February 23, 2021

爪切男「もはや僕は人間じゃない」

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○「もはや僕は人間じゃない」爪切男(中央公論新社)



「死にたい夜にかぎって」で6年同棲した女性・アスカとの愛と苦悩と別れを描いた「僕」のその後の物語。


失意の主人公が出会ったのはギャンブル狂いの住職と、連れていってもらったオカマバーにいたトリケラトプスのような男、いやオカマ―。


前作に引き続き、「話は下世話なのに物語は美しい」爪切男文学がこの作品でも遺憾なく発揮されている。


主人公とオカマ、そして住職。

3人のやりとりは下世話で馬鹿馬鹿しくも爽やかで、青春ぽい。



失意のとき、人が何に救われるかはわからない。


トリケラさんも住職も「主人公を救う」という意思で動いてたわけではなく、日々の中で出会った「僕」とただなんとなく交流してたことが掛け替えのない時間になっていった。


人は「たまたま」で変わっていく。


3人で競馬に行く場面が映画のワンシーンのようだった。


けど当人たちそのときはそんなことを考えてない。


人は人との思い出をあとになってから咀嚼する。



誰にでもある「何かになりたいのに、何者にもなれていない」雌伏の時期。


幸福は馬鹿馬鹿しさの背中側に、目に触れぬようにひっそりくっついている。


それに気づくのは馬鹿馬鹿しさを手放した後だったりする。




「お前は自分の顔で女を落とせる男じゃない。でも安心しろ。大人になったら、お前の内面を見てくれる女がきっと現れる」


「そういう女の人を見つけたら、どうしたらいいの?」


「狩れ。逃さずに全員狩れ」


February 19, 2021

オンライントークイベント出演のおしらせ

2月24日に発売される爪切男さんの新刊『もはや僕は人間じゃない』(中央公論新社)刊行記念したオンライントークイベントのお相手を私、伊野尾が務めさせていただきました。
題して
“モテなかった男ほど恋愛を語りがち”
  
誰に喧嘩売ってるんだこのタイトル…。
トーク内容のさわりを紹介すると
・爪さんのお父さんのちょっとアレな話
・恋愛小説を書く男性はだいたい(略
・〇〇〇〇〇(某プロレスラー)は燃え殻さんを見習った方がいい
みたいな話をしています。
 
動画は大盛堂書店イベント用URLにて2月24日(水)正午配信開始予定。
 
爪切男さん『もはや僕は人間じゃない』刊行記念オンライントークイベント “モテなかった男ほど恋愛を語りがち”
どうぞよろしくお願いします。

February 16, 2021

「52ヘルツのクジラたち」町田そのこ

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○「52ヘルツのクジラたち」町田そのこ(中央公論新社)



人生に深く傷ついた主人公が、同じように深く傷ついた少年と出会い、新しい道を切り開く物語。


出てくるエピソードがどれもわりとシビアで、一部の人には読んでてつらいストーリーかもしれない。

ついでにタイトルもあんまりよくないと思う。

しかし、ほかのどの小説でもなく、この物語だからこそ救われる読者も必ずいるはずだ。

クライマックス、夜中の防波堤をキナコが走る場面で私は泣いた。

誰にも届かないクジラの声が、誰かには聞こえているかもしれない──。

まるでこの小説が、今まさに必要な人へ向けたメッセージかのような文章に、私は激しく揺さぶられる。


どこかにあなたを救ってくれる人がいる。


フィクションとはいえ、いやフィクションだからこそ、このメッセージは深く沁みわたる。

今も52ヘルツの音波を出してるクジラたちに届きますように。

February 05, 2021

営業再開しました

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伊野尾書店は本日2/5(金)より営業を再開しました。

お休み中、ご不便をおかけしました。

本日よりまたあらためてよろしくお願いいたします。

January 30, 2021

2/5から営業再開いたします

現在伊野尾書店は休業させていただいておりますが、2/5(金)の営業再開に向けて準備を行っております。

ご心配、ご迷惑をおかけして恐縮ですが、再開まで今しばらくお待ちください。


再開後にみなさまとお会いできますことを心より楽しみにしております。



1月30日


伊野尾書店   伊野尾宏之

«休業のおしらせ(~2/4まで)