September 24, 2017

九月が永遠に続けば(毎年シーズン終わり間際になると勝ちだすロッテファンの叫び)

むかし詩人の三代目魚武濱田成夫は「世界が終わっても気にすんな俺の店はあいている」と詠んでましたが、「ミサイルが飛んできても気にすんな俺の店はあいている」みたいな時代になってきました。
あんまりミサイルの本は売れていません。

それより最近定年後』『未来の年表』『知ってはいけない』など、「この先の未来は暗いぞ」系の新書が続けてスマッシュヒットしているのが気になります。
そういう時代なんでしょうか。

 

☆店内レイアウト変更しました

売場商品の場所が3分の1くらい変わりました。
見当たらないものはお気軽にお尋ねください。

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☆セールスランキング(8/22~9/21)

しばらく出してなかったのでご参考に。

【総合】
1、ぴあ高田馬場早稲田食本    ぴあ      
2、ルビンの壺が割れた   宿野 かほる  新潮社  
3、NHK趣味どきっ 体が硬い人のための柔軟講座 中 野ジェームズ修一  NHK出版  
4、源氏物語 上  紫式部  河出書房新社
5、究極の疲れないカラダ  仲野 広倫  アチ-ブメント出版   
6、この世の春 上  宮部 みゆき 著  新潮社  
6、3DS版ドラクエ11  ベントスタッフ  スクウエア・エニックス 
8、東京の森のカフェ  棚沢 永子  書肆 侃侃房   
8、1日1分見るだけで目がよくなる  林田 康隆  アスコム 
10.マスカレード・ナイト  東野 圭吾 著  集英社   
10、月の満ち欠け  佐藤 正午  岩波書店 
10、日航123便墜落の新事実  青山 透子  河出書房新社   

【文庫】
1、恨み残さじ   佐伯泰英    双葉社    
2、仲代達矢が語る日本映画黄金時代 完全版   春日太一   文藝春秋  
3、ソードアート・オンライン20    川原礫  電撃文庫
4、君の膵臓をたべたい  住野よる 双葉社  
5、孤狼の血   柚月裕子   KADOKAWA
6、木洩れ日に泳ぐ魚  恩田陸  文藝春秋
6、アイネクライネナハトムジーク  伊坂 幸太郎  幻冬舎 
6、豆の上で眠る  湊 かなえ  新潮社
6、カエルの楽園  百田 尚樹  新潮社
6、百歳まで歩く 正しく歩けば寿命は延びる!  田中 尚喜  幻冬舎

『ルビンの壺が割れた』は覆面作家のデビュー作品です。

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 発売前に全文を公開してキャッチコピーを募集するというキャンペーンを新潮社が行い、話題になりました。
 http://www.shinchosha.co.jp/rubin/

 新潮社はこういうプロモーションが上手いですね。
 
 「事前にあらすじ、内容などを一切入れないでお読みください」という案内があって、そのとおりにして読んでみました。
 読み始めてすぐ、「え…何なのこの話?」という風になって、途中で「ええええええ!!」という展開があって、読み終わると「え…何な

のこの話?」という感じにまたなる、大変奇妙な読後感でした。
 けど、夢中で読んでしまったってことは面白かったってことなんだと思います。
 薄い本で、1時間くらいで読めるので読んでみてください。

 ちなみに『ルビンの壺』とは1915年頃にデンマークの心理学者エドガー・ルビンが考案した、壺の形にも人が向かい合ってるようにも見える図のことですね。

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 読み終わった方はこちらの方のFacebookをご覧になるとさらに味わいが深まると思います。

 https://www.facebook.com/BrokenRubinVase/

・角田光代さんが約3年かけて現代語訳したという「源氏物語」の上巻が発売され、1冊3780円(税込)という金額でありながらよく売れております。

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http://web.kawade.co.jp/bungei/1486/

まあ3780円というと高い気もしますが角田さんのは上中下巻の全3巻であり、瀬戸内寂聴の「源氏物語」なんかは単行本で全10巻だったので、トータルで見れば高くないかもしれません。

角田さん2年前から一般小説の執筆を中断してこの「源氏物語」に集中されてるそうで、「源氏物語」に強い思い入れがあるのだろう…と思ったら河出書房新社HPのインタビューで「好きとも嫌いとも、何とも思ったことがない」と答えてて意外でした。

http://web.kawade.co.jp/bungei/1486/

その上で「読みやすさというのをまず第一に」「わかりやすくプレーンな文章で」「当時の人の感情がそのまま今の私たちにも、『その感情は知っている』という風に、感情のリンクをできないかということを考えて」書いたそうです。

角田さんの「源氏物語」中巻は18年5月、下巻は18年末~19年の刊行予定。

 

・『東京の森のカフェ』は東京近郊の山の中にあるカフェとか、川のそばにあるカフェといったお店を紹介した本。
 福岡の書肆侃侃房(しょしかんかんぼう)という出版社が作っています。

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 http://www.kankanbou.com/kankan/?itemid=805

☆いろいろ紹介したい本がありますのでまた近く。

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August 23, 2017

「中井文庫2017」開催のおしらせ

伊野尾書店ではさまざまな方々におすすめの本を紹介してもらうフェア「中井文庫」を今年も9/1(金)~10/31(火)まで開催いたします。
 
今年の参加者は下記のみなさんです。
 
(五十音順)
 
☆上間陽子さん(教育学者、『裸足で逃げる』著者)
 
☆大家健さん(プロレスラー、『ガンバレ☆プロレス』代表)
 
☆大西杏委さん(ベーカリーカフェ「CuiCui」店長)
 
☆大和田慶太さん(取次会社「三和図書」配送スタッフ)
 
☆岡田貴行さん(海上工事会社社長)
 
☆春日太一さん(時代劇研究家)
 
☆北沢美樹さん(写真家)
 
☆こだまさん(主婦、『夫のちんぽが入らない』著者)
 
☆佐藤リナさん(女王様)
 
☆高島三郎さん(合気道仙元館館長)
 
☆滝川あずささん(女子アナウンサーレスラー、『東京女子プロレス』所属)
 
☆武永賢さん(「中井駅前クリニック」医師)
 
☆爪 切男 さん(野良作家兼派遣社員)
 
☆長谷川晶一さん(ノンフィクションライター)
 
☆古橋由美さん(取次会社「大阪屋栗田」社員)
 
☆松井一晃さん(「Number」編集長)
 
☆松本哲也さん(劇作家)
 
☆宮崎三樹さん(出版社「扶桑社」社員)
 
☆伊野尾書店従業員
 
今年もまたバラエティに富んだみなさんにご参加いただくことができました。
 
9/1(金)から展開予定です。
店頭では選者のみなさんのコメントを集めた小冊子を配布しています。
ぜひ遊びにいらしてください。
 

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August 07, 2017

心に刺さった棘が抜けない ―今村夏子「星の子」

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〇「星の子」今村夏子(朝日新聞出版)

 

読み始めてすぐに「これはもう絶対すごい作品だ」と確信するような小説がたまにある。

ごくごくまれに「最初の出だしはあんなに面白かったのに…」と急降下してしまう作品もあるが、多くははそのまま「すごい」テンションで読み続けられ、そのまま「面白かった…」と読み終わる。
今村夏子の「星の子」もそういう読み始めてすぐに「絶対すごい」と確信し、「面白かった…」と読み終わった作品だった。
ただ違うのは、読み終わったときに強烈な棘が刺さったような感覚があり、それが読後丸一日経とうとしている今もずっと刺さり続けていることで。
「星の子」は中学3年生の女の子、ちひろの目から見た家族の物語だ。
ちひろは生まれつき身体が弱く、小さいころは湿疹が消えずに夜泣きを繰り返して、両親はその手当てに疲弊していた。
そんなとき、父親の同僚である落合さんから「この水を使って体を拭いてごらん」とある水を渡され、半信半疑のまま体を拭いていると少しずつ発疹が減っていき、やがて完治する。
落合さんが渡してくれた水は「金星のめぐみ」という通信販売をされていた水で、販売しているのはある宗教組織だった…。
 
この小説は全編を通じて「不穏」な空気に包まれている。
しかしその「不穏」はずっと満ちあふれているわけではなく、平凡でなにげない生活の中にチラッと出てくる。
それが怖い。
怖い、という言葉は間違っているかもしれない。
なぜならこちらから見て「違和感」や「異常」なものが向こうからすると「日常」「通常」として捉えられていた場合、それは何もおかしなことはないからだ。
その違和感をどう説明していいかわからない。
そんなもどかしさがこの作品には描かれている。
 
私たちは、すぐに他人を線引きする。
あの事件の犯人はちょっとおかしい人だったらしい。
あの政治家は裏でこんなことやってたらしい。
あの人は、〇〇って宗教の人だから。
 
けど、犯人の人も、政治家も、宗教に入っている人も、その人からすればその人なりの「普通」がある。
その「普通」は、どんな見え方をするんだろうか。
 
今村夏子は不穏さを表すのに狂人がナイフを振り回すような表現はしない。
目の前のニコニコした人間のジャケットがめくれたときに胸ポケットにナイフがあるのが見えてしまったような、そんな表現をする。
普通とは何か。
家族とは何か。
人と人の関係を変えていくのは大仰な舞台や劇的なドラマではなく、普段の延長線上にある本当になにげない出来事だったりする。
 
こんなに平易で、こんなに読みやすく、こんなに刺さる小説はそうそうない。
読み終わってから、ずっとあの最後のシーンのことを考えている。
 

夏季休業のおしらせ

いつもご利用ありがとうございます。

8/13(日)~15(火)はお休みいたします。

ご迷惑をおかけいたしますが、よろしくお願いいたします。

伊野尾書店

July 24, 2017

最近7月がいちばん暑くないですか

佐藤正午「月の満ち欠け」が直木賞受賞しました。
おめでとうございます。
「生まれ変わり」というスピリチュアルなテーマを個々の人生にうまく乗せた物語でした。
佐藤正午は「身の上話」(光文社文庫)が好きです。
あれは読み終わってしばらく「面白かった…」とぼーっとしました。
「人生の岐路」をリアルとファンタジーの合間ですごく上手に書かれる作家さんだなと思います。

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岩波書店が初めて直木賞を受賞したということで話題になってましたが、いいことではないでしょうか。
しかし今さらな話でしょうが、一般世間にまで話題になる賞って直木賞と本屋大賞ぐらいなんですよね…。
人文、ノンフィクション系の本にも一般メディアに取り上げられるような賞が欲しいです。

☆限定販売

新宿区が区成立70周年を記念して製作した区史『新宿彩(いろどり)物語 ~時と人の交差点~』(税込1620円)の取り扱いを始めました。

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http://www.city.shinjuku.lg.jp/soshiki/soumu01_kushi1001.html

オールカラーで新宿区の歩みやゆかりの深い文化人の紹介(ヤクルトスワローズ真中監督と新潮社佐藤社長など)、古地図などが掲載。
1500部限定発売だそうですのでお早めにどうぞ。
伊野尾書店も店頭在庫が残り10冊ほどとなりました。


☆中井

ラズウェル細木さんの『酒のほそ道』41巻には中井の知られざる名店を飲み歩く「中井名店飲み歩き(前編・後編)」という回が収録されています。
店名に「山」がつく、中井にある3軒のお店を指して『中井三山』と呼ぶそうです…知らなかった。

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☆カレーの本

NHKで放送している「趣味どきっ!」のカレーのテキストがよく売れているのですが、
http://www.nhk.or.jp/syumidoki/syumidoki-tue/

先日出たこの本がすばらしいです。

○『いちばんおいしい家カレーをつくる』(プレジデント社)

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最近カレーの本というと「東京カリ~番長」の水野仁輔さんがだいたい呼ばれてるのですが、その水野さんの本のなかでもこの本は特に力が入っています。
何しろ一冊の本の中にレシピが3つしかありません(笑)。
その3つこそが「家で作れるカレーの究極」、なかでも最後のレシピの名は「ファイナルカレー」です。
もうこれ以上はないカレー。

とりあえず自分で一番目のカレーを作ってみましたが、本当においしかったです。

(参照)
普通の材料でつくる"最高のカレー"5条件

http://president.jp/articles/-/22205

 

☆奥田民生になりたいボーイ

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9月に映画化される『奥田民生になりたいボーイ出会う男すべて狂わせるガール完全版』(扶桑社)をお買い上げのお客様に、作中でヒロインのあかりさんがプレスを務めているアパレルブランド『ゴフィン&キング』のロゴをあしらったミニタオルさしあげています。
これよく作ったな…!

「完全版」になってストーリーが加筆され、より凶悪さが増したというか…エッジの効いた漫画になってます。
特に最後のあの喧嘩の場面ね…あそこで編集長が口ずさむアレがもう…!

 

☆業界ノンフィクション

○「誰がアパレルを殺すのか」杉原淳一/著 染原睦美/著(日経BP社)

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よく売れてるので読んでみました。
「アパレルの総売上高が1991年には15兆円あったのが2013年には10兆円になった」というデータを見てると「どこの業界も大変だなあ…」という凡庸な感想が出て来てしまうのですが、面白かったです。

デパートの中核テナントはこれまでずっとアパレルで、各デパートは入居するアパレルにかなり自分たちにいい条件で契約をさせてきたのが近年崩れて来て、入居するアパレルの不振がそのままデパートの閉店につながっているそうです。
「週刊ダイヤモンド」とかの特集をガッツリまとめたような濃さがありました。

 

☆コンプレックス

○「コンプレックス文化論」武田砂鉄(文藝春秋)

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天然パーマ、背が低い、下戸、ハゲ、一重(ひとえ)、遅刻、実家暮らし、親が金持ち……世にあふれるコンプレックスの中から特に代表的な10個を取り上げ、研究する評論集。
各コンプレックスごとに「その道の代表者」にインタビューするのが面白い。

下戸の章に出てくる、「ファンタが飲めない人にファンタをすすめる人はいないし、『すみません僕ファンタ飲めないんです』と言えば何を言ってるんだという空気になるのに、酒が飲めないとゆるやかに謝罪しないといけない空気になるのは何なのだろう」とあって、なるほど確かにそうだなと納得してしまいました。

私自身は酒は飲めるけどちょっと弱いくらいなんでどちらの立場もわかるところがありますが、勧める立場で言えば「同じものを飲んで同じ状態になって仲良くしゃべりたい」というのがあってつい勧めてしまうわけで、けど飲めない側からすればそうされると「だから同じものを飲まそうとすんなよ」という風になってしまう。
なんで「自分以外は飲みたいものも飲みたいペースもみんな違う」という事実にゆるやかに慣れていくのが結果的にいいのかなー、とずっと思っております。

ここに出てくるコンプレックスって「人と違う」ことが根っこで、「人と違う」がゆえに「そんなの大丈夫だよ」「気にすんなよ」で済むことのない、根深い問題だなとあらためて思います。

私のコンプレックスは…酒を飲む時があったら話します。別にコーラでもいいです。

 

☆ランキング

この1か月でいちばん売れた本は「HUNTER×HUNTER(34)」 冨樫義博(集英社ジャンプコミックス)でした。すごいなあ

(総合)
1、「死ぬくらいなら会社辞めれば」  汐街 コナ  あさ出版 
2、「やれたかも委員会 1」吉田 貴司  双葉社
3、Pen+ムーミン完全    CCCメディアハウス  
3、モデルが秘密にしたがる体幹リセットダイエット  佐久間 健一  サンマ-ク出版  
5、Numberプロレス総選挙’17    文藝春秋
6、(どうしても読んでもらいたい本)
7、   つまんないつまんない  ヨシタケ シンスケ  白泉社 
8、劇場  又吉 直樹 著  新潮社
8、1日10分でちずをおぼえる絵本  秋山風三郎  白泉社 
8、がんで余命ゼロと言われた私の死  神尾 哲男  幻冬舎 

☆告知

今年も
9/1~からさまざまな人におすすめの本を選んでいただいた「中井文庫」を開催します。
今年もまた多様な方々に参加いただくことができました。
詳細は8月のお盆明けくらいにまた発表したいと思います。

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«とある新人漫画家に本当に起こったコワイ話