も「株で2億円作る!」とか非常に鼻息の荒いものが目立ちますが、「株で失敗した人」という特集はあまり見かけません。
ひょっとしたら「SPA!」あたりでやっていたのかもしれませんが、株で失敗した人の手記なんかももしあれば店に置いてみたいと思います。

ウチの店で一番売れた株の本は、「平凡な大学生のボクがネット株で3億円稼いだ秘術教えます!」(扶桑社)という、非常に長いタイトルの本です。
daigakuseikabu3okuen

表紙のイラストと中の漫画にヤングマガジンなどで童貞マンガを描いている小田原ドラゴンが加わってることもあって、全体の空気は緩めです。
それが逆に「こんな奴が3億円なら俺だって30億ぐらい稼げるんじゃないか」という気にさせてくれるのか、去年の夏に出た本ですがいまだに売れ続けております。
つい最近「3億円大学生が徹底指導した勝利の鉄則―三村式ネット株 実践編」という続編も出ました。
株で3億円、本で印税。
彼は大学を卒業したあとどうするんだろうと余計なことを考えてしまいます。


で、もうひとつ気になったのが今月の新潮新書の新刊(新が多いな)、「サザエさんと株価の関係」(吉野貴晶著)。
sazaesantokabuka

オビには「サザエさんの視聴率が下がると、株価は上がる!」
なんだかよくわからないけど、ものすごく気になる本です。

目次をパラパラとめくると、「映画が流行ると株式市場は下落」「音楽が流行ると株式は上がる」など。
株というのはそんなにいろんなもので読めるのでしょうか。

そういえば「アダルト雑誌の表紙にべっぴんさんが出るのは景気が悪い時で、不細工が表紙に出るようだと景気がよくなる」という話をしてくれた方がいました。
天気予報がなかった時代にはいろんな兆候で天気を予測したように、株価というのはかくもいろんなもので予測できるようです。

(H)

February 21, 2006

50年の月日

今はだいぶ慣れましたが、はじめのうちは耳で聞いてると「鳥のオリンピック」と聞こえて仕方なかった冬のオリンピックも後半戦だそうです。
オリンピックは素人なので細かいことはよくわかりませんが、スノーボードクロスというのはずいぶんおっかない競技だと思いました。
しかし考えてみれば滑降系スキー競技もジャンプもリュージュもみんな紙一重で大怪我する競技であり、最初のうちは「うわーすげー」と驚きつつも、しばらく見ていると次第に慣れてきて「たまには前後ろ反対で滑るようなチャレンジャーな選手はいないんだろうか」などと命をかけて競技に望む選手をバカにしたような不埒なことを考えてしまいます。
かつておそるおそるトライしてみたスノーボードで「足が動かない恐怖」にパニックになった私は、スイスイ滑れるばかりか空中で回転できる今井メロや成田童夢は年下でも憧れの対象です。


さて、「週刊新潮」が今年で創刊50周年を迎えるそうです。
それに合わせて二冊の別冊が出ました。
そのうちの一冊が「創刊号完全復刻版」です。
(もう一冊は「週刊新潮」の人気企画を一冊にまとめた「黒い報告書」)

weeklysincho-fukkoku

「週刊新潮」が創刊したのは昭和31年。
ちょうど「Always~三丁目の夕日」の時代ですね。
出版社が初めて作った週刊誌だったそうです。
当時はニュースは報道機関しか集められない、だから新聞社しか出せないという空気が強かったそうです。
実際それは創刊した当時の取締役も思っていたようで、誌面の中心は小説だったようです。
巻頭でそういった創刊にまつわる内情が当時のスタッフによって回想されています。

中程では昭和31年創刊号と同じ記事が再現されています。
三大連載小説が谷崎潤一郎、五味康祐、大佛次郎。
「タウン」というコーナーでは今の「ぴあ」のように、映画・演劇・音楽情報などが載ってます。
「本」という新刊案内のコーナーもあります。
岩波新書が100円、カッパブックスが130円、「文藝春秋新社」の単行本『一軍人の生涯―回想の米内光政』が250円。
歌舞伎座の入場料が800円、450円、190円、130円ですので、割と本は高いなあという感じがします。
「テレビ」の欄ではやけに『舞台中継』が目立ちます。
特集は「オーマイパパに背くもの」。
小見出しは「父権はゆらぐ・父と子の対立」。
封建的な空気が残っていそうな昭和31年でもすでに親子の問題が出てきていたのですね。

こうやって紹介していくと終わりがないぐらい、今読むと面白い内容です。
大衆の暇潰しとして定着した週刊誌を通して、50年という歳月で変わったもの、変わっていないものがぼんやりと読み取れます。
インターネットの普及でひとときに比べ部数が落ちてしまった週刊誌ですが、こうして長い年月を通して比べ読みができる読み物だけに、まだまだ頑張ってほしいものです。

(H)

February 16, 2006

すごい男の本

先日取材に協力した新聞社の記事が今朝の朝刊に出て、その中で私の写真がイメージとして使われたら朝一で親戚のおばちゃんから電話がかかってきて、「新聞見たわよ!がんばんなさいよ!」といきなり励まされました。
「おばちゃん、あれは業界の状況を伝える記事にたまたま俺の写真がイメージとして使われただけで、別にウチの店が素晴らしいから紹介しようってのとは違うんだよ」と喉元まで出掛かりましたが、面倒くさかったので「うん、ありがとね」と言っておきました。
孝行とは近親者に何を言われても「うん、そうだね、その通りだね」と答えることだと悟ったのは三十を過ぎてからですが、いちいち反論するのが面倒くさいときにしか実行できていません。
とりあえず、みうらじゅんの「新『親孝行』術」(宝島社)でも読んで勉強すっかな、と思ったらもう品切れになってました。
やっぱり本は気になったら即その場で買っておかないといかんです。


さて、おばちゃんの話を引き出すまでもなく新聞というのは影響力のあるメディアですが、テレビはもっと影響力のあるメディアです。
そのテレビで活躍する芸能人たちの手記がこのところ立て続けに出版されています。
大竹しのぶ「私一人」(幻冬舎)、布袋寅泰「秘密」(幻冬舎)、叶恭子「3P(トリオリズム)」(小学館)など。
その中でひときわ目をひいたのが、これです。

○「マイライフ」石田純一
mylife


はい、嫌いな人は徹底して嫌いなモテ男・石田純一の日記形式の手記です。
私も10何年も前、今井美樹や松下由樹とトレンディドラマに出てた頃はあまり好きじゃありませんでした。
が、近年バラエティ番組で自ら色男キャラを演じているのを見てから、「この人は結構凄い人だな」という風に変わりました。
普通、自分の恥ずかしい部分は隠しておきたいのに、それを自らの商売のタネと割り切ってさらけ出しているのだから、たいしたものです。

ああいうトークバラエティ番組というのは今まで出演者たちが勝手にてんでばらばら喋っているのを編集しているだけだと思っていたのですが、この本によるとどうやら少し違うようです。
「行列のできる法律相談」で島田紳助がお色気系の話を始めたら、途中東野幸治がこういう話のつなぎ方をして自分のところに話が振られるから、そしたらこういうオチでいこう、いやそれともこっちのオチの方がいいか、と六手先を読む詰め将棋のようなことを日常的に行っている様がこの本の中で書かれています。

まあ本の内容は8割ぐらい女性関係の話ですが、加齢臭と戦いながら娘のような年齢の女の子を口説くあたりはリスペクトの念すら覚えます。
やっぱり芸能人は只者じゃありません。

(H)

February 08, 2006

静かに売れ続けるコミックをご紹介します

「アンダーカレント」
372092

夫が失踪し、家業の銭湯も手につかず、途方に暮れる女。やがて銭湯を再開した女を、目立たず語らずひっそりと支える男。穏やかな日々の底で悲劇と喜劇が交差し、出会って離れる人間の、充実感と喪失感が深く流れる。
映画一本よりなお深い、至福の漫画体験を約束します。


ページをめくるたびに、上質な映画を観ているかのごとく、ぐんぐん引き込まれてゆきます。
多くの人がそうであるように、一度心にかかってしまった靄を取り払うにはその原因を知るしかありません。
それがどんなに辛い現実であっても、受け止めるしか前に進む方法はないのです。

もし今、その一歩が踏み出せないでいる方がいたら、そっと薦めてみたくなる、
そんなコミックです。


「ソラニン」
153321


大学を卒業して1年が過ぎ、OA機器メーカーのOL・井上芽衣子はあることを実感するようになっていた……「わたしは社会人には向いていない」。とはいえ、自分に特別な才能がないと自覚してしまった今となっては、もはや人生のレールを外れる勇気もないというのが現実。多少辛くても、頑張ってつつましく生きていくしかないのだと、彼女は今日も会社へ向かうのだったが…


漂うのは「虚無感」。
上流だの下流だの、希望だの絶望だのがいまいちリアルに響いてこない世の中で、
これだけリアルな世界を突きつけられると、泣く気もないのに涙が出ます。
「やりたくないこと」はわかっているのに、「やりたいこと」はわからない。
なんとなく、なんとなく…

巻末で事件が起こります。
この先この「ソラニン」の世界がどう動いていくのか、登場人物たちは何を受け止めていくのか。
目が離せません。


February 07, 2006

そこから何を学ぶか

ホリエモンバッシングがようやく落ち着いてきたと思ったら、今度は東横インバッシングが始まりました。
違法建築である以上お役所から厳しく言われるのは理解できます。
しかしわからないのは、身体障害者用スペースを後から削ったことに対してのバッシングです。
確かに障害者の方から見るとあの社長のコメントはカチンとくるものなのかもしれませんが、それに乗って「なんて暴言を!謝れ!」的メディアの姿勢がどうにもうんざりきます。
森達也氏の言う「マスコミの懲罰機関化」の流れはもう止められないところまで来ている気がします。

そんな森達也氏の対談集「世界と僕たちの未来のために」(作品社)、入荷してます。
あっというまに残り1冊となっています。
お早めにどうぞ。

さて、話を戻すようですがこの2週間ほどのホリエモンバッシングを経て、我々は何かを学んだのでしょうか。
何か多くの人が溜飲を下げてそれでオシマイ、となっていないでしょうか。
盛者必衰という言葉があります。
ダイエー、そごう、西武グループ、そしてライブドア。
一時は日本を代表した企業が、今では「負け組」の代表のように扱われています。
球界の盟主だったはずの読売ジャイアンツはボロボロになり、日本サッカーの礎を築いた東京ヴェルディはJ2に落ちました。
みんなひっくるめて「ざまあみろ」でいいんでしょうか。

ということで、こんな文庫を売ってみることにしました。

○「失敗学のすすめ」畑村洋太郎(講談社文庫)
shippaigaku


本来、人は成功より失敗に学ぶことが多いものです。
子どもは転んで危険を学びます。
いくら大人がここは安全だ、ここは危険だと諭しても、自らの体験に上回る教訓は得られません。

隣りには同じ著者の「失敗学の法則」(文春文庫)を並べました。
こちらもご注目ください。
ちなみにその隣りはヤケクソで置いたホリエモンの「稼ぐが勝ち」(光文社文庫)です。


(H)

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