Main | December 2004 »

November 2004

November 29, 2004

炎のPOP描き。

 POPというものをご存知でしょうか?
 単純にいいますと本の紹介文でして、本の傍に添えておくものです。

 原則は、本より目立たないこと。
 だからといって、あまりひっそりとしていては意味がない。

 このあたりを踏まえつつ、POP製作に励むわけです。

 私としてはパソコンで作ってしまいたいのですが、当店では手描きが原則なので、仕方なく紙に向かいます。

 まずキャッチコピーを考え。
 紙の色を選び。
 紙の形と大きさをを考え。
 文字をどの大きさで配置するかを考え。
 文字の配色を考え。

 この段階で、頭の中ではなかなかすばらしいものができているのです。
 この通りに完成すれば苦労するはずもないのですが……。

 POP描きには絶対必要なものがあります。
 絵心と色のセンスです。
 残念ながら、私にはどちらも欠けているようです。

 紙に字が収まりきらなかった……。(まぁいいか)
 ペンの色が思ったより濃かった……。(まぁ仕方ない)
 白い部分が多い……じゃぁ何か模様でも入れてみるか……あれ、模様の方が目立ってきちゃった……。(今さら元に戻れない)

 完成したことにしてみれば、完成予想図とはかなりかけ離れ、手を加えれば加えるほど見にくく(そして醜く)なっていく有様。
 だからといってもう一度描く気力もなく、いつも恥を忍んで本の傍に掲げるのです。

 枚数を描けばいつか上達するのでしょうか。
 ゼロにいくら掛け算してもゼロのように、もともとの素質がない人は上達しないんでしょうか。

 そんなことを考えながら、私は今日もPOPを描くのです。

(k)

November 27, 2004

悪い薬

waruikusuri.jpg

麻薬、手軽なドラッグ、覚醒剤、薬、市販薬、毒薬…あらゆる薬の使い方を解説した手引き。薬のコラムも満載。新章「合法ドラッグ」を追加した、90年刊の増補版。

いま展開している「裏社会フェア」の中で一番売れている本。
オビには「風邪薬から覚醒剤まで」。
特におすすめするというわけではありませんが、こんな本も置いてます。

この本の発行元であるデータハウスという出版社は「個人情報暴露マニュアル」とか「ひとりHマニュアル」とか、いろんな意味でアブナイ本が多く、店に置くのに躊躇する。
とはいえ類書がないというのは個性的ということでもある。
その手の本を陳列場所に困りながら棚の片隅にそっと置くのも、書店員の楽しみの一つである。


〈おしらせ〉

WEBかわら版の執筆者が増えることになりました。
これからは末尾に署名を入れていこうと思います。
なお、今まで書いた原稿はすべて私です。

(H)

November 26, 2004

書店では見られないヨン様スマイル

ペ・ヨンジュンのファーストソロ写真集が、14700円という高額で発売になった。
といっても、この本はほとんどの書店には並んでいない。
これは発売元のインタラクティブメディアミックス(IMX)が販売方法をインターネットによる通信販売、一般購読者からのFAX注文などに限り、書店ルートでの販売をほとんど見込んでいないからだ。
一応書店に卸さないことはない。
ただそれは通常の本では絶対にありえない、極めて書店側にとって不利な条件での出荷ということになっている。
そういったわけでまずほとんどの書店は手を出せない。
こうして世間一般で大騒ぎの本を書店では見ないという、極めて珍しいケースが登場した。

インターネットが普及し、オンライン書店というものが登場し、我々リアル書店と呼ばれる店の経営者は常に彼らを横目に意識しながら商売をするようになった。
だがネットでの買い物が一般化した時、我々が憂慮すべき相手は彼らではなく、間の流通段階をすっ飛ばして直接顧客と商売をする、今回のような出版元であることを今回知らされた。
これは書店からすると非常に恐ろしいことだ。

今までであれば店に卸さないとと買いたい人に届かなかった商品が、インターネットさえあれば簡単に売れるのだ。
これがIT革命かと、今さらながらそんなことを考えた。

書店の未来はどうなっていくのだろう。
私などにはまったくわからないが、少なくとも今のような形では残れないのかもしれない。

November 22, 2004

新宿。

hanako.gif

旬のスタイルで楽しむ新宿の新定番
新しい「新宿」へ
■新宿全体マップ 街歩きは、ここからスタート!
■新宿最新ニュース 楽しさいっぱい、最先端の新宿トピックス12

Hanako NO.805 10月6日号 価格:340円(税込)


西武新宿線にしろ大江戸線にしろ10分で行けるとあって、落合という町は良くも悪くも新宿の影のような印象がある。あれだけの繁華街がすぐ行けるというのは区民としては便利だが、商売人としてはやりにくい面もある。
何はともあれ新宿特集の雑誌はよく売れる。なかでもHanakoは別格。出たのは9月下旬だというのに、まだまだ売れ続けている。やはり内容の充実度が違うということか。
しかしポケットサイズの新宿ガイドブックとなると、これが意外とあまり売れない。内容は質量とも雑誌特集よりはるかにボリュームがあるのに、あまりたいした数は出ない。たぶん値段が雑誌の倍ぐらいにはなるからだろう。要はそんなに真剣に読むものでなければ、内容の割りにリーズナブルなものが支持される、ということか。
なんて書いてみたところで私にもよくわからない。

新宿で一番好きな店はサブナードにあった「ロビン」というスパゲティ屋だったのだが、いつのまにか別の店に変ってしまっていた。思い出横丁にも好きな店があったが、6,7年前の火事のあと消えてしまった。アルタの裏には武蔵野茶房というしぶい喫茶店があったが、そこも気がつけばなくなっていた。
お気に入りの店がなくなるのは寂しいが、私たちはいつでもあるものでなんとかするしかない。また新しくお気に入りができるよう、新宿をぶらついてみよう。

November 20, 2004

選択肢を増やすということ

DAYSJAPAN.jpg

人々の意志が戦争を止める日が
必ず来る

一枚の写真が
国家を動かすこともある

世界を視る、権力を監視するフォトジャーナリズム月刊誌


「アサヒグラフ」の休刊以降、フォトジャーナル誌という分野はずっと空き家だった。そこに今年春から入ったのが「DAYS JAPAN」。広河隆一編集長はこう語る。

「アフガニスタンの戦争でもイラク戦争でも、現場から責任を持って報告するフォト・ジャーナリストはいないわけではありませんでした。でも日本ではそうした写真は比較的少なかったのが実情です。日本のメディアがそうした写真をあまりほしがらなかったからです。すぐれた写真を撮るフォト・ジャーナリストは存在する。しかし発表するメディアが少なすぎる。つくづくそう思ったのです。」

イラク戦争も北朝鮮報道も、ニュースは同じ映像を使いまわし同じように伝える。新聞は多少差があるが、情報源は同じ通信社を使っている場合が多い。つまり情報を発信する根元の部分を私たちは選べない。

「DAYSJAPAN」に使われる写真はどれも独立系フリーカメラマンの作品だ。お国の事情や本社の意向ではなく、彼らの琴線に触れた写真が使われる。当然「国益に反する」ような報道もある。彼らを色眼鏡で見る人も少なくないと思う。

この手の雑誌を批判するのは自由。受け入れないのも自由。けれど存在を消してはならない。視座は少しでも多くあった方がいいに決まってる。自分の考えを作るのに、選択肢があるとないとでは大違いだ。

November 18, 2004

仙台のチームが仙台のスターを指名できない現状

昨日行われたプロ野球ドラフト会議で、新球団楽天イーグルスは明治大の一場投手を指名し、東北高校のダルビッシュ投手は北海道日本ハムに指名された。
仙台の市民の多くは、おそらく地元のスター・ダルビッシュが楽天イーグルスに入団してくれることを願っていたと思う。
しかし実際には楽天球団は多くの集客が見込める甲子園のヒーローより、裏金騒動によってマイナスイメージがついてしまったスキャンダラスな大学生を指名した。なぜか。彼らは集客力より即戦力を優先したからだ。そうしなければならない状況に追い込まれたからだ。

近鉄とオリックスの合併に端を発して起こった球界再編は、選手会のストライキという非常手段によって新しいチームの新規参入という結果につながった。しかしメディアはこの空いた1つの椅子に座ろうとした楽天とライブドアの比較を報道するばかりで、プロ野球を盛り上げるためには新球団に対してどのような措置が必要か、というようなことにはまったく関心を払わなかった。
その結果、大リーグで新規球団を入れたときに行われた拡張ドラフト(他の11球団が無償で1~2人選手を提供する)はオーナー会議で問題にもされず却下され、新球団は統合球団オリックス・バファローズが近鉄・オリックス両チームの中から好きな選手25人を取ったあとに残った選手の中から、さらにその半分を持ってっていいよという、差別的ともいえる悪条件下でしか選手を集められず、新人選手の獲得の場であるドラフト会議では「新しく入ったのだから当然指名は一番最後」という前時代的な理由で、指名は日本一になった西武よりも後という不利な条件を飲まされた。ドラフト会議の目的の一つでもある「戦力均衡化」はもはや完全に瓦解している。
楽天の三木谷社長がこういった現行の日本プロ野球の体質を批判したという記事は、新聞の隅に小さくしか出ていなかった。

現在プロ野球を実効支配する球団オーナーやコミッショナーといった人々には、全体を見渡して球界が盛り上がるようにしていこうという発想はほとんどない。あるのは企業の一部署としか球団を見ない経営者の目だ。
西武ライオンズは中日ドラゴンズとの激闘を制して日本一に輝いたが、優勝パレードは「自粛」になった。親会社のコクドと堤義明氏による虚偽記載問題がその原因になっているのは想像に難くない。

プロ野球が現行の企業スポーツである限り、新規参入があろうが交流戦があろうが1リーグであろうが、もうかつての繁栄は望めない気がする。
メジャーリーグではなく、日本プロ野球のファンである人間がこう書かなければならないのは、辛く、悲しい。


November 16, 2004

昭和ニッポン

syowanippon.jpg

かつて映画館で上映されたニュース映像がDVDでよみがえった。講談社のDVDブック(全24巻、各2857円)には、読売映像などが保管していた昭和の日本の激動の軌跡が計20時間分収められる。貴重な映像が一般向けに発売されるのは初めて。皇太子ご成婚の昭和34年と大阪万博の45年を収めた2巻からスタートし、1年間かけて完結する。

意外なことかもしれないが、ニュース映像だけを集めたビデオやDVDというのはほとんど市販されていない。出版物に関しては「日本の歴史」なんていうのが山ほどあるのに、映像作品では皆無に近い。このことは以前から気になっていたのだが、10月に講談社が全24巻で本+DVDの商品を出すと聞き、前から気になっていた。それがこの「昭和ニッポン」。
まあ全24巻というのはちょっと長いかな、と思っていたのだがいざ作品を見るとこれがかえって良い。
というのは長い分、通常ではカットされるようなニュースまで収録されている。

たとえば皇太子のご成婚と長嶋の天覧試合サヨナラホームランが収録された「昭和34年」ではそういった華々しいニュースの陰で「交通事故急増」なんていうニュースがある。これを字だけで読むと戦後から徐々に高度経済成長期に向かう時代、まあそういうこともあっただろう、とさもわかった風な口をきいてしまうところだが、いざ映像を見ると実に面白い。
まず歩行者が平気で車道を横断している。それもかなり交通量の多いところで。そしてクルマはというと歩行者がいようが何であろうがスピードを緩めることなく平気で走る。つまり双方とも譲り合う気がまったく無い。そりゃ事故も起こるだろうよ、と言いたくなる。

全般的に昭和という時代は緩やかでおおらかで、そしていいかげんだ。この時代だからこそ温かみが持てたモノや関係もあっただろうが、この時代に傷つけられた人々も少なからずいたんだろう。

この作品はできることなら年配の人の懐古趣味に充てるのではなく、30歳以下の若い人に見てもらいたいと思う。風景や価値観がまるで違う外国のような光景が、そこには映っている。それは少しだけさかのぼった、自分たちの姿でもある。

November 12, 2004

素晴らしい世界

subarasii1.gif

あてもなく大学を中退してしまったバンドの女性ボーカリスト、ひどいいじめを受けている小学生の女の子とカラスの姿をした死に神、組の金に手をつけて逃走中の暴力団員と女子高生、バンドをやめて普通のサラリーマンになった青年、表と裏の顔を持つ歪んだ性格の生徒会長、35歳・妻子に逃げられた売れないマンガ家、恋人と別れたばかりのOL、倦怠期のカップル、勉強しない予備校生…。心のどこかに不安や不満を抱える様々な登場人物たちの日常のドラマをリアルに描く第1集。各回の登場人物が以降の話にほんの少しずつリンクしていく形で進んでいく、ちょっと変わった形式の短編集。

10代後半から20代にかけて4年間アルバイトしていた店が、この前行ったら潰れていた。なんだか思い出が消されてしまったような気がして、寂しかった。その頃の仲間に久しぶりにメールした。「あの店なくなっちゃったよ」その時一人の友人からこんなときに読むのにうってつけのコミックがあるよ、と教えられたのがこの本。

正直、最初の頃は「ふーん」という感想しか出てこなかった。ところが一巻の終わりぐらいから「これはひょっとして…」という風になり、二巻のクライマックスでは「ああ!」という感動に変わっていた。「今はすさんだ毎日であっても、生きていればそんなことを忘れるぐらい素晴らしいことがあるよ、少しぐらいは」という口にするとまったくリアリティのないメッセージがこの物語ではごく自然なものとして描かれる。

そういうわけでウチの店では「この頃昔のことばかり思い出している人へ」というPOPをつけて売っている。おかげさまでとてもよく売れている。読んだ人一人一人がどんな感想を持ってくれたのか聞くことができないのが、少し残念だ。


浅野いにお「素晴らしい世界」全二巻 各530円

November 11, 2004

電車男

densyaotoko.jpg

電車内で絡む酔っ払い爺から女性を助けた、ひとりのアキバ系ヲタ青年。
彼女いない歴=年齢(22)の彼は、助けたお礼を送ってくれた彼女をデートに誘うべく、モテない独身男達が集うネットの掲示板に助けを求める。
 「めし どこか たのむ」
「電車男」と呼ばれるようになった彼は、掲示板の住人たちの励ましや助言に後押しされて、ようやく彼女をデートに誘う。
悩み、戸惑う電車男のピュアな気持ちは、仲間達を熱い共感と興奮の渦に巻きこんでいく……。
「電車男」は果たして彼女に告白できるのか? 
ネット上で話題騒然、各紙誌絶賛。百万人を感動させた今世紀最強のラブストーリー、遂に刊行!!

「電車男」を読むと、学生時代のことを思い出す。あの頃は、仲間の誰かの片思いが漏れるとたちまち周りの人間たちがそいつを囲み出し、「あーした方がいいよ」「いや、こーした方が絶対いいって」などと無責任なアドバイスを送っていた。周りは「やれ、楽しいイベントができた」とばかりに好き勝手なことを言うが、悲しいかな恋は盲目でアドバイスを送られる側は真剣だったりする。
こうして他人をダシにした祭りは見事ハッピーエンドを迎えて「やったなこの野郎、なんかおごれ」となるか、「・・・まああんまり思い込むなよ。今日はオレがおごってやるよ」と悲劇的結末を迎えるか、どちらかまで続く。

時代が変わって、周りでアレコレ余計なことを言う人間が身近な仲間から顔も見えない不特定多数になっていても、その図式はそう大きく変わってないようだ。ギリシヤ神話には恋愛にはこう対処せよ、という今で言うマニュアル本みたいな訓話がでてくる。モテない男の悲しい悩みはいつだって変わらない。

ブログデビュー

blogを作ってみました。
あまり熱心にトラックバックなどはやらずに、日記のようにそのとき思ったことや気になった本のことを書いていこうと思います。
なにはともあれまずは継続だ。
がんばるぞ。

Main | December 2004 »