November 30, 2022

姫乃たま『永遠なるものたち』出版記念サイン会・『一年も終わりだから会いに来て会』開催のおしらせ(12/30・予約制)

新刊エッセイ『永遠なるものたち』を発売するライター・歌手の姫乃たまさんが12/30(金)に伊野尾書店でサイン会を開催します。
いろいろあった2022年を締めくくるイベントにしたいと思っていますので、ぜひたまさんに会いに来てください。

 


・姫乃たまさん新刊『永遠なるものたち』(晶文社・1,650円)を当店でお買い上げの方に姫乃さんがサインをします
 お買い上げの方には整理券を配布します。
 メール、電話などでのお取り置きの場合、お申込み順に整理券をこちらで確保いたします。

・ご参加方法は【予約制】です。
 整理番号順で、「15:00の回」「15:30の回」といった時間ごとのご参加になります。
 何時の回になるかはお申込み段階でお知らせいたします。 

・複数回の参加も可能です

・予約なしでも参加できるかは当日の空き状況によります
 
・本をお買い上げの方のみ一枚500円で姫乃さんとチェキが撮れます(枚数制限なし・2ショットでもソロでも可)

 


みなさまのご来店をおまちしております。


「はじめてのエッセイ集『永遠なるものたち』の、はじめてのサイン会です! ぜひはじめての瞬間に立ち会ってください〜!」(姫乃たま)

 

【日時】 12月30日(金)15:00~【予約制】

【場所】 中井・伊野尾書店 (地下鉄大江戸線中井駅A2出口となり)
  
    https://onl.sc/PZ8fis6

【参加条件】12/20発売 姫乃たまさん新刊『永遠なるものたち』(晶文社・1,650円)を伊野尾書店でお買い上げの方

・『永遠なるものたち』お取り置き希望の方はメール、DMなどで
 お名前/ご住所/電話番号/ご注文冊数
 をお知らせください。

 E:mail:inooshoten@gmail.com

・ご購入のお客様にご参加時間を明記した整理券をお渡しします。
 当日はご参加時間にご集合ください

 

【サイン対象書籍】

・『永遠なるものたち』(新刊)
・ZINE『ヘア・ヌード』
・号外地下しか泳げない通信(既刊)
・周縁漫画界 KADOKAWA(既刊)


【新刊案内】

●姫乃たま『永遠なるものたち』(晶文社・1,650円)

人気連載、待望の書籍化!
珠玉のエッセイ集

私は東京生まれだけど、ずっと「私には行けない東京」があります。

移ろいゆく空の色。
転校していったまま住所のわからない女の子。
もう知らない人が住んでいる生まれた家。
失われ、手の届かないがゆえに
永遠となったものたち。
欠けた私を探しにゆく、フラジャイルな旅へ。

「運命ってあると思う?」
さっき出会ったばかりの彼女が私に訊きました。
カフェのテラス席はパラソルヒーターで暖まっていて、
私の紅茶も彼女の珈琲もまだ冷めていません。
――(「運命」本文より)

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November 21, 2022

「ルポ 特殊詐欺」田崎基 (ちくま新書)

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〇「ルポ 特殊詐欺」田崎基 (ちくま新書)

オレオレ詐欺、振り込め詐欺、母さん助けて詐欺、還付金詐欺、キャッシュカード詐欺、架空請求。
内容や呼び方に種類があれど、「(主に高齢者に)電話で不安やパニックに陥るような虚偽の話をし、お金を騙し取る」という部分で共通する詐欺犯罪を「特殊詐欺」と呼ぶ。

本書は神奈川新聞事件担当記者が、多くの取材から特殊詐欺の加害者側の物語を描くルポルタージュである。
警視庁が「オレオレ詐欺」と名称をつけて統計を取り始めたのが2004年。
それから18年が経過し、電話の環境も変わり、警視庁やマスメディアが再三『振り込め詐欺に注意』という啓発キャンペーンを繰り返してなお、被害額は増加している。
これは防止施策が効果を果たしていない、あるいは法規制に重大な問題があることを示しているが、それに対しての著者の提言は最終章に示される。
この本の主題は「特殊詐欺に加わり、逮捕される人間はどのような経緯を経てそこに至るのか」の提示である。

 

特殊詐欺の受け子・出し子といった犯罪グループの末端に一度手を染めてしまう人間の多くが
「多少グレーな仕事でも短期間に収入を稼ぎたい」
と考える、10代から20代の若者である。
きっかけはTwitterで「高収入 バイト」「闇バイト」と検索したところから始まる。
そうすると
「簡単な荷物を運ぶだけで1万円。興味あればDMを」などとバイトのように説明するアカウントが見つかる。
申し込むと、身元確認と称して運転免許証の写真を送らされる。
連絡は履歴が自動的に消えるテレグラムというメッセージアプリを介して行われる。
「○○駅の暗証番号式コインロッカーに行け。暗証番号は××××」と指示がある。
運ぶ荷物は被害者のキャッシュカードや現金で、指示された場所や人間にそれを渡す。

自分の関わっている行為が正規のアルバイトではなく犯罪行為であると認識し、良心の呵責や逮捕のリスクが怖くなり辞めようすると「もうお前は犯罪者だ」「家族を襲うぞ」と脅迫され、抜けられなくなる。
やがて「抜けるならこれをやってから辞めろ」と要求が強盗も伴うようなものにエスカレートしていく。
当然、詐欺と強盗では心理的抵抗の大きさも違うが、借金、消せなくなった犯罪履歴、住む場所や家族構成などの個人情報を取られた若者は断ることができない。


特殊詐欺のほとんどは巧妙で大がかりな組織犯罪であり、電話のかけ子・受け子・出し子といった直接犯罪行為を行う者はSNSで集めた足切り可能な若者である。
逮捕後に「指示されてやった」と供述しても、それを立証する証拠が残らない。
結果、逮捕された末端の人間が関わった詐欺被害の全額を賠償する責任を負わされる。手元にいくらも残らない状態で。
逮捕されてなお、老人が騙されて巻き上げられた金額の多くは、顔も本名も居住地もしらない、指示役の上層部の手にある。

特殊詐欺の加害者グループの末端構成員には被害者とはまた別の尺度で地獄が待っている。
その多くが10代から20代にかけての若者である。
「すぐ手に入るお金が欲しい」とSNSで正体不明の人間に迂闊に連絡をすることが、地獄の始まりにもなるということを一人でも多くの若者に知ってほしい。

 




中学を卒業し、高校は1年の途中で退学し、その後窃盗と無免許運転過失傷害で少年院に入り、出てきてから間もなく特殊詐欺に手を染めた鴻上にとって「社会」で生きることはたやすくない。
転落への入り口はあまりに身近にある。
手に持ったスマホの中にある。
指先でSNSを操作するだけで奈落へと突き進むきっかけがそこにある。
それは鴻上にとってだけではない。

特殊詐欺は多層構造の上下関係があり、組織が下層の者を使い、その下層がさらに弱い者を使い倒す。
末端に近い者は常に逮捕されるリスクを背負い、追い詰められ、善意を、人生を搾取されていく。(p191)

 


公判で証言台に立つのはいつも若者で、いわゆる犯罪の「末端」の役割をあてがわれた者たちだった。20代が最も多く、10代の少年も少なくない。犯罪に手を染めるきっかけは、あまりに気軽なものばかりだった。
取材を進めると、その蟻地獄、底無し沼のような組織犯罪の恐ろしさを知った。
やめたいと言ったところでやめさせてもらえない。脅され、追い詰められ、殺すとまで言い放たれ、多様な凶悪犯罪へと発展していく恐怖の構図。(p232)

 

November 19, 2022

11月の営業につきまして


11/23(水・祝) は従業員リフレッシュ休暇として休業いたします。

ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いいたします。


伊野尾書店

November 16, 2022

「語学の天才まで1億光年」高野秀行

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〇「語学の天才まで1億光年」高野秀行(集英社インターナショナル)


およそ30年以上にわたって世界各地の辺境を旅してきた高野秀行さんが「語学」をキーワードに語る本。

世界各地を訪れるにあたって、高野さんはなるべく現地語を覚えようとする。
現地語とは本や授業で学ぶ「体系的な学習としての言語」ではなく、現地の人と会話するための「コミュニケーションのための言語」だ。
正確な文法、正確な表現よりも、文法が間違っていても「現地の人の言い方」を真似するようにする。
「あなたはお昼ご飯を食べましたか」ではなく、「昼めし食べた?」と聞くように。

そうやって覚えた現地の言語を、現地民の前で外国人の高野さんが話すと確実に笑いが取れる。
(山形弁で話す外国人タレントを思い出した)

すべての会話が理解できなくても、たとえ部分的であっても直接コミュニケーションが取れると格段に人との距離は近くなる。
それはメリットだけでなくデメリットも出てくるのだが…それが何かは本書を読んでほしい。

 

30年以上にわたって世界を旅した高野さんが学んだ言語は25以上になる。
そのすべてを話せるわけではない、という。
新しい言語を学ぶと、使わない言語はその分記憶の奥底に押し出されて忘れていく。
そうやって新しい言語をインストールし続けながら、世界中のいろんなところに行った話が時系列で綴られていくことで、高野さんのこの30年以上の「冒険の記録」が通しで読める。


高野さんは大学一年生の時に初めての海外一人旅でインドのカルカッタに行った。
日本人と見て何かと高く売りつけようとしてくるインド人が嫌になってた時期、「部屋をシェアしないか」と話しかけてきた自称マレーシア人旅行者がいた。
宿は二人で泊まれば安く済ますことができる。
OKした高野さんがホテルに荷物を置いてマレーシア人の彼と食事に行こうとすると、彼は「貴重品は部屋に置いていった方がいい」と言う。「外で強盗にあったら一貫の終わりだ」と。
高野さんはホテルに貴重品を置いていくのは不安だったが、彼がそうしてるのを見て「置いていった方がいいのかな」と部屋に貴重品を置いて外出した。
二人でレストランに行く途中、彼が「あ、ごめんすぐ戻ってくるからちょっと待ってて」とどこかに行ってしまった。
しばらく待っていたがなかなか戻ってこない。
「あれ、どうしたんだろう…」と思ってる時に、ハッと気づいた。
あわててホテルに戻ってフロントに「部屋の鍵をくれ!」というと「鍵はさっきあなたの友達が持って行った」という。「あいつは泥棒だ!部屋を開けてくれ!」と言うと「それはできない」という。
押し問答の末、高野さんはインドの警察を呼ぶ。

そこで19歳の高野さんは泥棒とはまた別の困難に立ち向かわなければならなくなった。

ここまでの経緯をインドの警察にすべて英語で説明しなくてはならないのだ。
場所の説明、マレーシア人の男がどういう風貌だったか、荷物に何が入っていたか。

インドの警察が来て部屋を開けたところ、高野さんの貴重品はすべてなくなっていた。
ショックで崩れ落ちそうになるが、そうもできない。
中に何が入っていたか、現金はいくらあったのか、旅券は再発行できるのか、パスポートの再発行はどうやったらいいか、そういうのもすべて不慣れな英語で説明しなくてはならない。

「トラブルは語学を上達させる」と高野さんは言う。
高野さんはこのあとも世界中でトラブルだったり、トラブルじゃないにしてもまあまあ大変な目に遭ったり、出口の見えない謎解きに挑んだりする。
それらの苦境を切り開いていく武器はいつも「現地語」だった。


アフリカのコンゴ人民共和国で言い伝えられる怪獣・ムベンベを探しに行くときはフランス語とリンガラ語(コンゴ川流域地帯で使われる共通語)、さらには村の中でだけ通じるボミタバ語。
アマゾンに伝わる幻覚剤を試しに行こうと向かった南米・コロンビアで覚えたスペイン語。続いて向かったブラジルではポルトガル語。
タイのチェンマイ大学で日本語講師の職を募集していると聞き、即断で「やります!」と返事してから勉強を始めたタイ語。
さらにはタイ・ビルマ・ラオスの三角地帯「ゴールデン・トライアングル」内でケシを栽培しアヘンを作る、という突拍子もない試みのために覚えたビルマ語、シャン語。
語学留学で向かった大連で覚えた中国語、ミャンマー自治管区のワ州で使われるワ語。


それぞれの言語をめぐるエピソードはそのまま「高野さんの青春冒険の総集編」になっていた。
高野さんの「ふいに気になったらどんなことにも軽く首をつっこんでいく」腰の軽さが、「それだったら言葉も覚えてみよう」という行動につながっている。
フットワークの軽さと好奇心。
冒険も語学も、その二つが大事なんだなと思い知らされる。

最終章で提示される、

「Google翻訳がある時代に、語学を習う意味はあるのか」

はきわめて真っ当な回答であるとともに、これからの時代に「人間とAI」の距離感として理想的であるように感じた。
いろんな人に読んでもらいたい本。


(H)

October 20, 2022

「中井文庫+2022」、開催期間を~11/30まで延長いたします

 

選書フェア「中井文庫+2022」、おかげさまで大変好評につき、開催期間を延長いたします。
11月30日(水)までの開催といたします。

 

10/20時点で売れ行き1位は姫乃たまさん推薦の本。姫乃さんの半日店員イベントのときにガッと売れました。
2位は私、伊野尾の推薦本。これは選んだ文庫本そのものがロングで売れている気がします。
3位が尾崎世界観さん推薦本、4位今村夏子さん推薦本と続いています。

見に来られていなかった、という方はぜひこの機会に足をお運びいただけると嬉しいです。

 

2022

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