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June 2005

June 27, 2005

●新ゴーマニズム宣言SPECIAL沖縄論


okinawaron


一時に比べればやや落ち着いたとはいえ、若い読者を中心にいまだ多大な人気と影響を誇る小林よしのり氏の新刊。
3巻にわたって展開された「戦争論」、さらには「台湾論」から5年、今回のテーマは「沖縄」です。
「ゆったりと時間が流れる癒しの島」として認知された南方のリゾートが背負わされた苦難の歴史を通じ、この国の戦後を考えていく一冊です。

在日米軍も基地移転も落ち込む島内経済も高い失業率も、耳障りの良い提言だけで解決できるような単純な問題ではありません。
著者の論調にはところどころで疑問も沸きますが、この一文だけは間違いなく同意できます。

「無知は罪である」


(H)

June 24, 2005

「電車男」は21世紀の「ロミオとジュリエット」か

現在、「電車男」コミック版はそれぞれタイプの違う4種類が発刊されています。

☆電車男 ~美女と純情ヲタク青年のネット発ラブスト-リ-~ 410 御茶まちこ 著 講談社

☆電車男 ~でも、俺旅立つよ。~ 1 560 中野 独人 作 秋田書店

☆電車男 がんばれ毒男! 1 540 中野 独人 作 秋田書店

☆電車男 ネット発、各駅停車のラブストーリー (1・2) 各500 原 秀則 著 小学館


それぞれ一般層、オタク層、女性層と微妙に読者層をずらした作品にしています。

加えて、

映画
http://www.nifty.com/denshaotoko/
ドラマ
http://www.fujitv.co.jp/denshaotoko/index.html
舞台
http://www.densha-otoko.jp/

と続くメディア展開。

ここまでくると、「電車男」は同じストーリーでありながら演出家によって全然違う作品になる「ロミオとジュリエット」や「ハムレット」クラスの物語にまでなっている感があります。
当然「2ちゃんねるとシェイクスピアを同列に扱うとは何事だ!」というお叱りもあるでしょうが、“大衆に浸透したラブストーリー”という観点で扱えばまるで同列です。
文学的評価はまったくの別にして。

10年近く昔に、毎週別の監督が同じ脚本で演出を変えてドラマを撮るという「三番テーブルの客」というCX系の深夜番組がありました。
毎回同じストーリー(たしか三谷幸喜が書いていた)なのに監督によってそれぞれ特徴が出ていてそれぞれ独立した作品になっているという、演出の奥深さを教えてくれた番組でしたが、「電車男」も演出家の数だけ違った「電車男」が生まれているようです。

というわけで、どうせ連ドラでやるなら“12人の監督による12通りの「電車男」”なんてやったら面白いんじゃないかと思いました。


ちなみに、もし自分が監督をやらせてもらえるなら…。


二人がちょっと手をつないだあたりをピークにして、最後はエルメスをフェードアウトさせます。
哀しい終わり方に勝手に変えます。
みんな「こう終わるんだろう」と頭から思ってるところをひっくり返したらさぞ面白いだろうなーって。

主題歌はスピッツの「冷たい頬」で。
サビの、

ふざけすぎて / 恋が / まぼろしでも / かまわないと / いつしか / 思っていた

の部分で客を泣かせます。


…すでに”同じ脚本”ではなくなってますが、しょせん一書店員の勝手な妄想なので、許していただきたいと思っています。

えー、だいぶ脱線したので次回はふたたび本の紹介をしたいと思います。


(H)

June 21, 2005

●ドロップアウトのえらいひと(1&2)

dropout2

「ドロップアウトのえらいひと」は10年前に出て、密かな名著としてロングセラーになってきた本です。
今回その続編が出ましたので、二点並べて販売しています。

読むほどに、「そんな人生があるんだ」という驚きがあります。
くどくど書くより、紹介文がよかったのでそちらを載せます。
ちょっと長いですが、全部のせます。

こういう本をもっと売りたいなあ。


教壇に立つはずだった男が、ヒョンなことで、北斎のように街中でドクロマークをデザインしている。

プロ・ボクサーを目指した男は、1枚のチラシがきっかけで、闘いながら撮る写真家になった。

家業の米屋を継ぐはずだった男は、異端のアーティストとの出会いによって、絵を描いて暮らすようになった。

店づくりと出版でカリスマになった男は、すべてを捨てて彼女と世界旅行に出てしまった。そして帰国し、島を目指した。

瀬戸内海の釣り人だった男は、沖縄で仲間をつくり、東京、世界に飛び出した。

何もかも外れていた男は、5年ぶりにトランペットを手にした瞬間、シーンの最先端に立った。

地の果てで絶命しかかった男は、祖国に生還し、誰よりも街の片隅に安らぎを見出すようになった。

地方都市のワルガキだった男は、ロックを愛するあまり、大きな体制の中でケンカするようになった。

レコード会社の名物A&Rマンだった男は、17歳のときの衝撃を思い出し、会社をやめてインディ・レーベルを設立した。

老舗の仕立て屋の番頭だった男は、ヤクザな客にうんざりし、ヒップでモダンなテーラー派になった。

画家の道をあきらめてバーのマスターになった男は、10年ごとに悟りを開き、いつしか絵も描くマスターになっていた。

人権派弁護士を父に持った男は、ビジネス・ロイヤーの道に進まず、街頭闘争に参加した。

バブルの時代にバーテンダーになった男は、客と接するうちに、コンセプトより心を大事にする店をつくるようになった。

音楽業界のスターになった男は、武道館公演の3日後、地元ダウンタウンのパブに帰っていった。

コンピューター・グラフィックの先駆者だった男は、工作の愉しみを忘れずに、世界ではじめての彫刻作品をつくった。

3歳のとき酒の味をしめた男は、1軒のバーとの出会いがきっかけで、服屋をやめてバーテンになった。

28歳で数千万円の借金を抱えた男は、自力で雑誌を出し続け、世界中のトップ・アーティストのダチになった。

何の夢も希望もない炉端焼き屋やカラオケ・スナックの店員だった男は、エルヴィス・プレスリーのロックンロールと出会い、やがて世界ナンバー・ワンのエルウ゛ィス・シンガーになった。

'60年代、新宿〈風月堂〉のフーテンのひとりだった男は、個人事務所に絵を飾るところからはじめて、世界的に知られるギャラリーのオーナーになった。

大学生のときにTVの仕事をはじめた男は、ヒット番組を生みだしながらも、業界で名を売るような生き方はしなかった。

19歳で月に3600万円稼いだ男は、そのファッション・ビジネスの成功は追わず、商品開発で自己表現するようになった。

世界を旅することから人生をはじめた男は、魂に響いてくる世界を、東京の街の片隅につくり出した。

島に生まれ育った男は、サーフィンを通し、グローバルでスピリチュアルな生き方を確立した。

学校を飛び出しカメラを手にした男は、サーフィン雑誌の波の写真に感動し、やがてサーフィン・フォトグラファーの第一人者になった。

ニューヨークで歌い自分の生き方に目覚めた男は、20年経ったいまも、変わらずに歌い続けている。

'80年代に一世を風ビした流行を仕掛けた男は、45歳で挫折し、1軒のロック・バーから再出発した。

子どもの頃、銀幕のスターに憧れた男は、その時代遅れの夢をスピルバーグの映画で叶えた。

母親の店の手伝いから選曲をはじめた男は、カスタネダの教えのままに、選曲の喜びを世に広めた。

“悪行”を重ね消息不明になっていた男は、2度目の映画監督の仕事に賭け、見事に復活を遂げた。

何をやっても仕事が続かなかった男は、放浪の旅に出て、やっと続けてやりたいことを見つけた。

原子力発電所につとめていた男は、会社をやめ故郷も出て上京し、その4カ月後、ローリング・ストーンズ東京公演の楽屋にいた。

22歳でスカGとジャガーを乗りまわし、ブランド物に湯水のごとく金を使っていた男は、インドに行って物欲が消え、謎を深めた。
70歳を迎えようとするいまも、サイケデリック・アートのゴッド・ファーザーである男は、売れに売れまくっても、何ら生き方は変わらない。

というような、自由で自分らしい最高の生き方を手に入れた、生い立ちも仕事も様々な男たち33人のライフストーリー。

June 18, 2005

●ひかりのまち

hikarinomati


当店イチオシのコミック「素晴らしい世界」の浅野いにお氏の新作です。
今作は1巻完結の読みきりです。
丘陵地帯を開発したという、地方のニュータウンを舞台に起きるいくつもの小さなエピソードがひとつの大きな物語に紡がれていきます。
「素晴らしい世界」に共感できた方はきっとこの作品にも満足いただけるのではないかと思います。

1980年生まれの著者の描く世界観を、ある人は「そうなんだよなあ…」と思うだろうし、ある人は「あー、若いな。」と思うだろうし、別の人は「何これ。ワケわかんね」という感想を持つでしょう。
必ず感動もしないし、笑えるわけでもない。
けど心に静かに残る、そんな作品です。


(H)

June 14, 2005

●スローワーク、はじめました

slowwork


「ku:nel」や「天然生活」といったスローライフを紹介する雑誌が売れています。
ウチではその脇に「生活を楽しむ」といった棚がありますが、そこに置いている本です。

この本では自分のクルマを改造して移動雑貨屋を始めた人、大好きなお笑いサイトを作っているうちに会社になった人、一人で運転を教える“個人教習所”を開設した人といった、自分で好きな仕事を始めたり、店を開いたりした24人の仕事を紹介しています。
「脱サラ」とか「ベンチャービジネス」という鼻息の荒い言葉より、「スローワーク」というのはどうだろうということでこういうネーミングを考えたとか。

紹介されているのはカフェ・雑貨店・古道具店・占い師・Tシャツ屋・イラストレーターなどなど。
「13歳のハローワーク」ならぬ「25歳のスローワーク」といったところでしょうか。
男性女性問わずポツポツ売れております。

人生は必ずしもお金を儲けなければいけないわけでも、必ずしもいい生活を目指さなければいけないわけでもありません。
固定観念にとらわれていることが、一番ストレスになる。
ここで紹介されている人たちは毎日が大変そうですが、かかえるストレスは少なそうにみえます。


(H)

June 09, 2005

予 選 突 破

なにはともあれ、ドイツ大会出場決定おめでとうございます。

昨日は試合が始まった夜7時の段階で店内は結構にぎわってたので、
「あーなんだかんだ言ってもサッカーに別段興味ない人もやっぱり大勢いるんだなあ」
と思っていたら、夜8時以降ぱったり人が来なくなりました。
そもそもその時間、外を歩いている人がほとんどいなかったような感じがします。
うーんジーコジャパン。

思えば8年前のジョホールバルでの岡野Vゴール・ワールドカップ初出場決定、のときはそれはもう「Number」が大売れしたものですが、今回はあっけなく決まったので、ほどほどですみそうな予感です。

ちなみに昨日送られてきた来週の雑誌発売予定情報には「~臨時増刊 日本ドイツへ!」というのがすでにありました。
もし負けてたらどうしたんでしょうか。
慌てて差し止めるのか、「~臨時増刊 日本足踏み 次はイラン戦」という煮え切らない増刊になったのか、気になるところであります。


(H)

June 06, 2005

●はじめての落語

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「タイガー&ドラゴン」にも出演中の春風亭昇太師匠の落語入門本。
2300円とやや高価ですが、その分52分収録の落語CDがついています。
「ほぼ日特約書店」には入ってはいませんが(たぶん)、ウチでも売っています。


それにしても「タイガー&ドラゴン」だけで落語ブームは来るのでしょうか。
あれを見るたびに西田敏行の芸の深さに唸らされます。


(H)

June 04, 2005

二つの「新宿」


いま一番新しい新宿のガイドがこれです。

OZ magazine別冊「happy town 新宿」

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新宿のガイドらしいガイドがここしばらく出てなかったことと、周辺タウン情報として中井に近い高田馬場・中野&東中野・鷺ノ宮あたりも取り上げられているということもあって、大変よく売れています。
その中でもちょっと奮発してご馳走する店から一人でサッと食べる店まで、飲食店情報が特に充実しております。

そして昨日、発売された雑誌「東京人」も特集は新宿です。

tokyojin_0507

ただし、こっちはガイドではありません。
「新宿が熱かった頃 1968-72」と題し、かつて団塊の世代が青春を過ごした1970年前後のカウンターカルチャーが集まっていた新宿を振り返っています。
その時代の後に生まれた人間が今見ると、本当に同じ新宿なのかという写真が広がっています。
インタビューは唐十郎、若松孝二、宇野亜喜良、小室等、原田芳雄、JAシーザー。
ちなみに小室等のインタビュアーは森達也。
もうわかる人だけわかればいいという、開き直った布陣が素晴らしい。
あの時代に確かに存在した「もうひとつの新宿」を堪能ください。

なお第二特集は「こだわりの専門図書館」。
早稲田の現代マンガ図書館や国立競技場そばの秩父宮記念スポーツ図書館など、マニアックな図書館が紹介されています。
そこに加えて恩田陸のインタビューも有り。
非常に内容の濃い作りです。


二つの「新宿」は店頭ワゴンで販売中です。
ぜひ一度ご覧ください。


(H)

June 01, 2005

●わが闘争

気になる本が入ってきました。

「わが闘争」角川春樹(イーストプレス)

wagatousou

日本で最高のカリスマと呼ばれる男が、2年5ヶ月3日の刑務所生活から生還した。
角川書店時代の父との確執、「出版革命」と称された経営術、麻薬事件、社長追放劇、そして弟との訣別…。
波瀾の人生のすべてを語る。

なぜ自前の角川春樹事務所でなくイーストプレスから出版したのか、なぜ表紙で鎧を身にまとっているのか、しかもなぜ新宿西口なのか、いろいろ謎はあるわけですが、ともかく出版業界の端っこで細々と生きている人間からすると興味をひかずにはおられない一冊であります。

かの浅草キッドがアントニオ猪木、梶原一騎とともに「日本3大キ印」と呼びリスペクトする角川春樹。

創刊した角川文庫を当時先行していた新潮文庫など既存のものに追いつくために

『足し算では先を走っているものには追いつけない。掛け算じゃなきゃ追いつけない。じゃあ何を掛けるかと、それは狂気だ。』
(微妙に言い回し等違っている部分あるかもしれません。ご容赦を)

という名言を残して、角川文庫の映像化=メディアミックスを始めたという角川春樹。

その狂気に振り回されるように5回結婚して5回離婚、麻薬に手を出して逮捕という破天荒な生き様の男・角川春樹。

なにを置いても気になる本であります。


前述の「3大キ印」の片割れ・アントニオ猪木氏もまた『スキャンダルこそ最高のチャンス』と考え、数々の逆境を見事都合よく自分の商売に転化する天才でしたが、最近はそういうスキャンダラスな有名人をあまり見かけなくなったように思います。
しいてあげるなら松田聖子でしょうが、彼女の場合は計算づくに見えてしまうところがもったいないところで。
ホリエモンがそういう部分を身につけたらこれは相当熱烈な支持を得るでしょうが、なにより本人がそういうのを否定しそうですし。

そう考えると、角川春樹のような人間はこれからは出てこないかもしれません。
特に出版界では。


(H)

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