●コーヒーもう一杯
夏休みに入り、中井の人通りが普段より少なくなってきました。
そんなときこそ一冊の本と、一杯のコーヒーを。
なんてこんな本を。
●コーヒーもう一杯
新刊で一冊だけ入ってきたとき妙に気になり。中を少し読んでみたらその深い味わいにやられました。
西岸良平のようなタッチと、素朴なのに味わい深いストーリー。
別れて暮らす息子との再会の日、「今日は何がしたい?お父さんなんでもいいぞ」と訊く父親に「今日はお父さんの遊びに僕がつきあうよ」と息子が答えることで始まる「バビロン再訪」は特に味があってよいです。
同時発売の「口笛小曲集」も味がある作品です。
だいたい推薦文を書いてるのが森薫とこうの史代という時点で大きくハズレになるわけありません。
読後誰しもコーヒーを飲みたくなるにちがいない一冊です。
といいながら私は何年か前に胃を悪くして以来、コーヒーが飲めません。
飲むと胃の下あたりが痛くなってきます。
むかし学生時代は毎日のように飲んでいただけに、街でコーヒーのいい匂いを嗅ぐと懐かしいような、失ったものを惜しむような複雑な気持ちになります。
(H)