November 20, 2016

雨宮まみさんのこと

雨宮まみさんが亡くなったというニュースが回っています。

ほんとなんでしょうか。

本当に、ほんとなんでしょうか。

全然、全然実感がわかないです。

たちの悪いデマじゃないんでしょうか。

Twitterで「こんなタチの悪いニュース誰が流してるんだ」とコメントつけてリンクを張ったら雨宮さんから「なんなんですかね、これ」とリプライが来るような気がしています。

 
いや、きっと、ほんとなんだと思います。

ごくごく近しい人たちだけでお見送りした、という話を聞きました。

いろんな人が悼む言葉を発してます。

けれどそんな伝聞というか情報のようなものだけで「雨宮さんがいなくなった」というのが、実感にならないんです。

今も東京のどこかにいて、こうして雨宮さんのことをネットに書くと即座にリツイートしてくれるような気がするんです。

 

 

雨宮さん。

雨宮さんのことを少し書いてもいいですか。

「伊野尾さんとはそんな親しくもないし、そんな一方的に語られる筋合いでもないですよね」とピシャッと言われてしまうんじゃないかという気がしています。

というか、たぶんそうです。

でも雨宮さんがどうにもならない感情や心の動きを文章にしたように、僕もどうにもならない感情がこの三日間渦巻いています。

それを少しだけ、吐き出させてください。

雨宮さんについてここで何か書いても、肝心の雨宮さんには読んでもらえない。

その事がすごく重く、心にのしかかってます。

僕からの一方的な形で、「それ違います」という反論の場を雨宮さんに与えない書き方になることを、どうか許してください。

 

 

雨宮さんのことを知ったのは、ポット出版のサイトに載っていた「セックスをこじらせて」という手記を読んでからです。

知り合いの編集者さんから教えてもらったような気もするし、誰かがTwitterで紹介してたのを読んだような気もします。

ちょうど大学時代の雨宮さんが友人の彼氏としてしまう話で、「ええ…!これ、ホントの自分の話!?」とビックリしたのを覚えてます。

そこから連載の第一話に戻って最新話まで、圧倒的な熱量とアップダウンの効いた話をすっかり夢中になって読み続けました。

そして「こんな話あるんだ…」と打ちのめされるような気分になりました。

それ以来、不定期に更新される「セックスをこじらせて」の最新話がアップされることを待つのは小さな楽しみになりました。

毎回面白く、時にハラハラしながら読み、連載が終わったときは残念な気持ちとお腹いっぱいになった気持ちの両方がありました。

 

しばらくして、書店に送られてくる出版社からのFAXの山の中に

「ポット出版最新刊 『女子をこじらせて』雨宮まみ(『セックスをこじらせて』改題)」

という注文書がありました。

「ああ!あれ本になるんだ!」と高揚した気持ちで冊数を記入して注文を送ったのですが、届いた『女子をこじらせて』は正直なところそんなには売れませんでした。

今でもそうですけど、「これはいいです!」と書店側が強く思って売りだしても、それを販売冊数に結び付けるのは難しいです。

(だからこそそれを結び付けている同業者の人には本当に敬意があります)

POPをつけたり声かけで売り込んでみたりしたがあまりかんばしい結果にはならず、もう少し別の売り方があったのかもしれないと反省しています。

ただ、著者の雨宮さん自身が「中井の伊野尾書店さんにあるようです」とツイートしてくれたのはうれしかったです。


雨宮さんはそのあとくらいからどんどん発表する文章が増えました。

ネットでの連載、雑誌コラム、単行本、いろいろ出ました。

だいたい読んでたはずですが、追いきれないものもあったと思います。

デビューの頃は「AVライター」という肩書きだったのが、だんだん「AV」がとれて「ライター」になってました。

雨宮さんの文章は人の心の底に沈んでいて本人すら自覚していないような澱のようなものを「ほら、あなたの心の痛みの原因はこれでしょ?」と掬い取ってくれるようなものが多くありました。

それがもっとも出ていたのが「“穴の底でお待ちしています”」という、いろんな人の愚痴を聞く人生相談でした。

http://cocoloni.jp/culture/29443/

毎回寄せられる愚痴(という言葉に収めるには重すぎる内容も多々ありました)に対する返答が本当にすばらしく、読みながら「すごい…!この人はなんなんだろう…!」と思っていました。

(読んでない方はまだ読めるので、今からでも全部読んでほしいです)

 

あるとき、私が定期的に行ってる出版関係の人を招いたプロレス観戦会で、よく参加してくれてた新潮社のNさんという人が「今度、知り合いのライターさんを呼んでいいですか?」というので「いいですよー、ぜひぜひ。ちなみになんて方ですか?」と聞くと「雨宮まみさんです」というのでびっくりしました。

こんなことってあるのか、というのがそのときの印象です。

初めてお会いした雨宮さんは、素敵な人でした。

他の人がよく書いてますが、「キラキラしている」という言葉がぴったりの方でした。

そのときは両国国技館に新日本プロレスを見に行く会でした。

両国駅前から国技館まで移動しながら

「プロレスは初めてですか」

「初めてです」

「なんで見ようと思ったんですか」

「んー、Nさんが『見た方がいい』って言うんで(笑)」

という感じでなごやかに話してたんですが、僕が

「『女子をこじらせて』読みました。すごいよかったです」

と言うと

「ああ…どうも」

と言ったきり、下を向くようにして会話をシャットアウトする感じになってしまい、焦りました。

あとから考えれば、自身のかなり繊細な部分までさらけだして書いた話を、今目の前にいる見ず知らずに近い男性に知られている、というのはあまりうれしいものではなく、「読んでもらえるのはありがたいけど…」という感じだったのかもしれません。

国技館の座席につくとNさんが「伊野尾さん、雨宮さんにいろいろ教えてあげてください」と私と雨宮さんを隣同士の席にしてくれました。

私はプロレスが大好きで、無駄な知識もかなり持ってると思いますが「初めて見る人に教える」というのがあまり上手くありません。

試合を見ながら横であれこれ解説した方がいいのか、それともなるべく予備知識なくそのまま見てもらうのがいいのか、いつも考えてしまいます。

そのときは「基本そのまま見てもらって、たまに補足的に口を出す」というスタンスにしましたが、その「補足的」なコメントが本当に必要だったのか、横であれこれうるさいんじゃないか…とずっと思ってました。

ロッキー・ロメロとバレッタという外国人選手のチームが「ロッポンギバイス」という名前で、入場曲は外国人がなんか「ロッポンギ、ロッポンギ」言ってる曲で、入場の際に場内に流れるPVがベタベタな六本木の光景をシャッフルしたみたいな映像で、それに雨宮さんウケてましたよね。

六本木で思いだしましたけど、いま思えばあのころちょうど雨宮さんは「東京を生きる」を執筆してたんじゃなかったでしょうか。

セミファイナルで中邑真輔が出て来てロープをつかんで体を反らせるいつものポーズを決めると、雨宮さんは口に両手をあてて「きゃー!やばいー!」と反応してました。

試合が全部終わったあとみんなでちゃんこ屋に行ったとき、雨宮さんに「今日誰が印象に残りましたか」と聞くと即答で「中邑!」と答えてくれましたね。

初めて見た人にも伝わるんだから、中邑真輔ってすごいです。

そのちゃんこ屋では雨宮さんがAV男優の話をしてくれたり、意外な共通の知人がいることが判明したり、独身女子の話を雨宮さんが聞いたり、あの日の飲み会は本当に楽しかったです。

雨宮さんとはそこから1,2回、一緒にプロレスに行きましたけど、雨宮さんが女子プロレス、里村明衣子とセンダイガールズにハマってからは一緒に行く機会がめっきり減ってしまいました。

あれはどこでお会いしたときのことでしたっけ、センダイガールズのすばらしさをとうとうと語られたあとに、「結局、わたし男じゃなくて女を追っちゃうんですよねー」と言った一言を覚えています。


雨宮さんは「面白い」と思うものをいろいろ教えてくれる人でした。

岸政彦さんというすばらしく良い文章を書く人がいる、と教えてくれたのは雨宮さんでした。

岸さんの「街の人生」は雨宮さんが「SPA!」に書いてた書評文をそのままPOPにして売っていました。

雨宮さんとのDM履歴をずっと見ていたら、2015年2月3日に

「伊野尾さん、岸政彦さんに会いましたよ!」

「すごいうれしかったんですけど、自慢できる人がいないので自慢させていただきました」

「岸先生、男前ですな…」

というやりとりがありました。

これは今年出たミシマ社の「愛と欲望の雑談」のもとになった対談か、その打ち合わせだったんでしょうか。

雨宮さんと岸さんという僕のなかで「すばらしい文章を書く二大巨頭」の対談の本が出たのは今年うれしかったことのひとつです。

でも、この本が雨宮さんの最後の本になってしまうんでしょうか。考えたくないんですけど。

 

岸さんは

「雨宮さんがいなくなったことを、雨宮さんに相談したいと思ってしまいます。あの美しい人生相談の本を書いた雨宮さんなら、どんなお茶を出してくれるだろうか、どんな言葉をくれるだろうかと思います」

と書きました。

http://sociologbook.net/?p=1114

本当に、そう思います。

雨宮さんは岸さんに「浮気した方が作品に深みが出ますよ」言ったそうですが、それにならうなら「大事な人を突然失うという経験をすると深みが出ますよ」と言ってくれるのかもしれません。


けど、深みなんかでなくていいです。

心に穴があいたような感覚があって、すごく、つらいです。

こんな思いをするなら浅いままでいいです。

 

つらくてもなんでも、日常はやってきます。

僕の仕事は本屋なので、どんな気持ちであれ毎日本は入ってきますし、その新刊を並べたり、入れ替えたりします。

今日はかつて雨宮さんも出た「KAMINOGE」の新刊が発売になりました。

表紙が僕の好きなDDTの人たちで「おおー」と思ったのですが、棚に並べる時に表紙のコピーを見て固まってしまいました。

Kaminoge201611


なんでしょうねこのタイミングで。

「ヤッてる奴だけが気持ちいいんだ!!」、ですって。

そういえば「ヤるかヤらないかの人生なら、俺はヤる人生を選ぶ」って映画がありましたよね。

「『プロレスキャノンボール』についてちょっと語りましょう今度!」って約束したのは、あれ何のときでしたっけ。

約束、覚えてますから。

いつかどこかでできるんじゃないか、と思っておくことにします。

雨宮さんがセンダイガールズを愛したように、僕はこのDDTというプロレス団体が大好きです。

 

僕は雨宮さんとは「作家と書店員」であり、「著者と読者」であり、「プロレス仲間の知人」という3つの面があわさった関係でした。

仲良くはさせていただきましたけど会うのはどこかのイベントとか何かの集まりばかりでしたし、個人的な話もしたことはありません。

ずっと心地よく交流させてもらいながら、同時に「これ以上は入ってきてはいけない」という一線がピンと引かれているような気がしていました。

違ってたらごめんなさい。

雨宮さんは人の弱いところすべてを受け入れてくれるような面と、誰も立ち入れない壁を一瞬のうちに築くような両方の面があったように思います。

みんな、そうなのかもしれませんけど。


「プロレス仲間」としての雨宮さんとは、どうやらこれで切れてしまうみたいです。

けど雨宮さんはたくさんの文章を書かれました。

「作家と書店員」「著者と読者」の関係はまだこれからも続きます。

 

書店員は、著名な作家が亡くなったら、話題になっているうちにその人の本を店のよいところに出して追悼フェアとかやるんです。

どんな形であれ、話題になってる本を売るのが仕事ですからね。

ただ、昨日雨宮さんの本を前に出したんですけど、どうしても、「追悼」とか、そういう言葉が書けないんです。

書いたら何かが終わりになってしまう気がして。

だから、何も書かず前に出してます。

Photo

そのうち、たぶん引っ込めます。

そして棚の一部に、女性の方がなるべく見そうな棚の端に、雨宮さんの本を並べておきます。

棚に並んでる限り、なんとなくですが僕と雨宮さんの関係は切れないんじゃないか、そんな風に思ってしまうのです。

 

(H)

November 01, 2016

プロ野球シーズンの終わりは冬のはじまり

10月も後半に入ると肌寒い陽気になり、日の入りがすっかり早くなりました。
日本シリーズは北海道日本ハムファイターズ4年ぶりの日本一で幕を閉じましたが、見ていて久しぶりに白熱したシリーズでした。
1,2戦を終わった段階では「うわカープの勢い止まらない…」、3戦も敗色濃厚だったファイターズが運と執念で追いつくと最後は大谷翔平がボール球をヒットしてサヨナラ勝ち、続く4戦も逆転勝ち、先発投手の比較ではカープ有利だった5戦ももつれた末に最後は西川のサヨナラ満塁ホームランで激勝、そして広島に戻った6戦は同点の終盤にまさかのビッグイニング、とファイターズの「反抗力」とも言える強さが際立ちました。
「最後にもう一度投げられなかった黒田」含めて、いろいろ後世まで語れるシリーズだったと思います。

2016年のプロ野球を振り返ると印象に残ったのは現役最後の登板で7回まで投げ続けたベイスターズ三浦大輔の引退試合、カープがリーグ優勝したときに抱き合って涙を流した新井と黒田の姿、そして大谷翔平のあの165キロが生まれたパ・リーグクライマックスシリーズファイナルステージ第五戦でした。
この試合についてはコラムニストのえのきどいちろうさんが書かれた文章が本当にすばらしいので読んでほしいです。

日本中の野球ファンが目撃したNPB史上初の9回。百年語り継がれるべき、リミッターを外した大谷翔平の15球
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20161018-00010005-baseballc-base

本の話でいうと広島本フィーバーがピークを迎えてまして、9月以降に出たカープ関連の雑誌(優勝記念増刊およびムック本すべて含む)を全部数えていったら19誌もありました。
雑誌ほどではないにせよ書籍もよく出てて、こんな本まで出てました。

ちなみに日本ハムファイターズ関連の9月以降に出た雑誌は2誌です。大谷翔平が表紙の「Number」を入れてやっと3誌でした。
ファイターズでいうと、検索したら出てきたこの本が気になります。。。

○「もりのやきゅうちーむ ふぁいたーず」(北海道新聞社)

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現役のファイターズ選手たちが、それぞれの個性に合った森の動物に変身して野球チームを結成。ライバルの海の野球チーム「おーしゃんず」とあつい戦いを繰り広げます。仲間を信じ、力をあわせて勝利にむかう森の動物たちの面白くて楽しい奮闘振りをファイターズ選手会自らが意見を出し合い考えました。野球ファンに限らずおすすめできる絵本です。

大谷翔平がキリンで中田翔がゴリラだそうです。うーん。キリン二刀流。

この相手の「おーしゃんず」というのはどういうチームでしょう。
千葉の方にやっぱり海をモチーフにしたチームがあったような気がするんですが、そことは関係あるんでしょうか。

 

☆児童書

7月から児童書を見るようになりました。
昔から知られている定番商品が売れるジャンルですが、置いとくといつまでもよく売れる新刊もちょいちょいあります。
たとえばこれ。

○「おもしろい!進化のふしぎ ざんねんないきもの事典」(高橋書店)

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“生き物の「ざんねん」な一面に光をあてた、はじめての本”と書いてあります。
すごいコンセプトですね。
「残念な」というとどうしても僕は千原ジュニアを連想してしまうんですが、児童書の世界にまで浸透しているとは知りませんでした。

「カバの肌は超弱い」
「イルカは眠ると溺れる」
「ゴリラは知能が発達しすぎて下痢気味」

といった感じでいろんないきものの残念な部分を書きだしています。
なんかこう…動物もいろいろ大変やな…という感じになる本です。

 

☆中井文庫

おかげさまで9/1から始まった中井文庫ですが本日(10/31)をもって終了しました。
どうもありがとうございました。

売れ行き上位作品はこんな感じでした。

1、「サバの秋の夜長」大島弓子著   三田佐代子さん推薦
2、「ゴランノスポン」町田康   当店スタッフ青木推薦
3、「あかんやつら」春日太一著    村瀬秀信さん推薦

4、「タイタンの妖女」カート・ヴォネガット著  岸政彦さん推薦
4、「路に落ちてた月」ビートたけし イタリアンキッチン オリーブモンド中村さん推薦

6、「最弱球団 高橋ユニオンズ青春記」長谷川昌一著 礒部雅裕さん推薦
7、「友情」武者小路実篤 男色ディーノさん推薦
8、「雪の鉄樹」遠田潤子 杉江由次さん推薦

9位以下は割愛します。
毎年のことですが、何が売れるか出してみないとわからないものだなあと本当に実感します。
ご参加、ご協力いただきました皆様にこの場を借りて御礼申し上げます。

来年もまた同じ9月~10月の時期に開催を考えていますので、よろしくお願いいたします。

なお11/1からは「ネコが好きすぎるので猫のカレンダーをいろいろ集めましたフェア」を開催します。
結構いろんな種類の猫カレンダーを取りましたが、それでもまだ世の中に出ている猫カレンダーはまだいろいろあるような気がします…。

12/1からは「2016年 伊野尾書店で売れた本&担当者が選ぶ素晴らしかった本」を開催予定です。

 

 

☆最近読んでおもしろかった本

○「封印された科学実験」(彩図社)

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科学は我々に豊かさをもたらす一方で、ときには危険な結果を招いてしまう。ふとしたきっかけでその危うさが明らかになることもあれば、科学者が好奇心や功名心を満たそうとあえて取り組むこともある。
本書ではそのような科学史に残る危険な実験を紹介!
洗脳に利用された「ゲシュタルト崩壊」、権力が人を別人に変えることを証明した「スタンフォード監獄実験」、米ソが競い合った「超能力者開発実験」など、33の項目から科学の裏側に目を向ける。

これは最近息抜きに読んだら大変面白かった本です。
人類が歴史上行ってきたヤバい実験の数々がエピソードともに紹介。

たとえば「ブアメードの血」実験。
1883年、オランダの死刑囚ブアメードはある実験の被験者となった。
彼は「人間は10%の血液を抜くと人は死ぬ」と医師に告げられ、首にメスを当てられる。
医師は彼の首に実際には傷はつけておらず、床にバケツを置いてその上から水滴を垂らし、ポタッ、ポタッという音だけをブアメードに聞かせた。
そして医師たちは一定の時間がたった時にブアメードに「10%を超える血が体外に出た」と告げると、ブアメードはまもなく死んでしまった、という。

似たような実験でナチスドイツが捕虜に鏡の前に立たせてひたすら「おまえは誰だ?」「おまえは誰だ?」と鏡のなかの自分に言うよう強制させた結果、1か月で判断力がなくなり、3か月で自我が崩壊した、という「ゲシュタルト崩壊実験」とか、そういう話がいろいろ出てきます。

「医学」とか「心理学」とかふだん普通に存在するものと感じてしまってますが、その陰には結構な人体実験の過程もあったんだな…と寒くなります。

あと国家実験もいろいろ。
かつてソ連が「地面ってどれだけ深く掘れるんだろう?」と単純かつ重要なな疑問を実行に移した大国家プロジェクト「コラ半島超深度掘削坑」の話も出てきます。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%83%A9%E5%8D%8A%E5%B3%B6%E8%B6%85%E6%B7%B1%E5%BA%A6%E6%8E%98%E5%89%8A%E5%9D%91

もう少し紹介したい本もあるんですが、終わらないので次に回します。
ではまたー。

(H)

October 26, 2016

「鈴木健.txtのDDT20年史ドラマティック講座」第一回お礼ならびに第二回参加受付のご案内

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10/23の「鈴木健.txtのDDT20年史ドラマティック講座」、おかげさまで大変盛況に開催することができました。
ご参加いただきました皆様ありがとうございました。

DDTに限らず現代プロレスマスコミの第一人者である鈴木健さんを招いて私が司会進行する仕切りだったのですが「しゃべってもらいたいトピックがあとこれだけあって、残り時間がこんなで、どの程度話を引っ張るのか」みたいなことが難しいと思いました。

やってて思ったのは鈴木さんがいろいろ「へえ~」って話をしたあとで「すみません、この『ゴートゥージャスコ』ってなんですか?」という聴衆者の方からの質問が一番盛り上がったように、場の空気をいかに作るかは演者よりも参加者の方なんだな、ということを実感しました。
話してた内容はプロレス話ばっかりだったのですけど、いろんなところに転用できる経験をさせてもらった気がします。

話としてはこちらのツイートのことが一番印象的。

https://twitter.com/nishinariboy…/status/790131108964765696

このノートすごい…!
本当に勉強会みたい。
ありがたいことです。

次回第二回は11/23(水・祝)16時からの開催です。
場所は同じ大阪屋栗田7階ホールです。
ご参加希望の方はこちらまでお願いします。

http://kokucheese.com/event/index/434453/

September 28, 2016

「鈴木健.txtのDDT20年史ドラマティック講座(全5回)」開催のおしらせ

2017年3月でDDTプロレスリングは旗揚げ20周年を迎えます。
3月20日にはさいたまスーパーアリーナメインアリーナへ初進出し、ファンの間でも期待が高まっています。
そんなDDTですが、この数年で新しくファンになった方が増えました。
それにともない、まだ団体が小さかった頃の時代をリアルタイムで体感していない方も多くなったと思われます。

そこで、DDT20年の歴史を振り返るトークイベントを企画しました。
20年の歴史を4年ごとに5分割し、全5回の開催を予定しています。
講師にはサムライTVでDDT中継の解説を長きにわたって務めておられる鈴木健.txtさんを迎え、新しいファンには20年の歩みを知ってもらい、古くからのファンには当時を懐かしんでもらうためのトークイベントです。
「途中からDDTを見始めたので、昔のことについてもっと知りたい」「当時から見ていたけど、あの出来事についてもっと詳しく知りたい」といったこともリクエストがあれば鈴木さんに解説していただこうと考えています
※お申し込み時「メッセージ」の欄に鈴木さんに解説して欲しいことをお書きください。

開催は月に一度、DDT後楽園ホール大会終了後の午後におこないます。
会場は出版取次会社・(株)大阪屋栗田の大会議室をお借りします。
後楽園ホールから徒歩10分ほどの場所にあるオフィスビルの7階ですので、観戦終了後に足を延ばしていただければ幸いです。

(講座日程)
第一回
10/23(日)16:00~17:30
第二回
11/23(水・祝)16:00~17:30
第三回
12/25(日)16:00~17:30
第四回
2017/1/29(日) 16:00~17:30 (予定)
第五回
2017/2/19(日) 16:00~17:30 (予定)

〔講師〕鈴木健.txt(サムライTV DDT中継解説)
〔主催〕伊野尾書店 
〔イベント責任者・進行担当〕伊野尾宏之(伊野尾書店店長)
〔参加費〕無料
〔会場〕東京・株式会社大阪屋栗田 7Fホール
(東京都文京区小石川2-22-2和順ビル7F/都営三田線春日駅下車徒歩3分、メトロ丸の内線後楽園駅8番出口から徒歩3分)
※あゆみBOOKSという書店があるビルの7階

〔定員〕40人(満席になり次第予約受付は終了します)

【注意点】
 ・会場への飲食の持ち込みは自由ですが、ゴミは置いていけないので必ずお持ち帰るようお願いいたします

〔第一回 10/23(日) 講座内容〕
1997年~2000年編
・たった3人による旗揚げ~伝説のプレ旗揚げ戦
・佐々木貴、高井憲吾、タノムサク鳥羽らによるy2d
・「イチかバチか」後楽園ホール初進出
・蛇界転生というファンタジーの反響

【お申し込み先】
第一回(10/23)分のお申し込みはこちらのページからお願いいたします。
http://kokucheese.com/event/index/425971/

第二回以降の講座受け付けは準備が整いましたらご案内いたします。

【今後の講座予定】 
※開催日時は月一回、DDT後楽園大会終了後の16:00~17:30
※会場はすべて株式会社大阪屋栗田 7Fホール

〔第二回〕  11/23(水・祝)16:00~17:30
2001年~2004年編
・週刊プロレスとの菓子折り事件の真相
・足掛け3カ月間のビアガーデンプロレス
・藤沢一生と佐々木健介の正直、バカバカしいのに大感動の邂逅
・飯伏幸太デビューの衝撃と波紋

〔第三回〕 12/25(日)16:00~17:30
2005年~2008年編
・マッスル人気爆発、またたく間に後楽園進出
・高木三四郎、覚悟の社長就任
・テレたまで「マッスル牧場Classic」放送
・路上~キャンプ場プロレスで広がった可能性

〔第四回〕 2017年1月29日(日) 16:00~17:30(予定)
2009年~2012年編
・夢の両国国技館初進出
・大社長、ユニオンへ移籍
・飯伏vsケニーはなぜあの試合になったのか
・竹下幸之介のデビューとポイズン澤田JULIEの引退

〔第五回〕 2017年2月19日(日) 16:00~17:30(予定)
2013年~2016年編
・両国2DAYSと他ジャンルとのコラボ
・新人の概念を覆したDNA始動
・ユニオン解散とブランド再編成
・飯伏の独立

※各回の講座テーマはあくまでも予定

〔問い合わせ先〕伊野尾書店 伊野尾宏之
(E-mail:inooshoten@gmail.com)

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September 22, 2016

拝啓 樋口毅宏様

拝啓 樋口毅宏様

樋口さんこんにちは。
Twitterをやめられていてビックリしました。
作家引退宣言をしていたと知ってさらにビックリしました。

「伊野尾さんからすると複雑な気持ちになると思うのですが、僕の新作『太陽がいっぱい』読んでみてください」
と樋口さんからDMをいただいて、感想お送りしようと思ったらアカウントがないってどういうことですか。
私、樋口さんとはDMでしかやりとりしてなかったんで、もう感想を直接お伝えする手段がないんですよ。
なので、ちょっと全体公開になってしまいますが、ここに感想を残します。
どこかで読んでくだされば幸いです。

「太陽がいっぱい」読みました。
感想の前に、少しマニアックなレスラーの話をしてもいいですか。

樋口さんはコンガ・ザ・バーバリアンって選手ご存じですか。80年代後半に新日本に来てた外国人選手なんですけど。
全日本に来ていたバディ・ランデルは?
あとビッグ・ジョン・ノードとか。
大日本プロレスに昔一度だけ来たO.D.Dって選手はご存じですか?

共通項わかりますか。
これみんな有名選手のキャラクターを模倣していたレスラーです。
コンガ・ザ・バーバリアンはロード・ウォリアーズ、バディ・ランデルはリック・フレアー、ビッグ・ジョン・ノードとO.D.Dはブルーザー・ブロディのそっくりさんレスラーです。

出てくるとみんな盛り上がるんですよ。
「知ってる知ってる!」って。
元ネタがわかるというのは強いです。
知ってる人はみんな喜びます。

でも、彼らが本家を超えるかといったら、まず超えない。
コンガ・ザ・バーバリアンなんて結構強くて、猪木とシングルマッチやったりしてましたけど、ファンの本音は「これじゃなくてウォリアーズを…」ですよね。

樋口さん。
「太陽がいっぱい」を読んで僕が思ったのはそれに近い感じなんです。
プロレスを小説を使って紹介するのはいい。
けどそのまんま使っちゃったら、それはもう本家のプロレスは超えないですよ。
「プロレスのストーリーを書いた小説」が「プロレスそのもの」を上回ることはないです。

でも、読む専門の僕が書いてる樋口さんに言うのもなんですけど、小説がプロレスを上回ることもいっぱいあるわけじゃないですか。
「さらば雑司ヶ谷」とか「日本のセックス」なんて、あんなのは樋口さんの小説でしか味わえない世界なわけじゃないですか。
私はそっちが見たいです。
プロレスや、プロレスラーを使って小説書いて全然いいと思うんですよ。
でもそれは既存のストーリー、もう誰かが見せているピカピカのストーリーでなくても、樋口さんしか書けない泥だらけのストーリーを書けばいいじゃないですか。
だからこの本のなかでは一番よかったのはオリジナルなストーリーの「太陽がいっぱい」です。

樋口さんが喧嘩を売った(ように見えました)西加奈子さんは、基本「人間」と「人生」を作品で書いてて、ときどきその中に「人生のワンシーンとしてのプロレス」だったり、「不器用な人生を生きるプロレスラー」がちらっと登場するだけで、西さんはプロレスそのものを書きませんよね。
今年のG1で、ケニー・オメガが優勝決定戦のクライマックスでかつての仲間だったAJスタイルズや、いまは離れている盟友・飯伏幸太の技を一瞬だけ使ったじゃないですか。
あれに僕らは物語を感じて泣きます。
でもケニーが最初からAJや飯伏の格好をして同じファイトスタイルを始めたら「おいおい…」ってなるじゃないですか。

初めてプロレス見に行った人ならコンガ・ザ・バーバリアンを見て「わー、すごい」ってきっと思います。
でもそれは“ウォリアーズを知らない”から楽しめる、ってのもあるわけです。
たぶん、樋口さんの読者の中にはプロレスを知らない/興味ないっていう人もたくさんいて、そういう人たちにプロレスへの入り口になるという意味ではすごくいいことだと思ってるんですが…。

これで終わりかよ、って。

引退するのはいいですよ。
でもこれが「引退試合」って、ちょっとつまんなくないですか。
樋口さんが巻末に「さよなら」と書いてるテリー・ファンクだって大仁田厚だって、引退したときは素晴らしい引退試合でしたよ。戻ってきてますけどね。
もうちょっとすごい「引退試合」にしましょうよ。
それこそ話題になるような。

樋口さん、家でお子さん見てらっしゃるんですよね。
「週刊新潮」の『おっぱいがほしい! 男の子育て日記2016』を読みました。
DMでそんな話もしましたね。
大変だと思います。
けど、お子さんはいずれ大きくなります。
最近は入るのも大変ですけど、いずれは保育園に入れます。
小学生になったら昼間は学校です。

それぐらいになったら、小説書く時間少しできないですかね。
書いてください。
「さらば雑司ヶ谷」のようなぶっ飛ぶような小説を。
それを本当の引退試合にしましょう。

ちょっと失礼します。

出て来いよ樋口毅宏!

逃げるんじゃねえよ!

私からは以上です。

あ、本当にすぐ出てこなくていいです(笑)
今はまだ開幕戦の後楽園ホールです。
出てくるのは最終戦、両国国技館のリングの上で。
樋口さんが全国の書店員がぶっとぶような復帰作を手に、背中には「Mr.Liar」の刺繍が入った皮ジャンを着て私たちの前に再び出てくる日を楽しみにしております。

敬具

伊野尾書店 伊野尾宏之

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