« November 2005 | Main | January 2006 »

December 2005

December 29, 2005

2005年を締める

FMラジオからユニコーンの名曲「雪が降る町」が流れる時期になりました。
あと2日で2005年も終わろうとしています。

角田光代と阿部和重が直木賞を受賞した今年1月のことが遠い昔に思えます。
今年はひいきにしている千葉ロッテマリーンズがまさかまさかの日本一になって嬉しかった一年でしたが、慣れ親しんだ著名人や親しい間柄の人が突然亡くなるということが立て続けにおき、悲しい一年でもありました。
みなさまにとってはどんな一年であったでしょうか。

かねてより製作中であった文庫・新書の新カバーができました。
まあ一般書のカバーとそんなにはデザインは変わっていませんが、ぜひ文庫か新書をお買い求めになってお確かめください。
それにしても今年中に収めるという約束ではあったけど、28日ちゅうのは本当に年内ぎりぎりだったなあ…ぶつぶつ。

昨年の伊野尾書店ベスト1は言わずもがなの「ハリー・ポッター」でしたが、今年のベスト1はここでもとりあげた「My happy town 新宿」(スターツ出版)、151冊でした。 よく売れました。ありがとうございます。
ちなみに去年の秋に出た「電車男」(新潮社)が69冊でした。
もちろん大部分を占める、それ以外の本も買っていただいた方も含め、すべての皆様に厚く御礼申し上げます。

今年は中井商店街に牛丼の松屋ができ、スパゲティ屋さんもでき、靴修理の店までできました。
踏み切り向こうのampmの脇道は次々と新しい居酒屋さんができて、ちょっとした飲み屋街になってきました。
少しずつですが、街の風景が変わりつつあるなという実感を抱いています。
あまり変わり映えしないかもしれませんが、伊野尾書店でも先の「よるくまちゃん大賞」(ご参加いただきました皆様、本当にありがとうございました)など、少しずつですがいろんなことをやってみたり変えたりしてみました。
来年もいろんなことをやっていけたらと思います。

2006年もよろしくお願いいたします。


店長 伊野尾宏之

December 26, 2005

岡嶋二人


「2005年度この文庫がすごい!」のミステリー&エンターテイメント部門を受賞した岡嶋二人の「99%の誘拐」(講談社文庫)が秋ぐらいからずっと売れております。

岡嶋二人は80年代にデビューしたコンビ作家で江戸川乱歩賞などを受賞した「焦茶色のパステル」などミステリーの秀作を何作か残してますが、現在はコンビを解消していています。
「99%の誘拐」も初版が出たのは1988年のことで、昨年復刊された文庫版が先の賞を受賞した、非常に珍しいケースです。
もっともこのミステリー部門のランキングを見ると、江戸川乱歩全集とか中井英夫「虚無への供物」とか、何年前の本だそれ?といった本も数多く入っていますが、それだけ広いところからセレクトしたとことの裏返しでもあり、信頼性は高いと思います。

岡嶋二人の著作は長らく品切れ扱いになっていましたが、この「99%の誘拐」のヒットで続々復刊されて、ちょっとした岡嶋二人ブームにもなっています。
その中のひとつにかつては新潮文庫、現在は講談社文庫から出ている「クラインの壺」という作品があります。

kulain

バーチャルリアリティシステムに入り現実と仮想現実がごちゃ混ぜになって目の前の世界を、SF未来小説です。
この本が出たのは1989年、「マトリックス」が公開される約10年前のことです。
岡嶋二人の才能に驚かされると同時に、ようやく再評価を得られたことをかつてのファンとしてうれしく思います。

古くても、きっかけさえあれば良作は読まれるのだなという思いを強くしました。
ウチの店でもそういうきっかけを作ることができれば…と思います。

でもそれにはまず本を読まないと。。。がんばろっと。


(H)

December 22, 2005

散歩の達人「本屋を遊ぼう!」


前回からだいぶ空いてしまいました。
書店には正月休みの分の本が前倒しで送られてきており、それでなくともクリスマス前でバタバタしているということでちょっと落ち着かない日々でした。

華原朋美の写真集がすごい勢いで売り切れました。
1680円と意外に安いこともあったんでしょうが、ちょっと仕入れを読み間違えたかもしれません。
グラビアつながりで思い出しましたが、アイドルの仲根かすみとソフトバンクホークスの和田が結婚というニュースもビックリしました。


さて、「散歩の達人」が本屋特集を組んでます。

http://www.kotsu.co.jp/magazine/sanpo/tachiyomi/index.html

一般的に雑誌の本屋特集というと大型書店とオシャレ系独立書店をサラッと流しておしまい、という作りがほとんどの中でさすが「散歩の達人」、いろいろと唸らせるページがたくさんあります。
同業者から見て一番面白かったのは「気になるレジカウンターの中が見たい!超巨大書店・街の本屋さん」というページで、いろいろ勉強になりました。それ以外にも「キヨスクとコンビニは本屋ではないのか」という考察があったり、万引きの話があったり、ブックオフの内側とか。
割といい売れ行きなのでぜひお早めにチェックしてください。


今年も1年を締めくくる時期になりましたが、書店業界に対して思うことはどうもこの仕事というのは書店以外にも事業を持っていたり、大型の資本下でないとやれない業種になってきたんだなあということで。
かくいうウチも書店だけであったらとっくになくなっていたであろうし、業界内でやたら威勢のいいところは鉄道会社が資本を出していたり、あるいは閉店する本屋の話を聞くと親会社が業績いいうちは損失出してても穴埋めしたりしてやっていけたけど、もう今はそんな余裕ないんだとかまるでプロ野球の球団運営みたいな話になってたり、見た目すごくいい本屋が内情の財政事情はかなりきつかったりとか、そんな話がゴロゴロしています。

これからは本屋をすることで得られるメリットをハカリにかけながら、本を売る以外の収入を得ていく方法を模索していくんだろうと思います。

とはいえまだまだ出来る限りは「中井の本屋」でありたい、いつもそう思ってます。
今年一年ありがとうございました。
来年も引き続きよろしくお願いします。


…って締めのあいさつをしといて何ですが、まだ年内あと1回2回ぐらいは書くと思います。
どうぞよろしく。

(H)

December 13, 2005

犯罪と地域社会


このところ小さな子どもが被害に遭う事件が連続して起こり、マスコミもさかんに小さな子を持つ親の不安を煽り立てるような報道を続けています。
この5年あまりで学校は入り口に厳重に鍵をかけ、子どもの場所を特定するGPSや非常用の催涙スプレーを持たせることが当たり前になり、地域の人々が自主的にパトロール隊を結成することが日常化しました。
結局小さい子を犯罪から守るには家から出さないしかない、そんな風潮すらあります。

そういう時代だからこそ読んでもらいたい本を少し並べてみました。

○「過防備都市」五十嵐太郎(中公新書ラクレ)
○「監視カメラ社会 ~もうプライバシーは存在しない~」江下雅之(講談社+α新書)
○「犯罪はこの場所で起こる」小宮信夫(光文社新書)

いずれも金額の張らない新書です。
新聞やテレビでは伝えられない事実が、この中にはたくさん書かれています。

中でも注目してほしいのが「過防備都市」です。

kaboubitoshi

建築学の視線から現代の都市と社会を見つめた一冊です。
「かつて都市は善意をもとに形成されていたが、それは悪意に変わりつつある。社会が求めているのは監視されやすい透明な空間。だが、それでいいのだろうか」という著者の現代社会への戸惑いがこの本には溢れています。


それにしてもマスメディアに対して思うのは、かつてビデオ収集、スプラッター映画、成人マンガ、「バトルロワイヤル」、そして最近はエアガンとちょっとした事件が起こるとその中で出てきたアイテムを悪者にしたてあげ、ひいてはその愛好家を犯罪予備軍のように言うくせに、どうして車に対してだけは誰も何も言わないのでしょうか。
少なくともこの何年か地方都市で起きた誘拐犯罪はすべて犯行に自動車が使われているのに、「自動車があるからこういう事件が起きるんだ」とヒステリックに言う人は見ません。
コミュニティの断絶と車社会の形成が事件の背景にあります、というコメントは少なくともTVではまず目にしません。
そうやって「社会の出来事」が今日も伝えられているということは常に自覚しておきたいと思います。

(H)

December 08, 2005

「11文字の殺人」東野圭吾

11moji

TV化も映画化もされていない、メディアで紹介されたわけでもない初版が1990年の古い文庫本が、先月の文庫売上ランキング4位に入りました。
なぜ今になって売れているのか、私もよくわかりません。
オビには「東野圭吾の傑作見つけた!書店員さんがオススメ!」とありますが今時こんな文句はたいがいの本についています。

東野圭吾は遅咲きのベストセラー作家です。
デビュー当初は江戸川乱歩賞を受賞した「放課後」をはじめ、甘酸っぱくホロ苦い読後感が特徴的な青春ミステリーが定評を博した彼はそのポジションに甘んじることなく様々なジャンルの小説を書き、甘く温かい読後感が印象的な「秘密」のような作品から、二人の男女の奇妙な人生を描いた重い大作「白夜行」まで、現在は総合的なエンターテイメント小説の書き手として活躍しています。

彼の作品は非常に読みやすく、読者を選びません。
しかもワンパターン化されることなく、その時々で手法やテーマを大きく変え、かつ読み出すと早く先を読みたいと思わせるストーリー展開を描きます。
彼のような作家の初期作品が15年たってこうして売れているというのは嬉しいことです。

実は私はこの本が出たばかりの頃読みました。
その時は結構面白かった、という感想だったと思います。
ただ、それ以外に内容をまったく覚えていません。
この機会にまた読み直してみると新しい発見があって面白いかもしれません。

(H)

December 05, 2005

NONFIXを見て


先週土曜日の深夜、というかもはや明け方近くにフジテレビで放送していた「NONFIX」がなかなか面白かったので、紹介します。

テーマは「韓国における日本文学のあいまいな軽さ」。


内容を簡単におさらいしますと…

○いま韓国では若年層を中心に日本小説ブーム。
それまで韓国の小説は民族や戦争といった固くて思いテーマがほとんどだったが、日本発の恋愛小説が受けている。

○きっかけはやっぱりというか、セカチュー。20万部。
なお韓国の歴史的ベストセラー「太白山脈」が50万部。

○以来、恋愛小説を中心とした日本の小説が次々翻訳・出版される。
なかには日本ではまるで無名な作家なのに青田買いのように出版されることも。

○「日本作家コーナー」が常設されている韓国の大書店。照明がシャンデリアなのが気になる。
ちなみに「野ブタ。をプロデュース」のとなりに並んでいたのは「我輩は猫である」。

○韓国でもネット発のベストセラーが生まれた。(「あいつかっこよかった」「猟奇的な彼女」など)
表紙をイラストにしたり、絵文字やエイリアン語(いくつかの記号を組み合わせて表したハングル文字。日本のギャル文字みたいなものか)が使われたことで若者に支持を得る一方、「これは文学ではない」というバッシングも。

○それらを発行した出版社は新興出版社か、少人数の会社が多い。その中の一社を取材。
情報源はこれです、と取り出したのは「ダ・ヴィンチ」と「編集会議」。「その日のまえに」の出版を交渉する様子が映し出される。

○韓国では出版物に対する審理規定が厳しく、「トパーズ」「バトル・ロワイヤル」「DeepLove」などが有害判定とされ出版できなかった経緯を持つ。
たとえば作品の中で不倫を書いてはいけないわけではないが、そういう行為に及んだ登場人物たちは悪として描かれる。強い倫理観が支配している。

○大学で日本文学を学ぶ学生たち。
「韓国小説の主人公は皆カリスマか強いリーダーシップの人間ばかりだが、日本の小説の主人公たちは決断力がなく悩んでいる普通の人たちで、共感がもてる」

○そういった学生たちの親や祖父母には日本に好意的な感情を持っていない人もいるが、子どもや孫の勉学を見守っている。


日本でのライトノベルス人気にちょっと似たところもありますが、なにしろ「日本の小説」ということで、向こうの人々の受け取り方は様々なようです。
直接本業に活かせる点は多くありませんが、興味深い内容でした。

NONFIXオフィシャルサイトはこちら。
http://www.fujitv.co.jp/nonfix/library/f485.html

December 01, 2005

12月です


12月に入りました。
師走です。
2006年が見えてきました。

かわら版5号できましたので、ぜひお持ちください。

このフリーペーパー「伊野尾書店かわら版」は今まで30部作ってましたが、前号ついに完売(いや売ってはいませんが)したので20部の増刷を決めたのですが、そうしたらちょっと余りました。
まあたいした枚数ではありませんが、当然次のが出たので保管用を少し残して捨ててるわけです。
もったいないなあと感じます。
増刷は数とタイミングが難しいですね、出版社の皆様。

さて、ここのところニュースは「姉歯」と「ヒューザー」と「耐震偽造」、こればっかです。
はじめのうちTVも建築会社も販売会社も設計士一人の責任に仕立てあげようとしているのを見て「おいおいおい」とビックリしましたが、さすがに全体の問題ということが報道されつつあります。
(それでもヒューザーの社長はTV的においしいのか、今でもメディアの獲物にされてますが)

というわけでこんな本を仕入れました。

「安心して生涯住めるマンション一発判定」(1300円+税)
manshonippatu


さすがに偽造データの見破り方は載ってませんが、「デベロッパーと売主を判定する」という興味深い項目が載っています。
最近やたらと目に付く異様にビジュアルの凝ったチラシ戦略と、実際は機械がやっているだけなのにさも警備員が常駐しているかのような錯覚を引き起こす『24時間セキュリティ管理』といった際どい言葉使いなど、注意する点を読んでいると「ああ、そうだったのか」と目が覚める思いにかられます。

今回の事件は、自分がどういうところに住んでいるのか、どういう建物に住んでいるのかを考えるにはいい機会かもしれません。
「王様のブランチ」のお部屋紹介的に「ロケーションがいい」「建物がかっこいい」「部屋がステキ」だけで一生で一番高い買い物を決めていいもんですかと、立ち止まって考えてみたいところです。


(H)

« November 2005 | Main | January 2006 »

My Photo

他のアカウント

ご注文はこちらまで

April 2017
Sun Mon Tue Wed Thu Fri Sat
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30