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February 2005

February 22, 2005

●S60(ショウワシックスティ)チルドレン

S60children

あと数年で“昭和”という年号が終わりを告げるなんて思いもよらなかったころ、俺たちは小学生って呼ばれる人種だった
『ああ、あの頃ぁよかったねぇ…』
――なんてマヌケな大人が気楽に言ってくれる、長ーい人生の中で比較的幸せな時代……らしい

ならば少しだけ……
つきあってくれよ
あんなにも無知で……
非力だった時代――
すばらしき
子供の日々って奴――


物語はサクラジマの噴火にたびたび悩まされる南の国「過去島(かこじま)」という地方都市で暮らす音仲晶(おとなかしょう)少年が主人公。
小学校のクラスメイト、兄弟、憧れの先輩、怖い番長。
狭い狭いコミュニティで起こる、小さな出来事。
その小さな出来事を、ひときわ大人びた考え方を持つ晶の視点を通して描かれる。

現在30歳前後の大人たちが子供だったころのアイテムを細かく出すことでノスタルジーの隠し味としつつ、子供社会の持つある種の残酷さや無常さが一つ一つのエピソードに散りばめられています。

個人的に一番好きな「勉強大決戦!」(一巻収録)のあらすじを紹介すると、

晶のクラスメイトの藤倉はいつも勉強しているガリ勉君。
学校が終われば寄り道に誘う晶たちをやんわりと断りながら塾に向かい、テストの前は黙々と勉強。
そこまでしているのに、テストの点数は遊んでばかりの委員長に追いつけない。
来る日も来る日も勉強する藤倉。
テストの直前まで遊び続けまったく勉強などしない委員長。
そして行われたテスト、答案を返す先生は言う。
「今回はすごく悪かった。そんな中、一人だけがんばった子がいます」
そういって先生から満点の答案を返されたのは、藤倉ではなく委員長だった…。

そこで決定的な敗北を喫した藤倉が何を言うか。
読後、胸がきつく詰まります。


最近自分が読んだ中では出色のコミックスです。
昭和60’sに子供時代を過ごしてなくとも、きっと深く心に残る作品になります。

「なーに……学校生活なんて長い人生の中で
 ほんのわずかなひととき……らしいよ?
 けど……その割には
 やたらと、

 長く感じるけどなあ……」


(講談社イブニングKC、2巻まで発売中)


(H)


February 18, 2005

違和感を感じたニュース


集団強盗を告白した18歳女性タレントって?http://newsflash.nifty.com/news/tt/tt__fuji_320050218007.htm


なんだかよくわからないなー、と思ったニュース。

これに限らずバラエティー番組でタレントが過去の自分の犯罪行為をさも「あのときは若かった」的に話すのはよく見る。
不謹慎だとか何とか言う以前に、本人の恥の意識の問題だと思う。
普通の感覚では思いっきり引くようなことを言ってるタレントを面白いと思う空気の現場があって、それを「これはちょっとまずいよ」と放送にストップをかける人もいないTV局がある。
かといって信念をもって放送しているわけでもなく、抗議を受けるとあっというまにへなへなと謝罪する。
「こうこうこういう理由で放送した」と説明できる人間もいない。
ある意味「番組内容を政治家にチェックしてもらうのは当然」と言い切った前NHK幹部の方がよっぽど番組作りにかける信念がうかがえる。

そして公の場で発言したはずのタレントを匿名扱いにすることで、大手芸能事務所に気配りをするマスメディア。
何の非もない一般人が事件に巻き込まれると人権もプライバシーも踏みにじって報道しようとするくせに、こういう相手になると一転して庇護しようとする。

なんだか日本のメディアの現状をよく表したニュースだと思った。


February 17, 2005

●実録鬼嫁日記―仕打ちに耐える夫の悲鳴

oniyome


本書は最近の日本で大増殖中の「虐げられる夫」が日々のストレス
の捌け口として綴ったブログを書籍化したものです。実話を基にし
た悲惨だけど、なぜか共感し、笑ってしまうコミカルな日記。
なぜ、女はここまで強くなったのか・・・?
なぜ、男はここまで弱くなったのか・・・?
虐げられ、いいように嫁から使われる夫 カズマと、彼に対して
容赦なき罵詈雑言を浴びせる理不尽大魔王「鬼嫁」の過激な日常を
記した「真実の物語」です。

「DeepLove」「電車男」「今週、妻が浮気します」とこのところネット発のヒットは枚挙にいとまがないが、これはその後に続く可能性が高い一冊。
内容は理不尽でわがままな嫁さんに振り回されるだんなの痛々しい日記。
その昼メロかレディースコミックのようなおどろおどろしいタイトルとは裏腹に、コミカルな日常のやりとりと _| ̄|○ といった絵文字(?)がどことなくほのぼの感を出すからなんとも不思議。

このカズマさんという方、本業はイラストレーターらしいけど、妙にテンポの良い文章を書く。
インターネットは一般人にとっての作家デビューという険しくも厳しい道をも極端に縮めてしまったのだなと、いまさらながらに思わずいられない。


(H)

February 11, 2005

祝日の意義

金曜日が祝日で縮められたような一週間の中で、注文システムが変わったり、輸送荷物が止まったり、バイトがインフルエンザにかかって休んだり、この時期になって新年会があったり、あやうくロスタイムで決勝点が入ったりといろいろバタバタしてました。
で、今日はなんだかゆるーやかな一日だったり。
なるべく祝日は週の真ん中でお願いしますよ、と壁のカレンダーに無理な注文を出してみたり。

で、今日は何の日だったか忘れたので確認すると建国記念日。
どの人も「今週は金曜が祝日ですから…」とは言うものの、「今週は金曜が建国記念日ですから…」と言う人はあまりいない。
なんでかわからないが、大人は祝日の正式名称を素直に言えない。

本来祝日というのはなにがしか大きな出来事や意義があって祝日になっているはずなのに、その点に拘っている人はあまりいない。
建国記念日というのはたぶん過去(明治維新のあたりではないか)になにがしかの出来事が2月11日にあって、それを忘れない意味で祝日にしたんだろうに、なんだか「ただ休みの日」になっているようでさみしい話だなーと。


それはともかく、芥川賞の「グランド・フィナーレ」が入ってきません。
もう中井の住人には読ませたくない、とばかりに入ってきません。

そりゃ去年みたいなバカ売れにはならないだろうし、阿部和重って少し読者を選ぶようなタイプの小説書くからあまり強気になれない理由もわかるけれども。
ちょっとあまりじゃないの?と音羽の方に文句の一つも言いたくなります。

そんなわけで待ってる方には本当に申し訳ありません。
先に全文掲載された「文藝春秋」が出てしまいましたので、しばらくはこちらでお楽しみください。
私もこれから読みます。


(H)

February 05, 2005

●夕凪の街 桜の国

yuunagi

昭和30年、灼熱の閃光が放たれた時から10年。ヒロシマを舞台に、一人の女性の小さな魂が大きく揺れる。最もか弱き者たちにとって、戦争とは何だったのか……、原爆とは何だったのか……。漫画アクション掲載時に大反響を呼んだ気鋭、こうの史代が描く渾身の問題作。


最近、つとに「過剰」が目立つ。
過剰な物言い、過剰な表現、過剰な振舞い。
そういうふうにしないことには自分のメッセージを伝えられない、という強迫観念でもあるかのように。

「夕凪の街 桜の国」はわたせせいぞうや宮崎駿の世界のような、澄んだイメージを与える静かな物語だ。
しかし、静かであるがゆえに作品が突きつける問題は読む者に深く刻まれる。
原爆、ヒロシマ、偏見、時代の流れ。

「忘れてはならない」という声がどこからか聞こえる。
わかっていながら愚かな僕らは少しずつ、だんだんと関心を払わなくなる。
それがどれほど恥ずかしいことなのか、この物語が寡黙に僕らを責め立てる。


<H>


February 04, 2005

日々雑感

気がつくとここの書き込みも週一ぐらいになってたりして、少し反省。
店の経営方針を見直すことにしたため、いろいろと忙しくなってしまいました。
具体的には今まで取引していた業者をやめて、別の業者と契約したり。
まあどこの会社もやっていることですが。

最近ネット上に「書店員日記」のたぐいが本当に多くなりました。
「わかるよわかる」というものから「あーすごいなあこの人」まで千差万別ですが、まあそれなりに気の慰めになったり勉強になったりします。
その一方で、いろいろ情報が溢れるようになった反動なのか、妙に書店事情にくわしい人が増えたような気がします。
お客さんでも、お目当ての本が入っていないと「おたくはどこの取次(書店と出版社をつなぐ卸業者)なの?」なんてことを聞いてくる方がいます。
まあ新刊配本は取次が関係ある場合もない場合もあるので一概にどこと取引しているからどう、とは言えるもんじゃないんですが・・・。

ともかく書店に興味ある人であればサッと情報が入るようになって、ごまかしのきかない時代になってきたなとは感じます。
大変な部分もありますが、だからこそちゃんとやってる店はそういう姿勢が伝わっていくであろうと思うので、そういうのも含めて真摯に営業を続けていきたいと思います。

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